【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append 作:家葉 テイク
堕落第一神殿──。
そこは
一説には、マニカナ教区の古代神殿群にある
その一つ一つに名前をつけていられないので、基本的に、
今回入る『堕落第一神殿』は、トレイル系
こういった呼び方の
そうした
ちなみにこれは余談になるけれど、エリーミンは既に五つの
マニカナ教区の全体の二%弱の
「……うっへぇ、気が滅入るところだぜ。
ぐるりと通路の中を見渡してから、マグノリアが口をへの字にして呻く。
無理もない。何せ辺りは
そもそも、太陽もなく照明の類もないのに全然前方を見通すことができる明るさが確保されているのも謎だった。
……
もっとも、此処では呼吸もしたくはない……かな。
トレイル系
純粋に──臭いのだ。
「なんだこの臭い。肉が腐ったみてえな、ひっでえ臭いだ。真夏の殺人現場か?」
「私もトレイル系の
手で口元と鼻を抑えながら、私とマグノリアは
細長い肉の道は、まるで巨大な生物の体内のようだった。こうして歩いていると、まるで自分が何か巨大な生物に呑み込まれたような不安を感じる。
かと思えば、たまに壁に入っている亀裂(何故かその周辺だけピンク色のまま硬質な質感になっているから不思議だ)を覗き込むと、その向こうには星のような煌めきが点々とあるばかりの、宇宙のような広大な闇が広がっていた。
……外側がどうなっているのか無性に気になったけれど、流石にこの亀裂に何かを突っ込んだりするような度胸は私にはなかった。こちとら、『恐怖の』ヴィーンティオには生まれる前から誘われ済みである。
「うわっ、気をつけろよ。こっちの床、勝手に沈み込んだぞ」
「最悪すぎる攻略情報だわ……」
トレイル系
しかもそれだけでなく──
「っ!」
私が踏みしめた床がカチリと音を立てた瞬間、ブシャア!! と頭上から謎の液体が私の頭に降り注いできた。
躱す間もなかった。おそらく、このタイミングではあのエリーミンだって液体を回避することはできないだろう。
──そして。
「……あーあーあー」
謎の液体を浴びた私の服は、火をつけた紙のように溶けていた。剥ぎコラ……じゃないな。まだ服全部消えてないし。
これだから嫌なんだよ、トレイル系の
「『リクイゲル』」
私が『リクイゲル』を発動すると、体中に浴びせられていた液体が一か所にまとまってバレーボールくらいのサイズになる。ただ、服の方のダメージは甚大だ。なんていうか……もう襤褸布を辛うじて纏ってますというレベル。スラム街にだってこんな粗末な格好の人間はいないというくらいに。
……これほど瞬時に服が溶けるほどの酸性(?)を持っているのに髪とか皮膚が溶けないのって不思議だよな。最早女を剥くためだけに存在しているとしか思えない。
しかも、隣を歩いていたマグノリアには一滴もかからない徹底ぶりだ。いっそ見事とまで言えるほどの女狙いである。この液体マグノリアにかけても何も効果出ないんじゃないかな。
集めた液体を横合いに捨てていると、マグノリアがあからさまにあらぬ方を見ていることに気付いた。……何やってんだあの馬鹿?
「……どこ見てんの?」
「いっいや!! 見てない!! 何も!!」
はぁ? ………………ああ!! 私か! 服溶けたから四分の三裸くらいになってんだ! ……いやもっと早く気づけよ私。羞恥心死んでるのか?
でも、なんかマグノリアに紳士ぶられるとムカつくな……。そこはジロジロ見て私に呆れられるところなんじゃないか? なんかガチ感があって嫌だ。……流石にそれは理不尽か。
──ただ、この程度はどうということもない。
「ちょうどいいわ。そのまま別のとこ見て警戒しといて」
私はマグノリアに伝えてから、ポーチに手を突っ込んで
コジャーブ=アルプスライザ(昨日私を襲った
「『鍛錬の』ビーアルプスの居城に捧げ奉りし我が身の鍛錬。今人の世にて、我が身の為に拝借致す」
杯を持ちながら、昨日聞いた詔を平坦に唱える。
元々の逸話──『アルプの宝』という慣用句の元ネタになった文化は、そもそも『自分が困難に直面したときに、過去ビ―アルプスに捧げた鍛錬の力を借り受ける』というもので、徹頭徹尾個人的な祈りの範疇である。
たとえば『焼ける大地(溶岩のこと)に突き立った剣を引き抜いた。これこそかの有名な魔剣ヴォアルディウスである』という伝承を再現しようとすると、わざわざ溶岩に剣を放り込んでさらにその後抜かなくてはいけなくなるわけだけれど、それはほぼ不可能に近い。普通の剣は溶岩に放り込めば溶けるからだ。
だから伝承を曲解して、普通の大地に剣を刺した後、その周辺の地面を焼き払うことで伝承の舞台を『本当にただの焼けている大地』と解釈する。……なんと、これでも(ある程度劣化はするけれど)
これが成立する理由については教会でも諸説あるけれど、一応今のところは『魔性化は神々によって齎されているもので、神々が似たようなシチュエーションに似たような効果を施してくれているのでは?』という説が有力とされている。
私はなんやねんそれ……と思うけれど、まぁ世界の真理みたいなものに興味はないので、別に本当のところを知りたいとは思わない。多分、Avintyrさんに前世で教えてもらっていたかもしれないけれど……。
話を戻すと、
『自分が今まで服を着た経験』をダウンロードするだけならば、一人でも実現可能ではないだろうか?
「……これでよし」
瞬きするよりも早く、襤褸布以下だった衣服は消え去り、代わりにいつもの修道服に変化した。
これこそが私が調整した新たな術式だ。
『自分に経験の恩恵をダウンロードする』というアルプの宝の伝承を曲解し、『着たことのある衣服』を瞬時にダウンロード──つまり着替えることができる。
曲解の補助線として『祭祀を行った経験』を使っているから、厳密に言うと着られるのは祭祀の時に着用したことのある衣服、即ち修道服しかないけれど……そこについては致し方ない。
……ではないだろうか、と言いつつ、昨日の尋問の間に実験済みではあるんだけどね。
今後アディの代わりにトレイル系の
ただ、無から服を生み出せるわけではないので、やっぱりやられすぎると服の在庫がなくなってしまうのが難点だけれど……。
「……あれ、なんで服着てるの」
私の声に反応したのか、視線を戻したマグノリアがぼけっとした顔でそんなことを言った。私が服を着てちゃ悪いか?
「昨日襲ってきた連中の
「
なんでだよ! めちゃくちゃ簡潔な説明だっただろ!
……まぁいいや。別にマグノリアに理解してもらおうとも思わないし。
そうしながら歩いていると、私の表情を見咎めたのだろう。マグノリアが遠慮がちに口を開いた。
「……ちと潔癖すぎじゃねえか?」
私の嫌そうな表情を『堕落の』権能に対する悪印象から来ていると推察したのだろう。
実際にフィルマト教では『規律』を尊ぶ傾向が強いので、『堕落の』トーレイラのことは忌避する文化がある。『導典』にだって一人だけ名前が記されずに『堕落の』彼女とか書かれてるしね。
「なんだいエロ坊主」
「やめろやぁ!!」
……ここで過剰反応するあたり、どうもコイツは今の沈黙を私の脱衣による気まずさと捉えているっぽいな……。
……………………あれ? ということは、私は今コイツに対して羞恥してると思われてるのか? あ、潔癖すぎっていうのもそういうこと!?
「別にさっきのは引きずってないから気にしないで。純粋に……ほら、『堕落の』が関わっている神話って、
そう言って、私は人差し指を立てる。
これは事実だ。どうもこの世界において『堕落の』トーレイラというのは、『地球』の宗教で言う悪魔やトリックスターの悪神に似た役割を担っているらしく、伝承もけっこう悪そうなものが多い。属性で言ったら闇だ。
「たとえば、
「……そうなのか? 俺、
「知ったらもう
冗談めかしてそう言って、私はさらに講釈を続ける。
「
ね? そんなもの欲しくならないでしょ? と問いかけると、マグノリアもげんなりした顔で頷いていた。
いくら理想の肉体で性行為に励めるとしても、スる時に犠牲にした生贄の顔がちらつくような魔具では理想の性行為なんて夢のまた夢である。
……でも、あー。
「そう考えると、さっき『地上』で倒したゾンビの
「うお! ってことは俺達、めちゃくちゃファインプレーだったんじゃねえか? それなら敵はもう
私の気付きに大して、マグノリアは気楽そうに言った。
……何を言っているんだお前は。
「そんなわけないでしょ。トレイルソン本部長、探索者組、仲介の男、この中の三人以上が死んで黒幕が生きていれば、三人分の生贄なんて簡単にカバーできるわよ」
「………………」
当たり前のことを教えてやると、急速にマグノリアの顔が萎びていった。
な? 血腥くていやだろ、トレイル系の神話。
作中で出て来た
◆ ◆ ◆
■エロRPGあるある
エロRPGにおいては、プレイ中右側に主人公の立ち絵が表示される場合が多い(『あまちょ』もこのタイプ)。
この立ち絵は敵の攻撃やギミックによるステータス変動によって表情や状態が変かしたり、衣服が破損することがある。
脱衣状態では入れない場所があったり、淫乱度が一定以上ないと街中で脱衣状態になれなかったりする設定を行っているエロRPGも多い為、その場合は衣服を修繕する為のアイテムが必要となる。
『あまちょ』の場合はHPの減少に応じて衣服の破損が発生するタイプだったため、衣服修繕アイテムは存在しない。