人間に成った渾沌ゴアと、ミラルーツに成った少女のお話   作:サクラン

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お気に入り登録20人突破ありがとうございます!最近争いの方の伸びが良い事もあって読者の皆様への感謝を忘れておりました。

こっちはまだまだ伸び代があるので皆様がより面白いと思える作品を提供できるよう精進します。

それではお楽しみください。


第十一話 運命の悪戯

 俺がおっちゃんの元に預けられて半月が経った。生活にも慣れて鍛錬の中で馴染めたことで、他の人との繋がりも増えた。キラーズの任務でモンスターの討伐でも合同で行ったりして、ある意味想像してたハンターライフにかなり近い生活を送っていた。

 

「買い出し?」

 

「ああ、家事と同じでシフト組んで回してるんだ。今回はアークの担当だからお前行って来い」

 

 そしておっちゃんに呼び出され、命じられたのは食糧の買い出し。まあそれだけならどこの家庭でもよくある事なんだが…

 

「あの人数分の食材買って来いってのか?流石に多過ぎるだろ…」

 

「安心しろ。ウチはキラーズと同じ、つまりちゃんと国の後ろ盾があるんだよ。言えばちゃんと用意してくれてる筈だ。店の場所はシュラとリサクも行かせるから教えて貰え」

 

 

 

 

 

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「と、言う訳で悪いな。街の造りはざっと分かるんだが、流石にどこに何の店があるのかまではまだ知らなくてな」

 

「良いですよ。私達にとっても軽い息抜きになりますし」

 

「だとしても二人はいらんと思うんだが…師匠は何を考えていらっしゃるのか…」

 

 今俺達は街の通りを歩いている。朗らかに笑うリサクと、少し面倒くさそうなシュラと並んででっかい台車を引いている。

 ちなみに二人は今日は休みらしく、リサクはワンピース、シュラは黒デニムにTシャツというラフな格好。俺は翼脚を隠す必要があるから全身真っ黒ローブの怪しい奴。燦々と太陽が輝いてるのもあってかなり暑い。

 

「それは私達への気遣いでしょう。普段は任務や鍛錬で気を抜いて話す機会は中々ないですし、のんびり世間話もできますよ」

 

「…もうアーク(コイツ)に対しての忌避感はない。ここまで共に過ごせば信頼ぐらいする」

 

 シュラは仏頂面ではあったが、ちゃんと俺は信頼してくれると言ってくれた。任務で一緒になることもちょくちょくあったからその中で話す機会もあったしな。今では偶に手合わせするぐらいだし。

 

「うーん…それでもただ買い物だけするというのはつまらないですねぇ…折角ならお洒落な服を買うのはどうですか?これから暑くなりますし」

 

「別に服など拘る必要もないだろう。最低限着れる分だけあれば良い」

 

「まーたそんな固いこと言って、そんなこと言ってたらモテませんよ。ね、アークさん?」

 

「そこで俺に同調求めるのか…?」

 

 前世だと彼女いない歴=年齢の俺はお洒落になど欠片も気を遣ったことがない。別に良いもん!!気が楽だし!!(負け惜しみ)

 

「二人共顔は悪くないんですから、折角ならお洒落しましょう!ほら、近くに服屋さんもありますし、ほらレッツゴー!!」

 

「なっ!?押すな!オイ!!」

 

 テンションが上がったリサクにシュラはあれよあれよと服屋に連れ込まれた。

 リサクってお洒落に乗り気なタイプだったんだな…何か意外だ。そう思いながら俺も後を着いて行った。

 

 

 

 

 

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「はー、やっぱり二人共似合う服いっぱいあったじゃないですか。今度また買いに行きましょう」

 

「…折角の休暇だと言うのに余計に疲労感が増したんだが…?」

 

「…俺に至っては翼脚が邪魔だから服ギチギチだったんだが…」

 

 結局あの後更に四、五軒ぐらい服屋巡りして俺とシュラは延々とリサクに試着させられてた。買わなかったのは用意してたお金が買い出しの分だけだったから。

 シュラは引き連れ回されてげんなりしてるし、俺はさっき言った通り翼脚を強引に抑え込んだせいでめっちゃ身体が痛い。今すぐにでも身体を伸ばしたいが、帰るまでの辛抱だ。

 

「まぁまぁそう言わず。私としても沢山良い服が見つけられたから満足です♪」

 

 ちなみにリサクだけは最初から服を買うつもりだったらしく、両手には買い物袋を握っている。

 

「結局自分の為じゃないか…次の休暇はお前と被らんようにせんとな…」

 

「全く強情ですねぇ…」

 

「ハハ…」

 

 ぼやくシュラとリサクを尻目に、俺は苦笑いをするしかなかった。

 

「今日はもうさっさと帰るぞ。これ以上無駄遣いに付き合う訳には行かん」

 

「人の趣味に対してヒドい言い様ですねぇ…ん?あの人だかりは…」

 

「「?」」

 

 食材も買い切った為にシュラが早く帰ろうとしていると、リサクが何かを見つけた。

 俺とシュラもリサクの視線の先を見ると、かなりの規模の人だかりができていた。

 

「何だ?どこぞの貴族でも通っているのか?」

 

「気になりますね…行ってみましょう」

 

「行ったか…どうする?」

 

「んー…何か気になるし、行ってみよう」

 

 シュラはあまり興味がない様子だが、流石にリサクを放おっておけない。

 それになんだか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

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「本当に人が多いな…」

 

「一体何が…」

 

 俺とシュラは強引に人を掻き分けながら進んでいた。先に入った筈のリサクの姿は見られない。どこに行った…?

 

「―遇だ――!アンタも―い出し―い?」

 

「ええ――んです。――ラと――クさんと――に来たんです―ど見付からなくて…」

 

「! 今の声は!」

 

 周りの雑踏に混じって待って、聞き覚えのある声が二つ聞こえた。声の聞こえる方に強引に進み続けると―

 

 

 

 

 

「んお?ひっさしぶりだねえアーク!話は聞いてたけど元気だった?」

 

「あ、見つけた」

 

 

 

 

 

 ―ずっと会ってなくて少し懐かしく感じるルインと、自分が事の発端だと理解してないリサクが仲よさげに話していた。

 

「見つけたじゃないぞ!誰のせいで迷う羽目になったと思っている…!」

 

「久し振りだなルイン!お前も来てたのか!」

 

 シュラはリサクに対してご立腹だったが、それより俺はルインと久し振りに会えたことの方が嬉しかった。

 

「いやーシンゲツから買い出しを任されてね。用は終わったけど何だか気になってね、少し見物してた訳さ」

 

「ハァ…で、一体何が原因でここまでの人だかりができる?」

 

 シュラは疲れ切った様子でルインに問い掛ける。もうリサクの説教は諦めたようだった。

 

「それなら…もう少しで見られるんじゃないかな」

 

 ルインはそう言って視線を街の中心の方に向ける。その先にいたのは、最初に集会所で会った、四輪車に乗ったフランシスカだった。

 

「ああ何だ、フランシスカ()を見る為だけにここまでの人々が集まったのか?」

 

「そりゃあアタシらは結構会えるし、何なら頼めば戦うこともできるけど、一般人としては人類最強なんて呼ばれる人間が見られるってなれば見物ぐらいするだろ?」

 

「私達としては、確かに珍しくもないですね」

 

 世間での通り名が絶大な故にここまでの注目が集まるのは分からなくもないが、俺達としてはもう戦闘狂の友人ぐらいの感覚だからなあ。

 え、俺との勝負の結果はどうなったかって?意味分からんままボコボコにされたに決まってんだろ(憤慨)。身体能力が高過ぎて全然追い付けなかった。単純なスペックなら間違いなく人類最強だとは思う。

 

 

 

 

 

「あうっ!」

 

「うおっ!?」

 

 

 

 

 

 俺がフランシスカを見詰めて改めて感じるその強さに遠い目をしていると、急に腰の辺りに衝撃が走った。急な出来事に俺は思わず身体のバランスを崩して尻もちを着いてしまう。大した痛みはなかったが、驚いたことに変わりはない。

 

「ご、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」

 

「姉上の方こそご無事ですか!?」

 

「ルー姉。大丈夫?」

 

「アンセスさんもお兄さんも大丈夫ですか!?」

 

「!」

 

 俺が顔を上げるとそこには白髪に紅い瞳、全身真っ白のワンピースを着た少女と、赤いローブを纏った眼鏡の高身長の青年、漆黒の服と髪を伸ばした前髪を伸ばした目が隠れた少年、普通ではあるのだがこの個性満載の中だと逆に浮く少女が立っていた。

 

「「!!」」

 

 俺が少女と目を合わせた瞬間、目を大きく見開く。

 …人間じゃない。上手く隠してるみたいだが、この気配はただの強い人間の気配じゃない。

 白いドレス…紅い瞳…少女…

 …もう嫌な予感しかしない。モンハンをやってて考察勢ならこの少女の存在は有名だからな。しかも周りの二人は格好と少女の正体を仮定して、それと繋がりのある存在と考えると…何でこんな所にいるんだよ。モンスターが拠点に入り込んじゃダメだろ。もう一人の少女はただの一般人かな?

 まあとにかく、この少女も俺の異常性には気付いてるだろうが…わざわざ人に化けてるってことはここで戦争するつもりはないだらうな。ここは穏便に済ませるべきだろう。

 

「…あの、ごめんなさい。立てますか?」

 

 少女も俺の考えに気付いたのか、驚きも一瞬に表情を心配のものに変えて手を伸ばす。

 

「…ああ、すまないな。もっと周りに気を遣うべきだった。汚れてないか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「悪いな」

 

 そう言って俺は少女の手を取る―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然だが、皆は“運命の悪戯”という言葉はご存知だろうか。そもそも“運命”という言葉がかなり曖昧ではあるが。

 “運命を変える”、という言葉もある。この言葉から“運命”という単語の意味を考えるのなら、“運命”とは“決まり切った未来”という意味を持つように思える。

 

 だが、“運命”とは“決まり切った未来を変えることすらも含めて運命”だと言う者もいる。ある者は人間は皆“運命の奴隷”だと言った。皆決まった時間の中で藻掻くだけの奴隷、一生をそう捉える者もいる。

 

 この世界には、二つのイレギュラーがある。本来あってはならない者達。奇しくもその二つは今此処に邂逅した。そしてその片割れの宿す力は、運命の輪廻から零れ堕ちた竜の力。その竜の影響か、或いはもう一つの片割れが宿す祖の力の影響か。はたまたただの偶然なのか。分かることはただ一つ。

 

 

 

 

 

 この二つのイレギュラーが齎したものは、まさに“運命の悪戯“と言う他にないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリッ

 

「「━━━━━━━━━━!!」」

 

 俺が少女の手を取った瞬間、一瞬紅い雷が走ったかと思うと、莫大な量の記憶と感情が流れ込んで来た。

 

 

 

 

 

 真っ暗の中感じる何かの気配、好奇心、空腹感、満腹感、消える気配、戦いの身を投じているような緊張感、怒り、心地良い風の感覚、迸るような痛み、死への恐怖、何処かへ向ける郷愁の念、その中で出会った輝く光のような気配、頭が割れるような情報が流れ込んで痛みに閉じていた目を開けると―

 

 

 

 

 

 何も見えない、何もいない真っ暗な空間。その空間には光一つ差し込んでいないのに純白に輝く白い龍の影が見えた。その影は、俺に語り掛ける。

 

 

 

 

 

「運命の輪廻より堕ちし竜の力を受け継ぐ者よ、祖たる我に従え」

 

 

 

 

 

 その影は透き通るような声でありながら、拒否を許さない威圧感を感じさせる声で語り掛けて来た。そしてその影は二足歩行から四足歩行となり、こちらにゆっくりと首を伸ばして来る。その様相に圧倒された俺は呆けたようにゆっくりと手を―

 

 

 

 

 

「ゴオオオオオォォォォォ!!!」

 

「!」

 

 

 

 

 

 ―取る前に、呻くような咆哮と共に大量の黒い鱗粉が俺の身体を影から隠すように覆い隠した。白い龍は身体を引っ込め、特に何もすることはなかったが、俺の背後に視線を向け、不機嫌そうに一言。

 

「…龍の成り損ないごときが我に逆らうか…」

 

 俺がその言葉を聞いてから後ろを振り向くと―

 

 

 

 

 

「ゴオオオオ…!」

 

 

 

 

 

 ―異形の白と黒を併せ持つ影が、翼と前足の役割を兼ね備えた翼脚で俺を守るように囲い、白い龍を睨み付けていた。

 そして俺の意識は闇に落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい…!おい!」

 

「!」

 

 次の瞬間、気付くと俺は少女の手を取ったまま固まっていた。

 

「おい貴様、いつまで姉上の手を取っている」

 

「離れろ」

 

「! ああ、悪いな…」

 

 兄弟(?)っぽい二人に言われて俺は謝りながら手を離した。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「何かあったのか?」

 

「いや、大丈夫だ…」

 

 皆が俺の心配をしてくれてるが、今は話す気にはなれなかった。正直膨大な量の情報を叩き込まれたからか頭が痛い。まずは自分の中で整理したい。

 

「姉上?大丈夫ですか?」

 

「ルー姉?」

 

「アンセスさん?」

 

 だが、そう簡単には終わらなかった。少女が俯いたまま固まってる。俺と同じように、この娘も何か見たのか?けど、正体がもし俺が見たあの龍なのだとすると…何が見えたのか想像も付かない。

 

 

 

 

 

「これが未来…」

 

「!」

 

 

 

 

 

 少女が消え入るような小さい声で呟く。周りの反応からして、聞こえたのは俺だけだったようだ。未来…龍の力を辿って未来を見たのか?

 少女は俯いてた顔を上げ、少し頭を振る。

 

「姉上!大丈夫ですか?」

 

「うん、平気。少し驚いただけだから」

 

 少女の声からは、特に異常も感じられない。感情を感じさせない程に。一見すると何も変わっていないように見える。が、何かが違う。何かこの娘を形成する上での根本的な部分が変わった気がする。

 

「気になってた者は見れた。もう用もないし、一旦帰りましょう」

 

「…? 分かりました」

 

「ん」

 

 兄弟二人も少し違和感を感じているのか、困惑しながら後を着いて行った。

 

「お兄さん、お姉さん、アデル」

 

「!」

 

 そのまま帰るのかと思いきや、少女は声を掛けてきた。そしてこっちを振り向いて―

 

 

 

 

 

「またね」

 

 

 

 

 

 ―にっこりと笑い掛けてきた。その笑顔は一見無邪気な年相応の笑顔に思えたが、どこか底知れない妖艶さがあった。

 俺はそこで、少女が別の“何か”に変わっているのを確信した。真っ白なシルエットの中、唯一色の違う瞳が不自然な程に紅く輝いていたから。

 それに、少女が言った“お兄さん”と“お姉さん”はこの中の誰を指しているのか。また会いに来るつもりみたいだし…警戒しておいた方が良さそうだな。

 

「何だったんでしょう…あの兄妹…」

 

「さあな…にしてもあの少女が姉とは…見掛けによらんものだ」

 

「そうだねぇ、ところで君はあの娘達と知り合い?」

 

「あっ!はい!ついさっき知り合った人達で…」

 

 リサクとシュラは変わった兄妹とは感じたものの、その“中身”までは感じ取っていなかったみたいだ。ルインは残った少女と話している。

 

「おい貴様ら」

 

「うおっ!びっくりした!」

 

 いきなり声を掛けられルインが驚くと、いつの間にか側にはフランシスカが立っていた。

 

「四輪車に乗っていなかったか?」

 

「少し気になる気配を感じたからな。降りて様子を見に来たのだが…気の所為だったか。つまらん」

 

「はあ、まあ良いですけど、運転手さんが困ってるから早く戻って下さい」

 

「フン、まあこれから暇潰しに行く所だったからな。少しは骨のある相手だと良いが…」

 

 そう言いながら、フランシスカは四輪車に戻って行った。

 

「…相変わらず身勝手な奴だ」

 

「まぁまぁ、あれが人類の最高戦力な訳ですし、強くは言えませんよ」

 

 シュラとリサクがぼやいているが、俺は素直に感心していた。実際に顔を合わせた訳でもないのに気付くとは…でも、下手に気付いてたらそっちに釘付けになっただろうから気付かずに正解だったかもな。

 

「ともかく、色々あって疲れたな。もう帰るぞ」

 

「帰りたい欲が隠し切れてないです。とは言え…あまり遅くなり過ぎるのもよくないですからね。帰りましょうか」

 

「そっかー、久し振りに会えたのに残念だな」

 

 シュラは早く帰りたいようで、リサクも流石にそれに同調する。ルインは残念そうだ。

 

「まあ、また会えるし何なら半月経てば戻るからな。シンゲツにもよろしく伝えといてくれ」

 

「おっけー、気を付けてなー。おっちゃんにもよろしく言っててくれよな」

 

「はい、またぜひ足を運んで下さい」

 

「せめてシンゲツにはもう少し礼儀を覚えて欲しいが…お前は家はこの辺りか?遠いなら送って行くが…」

 

「いえ、大丈夫です。家はこの辺りなので…」

 

「そうか。なら気を付けて帰れ」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

 残っていた少女は丁寧に頭を下げた後帰って行った。あの様子を見るにマジでただの一般人っぽいな。妙な気配も感じなかったし。

 

「そんじゃまたなー!!」

 

「お気を付けてー!!」

 

 

 

 

 

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 俺達は互いに手を振りながらその場で別れた。台車に食材山盛り状態だから結構重い。

 

「気付いたか?二人共」

 

「気付いたかって…ああ、あの娘達のことですか」

 

「あんな気配に気付かぬ訳ないだろう。ただ、下手に勘繰らなかったのは正解だったな。俺達では手に負えない相手だった」

 

「どうします?師匠に報告します?」

 

「いや、分かってないことの方が多い。不安を煽るだけになるから今は止めた方が良い。ただ…何かが起こると覚悟は決めておいた方が良いだろうな」

 

 俺でも分かったぐらいだから二人共気付いてたみたいだ。けど、俺の見たものは言わない方が良いだろうな。あれに関しては理屈とか超越してるし。

 

「…何が起きても良いように、更に鍛錬に力を入れた方が良さそうだな」

 

「そうですね…」

 

「ああ…」

 

 俺達は三人で静かに決意する。今までわりとほのぼのしてて忘れてたが…“竜大戦”が近いのかもな。

 そしてもうこの日は疲れてたから晩飯食べて風呂入ってとっとと寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん…?何処だここ」

 

 次に目を開けると、真っ暗な空間に一人で立っていた。夢であることは何となく分かるが、何だか昼間に見た白昼夢に似てる気がする。

 ただ今は当然白い龍の影はいない。本当に真っ暗な空間に一人だ。どうするべきだろう。何も無さ過ぎて何をすれば良いか全然分からん。

 

 

 

 

 

「お、ようやく来たネ」

 

「!」

 

 

 

 

 

 急に声を掛けられて思わず振り向くと、そこには影が立っていた。暗くて分かりづらいが、頭から生えている捻れた角、人に見えるようで左半身から不自然にボロ布のかけたようなその姿は―

 

 

 

 

 

「俺、か…?」

 

「うーン、ちょっと違うネ。でモ、あながち間違ってもないヨ」

 

 

 

 

 

 ―俺だった。

 

 

 

 

 

「初めましてだネ。ご主人」




はい、めっちゃ詰め込みました。

アンケートを見ると原作主人公との関わりを期待している方も多かったので登場してもらいました。

ちなみにここから原作と段々かけ離れて行きます。好みが別れると思いますがよろしければ応援よろしくお願い致します。

評価、感想もよろしければお願い致します。

それでは次回をお楽しみに。
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