人間に成った渾沌ゴアと、ミラルーツに成った少女のお話   作:サクラン

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UA4000突破ありがとうございます!

分類的には入ってないけど、実力や危険度はその中の強者に引けを取らないって良いよね。

それではお楽しみください。


第十六話 史上最大

 世界の中でも最高峰の高さを誇るトラフ高山。

 ここは険しい山道が続く上、多くのモンスターが山岳地帯に巣を作っていた為に長らく調査すら憚られて来た“魔境”の内の一つであった。

 人間はどう足搔いても空を飛べず、空気の薄さもあって活動も制限される為に“世界の中で最も危険な山”とも謳われる程の地だった。

 

 

 

 

 

 ―そう、危険な地()()()()()

 

 

 

 

 

「ギギザザガガガガガガガ!!!」

 

「グ…オオオオオ…」

 

 

 

 

 

 今やそんな脅威は見る影もなく、鉄の竜の爪牙、ブレスによってただただ蹂躙されるだけのある意味地獄のような光景が広がっていた。

 機械である以上空気の薄さなど関係なく、それを抜きにしても竜とのスペックが違い過ぎる為、竜達は竜機兵に成す術なく殺られていく。

 

「…ハァ…」

 

 その様子を見て溜息をついたのはアルターだった。

 この地の実験責任者を担当し、溜息をつきながらも他の研究者達への指揮は怠っていない。

 ただ…竜種観測隊の面々は自然を愛する者が多く、モンスターの生態や構造を識る為に入隊した者がほとんどである。そんな者達が蹂躙される光景を見て何も感じない筈もなかった。

 

 だがその点に関してはアルターは割り切っている。都合が良い事は分かっているが、わざわざ実験の責任者に名乗り出たのも、自分の戒めの為でもある。事実から、目を背けるわけには行かないと。

 今の問題は―

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

 ―側でロングチェアに横たわって本を読んでいる世界最強の剣士である。

 自身の役割は分かっていると思うし、話も聞いていたのだが、いつもより鋭くなっている瞳からは「不機嫌です」という主張がひしひしと感じられる。

 流石に苛立ちのままに暴れるような人間ではないが、その気になれば自分も含めてこの場にいる人間を皆殺しにすることができる存在が不機嫌である中共に過ごすのは相当心臓に悪い。

 

(せめて…このまま何も起こらないと良いんですが…)

 

 冷や汗を流しながら、アルターは早く実験が終わることを祈るのだった。

 

 

 

 

 

―NowLoading―

 

 

 

 

 

(…つまらん。さっさと終わらんのか…)

 

 一方で当の本人はそんなことを思われているとはつゆ知らず、本を流し読んでいた。

 シンゲツとしてはもうここのあらゆる要素が不快だった。呼び出されただけならまだ良い。下らない有象無象の小言など聞き流しておけば良いし、あまりにも鬱陶しいようなら軽く威圧すれば大人しくなる。

 

 問題は竜機兵(鉄クズ)である。あれが暴れている所為で昼寝もできないし、本に集中できない。かと言って破壊するわけにもいかず、自分の暇潰しの相手としては弱過ぎる。

 本物の龍を知っているシンゲツから見れば、竜機兵の存在は本当に不愉快極まりない。

 本物の龍はあんな鈍足ではないし、非力でもない。何より命令を聞くだけの死体同然の竜機兵と違い、生命力に満ち溢れている。龍だけでなく、シンゲツの認めた強者すらも馬鹿にしている。

 

 人の身でありながらあんな鉄クズよりも強い人間をシンゲツは知っている。生命が発揮する底力をシンゲツはよく識っている。

 精々できるのは雑魚散らしが限界だろうと、シンゲツは竜機兵を見限っていた。機械ではプログラムされた以上の動き、力は出せない。そんな物が本当に強く相手、本当の窮地に追い込まれた時に使える筈もない。

 

(それよりも問題は、ここから奴らがどう動くかだな)

 

 故にシンゲツが警戒するのはこの後。

 ここまで好き放題されたら流石に古龍が黙っている筈もない。自分が古龍の立場だったら確実に頭にきている。

 竜機兵を作った時点で、どれだけ甘く見積もっても一度は本気の殺し合いをすることになるのは確定した筈だ。

 そしてきっと、今暴れている竜機兵(鉄クズ)を始末しに古龍が来る。自分が戦うことになるのはその時だろう。

 

(久方ぶりだな…戦いの予感に心が震えるのは…)

 

 まだ見ぬ強敵に心を震わせ、最強の剣士は本を読み進めるのだった。

 

 

 

 

 

―NowLoading―

 

 

 

 

 

「殲滅の進捗は如何程で?」

 

「もう山の半分は焼き払いました!このまま行けば予定通り終われるかと!」

 

「成る程、分かりました。ありがとうございます」

 

 アルターは研究者から報告を聞き、大きく息を吐いた。

 

(竜機兵も特に問題なく動いていますし…このまま行けば終わりそうですね…)

 

 チラリとアルターは横を見る。相変わらずシンゲツは本に視線を落としたまま全く動かない。

 彼にとっては実験など全く興味がないものなのだろうが、彼が反応するということはそれだけの脅威が訪れるということなので、むしろこのまま無反応を貫き通してくれた方が良い。

 後でお礼として良い酒でも奢ろうかと、アルターが考えていると―

 

 

 

 

 

「フーッ……」

 

「!」

 

 

 

 

 

 ―シンゲツが息を吐きながら本を閉じた。ここに来て椅子に腰掛けてから初めてのアクションにアルターは目を細める。彼が動いたということは、何か起きるかもしれないから。

 

「何か?」

 

「ああ、少し動く事になりそうだ」

 

「! それは何が…」

 

 アルターはその先を話すことはできなかった。立っていられない程に地面が揺れ始めた。

 

 ゴゴゴゴゴ…!!

 

 あまりの揺れに地面にも亀裂が入り始める。ここは突貫で作った臨時の実験場、機材も整理されているわけではない。

 

「この揺れは…!?」

 

「死にたくなければ鉄クズ(竜機兵)を戻しておけ。いようがいまいがどうでも良いが、飛び回られるのは面倒だ」

 

「…!皆さん!竜機兵を急いでこの付近へ戻して下さい!ここが崩れてしまったら生き埋めにされます!機材が動く内に早く!!」

 

「「はっ、はい!!」」

 

 シンゲツの言葉を聞いたアルターの判断は速かった。アルターの指示によって混乱していた研究者達は大急ぎで機材の操作に取り掛かる。

 だが、そうしている間にも地面の亀裂は広がり、天井から落ちてくる土の量も増えてくる。

 

「ギギザザガガガガガガガ!!!」

 

 命令が行き届いたのか、三体の竜機兵がこちらに向かって来る音が聞こえる。もう天井が崩壊するまでに十秒もないだろうが、竜機兵の速さならギリギリ間に合う。

 

 

 

 

 

 ズドドドン!!

 

「なっ…!?」

 

 

 

 

 

 そう思っていた時、竜機兵が何かに貫かれた。

 まるで空から降ってきた何かに貫かれたように見えたが…今の問題はそれじゃない。

 

(まずい…!竜機兵がここに墜落したら…)

 

 間違いなくここにいる人間は全て死ぬ。というよりもう天井の崩壊を止める手段がない。もう詰みか…そうアルターは最悪の可能性が脳裏に過り、アルターは目を瞑った。

 

 

 

 

 

 ザザザザン!!

 

「!」

 

 

 

 

 

 その時、何かが吹き抜けるような音が響き、アルターが目を開くと、シンゲツが大太刀を振り抜き、崩壊寸前だった筈の天井が消えていた。炎上しながら墜落していた筈の竜機兵も消え、燃えた鉄の破片が流れ星のように降り注いでいた。

 

「シンゲツさん…」

 

「茶番に付き合わされたのは不服だが、結んだ協定は守る。有象無象共を連れて大人しくしていろ。良いな?」

 

「…分かりました!さあ、皆さん!今の内に負傷者に手を貸し、洞窟の奥へ!」

 

 シンゲツの言葉に頼もしさを感じながら、アルターは少しでもシンゲツが戦いやすくなるよう研究者達に指示を出した。

 シンゲツは自分達を心の底からどうでも良いと思っているだろうが、先程の言葉を聞くにもし自分達の身に危険が及べば守ろうとする筈だ。

 竜機兵ですら役に立たない相手にそんな真似をすればシンゲツと言えどもただでは済まないかもしれない。ならば自分がすべきは少しでもシンゲツが戦いやすくなるよう身の程を弁えて逃げることだ。

 シンゲツが戦闘不能にでも陥れば、人類の勝率は大きく下がる。絶対に、それだけは阻止しなくてはならない。

 

(頼り切りなのは情けないですが…お願いします。シンゲツさん)

 

 世界最強の剣士に心の中でエールを送り、アルターは負傷者に肩を貸して洞窟の奥へと避難した。

 

 

 

 

 

―NowLoading―

 

 

 

 

 

「さて…姿が見えんのが気になるな」

 

 天井を消滅させて外に出たシンゲツは周囲を見渡す。揺れは断続的に続いているが、敵の姿が見えない。

 だが確実に強い相手が来ることは分かる。感じる気配からそれは間違いない。竜機兵(鉄クズ)を貫いたのも、偶然ではない筈だ。

 その時だった―

 

 

 

 

 

 ズゴン!!

 

「!」

 

 

 

 

 

 ―今までとは比べものにならない程の揺れが襲った シンゲツは即座に大きく飛び退いて揺れから逃れるが、彼は裂けた地面の隙間から見た。

 鈍く光る銀色の鱗に、まるで刃のように見えた黒い甲殻を。

 

 ドゴゴゴゴゴ…!!

 

 それと同時に地面から長大な身体が姿を現す。それはシンゲツの目の前だけではない、遠く離れた地面からもうねるようにして身体が現れる。あまりの衝撃で山の一角が崩れ去り、残った最も高い山にとぐろを巻くように巻き付く。

 後に世界最大級のモンスターとして名を馳せるこのモンスターの名は蛇王龍、ダラ・アマデュラだった。

 

(目測でも軽く一キロ近くはある…ここまで巨大な相手は初めてだな)

 

 普段から表情を崩さないシンゲツも蛇王龍の大きさには驚く。間違いなく今まで相手にしてきたモンスターの中で最も巨大であり、それに見合うだけの強さもあると分かった。

 

「…何はともあれ、まずは小手調べと行こう」

 

 とは言え、相手が未知の敵だからと言って恐れることもない。まずは様子見としてシンゲツは軽く太刀を振って斬撃を飛ばす。

 小手調べとは思えない程の巨大な斬撃は真っ直ぐに蛇王龍に向かって行く。山すら斬り飛ばせるであろうその斬撃に対して蛇王龍は―

 

 

 

 

 

「ギュルルルルル…!」

 

「!」

 

 

 

 

 

 ―身体をくねらせ、胴体から生えた扇のような刃で斬撃を受け切った。僅かに刃が欠けたものの、本体にダメージは一切無かった。

 斬撃を受けてほぼ無傷というのはシンゲツにとってはかなり久し振りだが、分かった事もある。

 

「あの刃…相当の硬さのようだが…あれで受けたということは、本体の強度は俺の斬撃を受け切れる程ではないな」

 

 そう、わざわざ蛇王龍が扇刃で受けたということは、本体で受ければ大なり小なりダメージを受ける可能性が高い。

 巨大であることも、シンゲツからすればむしろ相性が良いと言える。圧倒的な技量から繰り出される斬撃の前にはサイズの大小なと関係ない。シンゲツの前では攻撃を当てやすいまである。

 

「ギュアアアアアァァァァァ!!!」

 

「!」

 

 すると突然山に巻き付いた蛇王龍が天に向かって咆えた。その圧倒的な体躯故にただの咆哮であってもワイバーンレックスを遥かに凌駕する衝撃波になった。

 シンゲツは衝撃波に特に動揺することもなく斬り払ったが、その後に起こった事には流石に目を見開いた。

 

 

 

 

 

 ドゴゴゴゴゴ…!!

 

 

 

 

 

 空から唸るような音を上げながら落ちてきたのは―光を放ちながら墜ちて来る凶星だった。

 無差別に墜ちて来るものと、シンゲツを狙って墜ちて来るもの両方があったが、間違いなく人が対処できるような攻撃ではない。

 

「ギュルルルルル…!!」

 

 そしてダメ押しと言わんばかりに街にも思える大きさの爪と尻尾を振り上げた。もはや抵抗する気すら失せるその光景を前にしても、世界最強の剣士は狼狽えない。

 

「…ッ!!」

 

 ズバァン!!

 

「ギュアアアアア…!?」

 

 シンゲツが大太刀を振るったかと思うと、彼を狙って降り注いでいた凶星が全て粉微塵にされ、蛇王龍の爪と尻尾には深い斬撃の痕がいくつも刻まれた。

 

「フンッ…!!」

 

「ギュアアアアア!」

 

 更に追撃として複数の斬撃を放つが、蛇王龍は斬撃が身体を捉える前に身体をくねらせ、地面に潜り込んだ。

 

「逃げたか…あるいは…」

 

 地面にできた大穴を見詰め、シンゲツは太刀を構える。

 流石に彼の実力を以ってしても地盤を斬り裂いて引きずり出すのは手間が掛かる。蛇王龍の目的が竜機兵(鉄クズ)ならばわざわざシンゲツと戦う必要はないが…

 

 

 

 

 

 ドゴオン!!

 

「ギュアアアアア!!」

 

「!!」

 

 

 

 

 

 と考えていると、蛇王龍が咆哮と共に地面を突き破り、村一つなら軽く丸呑みにできそうな程の大きさの口を開け、シンゲツを呑み込もうと襲い掛かって来た。

 

「!」

 

 シンゲツは柔の剣で蛇王龍の噛み付きを受け流すと、少し蛇王龍から距離を取って斬撃を放つが、先程までとは違い身体に小さく生えた扇刃によって弾かれた。

 しかも規格外の巨体なだけあり移動ですら攻撃になる為、攻撃する暇がない。シンゲツは剣術は文句なしに世界最強だが、身体能力ではフランシスカに一歩劣る。蛇王龍はシンゲツの周囲を囲うようにして移動している為に中々捕捉できず、足場も無くなっていく。凶星も蛇王龍が存在するだけで自動的に墜ちて来るのか、止む様子がない。

 まさに災害。破滅の具現化。そうとしか思えない力だった。古龍の中でも蛇王龍はその存在が生物ではなく災害として見られており、その大きさも併せて人間が抵抗できるような存在ではない。

 だが―

 

「つくづく…デタラメな力だ」

 

 ―人間としての理を越えた彼はそれを可能とする。

 シンゲツは蛇王龍の粉砕した地面を足場にして空中に飛び上がると―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

 斬!!

 

 

 

 

 

 ―何か巨大なものが切断されるような音がしたかと思うと、全てが停止した。

 シンゲツは銀の大太刀を振り抜いた体勢で停止している。そしてゆっくりと背中に収めると、次の瞬間、全てが崩れ去った。降り注いでいた凶星も、蛇王龍によって崩壊させられた地面も、破片を通り越して砂に還った。

 

 刹那にも満たない一瞬の間にシンゲツは数えるのも馬鹿らしくなる程の斬撃を放ったのだ。そして今、蛇王龍を攻撃する上で障害となる凶星も、身を隠す為の地中も存在しない。

 今なら、斬れる。

 

「ギュルルルルル…!」

 

 だが蛇王龍も当然無抵抗で終わる筈もなく、口内から青白い炎が溢れる。防御も限界まで硬めているようで、全身からギシギシと軋むような音が聞こえる。

 

 世界最強の斬撃と、世界最大の攻撃が、激突する。

 

 

 

 

 

「ギュアアアアアァァァァァ!!」

 

 

 

 

 

 蛇王龍は限界まで溜めたエネルギーをブレスとして放つ。蛇王龍の身体すら呑み込むことができそうなブレスは直撃すれば骨も残らないだろう。

 空に向かって放ったそれは遠くから見れば光の柱のようにも見えたかもしれない。

 

 世界最強の剣士は避けるなど無粋な真似はしない。空へ飛び上がった以上、周囲の被害を気にする必要もない。

 少しでもミスをすれば死ぬという実感が、迫りくるブレスから嫌でも感じられ、久し振りの心の高鳴りをシンゲツは感じていた。

 そして眼前までブレスが迫り、剣の柄を強く握りしめると―

 

 

 

 

 

「━━━━━━━━━━ッ!!」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 ―大国だろうと軽く消し飛ばせるブレスを真っ二つに両断した。

 二つに分かれたブレスは消散することなく、空の彼方へ消えて行った。

 そしてそのままの勢いで落下するシンゲツは蛇王龍に狙いを定める。蛇王龍は地面に潜って逃れようとするが―間に合わない。

 

 ザンッ!!

 

「ギュアアアアアァァァァァ!!」

 

 シンゲツが剣を振るうと蛇王龍の全身にくまなく斬撃が刻まれた。大ダメージに蛇王龍はその巨体でのたうち回る。

 

(…これは驚いた。バラバラに刻むつもりで振るったが…耐えられたか)

 

 仕留め切れなかったことにシンゲツは本気で驚く。今の斬撃は本気で放ち、実際直撃したというのに耐えられたのは本当に初めてだ。

 蛇王龍がのたうち回ることで発生する衝撃を凌ぎながら、シンゲツは思考を回す。

 

(だがこのダメージ、もう一撃は耐えられまい。次で仕留める)

 

 仕留めることはできなかったが、確実に手応えはあった。ある程度の再生能力もあるようだが、一瞬で回復するような代物でなければシンゲツにとっては問題にならない。

 

「━━━━━━━━━━」

 

 そしてシンゲツは太刀を構え、一瞬で大地を踏み込み、蛇王龍を斬り刻む―

 

 

 

 

 

 ドゴオン!!

 

「!?」

 

 

 

 

 

 ―ことができなかった。突然地面が崩壊し、蛇王龍に匹敵する程の巨体と、凄まじい熱気を感じた。シンゲツは驚きながらも奇襲を仕掛けて来た存在に斬撃を叩き込んだ。

 

「グオオオオオ…!!」

 

 その存在はダメージこそ受けたが、仕留めることはできなかったようでそのまま大地が盛り上がっていく。

 

「ギュルルルルル…!」

 

 蛇王龍はどさくさに紛れて崩壊する地面に自分から飛び込んで姿を消した。

 

「オオオオオ…!」

 

 どうやらその存在も蛇王龍の救出が目的だったようで、蛇王龍が逃げ込んだと見るや否や全貌を現すことなくそのまま地中に姿を消した。

 

「…勝手に逃げられては堪らんな」

 

 当然シンゲツは逃がすつもりはなく、消えた大穴に向かって斬撃を放とうとするが―

 

 

 

 

 

 ドッゴオオオオオン!!

 

「!」

 

 

 

 

 

 ―蛇王龍と巨大龍が逃走した穴から溶岩が噴火のように吹き出し、そのまま穴を塞いでしまった。こうなれば、もう人の手で追うことは不可能となってしまった。

 

「チッ…自身が敗北した際の逃走手段も確保していたとは…やられたな」

 

 追っても無駄だということをシンゲツも悟り、大太刀を背中に収めた。不完全燃焼気味ではあるが、久し振りの全力の運動に満足感があるのも事実だった。

 

「シンゲツさん!大丈夫ですか!?」

 

 シンゲツが一段落着いて落ち着いていると、遠くからアルターが心配そうな表情でこちらに向かって来ていた。

 

「ああ、問題ない。それよりそちらこそ大丈夫か?途中から気に掛けていなかったが…」

 

「こちらは問題ありません。戦闘が開始した後、地上に出て可能な限り距離を取っていたので…」

 

「そうか。それよりすまんな。仕留めきれなかった」

 

「追い返して五体満足なだけでもお釣りが来ますよ…」

 

 仕留めきれなかったことを謝罪するシンゲツだが、アルターとしてはこの場で死者が出なかっただけ奇跡だと思っていた。

 シンゲツとしては負ける気はさらさら無かったのだろうが、戦闘に関してからっきしなアルターからすれば大災害のようで何が起きているか分からず、次の瞬間には死んでいるかもしれないのだから観戦している時は気が気でなかった。

 

「取り敢えず、戻りましょう。報告するべきことが山程できました」

 

「ああ」

 

 アルターがそう言うと、シンゲツも後を付いて行く。その途中でシンゲツは少し後ろを振り返ったが、すぐに前に向き直ってその場を後にした。




書いて分かったけどダラの戦闘かなり書きづらい…スケールデカ過ぎてどう動かせば良いか全然分からん…でも良い経験になりました。

評価、感想もよろしければお願い致します。

それでは次回をお楽しみに。
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