【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append 作:家葉 テイク
レルオーティエと別れた私とマグノリアは、そのまま探索者ギルド本部にやってきていた。
既にギルドにいるであろうアディとエリーミンに情報共有をする為だ。
平日ということもあり、ギルドの賑わいはそこそこか──と思っていた私だけれど、その読みが外れていたことを、ギルドに到着してすぐに悟った。
「おい、なんかすげえ騒ぎだぞ」
「…………そうね」
足早にギルドへ入っていくと、入ってすぐにアディの姿が目に飛び込んでいた。
ざわざわと行き交う探索者の群れの中、エリーミンと一緒のテーブルについて不安そうにしていたアディは、入って来た私のことを見つけるとすぐにぱぁっと顔を明るくする。
「エヴァ!」
「アディ!」
私はアディの許へ駆け寄ると、とりあえずハグをする。アディの方もだいぶ心細かったらしく、ハグを返してくれた。アディの身体の温もりが、アディの柔らかさと共にじんわりと伝わってくる。
一人で探索者ギルドに来てみたらこの騒ぎだ。きっととても寂しかっただろう。身の置き所がなかっただろう。心細い思いをさせてしまってごめんね、アディ。
「エヴァ、大丈夫でした? 一人で用事があるって出かけちゃったから、心配で……」
「大丈夫よ。ワイドも一緒にいたし」
「……そうですか」
「ええ。……心配させてごめんね」
私は名残惜しみながらもアディの身体を離して、エリーミンに向き直る。
「エリーさん。この騒ぎは?」
「ああ……ちょっと『外敵』がな」
そう言って、エリーミンは肩を竦めた。なんというか、どことなく馬鹿らしいものを見ているような態度だった。
……なんか、雰囲気との乖離を感じるな。
私は、空いている椅子を引っ張って来て、アディ達がついているテーブルに一緒になって座る。
後から追ってきたマグノリアが席の側に立ったのを横目に見ながら、
「『外敵』?」
「何でも、ウチの探索者がよその教区の
……なるほど。トレイルソン本部長が、手駒の探索者を使って
それで戦力を増強する為に、騒ぎを表沙汰にして探索者ギルドを巻き込んだ、と……。……随分無茶苦茶やるなぁ。
「私としては、あんな連中の為に犯罪者と事を構えるのは馬鹿らしいと思うんだが……本部長は乗り気でな。面子の張り合いだよ。面汚しでもギルドの一員をよそ者にのされたとあっては、報復しなければ顔が立たないって訳だ」
あー、それで微妙な顔をしていたのか。
エリーミンはこれでわりと探索者としての品位とかそういったものを気にするタイプのようだから、口にはしないけれど『なんで真面目にやっている私たちがギルドのゴミの為に働かなきゃならないんだ』とか思っているのかもしれない。いや、そこまで辛辣ではないか?
「でも、エリーさんが行くならもうあとは消化試合よね? どうしてみんな、こんなに慌てているのかしら?」
「肝心の敵の居場所が分からないらしい」
エリーミンの回答は端的だった。
ああ……なるほど。
「そういうことなら、力になれるかも」
そこで私は、本題である情報共有へと話題の舵を切った。
いや、エリーミンの参戦が確定しているなら話が早くなる。エリーミンを連れて現場に行けば、その時点で終わりだ。面倒なイレギュラーをあっさり始末できそうで、正直安心している。
「実は、昨日私を襲った男達も
「アクティブだな……。……いや、エヴァちゃんが襲われたショックで部屋に引きこもるようなタイプじゃないことは分かっていたが」
当たり前だろ。
こういうときは、後手に回れば回っただけ不利になっていくものなのだ。生き残りたいならば、先手を打って先手を打って、そして相手の思考を先回りして盤面を支配するしかない。
私はエリーミンのぼやきは流して、話をつづけた。
「──
「だ、だらく……??」
エリーミンが、素っ頓狂な声を上げる。……そこ、そんなに引っかかるところだろうか。別にダンジョンがどこだろうがどうでもよくない?
……ああ、もしかしたらもっと悪辣なダンジョンで罠を張って待ち構えている絵面とかを想像していたのかな。
「──それは確かでしょうかね?」
と、そこで横合いから声がかけられた。
見ると、そこにはくたびれたオールバックの壮年の男。──トレイルソン本部長だ。
あまり寝ていないのか、眼の下には隈があり、髪にも艶が感じられない。
「ええ、確かな情報です」
「そうですか。それはよかった……。これで少しは楽になりますね」
トレイルソン本部長は、私の太鼓判に力なく笑う。どうも本当に追い詰められているらしいな。
多分上司である黒幕との板挟みで苦しんでいるのだろう。もしくは、ただでさえ少ない手駒が良く分からん外敵との戦いでみるみる消耗していくのが面白くないのか。
「──実は、先ほどリウデラーから連絡がありまして。……追跡に出た『這いずる雷』が殺されたそうです」
「『這いずる雷』? あのチンピラパーティがか」
エリーミンは殆ど吐き捨てるみたいにして呟いた。多分、あまりいい探索者ではないのだろう。
しかし……このトレイルソン本部長の焦燥具合から見ると、やはり彼らも手駒だったらしい。
というか、こうして無理やりに多くの探索者を巻き込んでいるのも、消耗しすぎて自由に扱える手駒がなくなっているからなんじゃないか? だとすると……これはいよいよ、トレイルソン本部長自らが現場に出てくる展開もあり得るかもしれない。
図らずもトレイルソン本部長の勢力が削れていることに私は内心でほくそ笑んだ。
このままトレイルソン本部長自身が墜ちてくれれば、メインクエスト①は『氾濫』に対処して任務完了。何とも楽ができたものである。
それに、『私を殺そうとした黒幕』についても、エリーミンを堕落第一神殿に連れて行けばチェックメイトも同然。あと注意すべきは、精々撃ち漏らしがないようにするとか、敵の計画がまともに始動しないようにとにかく相手の手駒を全て潰していくとか、そのあたりだ。
「流石に、ギルドの一員が殺されたとあってはもう悠長なことは言っていられませんね」
トレイルソン本部長は神妙な面持ちをして、もっともらしい言葉を口にする。……白々しい男だ。自分が完全に掌握しているチンピラを鉄砲玉として使ったくせに。
内心で鼻白んでいる私をよそに、トレイルソン本部長は真摯ぶった表情でエリーミンに懇願する。
「私はこれから、協力者と一緒に堕落第一神殿に直接赴くつもりです。エリーミンさん、私達と一緒に来てくれませんか?」
トレイルソン本部長じきじきの臨時パーティ結成依頼。
それを前にして、エリーミンは何故か頬を赤らめて視線を横合いに逸らし、
「…………こ、断る」
「え゛」
想定外の反応に、想定外の回答。
思わず私が呻き声をあげてしまったところで──
──その瞬間。
私の埃を被った記憶が音を立てて閃いた。
そうだ。私──この顔のエリーミンを描いたことがあるぞ!
あれは確か、『あまちょ』においてアディがトレイル系
では、エリーミンは何故こんなにも恥じらいながらトレイル系
それは──
──コイツに、尋常じゃなく