【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append   作:家葉 テイク

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第四六話 女神の間に割って入る ②

 ──そこは、古代の祭壇のような場所だった。

 

 

 道幅数メートルの通路に、石を積んで作ったような壁。通路に傾斜は殆どなく、数メートルごとに僅かに段差がある。そしてその段差を登っていった先に行き止まりがあり、そこに地蔵のようなモニュメントが置かれていた。

 

 まさしく、『神殿』の最奥。

 

 異常なのは、天井が見通せないほど高い点と──今説明した全ての景色が氷でできている点、だろうか。

 肺も凍るような冷気を感じるわりに、肌には一切鳥肌も立たないし、体温の低下もないあたりも不思議と言えば不思議だけれど。

 

 ……予想通り、周辺は最深層っぽい。

 

 そして傍らには片腕を失ったラシーダテラーがいる。私が妨害に来ることなんて想像もしていない調子で、呑気にぶつぶつ呟きながら歩いている。

 

 その足取りは、やはり片腕を切断されたダメージが相当大きいのか、ゆったりとどこか危ういものだ。

 でも、到底ここから最奥までの十数メートルで途絶えるなんて展開は期待できなさそうでもあった。

 

 ラシーダテラーは、此処にはいないはずの私に勝ち誇るようにして、誰に言うでもなく(うそぶ)く。

 

 

「最後に勝ったのは、」

 

「私だ──()()()()()()?」

 

 

 ドッキリ企画の種明かしをするような心持で、私はラシーダテラーの言葉の続きを奪ってやった。

 同時にすぐさま飛びのいて、最深層の奥の方へと陣取る。ラシーダテラーの『踏破』を阻止しようとする形だ。

 ラシーダテラーの方は、踏破よりも私への攻撃の方を優先したらしかった。

 

 

「うおおおおおおおッ!?!?」

 

 

 絶叫と同時に、ラシーダテラーは魔法の宣言すらも忘れて『腐敗』を問答無用でこちらの方へ叩きつけてくる。

 ……『万全の骸(イデアルホール)』じゃなくて腐敗ガスを先に最奥に到達させたら神殿模倣(ロア=ミメティクス)がどう作用するか分かったもんじゃないんだけど、そういうのは頭の中にはないらしい。

 一瞬、このまま到達させてやろうかと思ったけれど──それをやるには私が死ぬ必要があるので却下。

 

 

「学習しないわねぇ」

 

 

 既に、『リクイゲル』は私の全身を薄く覆っている。

 ラシーダテラーの本質でもある腐敗ガスは私に触れる直前に、ジュッ! と水が蒸発するような呆気ない音を立てて消し飛んでいった。同時に、ラシーダテラーが苦しげな声を上げてその場で身悶えする。

 その隙に、私はザア! と『クアゲル』を操作して『移動結晶』をラシーダテラーの背後に回しておく。

 

 ……ん?

 なんかすーすーするなと思ったら、服の方が『腐敗』で溶けてんなこれ。

 そりゃそうか。全身を覆うって言っても、服の方までは覆い切る余裕がなかったしな。その結果、『清廉薬』の浄化効果が服にまでは到達しなかったって訳か。

 流石はエロゲ世界というべきか……。まさか私もラキスケの範疇に入るとは思わなかった。まぁ、私もラシーダテラーも、全然そんなこと言ってる場合じゃないので気にしてないけれど……。

 それに、見せて恥ずかしい身体はしてないつもりだしね。

 

 一糸纏わぬ姿のまま、私は笑みを浮かべる。

 ラシーダテラーの方も上半身の服は大体焼け焦げてしまっているので、全裸の女と半裸の男が神聖な空間にいることになるわけだけれど……何この地獄?

 

 

「何故、此処に……!?」

 

「それ、今更聞く? 私が何か仕込んでて、貴方が気付かなかっただけっていう結論くらいは今の余裕のない貴方でも分かるでしょ」

 

 

 私がそう言うと、ラシーダテラーは少し黙った。

 思い当たる節はあったのだろう。此処ですぐに可能性に思い至れるのは、まぁまぁな頭の持ち主だ。まぁ、もう決着はついてるんだけども。

 

 

「……なるほど。土壇場で私が生きて最深層に辿り着いていることに気付いて、『踏破』を阻止しようとしたというわけだね。だが無意味なのだよ。『清廉薬』の『リクイゲル』は確かに脅威だが、逃げに徹する私を問答無用で完全消滅させられるような性質のものではない! 操作パワーも操作スピードもさほどではない以上、君を無視して『踏破』すれば私の目的は達成されるのだよ!!」

 

 

 そう言いながら、ラシーダテラーは走り始める。

 確かに、ラシーダテラーの言う通りだ。

 ただし。

 

 

「……あら、私は別に、此処で貴方を消滅させる気なんてないけれど?」

 

 

 瞬間、ラシーダテラーの足がガクンと沈み込んだ。

 先程私が『クアゲル』を使ったのを忘れたか。その時にお前の足も『クアゲル』で巻き込んでおいてあるんだよ。

 

 これは当たり前の様に『腐敗』で即座に操作を無効化されてしまうけれど──そんなラシーダテラーから逃げるようにして、私の体が()()()()()()()()()

 『リクイゲル』は、私の全身を薄く覆っている。

 当然、地面からの『腐敗』も対策しているので、足裏まで含めて覆っている訳なんだけれど……それってつまり、接地面を『リクイゲル』で操作すれば、地面との摩擦をある程度コントロールできるってことにもなるのよね。

 

 『清廉薬』による防御は『腐敗』対策でもあるけれど、一番の目的はこれ。

 たとえラシーダテラーが人間最高クラスの移動速度を持っていたとしても、あくまで速度は人間並みだ。地面をスケート選手並みの速度で移動すれば、当然余裕で私の方が()()()()()()()

 

 

「なッ……! だが、到達順は問題じゃな、」

 

「ねえ」

 

 

 そこで。

 ラシーダテラーの言葉を遮るように、その後ろから言葉がかけられる。

 より正確には──私が後ろに回しておいた『移動結晶』に転移してきたアディから。

 

 ……アディ?

 ヤバイ!! アディに見られる!?

 

 私は即座に腰にさげたポーチに手を突っ込んで茶塗りの杯を取り出し、超絶早口で詠唱を唱えることで服飾特化版『奮励起債(アルプスリース)』を発動して修道服に着替える。

 そうこうしている間にも、盤面は進んでいて──というか、ラシーダテラーを『クアゲル』でこけさせてなかったら今の隙、めちゃくちゃ致命的だったな──、

 

 

「お司祭様、なんだよね──」

 

 

 傍らに巨大な『光の女神』を佇ませながら、アディは言う。

 

 

 

「エヴァから離れて。この……変態」

 

 

 

 その瞬間、氷に覆われた空間において唯一凍り付くことがなかったその場の空気が、凍り付いた。

 それは、そうだった。

 私は全裸で、ラシーダテラーは半裸。しかも位置関係と移動方向的に、私がラシーダテラーから逃げているように見えなくもない。

 ラシーダテラーは右腕かつ政敵でもある私に対して生前の頃からそういうアプローチをしてこなかったし、私自身も男性は性的対象じゃなかったので全く意識していなかった。

 さっきもラキスケとは思ったけれど、それはあくまで状況を傍目から見たときの話で……私はラシーダテラーから劣情を向けられているとは、微塵も思っていなかったし。

 でも、アディから見ればそうなるはずもないわけで。

 そりゃ、このシーンだけ見たら私が襲われているみたいだよな。

 

 アディのあまりにドスの利いた声に、私だけでなくラシーダテラーすらも呆気にとられたその一瞬で。

 

 

「離れてって、言ってるでしょッッ!!!!」

 

 

 グオン!! と、『光の女神』がラシーダテラーに平手打ちをかました。

 ラシーダテラーは咄嗟に『腐敗』で防御しようとしたようだけれど……魔性化すらも拳で解除する無敵の魔法を『腐敗』させることなんてできるはずもなく。

 バッチィィン!! と凄絶な音を立てながら、氷の祭壇の壁にめり込んだ。

 

 そして、その間に私が神殿の最奥へと到達──『踏破』する。

 

 

 


 

 

 

 ………………………………。

 

 その瞬間、私は()()()()()()()

 

 

 


 

 

STAGE_04 / バッドエンドなんて認めない

[in イーガシア森林神殿 深層]

 

第四六話 女神の間に割って入る ②

 

 


 

 

 

「ぐ……! 君の方が先に到達したところで、私の策には何の影響もない! このまま壁の中を『腐敗』させて最奥まで『踏破』することで、『女神の夫』になってやる!!」

 

 

 あー、転んでもただでは起きないヤツ。

 今ので全身の骨の大半が複雑骨折しているだろうに。大人しく気絶しとけよ。……いや、あくまでも万全の骸(イデアルホール)に憑依しているだけだから、肉の器がどれだけ破損しようと無理やりに動かすことができるのか。つくづくアンデッド野郎だな、アイツ……。

 でもまぁ。

 

 

「盛り上がっているところ悪いんだけれど、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 溜息を吐くように言ってから、私は虚空に浮かぶウインドウを指先でなぞる。正確には──その末節に新たに追加された一文を。

 『踏破』し…………『加護』を得たことによって新たに使用条件を満たした、私の新たな魔法を、唱える。

 

 

「『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』」

 

 

 直後、私が扱っていた大量の水が凝縮され──そして虚空からも水が浮かび上がっては纏わりつき、そして二メートル弱程度の『水の女神』の形に変化する。

 

 ……本来は、『踏破した』という属性を利用するつもりだったんだけれどね。でも、アディも『光の女神』を出していることだし、此処は私も『水の女神』を出した方がおあつらえ向きだろう。

 

 

「……貴方はこんな慣用句を知っているかしら?」

 

 

 スウ、と。

 私の傍らに立つ『水の女神』が、ラシーダテラーを指差す。

 

 

「『女神の間に割って入る』」

 

 

 ──この世界の人間であれば誰もが知っている、身の程知らずで命知らず──という意味の言葉だ。

 

 かつて『()()()()()()()()と『()()()()()()()()()()が世界の在り方について話していた時のことだった。

 そこに割って入り、求婚をした男がいた。

 『ああ、なんと美しいのだろう。どうか世界のことではなく私のことを語らってはくれませんか。私は美しく尊い二つの光に触れたい。そして我が物としたい』。無礼な男に二人の女神は激怒した。そして『恐怖の』ヴィーンティオは、男の願いを叶えてやることにした。

 男を船に変え、神々の船『ヴィルマーヴィス』としたのだ。

 帆を張り、多くの神々を乗せて大海原を駆るヴィルマーヴィスのマストを撫でて、『恐怖の』ヴィーンティオは言った。

 『望み通り、いくらでも触れられるようにしました。これで満足ですか?』と。

 物言わぬ船となったヴィルマーヴィスは、いつまでも波に揺られているばかりだった。

 

 そんな、神話。

 

 

「ま、さか」

 

 

 そして思い出せ。

 

 神殿模倣(ロア=ミメティクス)とは──神話と同じ道具立てを構築することで、神話の事象を再現する技術である。

 

 つまり。

 

 

「本当は、フィルの『踏破』とヴィーンの『踏破』でやるつもりだったんだけれどね……」

 

 

 私の当初の策は、これ。

 ()()()()()()()()()()殿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()殿()()()()()()()()()()()()()殿()()()()()()()で位置的に挟み込むというこの状況を道具立てとして──神殿模倣(ロア=ミメティクス)を発動すること。

 なんか『踏破』したときにお誂え向きの魔法を修得することができたから、より勝利の確率を上げるという意味で、より強固な道具立てで術式を構築し直したわけなんだけれども。

 

 

「使えそうなタイミングだったし、せっかくだから使わせてもらったわ」

 

「私を、船に…………ッッ!?!?」

 

 

 ラシーダテラーが、戦慄する。

 万全の骸(イデアルホール)屍骸魔具(アンデッド)としてのラシーダテラーも、どちらにせよ扱いとしては魔具だ。つまり、神殿模倣(ロア=ミメティクス)の効果は速攻で発揮する。

 もしも私が『女神の間に割って入る』という慣用句の元となった神話から術式を構成していたとしたら、ラシーダテラーはもう問答無用で船になるしかない。

 

 ただし。

 

 現実は、こんな老いぼれの警戒なんかやすやすと上回っていくんだけれどね。

 

 

「船にする? 本当に神職者失格ね……。『恐怖の』ヴィーンティオ様は別に、船にしたくて無礼な男を船にしたわけじゃない。無礼な男の願いを歪めた形で叶えたその結果が、船だっただけ。神様らしい、どうしようもない『罰』を下す存在。無条件で敬意を払うべき上位存在として定義する為の神話。それがこの話でしょう。──見習の修道士だって知っている神話解釈よ?」

 

 

 まぁ、『創世記』の内容すら暗唱できない生臭坊主に言っても仕方のないことではあるけれど。

 

 つまり、だ。

 

 

「『双神制裁(カスティガートス)』は、願いを歪んだ形で叶えることで対象を破滅させる術式よ。『女神の夫になる』。貴方の場合は──その願望が歪んだ形で叶えられる」

 

『────そゆことぉ☆』

 

 

 私の言葉を引き継ぐように、だった。

 ぎちり、と。

 突如、空間に黒い亀裂が走り、

 そしてその亀裂から、するりと細い腕が伸びた。

 

 

「…………来たわね」

 

 

 その場の誰もが、状況を理解できなかったことだろう。

 そんな中でただ一人、私だけが忌々しい感情を乗せて呟くことができた。

 

 見えるのは、腕だけだ。

 亀裂の向きからしてその奥にいるであろう人物は見えず、そもそも本当にその中に人がいるのかすら分からなかった。案外、腕だけが亀裂から伸びているだけという可能性すら考えられる。

 

 

『お礼、言っておくわねぇエヴァちゃん。アリガト、面白いイベントを用意してくれて☆』

 

 

 ──蠱惑的だった。

 ただ『動いている』というそれだけの事実を見ただけで、脳が痺れそうになるほどの劣情を呼び起こしてくる。風呂上がりのアディの二の腕を見たことがなかったならば、私でも生唾を呑んでしまうほどに蠱惑的だった。

 白い細腕がまるで風になびく枝はのようにゆるやかに伸ばされ、そしてそのほっそりとした指先が、ゴツゴツしたラシーダテラーの頬に添えられた。ただそれだけの動作が途方もなくエロティックで、そして同時にスプラッタだった。

 

 ラシーダテラーは、先ほどから一言も発することができなくなっていた。

 喉がひくひくと痙攣し、呻き声とも溜息とも知れない空気の音だけが漏れ出ている。

 ……無理もない、と思う。

 だって私の想像が正しければ、ヤツは『亀裂の向こう側』にいるその存在を直視してしまっただろうから。

 

 つつー、とラシーダテラーの鼻から一筋の血が流る。

 いや、鼻だけじゃない。目は血走って充血し、そして涙の様に血が流れていた。いつしか顔は赤面のあまり首でも絞められたのかと思うくらいに真っ赤に染め上げられていく。

 ……いや、これは紅潮だ。興奮した少年が顔を真っ赤にするのと同じ反応。それが極限まで高められているせいで、見る者に生命の危機すら連想させるレベルになっている。

 

 ふわりと、亀裂の向こう側から、髪が流れ出た。

 亀裂の向こう側から風でも吹いているのか、アディのそれよりも濃いバイオレットピンクの長髪は、まるで触手が獲物に巻き付くようにラシーダテラーの頬にかかる。

 いや──ように、じゃない。あれは真実、捕食だ。

 

 最も恐ろしいのは、その恐怖に直面しているはずのラシーダテラーの表情に恐怖以外の感情が浮かんでいることだった。恐怖と恍惚。二つの感情に入り混じって引き攣った表情を浮かべるラシーダテラーは、もう既に五〇は老け込んでいるようだった。

 

 

『「女神の夫」になるって願いを歪めて叶えた結果、どうなるか。一思いに私専用のディルドーとかに変えてあげるのも良いんだケドぉ、此処はきっとこっちの方が色々素敵よねぇ☆』

 

 

 すう、と。

 

 亀裂から、一人の女性が身を乗り出してきた。

 私は思わず目を背けようとして、できなかった。木から落ちた林檎が地面に吸い寄せられるように、私の視線は『そいつ』に釘付けになり──あ、位置取り的にアディがその後ろにいる。

 ──アディの方に焦点を合わせることはできたわ。

 

 

 そうこうしているうちに、ふわふわとしたバイオレットピンクの長髪を伸ばした女は、ラシーダテラーのことを軽く抱きしめると、

 

 

『ようこそ、女神の城(キュリアース)へ☆☆☆ 歓迎するわよぉ────不届き者

 

 

 ギュッッッ!!!! と。

 その直後、靡くバイオレットピンクの長髪の中にいた女の動きが、まるで早回しのビデオみたいに急加速する。そのままラシーダテラーは、亀裂の中へと引きずり込まれてしまった。

 まるで、巨大な怪物に食われるみたいに。

 

 

 あれは──『淫堕の』トーレイラの幻影(レプリカ)だ。

 

 『双神制裁(カスティガートス)』は、対象の願いを歪めて叶えることで破滅を齎す術式。

 これをラシーダテラーに対して使えば、ヤツの直近の願い──『女神の夫』になるという願いを叶えて、高性能ディルドにでもできる……というのが、当初の私の狙いだった。

 ただ、たとえ高性能ディルドにしたところでおそらくラシーダテラーの意思そのものはそこに残り続けるであろうことは(神話の無礼な男の顛末からして)なんとなく予想は出来ていた。

 むしろそれが報いになると思っていたけれど……ぶっちゃけ、存在そのものを私たちの世界から抹消できるならそれに越したことはないわけで。

 

 そんな時に、棚ぼたではあるけれど私がアディと同じような『女神の似姿を顕現させる魔法』を修得することができた。

 いわば、フィルマトとヴィーンティオのレプリカを場に用意できるようになったわけだ。

 そうなると、より強力な現象を神殿模倣(ロア=ミメティクス)によって発動することだってできるようになる。

 

 つまり、ラシーダテラーが試みていた『女神の試練』の成就。

 

 ラシーダテラーは『女神の夫』という強大な存在になることを目指して『女神の試練』を行っていたけれど、本来神話における『女神の試練』の目的は『女神と交わること』だ。

 私はその『女神と交わること』というヤツが遂行していた神殿模倣(ロア=ミメティクス)の目的を歪めて実現させてやったわけだ。

 

 差し詰め──『女神の夫』ではなく、『女神のセフレ』にしてやった、というところだろうか。

 あの先が、本当に女神の城(キュリアース)なのか、はたまた中途半端に再現された結果、どこでもない謎の空間の狭間になっているのか。それは私にも分からないけれど──どちらにせよ、今頃消え去った亀裂の向こう側では、『あまちょ』らしいぐっちょぐちょのぬっぽぬぽな濡れ場が展開されているに違いない。

 ……女性上位だろうけれど。

 

 

 ──なぁ、世界よ。

 

 ──お得意のエロゲ時空だ。これで満足だろ?

 

 

 

 全ての決着がついた埋蔵神殿(ダンジョン)の最奥で、ぼそりとマグノリアが一言ぼやいた。

 

 

「……やれやれ、ああはなりたくねえな。女神の間には割って入らないに限る」




■あまちょ用語解説
 女神に割って入るような
 慣用句。(特に身の程知らずで)命知らずという意味。最近は単に命知らずという意味でも使われる。
 『規律の』フィルマトと『恐怖の』ヴィーンティオが大事な話をしていた時に、ある男が二人に対して求婚をして、二人の女神の怒りを買って船に変えられてしまった神話が由来。
 ちなみにその船は『ヴィルマーヴィス』と呼ばれ、神々の船としてその後の神話に度々登場する。
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