人間に成った渾沌ゴアと、ミラルーツに成った少女のお話   作:サクラン

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ちょっとでも絵を書き始めて、漫画家や絵師の人って凄いって改めて感じました。

それではお楽しみください。


第十四話 起動

「竜機兵の起動実験?」

 

「はい、貴方達は竜機兵が暴走した時のセーフティをお願いします…」

 

「フン、あんなガラクタの面倒を見るぐらいならアーク(コイツ)を相手にする方がまだ楽しめる」

 

「やめて下さい死んでしまいます」

 

『敬語テ…』

 

 鬱蒼とした樹海を進む中、俺はフランシスカと共に竜機兵の起動実験に付き合っていた。

 昨日のお披露目会の後早速試してみるようで、フランシスカはその制御役として同伴、俺も同じではあるんだが、フランシスカが見張りという名目で同伴している。

 ちなみに普通にここはモンスターの縄張りである為整備などされてる訳もなく、揺れもかなりある。その所為でキャロルは気分が悪そうだ。俺も高速移動に慣れてなかったら酔ってた。え?フランシスカはどうなのかって?

 本人曰く、「自分の足より遅い乗り物で酔う訳がないだろう」とのこと。やっぱり化け物だろコイツ。

 

 それよりも、俺は竜機兵のスペックに着目していた。

 キャロルから渡された実験資料によると、竜機兵は三機一組として、東のイード火山、西のデボン平原、俺達の向かうサーネル樹海、北のノウス凍土、後は南東のロリア海域、北西のトラフ高山の六箇所、計18体を飛ばすらしい。

 それぞれの地のモンスターを殲滅させることで、今回の実験は成功という扱いらしい。その際に何かしらの不手際が起これば、俺とフランシスカでカバーする…という感じらしい。正直俺がいるかは疑問だが。

 

 そして竜機兵の王都出発時間が昨日の23時、そして俺達の向かう場所への到着時間が…今日の朝6時。約7時間だ。前世ならピンとこないかもしれないが、王都から樹海までの距離が約3万4000キロ、俺の知る限りでのシュレイドの航空機の速さが時速900キロ、単純計算で約38時間は掛かり、7時間じゃとても間に合わない。間に合わせようと思うなら時速4857キロは出さなきゃならない。

 えーと…どのくらい速いんだ?確か音速が秒速340メートルぐらいだから…1時間で1224キロ。で、その約4倍…中々頭おかしい数値だな。俺のガバはあるかもしれないが、大きな違いはないだろう。

 とは言え、今の俺からすれば特別速いとも思わない。身体検査で当然全力で走ることもあるわけだが、その時には1秒に1キロ以上は走れたからな。…いや冷静に考えたらそれもおかしい。俺の身体のベースは人間で、かつ古龍に成り損なった渾沌ゴアだぞ?なら本家本元の古龍やその頂点に立つ禁忌は…もういいや。

 それよりも竜機兵の他のスペックは…

 

 

 

 

 

「ん?車が止まった?」

 

「ここが……今回の…実験地点です…」

 

「…もう無理するな」

 

 

 

 

 

 どうやら俺が思っていた以上に熟考していたらしい。四輪車が停止し、目的地に着いたようだ。

 キャロルはもう口元を手で抑えなきゃならないレベルに限界らしく、フランシスカが担いで扉を蹴破り、車から降りた。

 

『…こレ誰が弁償するノ…?』

 

(…考えるな、キリがなくなる)

 

「きゃああああああああああ…!!」

 

 俺が蹴破られた車の扉をフィリアと呆然として眺めていると、先に行ったフランシスカとキャロルの姿が見当たらず、側にある穴から悲鳴が聞こえた。この下が目的地か…

 

『彼女の髪、いつか真っ白になるんじゃなイ?』

 

(…かもな)

 

 いや本当に、仕事のストレスもあって真面目に心配だ。俺はフィリアもビビることもないだろうからそのまま穴の中に飛び込む。

 確かにこりゃ深い。一般人からしたら絶叫モノだろこれ。

 

「む、遅いぞ。何をしていた」

 

「もうちょい周りのこと考えろ、キャロルがかわいそうだろ」

 

 フランシスカと軽口を叩きつつ周りを見ると、慌ただしく研究者が走り回り、あちこちに光る機械があった。雨が降ったら終わりだが、今回限りだから割り切ったんだろう。

 っと、責任者っぽい男性に挨拶するみたいだ。

 

「竜種観測隊所属キャロル、着任しました」

 

「お待ちしておりました、キャロル様! 竜種生態学の権威と名高いあなたにお会い出来るとは、光栄ですな。私が本実験の責任者を務めております、オリバーです。……して、そちらの方々は?」

 

「こちらはフランシスカとアーク。竜機兵が暴走した際のセーフティを担います」

 

 キャロルが俺とフランシスカを紹介するが、オリバーは俺達を見て嘲笑する。

 

「ああ、あのキラーズとかいう野蛮人の。人と竜の堕とし子だの、人類最強だとか太刀1つで千の竜を殺したとか、随分と面白い冗談を言いふらしているそうで。まさか本当に、人類最高の兵器である竜機兵を太刀1つで止められるとでも……」

 

「ええと!竜機兵についての詳細を!教えて頂きたいのですが!!」

 

 オリバーが俺達を侮辱するような発言にキャロルは危険を感じ取ったのか、慌てて発言に割り込む。もし俺かフランシスカがブチ切れたら間違いなくここに死体の山が出来上がるからな。まさかキラーズを設立した本人の前でこんなことを言うとは思わなかったが。

 ちなみにフランシスカは興味ないと言わんばかりに太刀の手入れを始めた。振り回されてんなー。

 

「は…?もう到着するんですか?」

 

「ええ!あの全長60メートルを越える巨体がマッハ7という速度で飛行するのです!まさに圧巻!!」

 

 キャロルはオリバーから竜機兵についての説明を受けてるようだ。にしてもマッハ7か…時速何キロなんだ?バカだから分かんねえや。今の俺の全速力とどっちが速いんだろう…

 

「「!!」」

 

 その時、地上から爆音が響いた。

 俺とフランシスカが武器を掴んで上を向き、警戒すると同時に金属音と大きく地面が揺れる。

 

「今のは………!?」

 

「どうやら竜機兵が到着したようですな! キャロル様、あれで地上の様子をご覧ください!」

 

 オリバーが指を差した先には地上の様子を見ることができる潜水艦とかによくある潜望鏡のようなものがあった。フランシスカとキャロルが使っているので、俺は微量な鱗粉を操って地上の様子を探る。

 

(気配は感じ辛いが、確かに60…いや、70メートル近くはあるな、本当にこの巨体が音速を越える速さで…)

 

『成る程ネ〜、確かにこれだと普通の竜じゃ成す術なくやられるだろうネ。古龍は知らないけド』

 

 俺とフィリアは竜機兵をざっと調べてその性能に驚く。ただ見るのと実際に感じるのでは違う。

 けど、改めて感じて思ったが、これを一つの国だけで作るのは無理だ。一つならともかく、18体なんて金も技術も足りない。間違いなく、他の列強諸国も一枚噛んでいる。

 恐らく、造竜技術の提供を取引として。

 今まで色んな兵器を見て来たが、竜機兵は確かに頭一つ抜けて強力だ。今の俺でも、真正面から戦えば手を焼く。

 

 

 

 

 

 ―なら、人相手の戦争でも強力な兵器として扱うことができる。

 

 

 

 

 

 こんな兵器をシュレイドだけで独占するなんて、他の列強諸国が許すわけがない。あらゆる手段を使って、造竜技術を手に入れようとするだろう。

 

(人が、この後のことまで考える余裕があればの話だが)

 

『まず古龍が大人しくしてないだろうネ』

 

 そう、こんな兵器で侵略を続ければ、いつか必ず古龍と激突する。古龍がどう動くかにもよるが、余裕を持って戦うことはできない筈だ。そう考えると、他国に技術を提供したのは結果オーライではあるな。

 

「素晴らしい……! お前達、すぐに実験を開始しろ! 愚かにも人間様に牙を剥いたモンスター共に、鉄と文明の裁きをくれてやれ!」

 

 俺が未来を憂いていると、そんなことはつゆ知らずオリバーが興奮に満ちた声で他の研究者達に指示を出し、一斉に機械の操作を始める。

 そして竜機兵が鉄で出来た顎を開くと―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 

 

 

 

 ―凄まじい大きさの火球が放たれ、樹海が爆炎に包まれる。着弾の拍子に地面が吹き飛び、業火が生命を灼き尽くす。

 成る程、拠点を地下に設置したのは余波に巻き込まれないようにする為か。竜機兵が暴れると間違いなく辺り一帯は焦土になる。

 

 一般人の間では“魔境”と謳われていた樹海はあっという間に火の海になり、逃げ出そうとしたモンスターは残りの2機が爪と牙で引き裂いて行く。

 徹底的に殲滅する為に幼体も殺し、卵も割り、子を守ろうとした親も殺す。

 

「う……っ!」

 

「辛いなら見るのをやめろ。無理をしても得をするような光景が見れるとは思えん」

 

「私はアレを作るのに協力してしまった1人です! この惨劇と向き合う義務がある……!」

 

「本当につまらんところで強情な女だな」

 

 自分の天職にするほど生き物が好きなクセに、その自然が徹底的に破壊される光景から目を逸らさないキャロルにフランシスカは呆れて首を振っていた。

 

『……………』

 

(…大丈夫か?)

 

 さっきから全く喋らないフィリアに俺は声を掛ける。コイツの心は分からないからな。

 

『…別ニ、何を思うこともないヨ。惨殺なんテ、自然界でも起こることだシ』

 

『たダ…やっぱリ、思う所はあるヨ』

 

(…そうか、無理はするなよ)

 

 そう心の中で会話を終わらせ、俺は燃えて行く樹海をただ見ていた。竜の悲鳴と、周りで歓喜の表情で喜んでいる研究者達を視界に入れながら。

 

「…チッ」

 

 フランシスカはキャロルの心情に思う所があったのか、不快そうに舌打ちをした後、ゆっくりと太刀を抜きながら竜機兵の方へ向かって行く。

 

「やるのか?」

 

「フン、気に入らんのでな。文句があるのか?」

 

「いや…俺としても、賛成だ。このまま終わったら夢見心地が悪いからな」

 

 そう、俺としても気に入らない。都合が良いのは分かっているが、モヤモヤした時は思い切るのが一番だ。問題にはなるだろうが、フランシスカが暴れる時点で同じことだ。後のことは後で考える。

 とにかく今はコイツらをぶっ壊して…

 

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

 

 

 俺とフランシスカで竜機兵を壊そうとした直前に特大の悪寒を感じ取り、咄嗟に穴の出口から離れ、フランシスカはキャロルを抱えて離脱する。

 すると次の瞬間―

 

 

 

 

 

ドオオォォン!!!

 

 

 

 

 

 ―穴の外から凄まじい轟音と光が落ち、暴れていた竜機兵と側にいた研究者が消滅する。

 

「な…!?何だ!!何が起こった!!??」

 

 突然の出来事にオリバー達研究者は慌てだし、ちょっとしたパニック状態に陥る。

 とは言っても、俺達もそっちに構う余裕はない。

 

「反射で離れたが…何だ今のは…?」

 

「少なくとも外に生物はいない。竜機兵や研究者も含めてな」

 

「は…何が…」

 

 フランシスカも困惑し、キャロルも超高速で抱えられたもんだから魂が抜けたような状態だ。

 俺は鱗粉で外を探知するが、少なくとも穴の側に生物はいない。暴れてた竜機兵も、素材を回収してた研究者達も全て殺られたみたいだ。

 

(…何か感じたか?)

 

 フィリアなら何か感じたかもしれないと、俺は心の中でフィリアに聞くが、フィリアからの返答がない。

 

(? おーい、大丈夫か?)

 

『…ここからはフランシスカに丸投げした方が良いかモ』

 

(は?それってどういう…)

 

「いっ一体どういう事だ!!あの竜機兵が消滅など…あり得な―「はーい、お話したいからそれまでねー」

 

 

 

 

 

パァン!!

 

「「!!??」」

 

 

 

 

 

 ―オリバーの焦燥した声に、突然可愛らしい少女の声が割り込み、そのまま身体を破裂させた。何の躊躇いもなく、息をするような軽さで、周りの研究者達も破裂させ、残ったのは俺とフランシスカ、キャロルだけだ。

 

「…何者だ…?」

 

「! お前は…!!」

 

 得体の知れない相手に警戒を強めるフランシスカが話し掛けた相手を見て、俺はその相手の正体に気付く。

 

 

 

 

 

「そっちのお姉さん達は初めまして〜。そして…久し振りだね、お兄さん」

 

 

 

 

 

 あの日街で出会った白いドレスの少女だった。

 

「…ほう、成る程。人に化けた怪物か」

 

「一目で見抜くとはやるねお姉さん。でも、アナタの相手は後回し。いつかちゃんと殺してあげるから安心しなさい」

 

「ほお…!!」

 

 フランシスカは僅かな間に少女の正体を見抜き、少女からの挑発じみた言葉にも怯まず、むしろ笑みを深める。流石は戦闘狂、自身と同格の相手を待ち望んでたフランシスカにとってこれ以上ない相手なんだろう。

 

「今日私が来たのはお兄さんのスカウトと宣戦布告の為…殺し合いはお預けよ。どうしてもやるってなら叩き潰すまでだけど」

 

「俺を…?」

 

 少女は俺を指差してここに来た目的を告げる。

 俺にそこまで魅力があるのか…?

 

「そう、私の目的は人類の死滅、及び文明の破壊。そうすることでモンスター(同胞)達を守る事よ。人間でありながら竜の力を継いでいるアナタは同胞でもあり、敵でもある。だからアナタを“こっち側”にスカウトしに来たってわけ」

 

「ここで、俺がどっち側に立つか決めろと?」

 

「理解が早くて助かるわ。ただ、正確に言うなら私が話し掛けてるのは、アナタの中に居る子なのだけど」

 

「!」

 

 コイツ、フィリアの存在に気付いてやがる!どうする…?

 

『何ダ、そう言う事なら変わるヨ』

 

(! 良いのか?)

 

『君が代弁する方がリスク高いと思うヨ。彼女は“ボク”の口から聞きたいだろうシ。たダ…ちょっとキミには無理してもらうかモ』

 

(構わねえよ。伏せてはいるが人間である俺はアウトだろうからな、好きなようにやれ)

 

『ありがとウ。それなら行くヨ』

 

「おい、二人共」

 

「!」

 

「少し面倒なことになるかもしれない」

 

「構わんさ。よければ相手をしてやる」

 

 言外に戦闘になるかもしれないと伝えながらも、フランシスカの表情は変わらない。その表情に頼もしさを感じながら、俺は意識を沈めた。

 するとアークの身体からパキパキと音が鳴り、爪や歯が鋭くなり、身体を覆う甲殻が増え、普段は普通の瞳も赤く染まった。

 

「フー…さて、初めましてだネ。祖龍樣」

 

「フフッ、初めまして。話しやすくしてくれてありがとう。答えを聞かせてくれるという風に捉えて良いのかしら?」

 

「まあネ。その前にいくつか質問なんだけド、ボクがそっち側についたらボクの中のアーク()はどうなるのかナ?」

 

 そっち側につく、と言うとキャロルの表情がさあっと青褪める。フランシスカは薄ら笑いを浮かべたまま少女から視線を外さない。

 緊迫した空気の中、人の形をした怪物二人だけが会話を連ねている。

 

「“人間”だからね。私の力で彼の意識を消滅させるわ。そうすれば、その身体は文字通りアナタのものになる」

 

 少女は軽い声でしれっと恐ろしいことを口走る。どのような方法かは分からないが、少なくとも可能なのだろう。

 

「本来早死する筈のデメリットもその身体なら無いも同然、私の為に戦ってもらうことにはなるけど、可能な限りリスクを低くした上で私は人間を滅ぼすつもりだし、協力者が増えれば増える程、その可能性も高くなる」

 

「アナタと“同じ立場の子”も勧誘するつもりだし、私が決めた以上同胞がアナタを阻害することもないわ。人間の側に立って煙たがられて、分の悪い戦いに挑むよりも遥かに良い選択だと思うけど…」

 

 黙って話を聞いていたキャロルは少女の発言に眉を顰める。

 アークと同じ立場というと、思い浮かぶのはルインだが…今は目の前の選択の先を見届けなければならない。

 

「できれば同胞を殺したくはないけど…それでもアナタが人間の味方をするというのなら…覚悟してね?

 

「…!!」

 

 一瞬、少女の瞳が龍のソレに変わり、凄まじい威圧感が放たれ、思わずフィリアも後退って冷や汗を流す。

 それでも笑みは絶やさず、強い意志を感じさせる瞳で少女を見据えて答える。

 

「成る程ネェ…聞けば確かにデメリットはないネ。だけどどうしても腑に落ちないことがあるから聞きたいんだけド…」

 

「あら、何か分からないことでもあった?関係することは全て話したつもりだけど…」

 

 少女は本当に分からないと言った様子だった。断られることぐらいはあり得ると思っていたのだろうが、まだ気になることがあるとは思っていなかった様子だった。

 少女は興味深そうな目でフィリアを見詰める。そしてフィリアが聞いたのは―

 

 

 

 

 

「“人類滅亡”…それは本当にキミが決めたことなのかイ?」

 

「!!」

 

 

 

 

 

 ―根本的なことだった。少女は一瞬目を丸くしてから、すぐに表情を元に戻して言い放つ。

 

「何を聞くのかと思えば…そんなの決まり切っているでしょう。私が決めたことよ。どうしてそんな決まり切ったことを聞くのかしら?」

 

「なラ、質問を変えるヨ。キミはボクと同ジ?」

 

『! コイツひょっとして…』

 

 そこまで成り行きを見守っていたアークはフィリアの考えに行き着く。それは相当賭けの要素があることも。

 

「アナタとは違うわ。私は私よ」

 

 フィリアからの質問に、少女は動揺なく答えるが、その声色は少し余裕がないようにも思えた。

 

「フーン、まあ良いけド。じゃア、ボクの答えを伝えようカ」

 

 フィリアがそう言うと、少女の表情が深い笑みに変わり、周囲の空気が一気に重くなる。フランシスカの笑みは相変わらずだが、ほぼ一般人と変わらないキャロルは息をすることすらやっとだった。

 そしてフィリアの答えは―

 

 

 

 

 

「悪いけド、お断りするヨ。ボクは人間に味方すル」

 

 

 

 

 

 ―ハッキリと、自分で否定した。

 少女の表情が一瞬無表情になったものの、即座に気を取り直した。

 

「…一応理由を聞いてあげる」

 

「そりゃア、あんな兵器を考え付く人間が害悪ってのは分かるけどネ、彼らだって生き残る為にしているのであっテ、自然を破壊してやろうとかそんな考えじゃないでショ」

 

 フィリアは腕を組み、少女に諭すように言う。

 

「古龍や自然に生きるモンスターだっテ、自分が自然界に生きる一員だからって自重してるわけじゃないでショ。それに―」

 

 フィリアは一瞬そこで言葉を区切ると―

 

 

 

 

 

「―人間には恩もあるシ、捨てたもんじゃないヨ。キミもちょっとは頭を柔らかくしたらどウ?()()()()()?」

 

 

 

 

 

 ―少女に対して不敵な笑みで挑発した。

 少女は少し額に青筋を立てたものの、すぐに気を取り直してフィリアを見詰める。

 

「…そう、それがアナタの選択ね。良いわ、龍の成り損ない風情がどこまで私達に抗えるか、じっくり見せてもらうわ」

 

 大きく溜息をつくと、フィリアを煽りつつ、背中から巨大な翼を生やす。

 

「それじゃあ、今日の所はごきげんよう」

 

 そして一瞬で翼をはためかせると、あっという間に空の彼方へ消えて行った。

 

「フーッ…疲れタ」

 

『お疲れさん、ゆっくり休め』

 

(うン、そうさせてもらうネ)

 

 そう言うとフィリアは意識を沈め、変わりに俺が意識を浮上させると、瞳の色が戻って何割かの甲殻も身体に沈むように消えて行く。

 

(さて…やり過ごせたのは良いがこっからだな)

 

 一先ず乗り切れたものの、こっから大忙しだ。より気を引き締めなきゃいけない。フィリアに色々聞かなきゃならないしな。

 

 

 

 

 

「ちょっと良いですか?」

 

 

 

 

 

 俺が一人で気を引き締めていると、後ろからがしりと肩を掴まれた。そして俺が後ろを振り返ると―

 

 

 

 

 

「色々と聞きたいことがあるので…喋ってもらいますよ」

 

「…はい」

 

 

 

 

 

 キャロルが真顔でミシミシと俺の肩を掴んでいた。明らかに怒っている。

 そこで俺は気付いた。フィリアのこととかを全く喋っていないことに。

 

「全く…だが…これから楽しめそうだな」

 

 フランシスカは少女が飛んで行った空をいつまでも見詰めていた。




大分変えていきます。原作だったらインフレバトルがあるんだけどね。

次からは各場所で起こったことを書いていきます。できるだけ早めにまとめて行けるようにしたい…

評価、感想もよろしければお願い致します。

それでは次回をお楽しみに。
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