八幡、提督やるってよ   作:たかおお

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 お久しぶりです。愛犬が亡くなり落ち込んでいたり、バイトが忙しかったり大学が始まったりで執筆できませんでした。前回投稿から時間がたっているので矛盾などが発生しているかもしれないのが怖い……

 それでも良ければご拝見ください。


目の当たりにする闇

 

 艦娘たちの前に立つことが耐えられなくなった俺は仕事を全て曙に丸投げしてベストプレイスとなる場所を探し、鎮守府内をブラブラしている。

 

 おぉ!ここなんかよさそうだな。人からは発見されにくく、海からの風が適度に吹いていて夏でも不快ではなさそうだ。ここを俺のベストプレイスとしようではないか。

 

「はぁ」

 

 今後の鎮守府運営について考え、ついため息が漏れてしまう。しかし、頭を悩ませるのも無理はない。さっきの挨拶の様子から察するに今の状況ではまともに鎮守府運営を行うには多くの障害がある。足りない資源に、哨戒任務を行えないレベルの駆逐艦と軽巡洋艦の練度の低さ。それに前任者が残した艦娘たちの心の傷。このまま最低限の防衛はできるだろう。だがその防衛もいつまで続けられるかもわからん。

 

……どうしたもんかなぁ

 

「…く…て…」

 

 何か聞こえたような気がしたため周りの様子をうかがうと、般若のような顔をした曙がとんでもない速度で向かってきている。わりぃ俺死んだ!

 

「クソ提督ぅぅ!!」

「ぐぼぁぁ!」

 

 曙はその速度のまま俺に飛び蹴りを食らわせ、怒鳴り散らかす。

 

「あたしに仕事を全部丸投げしたわね!懲らしめてやる!」

「ま!待って曙!これには深いわけがあるんだ!」

「……何よ」

 

 考えろ……どうすれば曙を納得させることができる?

 

「生まれてから生涯ボッチだった俺があんな人数の前に立てるわけがないだろ?つまりそんな俺に提督の資格を持たせた神とこんな面倒な鎮守府に俺を派遣した大本営が悪い!」

「言い訳はもういいかしら?」

 

 あっ終わった…曙が額に浮かべた青筋が増えたのを見て確信する。遺書を残しておいたほうが良かったかしら……

 

 


 

 

 曙によって執務室に戻されたので仕方なく大量の引継ぎ資料を終わらせ一息ついたタイミングで、あたりが暗くなっていることに気づく。

 

 まじか。引継ぎ資料だけで5時間以上かかったのかよ。今日中に鎮守府内の設備状況を確認しておきたかったができそうにないな。集中が途切れた瞬間空腹が襲ってきたので今日の執務はここまでにしても怒られないよね……?

 

「今日はこのあたりにして飯でも食わん?」

 

 曙が一息つくタイミングをうかがい質問する。本当は勝手に執務を終えて速やかに飯を食いに行くんだが、勝手に辞めたら何を曙に言われるかわからんからな。……別に曙が怖いから許可をもらおうとか思ってないんだからねっ。

 

 曙もちょうど同じことを考えていたようで、執務を終了し曙と食堂へ向かう。間宮がいたので間宮は何を作っているのかワクワクしつつ食堂に入った俺は目を疑った。そして、目にした光景を俺は一生忘れないだろう。

 

 艦娘たちが食堂の椅子に座り食事をしていたのだが、食べているものが米や野菜、肉や果物といったものがぐちゃぐちゃに混ぜられたものであった。食堂に充満する香りは、生ごみのようなひどい悪臭を放っていて、ひどく食欲を減退させる。

 

「おい、間宮。こいつらは何を食っているんだ?説明しろ」

 

 食堂に入ってすぐ、配膳場所にいる間宮に詰め寄ることを予想できた艦娘はいなかった。そのため、誰もが面食らい、行動を理解した艦娘たちに次第に恐怖が襲う。提督が怒っている。その恐怖は艦娘たちを動かなくするのに十分であった。詰め寄られた間宮も恐怖に慄き顔を歪める。……このままだといずれ天龍とかに邪魔されて話が聞けなくなりそうだな。

 

「間宮付いてこい。曙はこれ以上この飯を食わせないこと、自室待機の伝達を頼む」

「……ええ」

 

 怪訝な視線を向けていた曙だが、悪いようにはしないと伝わったようで伝達を始める。見えていたつもりで見えていなかった鎮守府の闇。

 

……さあ、仕事を始めようか。

 


 

 暗い表情で俺についてくる間宮に問う。

 

「なぜあんなものを出している?」

「以前の提督から出すことを許されていた唯一の食べ物だからです」

「……そうか」

 

 食べ物ねぇ……あんなものただの残飯だ。恐らく前任者が大本営から支給される艦娘用の食費を着服するためのものだろう。どうせ捨てるだけの残飯なら食費なんてかからないからな。

 

 そんな時、間宮の足音が聞こえなくなる。疑問に思った俺が振り返ると、間宮は華麗な動作で土下座をする。……は?

 

「これ以上!彼女たちから食べ物を奪うのをやめて頂けないでしょうか!罰が必要なら私が受けます!なのでこれ以上彼女達を苦しめないでください!」

 

 途中から声が震えている。以前も似たような嘆願をしたのだろう。その後罰を受け、トラウマとなっているのかもしれない。

 

「いいから来い」

 

 執務室に着きとある紙を間宮は何の紙なのかわからなかったようで困惑している。

 

「これはこの鎮守府に必要なものを手配するための紙だ。ここにあいつらに出す食事の材料を書け」

「つまり、あの子達に食事を提供していいと……?」

「ダメなんて一言も言ってねえ。書き終わったらその辺のテーブルの上に置いておけ。俺はちょっと外へ出てくる」

「感謝します……」

 

 その声は涙をこらえながら言ったのだろう。せっかく渡した書類を汚さないように必死に涙をこらえながら食品を書き込んでいくのを見届けた俺はすぐに鎮守府を発ち、近くのスーパーマーケットへ向かう。

 


 

 今の俺は、ひどい環境で苦しむ艦娘に同情し救おうとする善人に見えるのかもしれない。

 

 だが俺は同情なんかしちゃいない。あいつらが味わってきた地獄を想像することはできるが、経験してきたわけではない。たとえ経験できたとしても絶対にしない。したくない。

 

俺が抱いているのは怒り。この世界を愛し、この世界に尽くしている艦娘にこんな仕打ちをする日本、この街、前任者、この状況を放置していた大本営……そのすべてへの嫌悪感。頑張っているやつを否定することを俺は許さない。

 

高校時代にも似たようなことがあったことを思い出し、自然と笑みがこぼれる。少女自らがすべてを背負い込み体調を崩しても、自らのやり方に信念を持ち、最後までそれをつらぬいた。その少女の努力を否定しないために行った、正々堂々、真正面から、卑屈で最低で陰湿な行為。すべては奉仕部という身内を救うために行った、最善だと思った行為。

 

 あいつらとその少女の違う点と言えば、一部の艦娘は信念を失ってしまっていること、すでに否定されてしまった後だということ。だから俺がやるべきことは、信念を貫くことができる環境を作ること。その第一歩が食事の改善というわけだ。

 

 鎮守府に一番近いスーパーをみつけ、お総菜コーナーで弁当を探す。……高くね?

 

 深海棲艦に制海権の大半が奪われたことで輸入、輸出が困難になり全体的な物価高に襲われたため、日本はものすごい物価高に襲われている。しかし、国が大きな支援をしているので、ぎりぎり生活できるレベルにはとどまっているはずだ。

 

 しかし、このスーパーの値段を見ると、現在の通常価格の5倍ほどの値がついている。

 

 いやいや、なんでこんなに高いんだ?他の商品はどうだろうか……

 

「ありえねぇ。全部たけぇ。なんでこんなに高いんだ?まるで国からこの地域だけ支援されていない……」






 若干主人公をオリジナルにしたほうが良かったのではないかと思い始めた今日この頃。


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