ゲマトリア(偽)(かぼちゃ)の青過ぎる空   作:それがダメなら走っていこう

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注意・ブルアカと銘打っておきながら
最初の話に登場するのはオッサンばかりである。


Vol.1 アビドス対策委員会?編
カイザーPMC理事と踊る。


さわやかな朝の挨拶代わりの銃声と爆音が、澄みきった青空に木霊する。

学園都市キヴォトスのお庭に集う乙女達が

今日も天使のような無垢な笑顔で、カジュアルに銃撃戦を繰り広げていく。

乙女たちの頭上に輝くは様々な形状の光輪。

ヘイローというやつだ。

 

ブルーアーカイブの世界じゃないか!!

 

「ええい!冗談ではないっ!」

 

赤いロリコンの情けない大佐のセリフが

思わず口を突いて出るというものだ。

 

銃撃で割れた鏡で自らの姿を確認する。

カボチャマスク。

黒の全身タイツの上に緑のジャージ。

廃棄されマガジンのないG36Cアサルトライフル。

ヘイローなどという上等なものはない。

 

「犬猫ヘッドやマシンヘッドと同じく一般モブ枠かよ!!」

 

「しかもこのルックス、偽マフティーじゃねーか!」

 

ネットのおもちゃ、偽物の偽物の偽物。

前世でいったいどんな罪を犯せばブルアカにモブ枠偽マフティーで転生するんですか?

どうして、どうして……

 

ヘイローあるいはスーパーアロナちゃん無しで

キヴォトスに放り込まれたら

どんな気分になるだろうか。

 

それってさぁ、死ね……ってコト!?

 

あいにく俺はでかくてかわいくないカボチャのおっさんだ。

慈悲はなさそうだ。

 

ヘイローがある女の子たちの物理ダメージは

一定までふんわりギャグで済むが

実質きららGTAやぞ!!女尊男卑(物理)やぞ!

 

連邦生徒会に召喚されたとかならまだ先生枠でワンチャンあった!

ヘイローが浮いてたらTSするけど生徒に紛れ込む選択肢もあった!

スタート位置が路地裏という時点で詰んでいる。

 

ヘルメット団とかの流れ弾に当たって死に

犬にも哀れまれない最後を迎えるのはゴメンだ。

 

アビドスの砂漠でシロコが助けに来ることも無く干からびて死ぬ。

 

干からびて死ぬ……そう思った時……

空腹で腹が鳴った。

 

カイザーローン、の看板と店舗が目に入る。

 

背に腹は代えられない。

当座の資金を調達せねば……

今回は軍資金調達のための作戦である。

対策委員会編の真っ最中だったら

銀行強盗が趣味の子の巻き添えで死にかねんな……

借りてもヘルメット団やスケバンにすら勝てない……

カツアゲ怖い……

 

暗澹とした重い足取りでカイザーローンに入店する。

ふと、時系列が気になって手近にいたロボットに質問する。

 

「すまない、連邦生徒会長が失踪したということは……」

「連邦生徒会長が失踪?何言ってるんですか貴方、バリバリ任期中です」

「いや、なんでもない、忘れてくれ」

 

胡乱な目でその辺に居たロボットに見られたが気にしている場合ではない。

セーフ、まだ本編始まってない!

 

そして警備ロボットを伴って尊大な様子で

入店してくるガタイのいいロボットに見覚えがあった。

居たよ、カイザーPMC理事!

 

その時、俺に電流走る――

 

もしかしたら、ワンチャン……

カイザーPMC理事をだまくらかして当座の資金を巻き上げられるんじゃ!?

 

「カイザーPMC理事各位に申し上げる!」

 

【何かね、私は忙しいんだ。アポイントも取らず無礼な……】

【警備、こいつを摘まみだせ】

 

あっという間に警備ロボに制圧され取り押さえられる。

 

「話だけでも聞いてくれ!私は情報屋のマフティー・エリンだ!

アビドス砂漠に眠る宝――それに黒服の情報を買わないか?」

 

【ふん……お前たち待て】

【なるほど……どこで嗅ぎ付けたかは知らんが……】

【少なくとも鼻は効くようだ、おい、放してやれ】

 

カイザーローンの応接室に通された。

 

【情報を売りたいということだが……】

 

「まあ私はカイザーによるマネーロンダリングも知ってますが」

 

【垂れ込む気か!?連邦生徒会に!!】

 

カイザーPMC理事に銃を突きつけられる。

 

「まさか!銃を降ろしてください。悪事はもみ消したほうが金になります!

連邦生徒会にタレコムなんて金にならない事してどうするんですか。

今ここでこの情報を出した意味を考えていただきたい。

強請ろうにもここはカイザーの腹の中。口止め料は鉛玉の方が安いです。

私の情報収集能力を信じてもらうカードにした方がよほどいい」

 

【ふむ……よくしゃべる……続けろ】

 

 

「まずは黒服の執着、などいかがでしょう」

 

「そうですね一ポイント一千万……」

 

【口座番号を言え】

 

キャバァーン! 一千万クレジットの決断的入金!

 

「黒服の目的はアビドス高校のホルスの眼です。

彼女を実験体にしたいんですよ、黒服の組織はゲマトリア

子供の神秘を絞って実験したりしたいマッドサイエンティストの集まりです。

とある学校を実効支配していたり ヘイロー破壊爆弾を造ったり……

まあ、ヤバい奴らですよ、関わり合いたくないですね」

 

【……胡散臭い連中だ】

 

「ウトナピシュティムの本船――これはひょっとしたら黒服から聞いているかもですが……」

 

「無名の司祭……いわゆる古代人が作った宇宙戦艦です」

 

「星間航行が可能になるスペック」

「宇宙開発事業を一手に握ること、そして強大な武力!

どれだけの巨万の富を生むかわからない貴方ではない」

「カイザーグループの総帥や会長になることも夢ではない……」

 

カイザーPMCの眼が光り

熱に浮かされたようにマシンボディから野心のスチームが上がる。

 

「考古学の筋からの確かな情報です」

 

「アビドスのすべてを巻き上げられれば……

黒服はホルスの眼を、カイザーは船を手に入れてWIN=WIN……

持ち掛けられた取引はおおかた、こんなところでしょうか」

 

【回答は差し控えさせてもらう】

 

「ああ、そうそうデカグラマトンのビナーはご存じですか?

古代人の作った古代兵器……暴走AI兵器ですが

これが発掘には果てしなく邪魔でしょうが……

風の噂ではこれの建造にはかの組織がかかわっていたとかなんとか……」

 

【あんの悪党、最初から船を渡すつもりなどなかったではないか!】

 

「大人のビジネスは元からだまし合いの世界じゃないですか。

これが終わったら黒服とは手を切ることをお勧めしますよ。

ただ、ビナーは多分何とかなります」

 

「………………」

 

俺は電話を掛けるようなジェスチャーをした。

 

【なんか言えよマフティー】

 

【ちっ!業突く張りめ!!】

キャバァーン! 再び一千万クレジットの決断的入金!

 

 

「こほん、何世代か前のアビドスの生徒会が

ビナーの襲来に悩み対策の書類を持っていたはずです

ヘイローを持った生徒傭兵をかき集めて

適切な指揮と練度あれば対抗可能、何らかのご参考になるかと」

 

「地権はカイザーさんが持っていらっしゃる、

アビドスの対策書とビナーさえ片付けることが出来れば

黒服が船の件で出し抜こうと思っても無理です

実働戦力は動かさない、動かせないでしょうね、かの組織にも派閥ありますし」

 

【ふん、わからんな、小娘一人にそこまでの価値があるか?】

 

「彼の中ではそうなのでしょう、自治権が欲しいのかそれとも……

ひょっとしたら幼女趣味なのかもしれません、研究に熱を上げているのか……

アビドスの生徒の身柄を捉えたら気前良く売ってあげるといいかもです。

ああ、黒服のアビドスの生徒への執着だけは本物かと。

客の需要を知れば、高値で売りつけられる、商売の基本ですね?」

 

【なるほど、そこそこ有益な情報だった】

【もしもアビドスの生徒の身柄を抑えることが出来たら――】

【黒服相手に値を吊り上げられるかもしれん。】

【いくら欲しい?】

 

「先ほどと同じ一千万……」

 

キャバァーン! 再び一千万クレジットの決断的入金!

 

「ありがたく……いや待て、これを担保、頭金に

カイザーローンに更なる借金をさせてくれ、限度額いっぱいまでだ」

 

【は?】

 

「連邦生徒会長が失踪する予定なんで、そのときインサイダー取引を仕掛ける」

 

【おまえは なにをいってるんだ】

 

カイザーPMC理事の困惑を他所にペラを回す。

 

「そうなれば連邦生徒会は必ず混乱し子供相手に商売をしている企業の

株価は下落するはずだ、底を買い、回復したところを売り抜ける

そういう予定、計画が連邦生徒会内部にあるのは知っている」

 

だがいつになるかまでは未定……未確定だ。

先生の来る時期によって左右される。

 

【連邦生徒会に政変の動きがあると?】

 

「リスクの高い投資投機なので、カイザーさんにはお勧めしかねます。

もし、私の予想というか情報がガセだったら?

私がカイザーさんに多額の借金を負うだけです、カイザーさんには何の損もないですよ」

 

【お前は何者なんだ、マフティー】

 

「マフティーとは果たして何なのか。

ま、情報屋、真なる預言者の王とは名ばかりのケチな相場師ですよ」

 

数日後――

俺は大もうけした。

 

連邦生徒会長の失踪とそれに伴う学生関連企業の株価の下落。

インサイダー取引を売り抜けて。

 

 

【マフティー、お前の言う通り連邦生徒会長が失踪したぞ! どうなってる!?】

 

カイザーPMC理事に詰められる。

 

「ああ……やっぱり始まってしまいましたか……

まあ、いろいろあるんですよ連邦生徒会にも……

それをインサイダー取引に利用しただけです」

 

「やりそうな人には心当たり有りますがね カヤ室長あたりがかぐわしいですかねえ」

 

この件に関してカヤは濡れ衣で

もちろん先生を召喚するのは違う人物であり

適当な憶測をぶっこいているだけである。

 

「すぐに後任への引継ぎがされますよ、影響は軽微です」

 

「私としてはカイザーさんへの借金を帳消しに出来そうでほっとしてますが」

 

「いやあ、株の世界は怖いですねえ、素人が手を出すものではない、身に沁みました

大博打はこれっきりにします、カイザーさんに借りたお金、利子をつけてお返ししますね」

 

【お前にはどこまで見えていたんだ?】

 

「生徒会長が失踪するまでは分かっても、時期は掴めなかったんです!

いやあ、数日以内でたすかりました

計画は知っていましたが一年ほどずれ込むと利子で私が潰れますからね!」

 

「目的は金、わかりやすいでしょう」

「もっと言ってしまえば情報はあっても種銭がなかった。

予知などありえない、知っていただけです。

古代の文献からオーパーツがほぼ確実にアビドスの砂漠に

埋まっていると知っても掘り出す許可も権利も人もない。

ヤバい組織の動静を掴んでも金に出来ない。

連邦生徒会の内紛を知っていてもお金にならない。

点と線を繋ぎ合わせ……

手持ちの情報をカネに変えたかっただけです」

 

「損はしてないでしょう?

貴方が私マフティーエリンに貸し付けたポイント単位の借金は

トイチの利子がついて、カイザーに帰ってきた、むしろプラスです」

 

【辻褄は合う、損はしていない……】

 

【本当にインサイダーの為に種銭を引き出したかっただけなのか?】

 

「まあ、可哀そうなアビドス高校の生徒が実験台にされても

助けては上げられませんし……そんなことしたら黒服の組織に殺されますし

貴方の地上げを邪魔してもカイザーに殺されます」

 

プレ先生ルートじゃなかったら多分先生がどうにかするし……

 

【まあ確かに得体のしれない黒服よりは分かりやすい】

 

「これでも情報網と予測演算を駆使した一世一代の大博打だったんですよ?

ケチな相場師で情報屋が、得た情報をカネに変えたかった。

それだけですよ。

黒服の生徒への執着、確かにお売りしましたよ これにて契約は完了です」

 

【これからどうするつもりだ?】

 

「なにも? あぶく銭を得たので世界が終わるまで踊って遊んで暮らしますよ。

最後に一つ占って差し上げましょう。

辛いことがあるかもしれませんがめげずに頑張ってくださいねカイザーPMC理事。

金運は一時的に落ちますがあなたの手相は極太生命線。

生命運と健康運はいい感じです、保証しますよ。

首尾よく黒服を出し抜いて箱舟を入手できることをお祈りしておきます」

 

【インチキ占い師め……言われんでもやるさ】

 

こちらの方に背を向け去っていく

カイザーPMC理事ともこれでお別れですね。

彼は黒服のホシおじ誘拐やらマネロンやら地上げやらの

責任を取らされてカイザー営業職員に降級する予定です……

多分二度と会うこともないでしょう。

 

先生の勇気が生徒たちを救うと信じて!

ご愛読ありがとうございました!

 

だって俺は「先生を信じている」もん。

先生を信じて夢を追いかけ続けていれば

夢はいつか必ず叶う!キヴォトスは救われる!

 

先生の先生がもげ果ててプレ先生になっちゃっても

多分コラテラルダメージだと、信じたい。

……いや、プレナパテス先生はほんまに教師の鑑や……

あんなんなっても生徒に尽くすなんて……

 

とても俺のようなケチな小悪党には出来ない……

 

良かったんや、先生になれない以上、これが最上のオチだ。

 

希望の未来へレディ、ゴー!

 

勝ったなガハハ!!後はこの金をもって

適当な警備でも雇って

慎ましやかに暮らすだけや!!

 

毎日のパンとスープだけあればいいって正当なる予言者の王も言ってた!

 

偽マフティーによるブルーアーカイブRTA、完……!!

 

まあ、後は名曲流してマフティーダンスで締めればいい感じにオチが付くやろ!

 

やったことはカイザーPMC理事を騙して種銭得てインサイダー取引しただけ?

なんでや!倍プッシュした借金は利子付けて返したから

カイザーPMC理事にさえ損はさせてない!

マフティーの清廉さが欠片もない?

しょーがねーだろ偽マフティーなんだから!

アビドスの子たちが可愛そうやと思わんのか?

そりゃ可哀そうだよ、けどな、勇気と蛮勇は違う!

 

スーパーアロナちゃんもシャーレの権限も無しで

アビドス砂漠行ったところで野垂れ死にがオチなんや!

常識で考えろ常識で!

 

持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。

マタイ効果って知ってる?命も落とすわ!

 

カボチャ被ったオッサンに青春堪能する権利なんてあるわけないやろ!

先生も来たことは確認済み、俺の物語はオワオワリや!

解散、閉廷!

 

「さあ!勝利のマフティーダンスや! 鳴らない……」

 

悠々自適にカイザーローンを去り

勝利のダンスを踊ろうとしたその瞬間である……

 

「面白い話をしていらっしゃいましたね」

 

肩にポンと手を置かれた。

 

えっ

 

えっ

 

何もない空間からぬっとあらわれたこの先生激押しの波動は……!!

 

ひび割れた無機質な顔面に青い炎を宿すこの男は……!!

 

「よろしければお話を聞かせていただけませんかマフティーさん」

 

アイエエエ黒服!

 

黒服ナンデ!? コワイ! ゴボボー!?

 

 

「あこれヤバいつんだかもしれんチクショー!

黒服の中身が早瀬ユウカだったりしねーかなー!」

 

「なぜ」

 

「貴方はゲマトリアを知っているんですか?」

 

「なぜ」

 

「仲間にも教えていない、私のアビドスでの計画を知っているんですか」

 

「なぜ」

 

「ミレニアムサイエンススクールに潜り込ませた」

 

「私の『端末』の事を知っているんですか?」

 

背中にゴリっと堅い金属の筒の感触を感じるなあ……!

黒服に背中に銃を捻じ込まれている……!

 

「うっそだろお前特に最後!!」

 

会話全部丸っとお見通しなのは

 

ゲマトリアの不思議パワー神秘パワーで納得できるけどさ。

 

ウソだと言ってよ黒服。

 

特に最後。

 

ユウカ黒服説採用時空とか与太話や怪文書じゃねーか!




面白いかどうかなど全くわからない。
あ、需要があったらちょっとだけ続くんじゃ。
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