いつの間にか悪の組織の幹部になっていた件   作:アジぺんぎん

175 / 175
エピローグ

 

「お前、何してんだ、こんなところで……?」

 

「……まさか、生きていたとは」

 

「まあ、ほぼ死んでるけどね。『天空』が、ボクを、生かしてるだけだ。もう、死ぬ」

 

「…………」

 

「その様子だと、お前、負けたな?」

 

「……まだ、私はやれます」

 

「バカ。死にかけてるくせに、何いってんだよ」

 

「まだです。命さえあれば、またやり直せる。何度でも、繰り返せばいい」

 

「バカ。バカかお前。バーカ」

 

「申し訳ない。返す言葉もない。罵倒する資格は、貴女にはある」

 

「もう、終わりだ。君は負けたんだ。ボクは、もう死ぬ」

 

「……貴女抜きでも、私は!」

 

「ボク抜きで、また四百年もお前が生きられるわけないだろ」

 

「…………」

 

「ボクとお前は、一心同体ってやつさ。ボクが死ぬなら、お前も長くない。理屈じゃなく、そういう運命なんだ」

 

「……私は、そこまで軟弱ではない。貴女を切り捨てたのは、必要ないと思ったからだ。いや、もはや害悪ですらある」

 

「へー」

 

「貴女は、揺れていた。彼らと私とで。そして、疲れてもいた。投げ出したいと、考えていただろう?」

 

「ま、それは否定しないさ」

 

「仮に失敗したなら、君は次の四百年を耐えられない。どこかで私を止めようと、戦い、そして私は負ける」

 

「かもしれない」

 

「事実、私は君を切り捨てた。私は、ライラのためなら君すら殺す。私には、もうそうするしかないからだ」

 

「…………」

 

「やはり、切り捨てて正解だった。貴女は、もはやライラから心が離れている。一番の願いは、彼女ではなくなってしまった」

 

「なあ、オリオン」

 

「裏切りだ。赦されざる大罪だ」

 

「ボクは……」

 

「私は! 例え千年経とうとも、彼女を想い続ける。彼女と過ごした十年にも満たない時間は、私の全てなのだ!」

 

「…………」

 

「彼女との時間の、何十倍もの時が過ぎた。だが、また会いたいという願いは、些かも衰えてはいない」

 

「…………」

 

「彼女がそれを望まない? そんなことは分かっている! 世界を守った彼女が、私たちの所業を許すものか!」

 

「オリオン……」

 

「感謝の言葉も、愛の言葉も必要ない。彼女に殺されたとしても、構わない。それでもいいから、会いたいんだ……」

 

「……嘘を吐いたね」

 

「私に欺瞞など……」

 

「ボクを切り捨てて、のところさ」

 

「…………」

 

「お前は考えたはずだ。揺れているボクを見て、こんな旅路に付き合わせていいのかと。ボクもお前と同じ願いを抱いているが、熱量が違うものな」

 

「…………」

 

「愛する彼女は、確かに大切さ。でも、彼女に恋するお前には、きっと、ボクより彼女を想ってた」

 

「貴女は……」

 

「無謀な挑戦に、また何百年も付き合わせてしまうかもしれない。だから、お前はボクを切り捨てた」

 

「違う……」

 

「彼らの目の前で、わざとらしく殺したのも、ボクを『被害者』にするためだ」

 

「違う、違う……」

 

「『被害者』なら、彼らの味方になれるものね。ボクに新しい居場所を、作ろうとしたんだろう?」

 

「違う!」

 

「残念だけど、お前の考えはすぐ分かったよ。マジで、一瞬どうしたのかと思ったけどさ」

 

「私は、貴女をただ切り捨てた。貴女は、ただ私を恨んでくれれば……」

 

「ボクは、お前のために全力で戦った」

 

「……何故、私のことを責めないのですか」

 

「死んでも、ボクはお前の親友だからだ」

 

「貴女を、要らぬ地獄に引き込んだのは、私なんです」

 

「死んでも、ボクはお前を見捨てない」

 

「私を、罰してくれないのですね……」

 

「理由がないさ。お前は、ボクに報復を受けるようなことを、何もしちゃいない」

 

「私は、彼女に会いたかっただけなのに……」

 

「時間が経ちすぎたな。罪の意識も、願いへの想いも、ボクへの感情も、入り乱れてグチャグチャになってる」

 

「四百年は、人には長すぎる時間でした……」

 

「……だから、もう終わりなんだ」

 

「……ですが」

 

「ですがも、何もない。確かに、負けた。失敗した。でも、ボクらはやり抜いた」

 

「…………」

 

「これで、終わりだ。ゲームオーバーさ」

 

「…………」

 

「潔く、地獄に逝こうぜ。あの世で、罪を償ったら、ライラに、会えるかも、しれん」

 

「あの世は、ないと、昔、貴女が言ったことでしょう?」

 

「でも、あった方が、希望があるだろ?」

 

「……欺瞞です」

 

「最期くらい、夢を見ようぜ。ボクも、一緒なんだから」

 

「……愚かなことです」

 

「そう、だな。だけど、もう、疲れたからさ……」

 

「……まあ、確かに、ええ、疲れましたね」

 

「死んだ、後で、あの世でまた、会おう」

 

「何百年、ぶりかに、ぐっすり、眠れそうです……」

 

「生きるのも、死ぬのも、一緒なんて、ありがたいなあ……」

 

「…………」

 

「オリオン……ほら、向こう見ろよ……」

 

「…………」

 

「……久し振りだな、ライラ……」

 

 




というわけで、完結です。
長く投稿しましたが、最後までご覧いただきありがとうございます。
素人作品のため、拙い部分は沢山ありましたが、お付き合いいただきまして、感謝の念に堪えません。
また、次回作も考えていますので、機会があればお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

吾輩は猫である。前世で描いた鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画の世界に転生したので贖罪の為に魔女達を救って行こうと思う。(作者:シャモロック)(オリジナルファンタジー/恋愛)

 吾輩、かつては人間だったが今は黒猫である。だが、何の因果か吾輩が書いていたスピンオフ漫画の世界に転生してしまったようだ。▼ だが、この世界は鬼畜リョナゲームのスピンオフ漫画であり、このままでは吾輩が書いたヒロイン達は見るも無惨な姿へと変わってしまう。▼ それは断じて許されない。吾輩が地獄への道を書いてしまったのならば、責任を取るしかない。▼ 吾輩は吾輩であ…


総合評価:11954/評価:8.79/連載:72話/更新日時:2026年05月13日(水) 12:05 小説情報

ラスボスに使い捨てられる悪役中ボスにTS転生したけど、原作キャラを観察しに行きます!(作者:恥谷きゆう)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

普通の男子大学生だった主人公は、漫画「Souls light nobly」の悪役中ボス、ブルームに転生してしまった。▼ ブルームはラスボスに使い捨てにされて悲惨な死を迎える運命のキャラクターだ。▼ ▼ 「そんな運命を辿るくらいなら、推しの姿を観察していた方がいい!」 と奮起したブルームはラスボスの組織には入らず独自に行動する。▼ 計画通りに原作キャラを影から…


総合評価:1773/評価:7.58/連載:52話/更新日時:2026年04月02日(木) 18:34 小説情報

TS→後輩(天才女)のヒモ(作者:鰻重特上)(オリジナル現代/恋愛)

「僕を、ヒモにしてください」▼「……はい?」▼ 2053年。ちょっと未来の東京、会社勤めの三十四歳の独身男性(彼女いない暦=年齢)である「英輝夜」はある日、「朝おん」をかました。▼一夜にして戸籍、貯蓄、住所の全てを失った輝夜が選んだのは……。▼ ▼ 後輩の「ヒモ」だった。


総合評価:4740/評価:9.09/完結:16話/更新日時:2026年02月19日(木) 19:00 小説情報

恋愛ゲームの世界を願ったらなぜかヒロインになった俺は、攻略を回避するのに忙しい(作者:うちっち)(オリジナル現代/恋愛)

 「願いが叶う」というテーマを主軸にした、恋愛シミュレーションゲーム。それをプレイし終え、「こんな世界に行けたら」と願った俺は、気が付くとヒロインの1人になぜかなっていた。理由は全くわからない。▼ そして、ゲームのストーリーは既に始まっているようで、しかもなんと俺がなったヒロインのルートに着々と進んでいる最中らしい。ただ、俺は男と恋愛するのはまっぴらごめんだ…


総合評価:3947/評価:9.05/完結:29話/更新日時:2026年04月04日(土) 19:25 小説情報

ソシャゲの序盤で死ぬヒロインにTS転生したけど、とりあえず主人公くんをいじりたい(作者:あまぐりムリーパー)(オリジナル現代/ノンジャンル)

 明上ユーリは転生者。ソーシャルゲームであるラスト・インヘリタンス――通称ランヘリの世界にTS転生してしまった。▼ ランヘリでの役割は、序盤で死ぬタイプのヒロイン。そんな立場になったんだからどうしよう……とかではなく。▼ そんなことよりも、主人公くんをいじり倒したい!!!▼※カクヨム、小説家になろうにも投稿始めました▼一章完結済み▼二章開始


総合評価:4230/評価:8.72/連載:56話/更新日時:2026年05月15日(金) 19:03 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>