情報屋さんの純愛ロード   作:月影陽光

2 / 2
今週投稿する今週投稿するとかいって結局2~3週間たってごめんなさい。

やっと投稿です!

1話をどうぞ!!

※ワラキアの夜さまからご指摘のあった誤字を修正いたしました。


1話:ブルボン王朝はお菓子メーカーではありません

深夜1時。

コンコン、コンコン

 

 窓ガラスを軽く叩く音に気づき、家の住人である鉄翡翠(くろがね ひすい)は部屋の窓を開ける。

 

「一体何の用だ? 愛」

 

 窓を開けてガラスを叩いた犯人である辻堂愛に視線を向け、腕組みしながら要件を聞く。

 

「夜中にすまん……その、なんだ…あの」

 

 愛のはっきりしない態度を見て、何か頼みごとがあるのを直ぐに悟る。長年この少女の幼馴染をだてにしていない。ふと、翡翠の心に悪戯心が芽生える。

 

ニヤ

 

「なんだよ、何も用がないなら俺もう寝るぞ?」

 

「え? いや、用はあるんだよ! あのさ、あの……」

 

 愛の慌てるその姿に翡翠は――。

 

(なにこの可愛い生物! すげぇなでなでしたい!!)

 

 表の表情には一切出さず、心の中で悶える。

 

「う~~っ! もういいよ! なんでもねぇ!」

 

 今までまごまごしていたのにいきなり怒りだし、愛は窓に手をかける。しかし、翡翠は愛が窓を閉める前に愛が言いたかったことを言う。

 

「宿題」

 

「っ!?」バッ

 

 窓を閉めようとしていた手を止め、此方を勢い良く向き期待の眼差しを向けてくる。

 

「お前、どうせ宿題やってないのに気付いて教えてほしかったんだろ?」

 

 そう言って窓から離れると愛に宿題を持ってくるように言って部屋の机に向かった。

 

「よっ…とっ、おじゃましまーす」

 

「お前、玄関から来い玄関から」

 

「こっちのが近いんだしいいじゃん、それに今さらだろ?」

 

 愛は窓から部屋に入ってくると、そのまま翡翠の机に宿題を置き椅子に座る。

 

「それにしても、相変わらずお前の部屋パソコンの画面ばっかり壁についてるのな」

 

 翡翠の部屋の壁の3分の2以上を占めているディスプレイに映る街を見渡す。

 

「そりゃ、情報屋ですから。どこで何が行われてるか常に把握しないとね、鮮度が一番ってね」

 

「魚屋かよ」

 

 そんな話をしながら机の上に宿題を広げ、シャーペンを取り出し宿題に取り掛かり始める。

 翡翠は部屋のディスプレイをみてはPCにデータを入力するためにキーボードをたたく。

 

 カツカツカツ カタカタカタカタ カツカツカツ パキッ

 

「だぁああああああっ!! カタカタうるせーよ! 集中できねーだろ!」

 

「うっせぇええええ!! 俺の部屋だぞ! 俺が何したっていいだろうが、あとその問題間違ってる。ブルボン王朝はお菓子メーカーじゃないっ!」

 

「うぐっ!」

 

 そうしてなんやかんやで騒がしい夜は明けるのであった。

 

 

 

**********************************

 

 

早朝5:00

 

朝日が登り、鳥達が囀りだす時間に翡翠は日課になっている鍛錬を始める。

腹筋から始まり腕立て、逆立ち腕立て、片手けんすいを200回ずつやったのちに型の練習に入る。これが終わる頃には6:30になっている。

 

「ふぅ……ん? この氣は」

 

鍛錬が終わり汗を拭っていると、上の方から知っている大きな氣が近づいて来るのに気づいた。

 

「ふははははは!! 我、降臨である!」

 

上空から降りてきて翡翠の前に着地した人物は、膝裏まで伸ばした銀髪に額には×印が特徴のナイスバディな女性だった。

 

「揚羽さん、その登場の仕方どうにかしてくださいよ」

 

翡翠が呆れたように言うと、揚羽は腰に手をおきながら謝る。

 

「いやすまぬすまぬ、多忙ゆえヘリで移動していてな。さて、本題に入らせてもらおうか」

 

今までの友好的な空気がいつの間にか真剣なものにかわる。

 

「……依頼の物はこの中にはいってる」

 

そう言って縁側に置いてあったPCの上に乗っていた九鬼のロゴ入りUSBを二つ掴み、揚羽の方へ差し出すといつの間にか九鬼従者部隊序列3位クラウディオ・ネエロがアタッシュケースを持ってそこに立っていた。

 

「翡翠様、そちらは私が預からせていただきます」

 

翡翠の手からUSBを受け取り、アタッシュケースに納めたクラウディオはその場から直ぐに離れていった。

 

「うむ、しかと受け取った。依頼料はいつもの口座に振り込んでおく」

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

「…………」

 

「……まだ何か?」

 

渡す物を渡しすでに用はないはずの揚羽は、その場から動こうとしない。

 

「まだ……我らのもとにくる気はないのか?」

 

「…まだも何も、九鬼で働く気は当分ないと言って…………」

 

「そうではない! お前も分かっているであろう翡翠! 本来ならお前は九鬼家のっ……!!」

 

「その話はしないと、約束した筈ですよ……揚羽さん」

 

「くっ……うむ、すまぬ。失言であったわ、許せ」

 

「もう用はないでしょ? なら帰って下さい。自分も学校がありますんで」

 

翡翠は縁側にあがりPCをとると、そのまま家の中に戻っていった。

 

「…………」

 

翡翠が戻っていくのを、揚羽はただ黙って見ていることしか出来なかった。

 

 

 

******************************

 

 

 

7:40に家を出ると隣の家からちょうど愛が出てくるところで、お互いに目が合う。

 

「オッス。おはよう、愛」

 

「おう、おはよう」

 

 二人は挨拶を交わすと肩を並べて歩き始める。

 

「さっきすごい氣がお前の庭にあったけど、あれってもしかして揚羽さん?」

 

「ん? ああ、そう揚羽さん。俺に頼んでた情報取りに来たんだよ」

 

「そっか」

 

 それを聞くと愛はそっけなく返事を返した。

 

「翡翠はさ、行こうと思わないのか? その、九鬼の家にさ」

 

 九鬼と聞いた瞬間に翡翠の顔から一瞬表情が消え、それを見ていた愛は聞いてはいけないこと聞いてしまったと後悔した。

 

「愛は……愛は俺に九鬼に行って欲しいわけ?」

 

「なっ! バッカお前、そんな事いってねぇだろうがっ! そんな事思ったの今までに一度だってねぇよ!」

 

「そっか。一度もない…か、ニシシシ」

 

「ああ? 急に何笑ってんだよ、おい翡翠!」

 

 そのあとも翡翠は上機嫌に愛と一緒に学園へ向かった。

 

 学園に着くと学園の校門に、辻堂軍団が整列して愛の登校を待っていた。

 

「愛さん! おはようございます!!」

「「「「おはようございますっ!!!!」」」」

 

 愛が校門に入るとすぐに青い髪の少女、愛の一番の舎弟こと葛西久美子が走り寄ってきた。その際に翡翠にガンを飛ばす。

 

「あぁ? またお前も一緒かよ」

 

「おい、クミやめろ」

 

 愛が注意するがクミをガンを飛ばすのを辞めようとしない。

 

「ハッハッハ、一年は元気があっていいねぇ~」

 

ぽんぽん。

 

「気安く頭さわってんじゃねーよ!」

 

 翡翠の手を振り払おうと腕を握って離そうとするが、翡翠の腕はビクともしない。

 

「……一つ忠告だ葛西久美子、喧嘩売るなら相手を見て売れ」

 

「っっ!? は、はわわわ」

 

 久美子に視線を合わせるように腰を落とし、目を合わせて殺気を飛ばす。

 

 ガスッ

 

「アウチッ! なんだ! 敵襲か!」

 

「違うっつの。人の舎弟勝手に脅してんじゃねーよ」

 

 振り向いた先にいたのは、手に持った鞄を振りぬいたポーズの愛だった。

 

「脅してねーつの、先輩として後輩に説教してただけだって」

 

「説教するんだったら殺気飛ばす必要ないだろ」

 

「なはははは、小さいこと気にすんなよ愛。」

 

 呆れた顔の愛にそう言って、此方を遠巻きに見ていたクラスメイトを発見すると愛に先に行くと言ってクラスメイトの方に駆け寄る。

 

「おはよっす。大にヴァンに委員長」

 

 片手をあげて挨拶をすると皆も挨拶を返してくる。

 

「おはよう翡翠。今日も辻堂さんと来たんだ」

 

「おうっ! 幼馴染だしな」

 

「おはよう翡翠。幼馴染といっても辻堂は不良だ、付き合いを控えたほうがいい」

 

「相変わらずヴァンは不良嫌いだな」

 

「おはようございます鉄くん」

 

「おはよう委員長! 今日も素晴らしいくらいに委員長してるな!」

 

「あはは、ありがとうございます?」

 

 四人で歩きながら教室に向かっていると、廊下で数学教師で大の姉でもある長谷冴子が廊下の向こう側から歩いてきた。

 

「あら皆、おはよう」

 

「おはよう姉ちゃん……あ」

 

「長谷くん、学校では長谷先生って言わなきゃだめでしょ?」

 

「すいません長谷先生」

 

「おはようございます、先生(相変わらずの猫かぶりだなぁ)」

 

「おはようございます」

 

「おはようございます、長谷先生」

 

「早く教室に行かないとHR始まるわよ?」

 

 長谷先生に促され、教室に向かい教室のドアを開けて挨拶する。するといつも一緒にいる男子三人と、少し離れた場所に座っている女子二人が挨拶を返してきた。

 

「鉄君か坂東君、今晩暇ならどっちか合コンの数合わせで来てくれない? 頼むよ!」

 

「行ってもかまわんが、別に全員食べてしまっても構わんのだろ?」

 

「ごめん、鉄君はやっぱりいいです……」

 

「坂東k……」

 

「パスだ。今夜は母さんの知り合いと食事会があるんだ、それにこの間みたいにあんなレベルの低いギャルなどやめておけ。お前達はもっと上を狙うべきだ」

 

「ははは、翡翠とヴァンはモテるからね」

 

 ガラガラガラッ、と教室の扉が開き愛が入ってくると一瞬教室が静まり返る。しかし、すぐに教室の空気が翡翠によって変わる。

 

「愛さっき確認し忘れてたが、昨日やった宿題持ってきただろうな?」

 

「…持ってきてるよ、うるせーなぁ」

 

「おまっ、その言い方は傷つくぞ! 俺のガラスのハートにひび入ったわっ!」

 

「ガラスのハートって…お前のはオリハルコン製だろ」

 

「言ってくれるね愛さんや……こうなったらお前の子供のころの懐かしい思い出を皆に話して憂さ晴らしするしかないな」

 

 愛の子供のころの話と聞いて近くにいた女子を筆頭に他のクラスメイトも集まり出す。

 

「そうあれは俺と愛が小学校3年の時、俺と愛は愛の母さんの真琴さんに遊園地に連れて行ってもらったんだ」

 

「え? ちょっとまてっ! その話は!?」

 

 慌てる愛をよそに話を進める。

 

「んで一通り遊んだ後に愛と二人でお化け屋敷に行くことになったんだ。最初は強がっていた愛も、徐々に口数が減っていってな? あの時の愛は可愛かったなぁ~」

 

「翡翠テメェッ!!」

 

「うるさいぞ愛…それで最後のあたりに差し掛かった時、突然足を掴まれてそれにビックリした愛が叫んだかと思うと直ぐに泣き出して、しまいにはおmメメタァッ!!?」

 

 ドゴッっという人から出てはいけない音とともに愛に殴り飛ばされた翡翠が教室の後ろの壁に張り付いていた。

 

「お、お前ら今聞いたことは忘れろ! じゃないと全員翡翠と同じ目にあわすぞっ!!」

 

 「「「「っっ!?(コクコク)」」」」

 

 全員が愛の殺気に驚きうなづくのを確認して、愛は席に着いた。

 

 翡翠は結局5時間目の途中で目を覚ました。

 




ご意見ご感想お待ちしております。

誤字などありましたらご報告お願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。