【完結】女転生者ですが、親友(♀)がエロゲの主人公と発覚したので死ぬ気で貞操を守ります。# シスターアディと淫魔の恩寵_Append 作:家葉 テイク
「……モナッポルの採集クエストしかないみたいだな」
クエストを一通り眺めてから、エリーミンは気持ち残念そうに言った。
モナッポルというのは、
教会が定めた定義では、
唯一違うのは果実に特有の魔法的効能があることくらい。疲労回復効果の他に、擦り傷程度なら負傷が治癒するという文字通りファンタジーな効能がある。また、神話の時代から色んな薬への調合方法が伝えられており、その素材としても重宝されていたりする。
自然が多めの
それゆえ、ギルドにツテのある人間は採集クエストとして依頼を発注することも稀にあるらしい。そっちの方が若干安く済むのだ。
確か、最近ギルドでモナッポルの樹木自体の地上栽培で果実の安定供給に挑戦している研究もあるんだったか? 教会がその事業に一枚噛んでるって話を以前の会合で聞いたことがある。
「初心者の腕試しなら、これで十分じゃないか?」
「そうね」
エリーミンの言葉に、私も頷く。
これならどう転んでもアディは危険に晒されないだろう。仮にゴブリンの『氾濫』とかち合ったとしても逃げるだけなら何も問題ないし。……その場合はトレイルソン本部長の手駒と一戦構えなくちゃいけないのが面倒くさいか。
「ありがとう。じゃあこれにするわ。パーティ人数は二人で」
「いや」
受付の事務員に伝えると、エリーミンは首を振った。
……? 何か懸念点でもあるのか? もしかして、見落としとか? いや、そんなことはないと思うけれど……。
「実は、私もイーガシア森林を根城にしている魔具屋の友人に用事があってな。せっかくだし、途中までついて行くよ。報酬はそっちで折半してもらっていいから」
少し不安になった私の予想を裏切って、エリーミンは朗らかに笑った。
おお……こんなところでエリーミンのクエスト同行が叶うとは。正直、この時点ではそんなに危険もないからもうちょっと後に取っておいてほしいところだったけれど……。
私はともかく、アディに関しては探索はズブの素人なわけだし、色々と勝手を教えてくれるのは有難い。それに、エリーミンがいるならゴブリンの始末はそっちに任せてもよくなるわけだし。
「助かるわ。じゃあ、お願いするわね。ごめんなさい。そういう訳だから、三人で受注してもらえるかしら?」
「承知致しました。アルプスドータ様と、エーヴァンネーリジュ様と、アディステア様の三名ですね。クエストを受注致します」
私達の会話の成り行きを見守っていた事務員は、そう言って申請書らしき紙に必要事項を記載していく。……こういうところは妙に現代的なんだよなぁ、この世界。製紙技術もあるし、魔具のお陰でコピーもできるし。現代人としては書類仕事がキッチリされているのはとても助かるけれど。
「さて、これでクエストに必要な手続きは完了だ。特に難しいことはないが……アディちゃんの方は大丈夫だったか? やり方とか確認させてなくて」
「大丈夫よ。アディに一人で探索に行かせることはないから。むしろ、下手にやり方を覚えさせて一人で行こうと考えるようになる方が厄介かも。ほら、あの子お人好しだから」
「過保護だなぁ……」
エリーミンを呆れさせながら、私は待合所で待機させていたアディのもとへと戻る。
タイミングもズレていることだし、今回はエリーミン経由で『淫魔の恩寵』解除の手立てもできているから例のセクハラ悪徳情報屋は現れる余地もないだろうけど、なんか変なモノを買ってないか心配、
「えぇ、本当ですか!?」
待合所では、アディが誰かと話していた。
相手は、小汚いローブを纏った痩せぎすの男。随分熱心に話していたのか、アディの方はすっかりヒートアップしているようだった。
「ああ。
「ううっ……」
男は、待合所の壁にアディを追い込むような形で立っていた。
話を聞く限りだと、男はアディに何かしらの情報を売り込もうとしているらしい。それ自体はおかしくない話だ。探索者ギルドというのはそういう場だし、アディの『社会経験』でまでキレ散らかすほど私は過保護じゃない。
むしろ、アディの隙がなくなるならば、多少の痛い目はむしろ歓迎するという立場なくらいだ。
ただし。
「……ただ、嬢ちゃんの
そんなことを言う男の下劣な視線が、アディの修道服の下の肢体を舐めたのを確認した瞬間。
私は、後ろ腰にあるポーチの中に手を突っ込んで、
「待て」
──そして、その手をエリーミンに抑えられた。
「何をっ……!」
「こんなところで、魔法を使うもんじゃない。
「っ、」
──コイツ、今の一瞬で私の魔法の
そして、制止されたことで私も周囲の状況に思い至った。
……平日のギルド本部。当然ながら私達の他にも利用者は多いし、あの悪徳情報屋は悪い意味で名が売れているのか、既に何人かの探索者は事の成り行きを見守っているようだった。……なら止めに入れや。使えねぇ連中だな。
私を制止したエリーミンは、空いている右手の掌を上に向けて構える。ちょうど、
当然、その手には何もない。だというのに、まるで大砲がその手の上にあるかのような圧倒的な存在感を伴って、その手の上に分厚い本が開かれた状態で
まるで、そこにあるものを無視することは致命的だと本能が理解しているがゆえの、認識の
そして他者の目に見えない
「『
直後、だった。
不可視の
トルセグは