【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append   作:家葉 テイク

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第四八話 さて、次なる陰謀は


 ──そんなわけで、ラシーダテラーが変貌した屍骸魔具(アンデッド)による陰謀は終着した。

 

 汚職で追放刑を受けた教会の元要職が屍骸魔具(アンデッド)となって起こしたこの大事件は、私が教会の保身の為に握り潰し──表向きには『埋蔵神殿(ダンジョン)で死亡した数十年前の探索者が変じた屍骸魔具(アンデッド)が起こした事件』ということで落ち着いた。

 結果としてこの事件でトレイルソン本部長以下ギルドの複数の探索者が死亡、探索者ギルド・マニカナ教区本部は指揮系統を喪失することとなった。

 

 

「……世も末だな、オイ」

 

 

 ──そんなマニカナ教区の東部。小高い丘の上に位置する礼拝堂にて、警邏騎士の男がぼやくように言った。

 綺麗な花に囲まれた庭園の一角。可愛らしい白のテーブルには全く似つかわしくないムサさの男は、頬杖を突いて面白くなさそうにしている。

 

 

「何がよ。この大変な中でマニカナ教区をしっかり回してる私の努力をちゃんと見てから言ってる?」

 

「言ってるよ。ちゃ~んと回してるからスゲェとも思ってる。なにせ、教(・)会(・)所(・)属(・)の(・)は(・)ず(・)の(・)お(・)前(・)が(・)、ギ(・)ル(・)ド(・)も(・)騎(・)士(・)団(・)も(・)全(・)部(・)動(・)か(・)し(・)て(・)る(・)ん(・)だ(・)か(・)ら(・)よ(・)」

 

 

 …………。

 

 

「……お前みてえな悪女が、文字通り教区の実権を握っちまってるんだ。素性を知る人間からしたら、世も末って言うくらいは許してほしいぜ」

 

 

 ──そう。

 

 あの事件によって、トレイルソン本部長は死んだ。それによってギルドは指揮系統を喪失した。

 それだけでなく、本部長が死亡した事件をその手で決着させたのは、教会勢力のトップである私とアディで、なおかつその事件においてギルドの人員は私の傘下として活動していたときた。

 

 こうなってくると、ギルドのトップが不在の間の臨時指揮をシスター・エーヴァンネーリジュが執ってもいいのでは? なんて話がギルド内で持ち上がってくるのは止められない。というか、私がそうなるように仕向けた。

 そうやってギルドの指揮権を私が手中に収めると、どうなるか。

 

 マニカナ教区は教会・ギルド・騎士団の勢力バランスが絶秒に吊り合っていたからこそ三つの勢力が成立していた。その勢力バランスが、教会一強になるわけだ。

 なので自動的に騎士団の実権も私が手中に収めることになり──こうして、私は名実ともにマニカナ教区を支配することとなったのだった。なんだこの悪の黒幕みたいなあらすじ。

 

 ちなみに、本部長の後任選定は(表向き)色々な混乱もあって難航している。……実情は、ドラゴン『氾濫』の犯人捜しとかなんとか理由をフル装填して私が混乱を長引かせている、といった方が正しいんだけれど。

 多分、私の傀儡になってくれるようなシンパがギルドの中枢に出て来た頃には混乱も落ち着いてくれるんじゃないかな?(棒読み)

 

 

「……自重することをやめたのよ。今までは……なんというか、小さくまとまってたというか。今回のことがあって、そんな中途半端じゃ誰も守れないってことが分かったから。……やるならとことんよ。必要ならば、この国の実権も握れるようになるわ」

 

「マジでやりかねねえから余計にコメントに困るんだがよ……。しかも、色々事情を知ってるって理由で扱(こ)き使われるし。お前に便利遣いされるごとに俺は出世が遠のくぜ……」

 

「あはは。まぁ良いじゃないか。エヴァちゃんに信頼されている証拠だと思えよ。教会方面でのキャリアを積むのも悪くないぞ」

 

 

 ぶつくさ言うワ(・)イ(・)ド(・)に、エ(・)リ(・)ー(・)さ(・)ん(・)が笑いながら背中を荒々しく叩く。

 遠慮のない力に、ワイドがちょっとだけ背中を丸めた。

 

 

 ……自重しなくなったというのは、人間関係についてもそうかもしれない。

 私の方も……ほんのちょっとだけ、私の危機に駆けつけてくれた友(・)人(・)たちに対して、心を開いた。これまでのようにただただ冷徹に、手駒として扱うのではなく、本当に心から、友人として。

 まぁ、傍目から見たら今まで通りっていう、なんとも微妙な心の開き方なんだけれども。

 

 

「それにそもそも、エリーさんを前にしてアナタ程度が扱き使われるとか言っちゃダメでしょ」

 

「この人は別格だろうが!!」

 

 

 しれっとハードルを上げに行ったら、流石にワイドからツッコミが入ってしまった。

 まぁ、そうだよね。あの人、あの事件のあと本当にゴブリンの『氾濫』をたった一人で鎮圧してたし……。

 戦場見たけど、マジでヤバかった。地面がめちゃくちゃ抉れてたりした挙句、なんか埋蔵神殿(ダンジョン)の『壁』にあのドラゴンの一撃みたいな大穴が空いてたし……。いったいどんな魔法を撃ったらあんな痕が生まれるんだろうか。あの人、普通にドラゴンと魔法撃ち合えたんじゃないか?

 

 そんな武力の化身なわけなので、正直めちゃくちゃ便利遣いさせていただいております。ハイ。

 

 

 


 

 

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[in マニカナ教区 礼拝堂]

 

第四八話 さて、次なる陰謀は

 

 


 

 

 で。

 メインクエスト①──ゴブリンの『氾濫』をどうにかしてしまったどころか、メインクエスト⑤──ドラゴンの『氾濫』を同時に片付けてしまったわけだけれど。

 正直、けっこう動きとしては困るところだったりする。

 アディを取り巻く『あまちょ』の事件には黒幕がいるわけだけれど、別に黒幕はプログラムに従って動くロボットじゃない。状況が変わればそれに応じて動きも変わる普通の人間だ。

 そして、ドラゴンの『氾濫』自体は流石に隠し通しきれなかった。……(教会としての保身の為に)ラシーダテラーの正体を隠すので精一杯だったからね。ドラゴンについては痕跡が多すぎたので、流石に公になってしまっている。(というか、それを私自身の功績として利用した節もあるし)

 

 ドラゴンの『氾濫』が潰されてしまったこと自体は黒幕も認識している訳で、当然連中の動きも相応に変わってくるわけだ。

 つまり、此処から先は正真正銘出たとこ勝負。『あまちょ』の知識なんて関係ない、策謀において上を行った方が勝つ本当の陰謀戦になるのである。

 

 ……ただ、結局やることは変わらないかもしれない、な。

 敵の動きを探るのはそうだけれど、結局私の最優先目標はアディの『淫魔の恩寵』の解除だからね。

 その為に必要なのは、メインクエスト②で獲得できる『淫魔の恩寵』解除の為のアイテム。確か……『真夏の』……ナントカって言ったっけ? 正直全然覚えていないので、メインクエスト②の導入を探り当てるところからやらないと始まらない。

 

 それに、埋蔵神殿(ダンジョン)の最奥で聞いたヴィーンティオの話も気になるし……。もう、黒幕がどうとかそういう次元ではなく、フィルマトやトーレイラといった神々の思惑と戦っていかなくちゃいけない。

 

 しかもその対価として渡されたのが、女神の気分次第で使えるか使えないか決まる魔法と、凝視したら強制でその場を何でもあり空間に変える魔眼である。もうちょっとなんか使いやすい道具とかなかったの? いや、どこでも『移動結晶』を作り出せるのは正直助かるけどさ……。

 あ、そうだ。これで晴れて私はヴィーンティオ、アディはフィルマトの加護を手に入れることができたわけだし、これからは私達の間に挟まるボケは問答無用で船にできるね☆

 

 ……現実逃避はやめるか。

 こうなってしまった以上は、私も腹を括る。

 アディとの幸せな未来──だけじゃなく。世界や国なんかどうでもいいけれど、最低限私を慕ってくれる友人たちくらいは笑って暮らせるような未来を手に入れる為に。

 ──手(・)段(・)を(・)選(・)ば(・)ず(・)、頑張るとしよう。

 

 なぁに、ちょっとくらいやりすぎてしまっても大丈夫。

 だって、たとえ私が世界の敵になろうが──アディなら私のことを諦めないでくれるって、今回のことで確信が持てたもの。

 

 だ(・)か(・)ら(・)、自(・)重(・)は(・)や(・)め(・)に(・)し(・)た(・)。

 

 

「お待たせしたッス」

 

 

 と、そこで修道服に身を包んだ褐色の女が現れてくる。

 私よりもやや小柄な女は、フードから覗く赤毛を誇らしげに揺らしながら、胸を張ってこう続けた。

 

 

「頼まれていた例(・)の(・)皇(・)女(・)の情報、仕入れて来たッスよ。姐さんの狙い通りに進んでいました。流石ッスね」

 

「──でかしたわね、ロ(・)ッ(・)テ(・)」

 

 

 彼女の名前は、シスター・ロッテ。……またの名を、レ(・)ル(・)オ(・)ー(・)テ(・)ィ(・)エ(・)。

 イーガシア森林神殿の前でアディ相手にやった茶番の時に地味に約束していた褒章を使ってレルオーティエ──ロッテを本格的に私の傘下にする為、修道会に所属させたのだ。

 つまり、今のロッテは修道女としての立場を持つ私専属の諜報員という形になるんだけれど、そうなったときに、突然ロッテは『納得がいかない』と言い出したのだった。

 曰く、『他の皆はあだ名があるのに私だけフルネーム。他人行儀すぎて哀しいッス』とのこと。

 

 ……私自身も既にロッテのことを単なる手駒と思えなくなってきたのもあり、それならあだ名をつけてやるか……ということで、修道女としての身分を作るときに『ロッテ』という名前にしてやったのだった。

 そういうわけで、今となってはコイツはシスター・ロッテとして、私の手となり足となり、ついでに目となり耳となり、色んな情報を集めてきてくれているのだ。

 

 

「お陰で、準備していた計画を本格的に動かすことができるわ」

 

「なぁに? みんな。楽しそうな話でもしてたんですか?」

 

 

 ぱん、と軽い調子でテーブルに手を突いて、私は立ち上がる。ちょうどそのタイミングで、お茶とお菓子を持ったアディが中庭に現れる。

 流石主人公。これ以上ないほどちょうどいい登場だ。

 

 

 私は悪党そのものな笑みを浮かべて、仲間達に告げる。

 

 即ち──次なるクエストを。

 

 

 

「──ちょっとこれから、カジノを牛耳りにいかない?」

 

 

 

THANK YOU FOR "PLAYING"!!




ご愛読ありがとうございました!
ここまで楽しんでいただけた方はお気に入り・高評価頂けると有難いです!



>>あとがき
私の他作品をご存知の方は何となく分かると思いますが、この物語については此処で一区切りとなります。……が、続きが見たいよ~!という方は、あとがきを見てもらうといい……かも?
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