ゲマトリア(偽)(かぼちゃ)の青過ぎる空 作:それがダメなら走っていこう
反省を促し過ぎたので許しの回です。
最低SSと言われても仕方ない。
……大分コユキには悪いことをしてしまった。
「……には……は……なにか……お役に立ちたい……です……
……反省しました……ごめんなさい……」
コユキは大分焦点の合わない虚ろな目で生来の明るさや騒がしさやらなんやらの部分が消えている。
反省を促し過ぎた……流石にフォローしないと不味い……
「いくらなんでもメンタルへし折るまで圧かける必要ありました?」
ミクパイセンが眉根を寄せて詰問するような口調で咎める。
「すまない……些か以上に反省を促し過ぎた」
ダメな転生者ムーブは腰抜けのアホと罵られて仕方ない。
「借金返済の仕事とオシオキは終わったんですから好きにしていいですよね!
ひとまず落ち着かせないと……よしよし……」
ミクパイセンが涙や鼻血を拭ったり抱きしめたり撫でたり甲斐甲斐しくお世話をしている……
「……うええっ……」
「滅茶苦茶怯えてるじゃないですか!マフティーのやり方正しくないですよ!」
ガバったかもしれん……いやガバったかこれは……ガバか……
ガバかぁ~……天を仰ぎたくなる……
とりあえず、コユキには美味いマグロのスシやらプリンやら美味しい食事を与える。
魚介由来のDHAやら糖分やらで過負荷のかかったニューロンを癒してもらおう……
「踊ったりお道化たり株価を操ったりするのは得意なのだが……
泣いている子供をあやしたり、慰めたりするのは……どうもな……
辛いものだな……マフティーというものは……」
「やって見せてくださいよマフティー、
理性的に、大人の態度で臨めばなんとでもなるはずです」
ミクパイセンに発破をかけられてしまった……
フォローってどうやるんだっけ……?
「あ~……あー、もう粛清しようとは思わない。
コユキの株価は底値を脱した」
「……本当に……大丈夫ですか……?
怒ってませんよね……本当に……?」
おずおずと怯えた口調で問いかけて来る。
ミクパイセンはそんなコユキを黙って抱きしめている。
なるべく落ち着いた口調と声音を心がける。
「反省を促し、価値を示したものを鞭打つのはマフティー性に反する……
えー、あー……そうだな、自分では自覚がないとは思うが……
与えられた借金返済の仕事に責任をもって取り組みやり遂げた
及第点を与えてもいいだろう」
「や、確かにあれむずかったし思ってたのと全然違うし……
銃突きつけられながら全然楽勝じゃない計算やったの初めてで……
それでも一個しかパスを割れてない……あ、全部出来なきゃダメとか……!!
ぐずぐずしてたら十つ子システムだから同期されて修正されちゃいます……!」
厄介なものだな、デカグラマトンというものは。
慌てず騒がずコユキが割ったパスを通じてタブレット端末を操作する。
「問題ない、一個でもパスが割れれば……
管理者(admin)デカグラマトンをマフティーに変更して……
ついでにサブの管理者をコユキにしておくか……
pass:名誉を通じた完成――これはホドか?元ミレニアムの通信網を司るAIの『ハブ』だ」
言語表記すると『名誉を通じた完成』の一文だが、名=1244‐6543‐6432‐4567のように。
一文字ごとに対応した数字コードを打ち込まねば文章としてのパスが完成せず管理者権限を取得できない。
こりゃコユキ以外に出来そうなのは余りおらんわ……
「あ、『ハブ』のファイアウォールの構築はセミナーでやらされてたし……
構築コードやAI開発なんかに関わってて癖は分かってたから……
あの中ではまだ一番ちょろいかな~って……でも全然別物になってて……」
本人は自信なさげだが……
コユキは実にいい仕事をしてくれた。
よし、アドミン権限が取得できたので
オリチャーだオリチャー!!
コマンド 深層学習(ディープラーニング) テイルズ・サガ・クロニクルっと……
クソゲーのデータをぶち込む。
乗っ取ったパスを介しクソゲーをホドにインストール!!!
超、エキサイティン!!
ついでにオリチャーだオリチャー!
ギャラクシー胎内マントラ美男子ならぬギャラクシークソゲーマフティーダンスも入れよう。
凄まじい量のアビドス砂漠の砂塵パーティクルをリアルタイム演算させつつ、さらにカボチャを被った男がテイルズ・サガ・クロニクルのプレイ動画、実況動画を背景に!
閃光を流しながら
ゆっくりと 時に激しく!!
舞踊を踊るという代物で、内容に特に意味はない!!
ただ意味の解らない事例の解析に膨大なデータ量が発生している。
『理解不能 理解不能!! 回答を、回答を!!
テイルズ・サガ・クロニクルとは一体!!
マフティーダンスとは一体!!この歌詞の意味は!?!?!?
マフティーとは クソゲーとは一体……うごごごご!!!』
ホドが必死な顔してなんかタブレットのはしっこから警告ログ出してきた。
無言で×ボタンを押して警告ログを閉じる。
しらんよしらん。ネットのおもちゃだよ。俺が聞きたい。
ふうーっ……!!すっきりしたぜぇ~!!
走者になってからずっとやりたかった夢が叶いましたよ!!
「これでひとまずデカグラマトンからの修復は抑えられるだろう」
「ええ……ううん……?これ、なにしたんですか?
本当に大丈夫なんですか……?こんなんで……」
コユキは疑問符を顔に浮かべまくっている。
オーバーレイネットワークを構築したデカグラマトン
それに無名の司祭が驕るな——!! して
十体同時に起動して戦術行動をとってシャーレにダイレクトアタック!
キヴォトスソリティア対ありでした!
生徒も先生もグットゲームぅ~www再走しろ♡
なんてつまらん爆発オチが1つ消えたかもしれん。
「コユキ百万年無罪!!」
「うわあああ!?なに!?びっくりした!!」
「要するに結果を出したし無罪ということだ
ミレニアムの内規でもそうなってるだろう?」
「結果、結果……にはは……とにかく……
結果良ければすべてオッケーってね!
ってことでいいん……ですよね……?
や、こんな運が良かったことないんで釈然としなくて」
コユキの目にハイライトが戻ってきた。
よし、この調子でガバをリカバリーしていかなければ……
「ふうっ……マフティーは罪は許した……
ミレニアムにも時期に戻れるだろう……
C&Cのネルのゲンコツとユウカの反省部屋行きは覚悟しろ」
「うああああああ――!!なんで――!!
あんなに頑張ったのに―!?やっぱり運悪いままじゃないですか!」
コユキが何時ものように目の幅涙を流している。
このクソガキ感。これだよこれ、コユキはこうでなくちゃ。
「理由を一つ一つ説明していこう
私、マフティーには反省して謝ったがユウカ達が許してくれるかはまた別だからだ、まだ謝ってないだろう?」
「げっ……先輩たちに怒られるのやだぁー!なんで――!!」
「気軽な気持ちでミレニアムの金で豪遊したからだが……
事の重大さが少しは分かってきたか?」
「……!! そんなに……不味かったですかね……
私、やらかしちゃいましたか……にはは……」
「うん、不味かったな……リオ会長が見捨てた上で罪を押し付けようなどと考えるほどには……
色んな人の期待や信頼に背き、清廉さや高潔さを失ったわけだ」
「ううっ……」
ミクパイセンは何も言わず
ニコニコしながらこのやりとりを見ている。
コユキを抱きしめたりなでなでしながら。
「だがマフティーが考えるにはリオ会長も卑劣だ。
庇えず切るまでは致し方なしとしても……
全責任をコユキに被せるのはやり過ぎだ
独裁者としては有能でも性格が悪く、責任を負わずツケも払わん
反省を促す必要があるやもしれんな……」
「えっ……リオ会長に……反省を……ひえっ……
で、でもC&Cの先輩方に護られてて……
先生もあっち側で無理じゃないですか?」
コユキがなんかびくっとした。
「リオ会長、C&C、先生? そうだな、実に恐ろしい相手だ。
で、それが何か問題か?
反省を促せぬマフティーなど存在価値は無い。
リオ会長の如何なる手段を用いてもミレニアムを護ろうとした志は高潔だ。
だが独りよがりが過ぎる。あの女は逃げるぞ、責任とツケから」
「うわぁ……」
「マフティー、あの、なんというか手心をお願いしますね?」
コユキはコミカルに白目と冷や汗を流し、ミクパイセンは宥めるように言った。
「マフティー性に反する反省の促し過ぎをやったばかりだしな……
リオ会長の話はあとだ、とりあえずコユキだが……」
「げっ、こっちに帰ってきた!」
まだまだコユキにはビビり散らかされている……
「必要以上に悲鳴を上げるな神経が傷む……
無理なハッキングをさせてすまないな、大丈夫か?」
「え、にはは……ヘイローが割れたわけじゃないですから……
鼻血とか出ましたけど二、三日もあれば良くなると思います……」
スゲーなキヴォトス人、ニューロンダメージも治るのか……
「そうか、ならばよかった……
許すから反省会だ……コユキ、君は大きな力……
いや、才能を持っていることを自覚せねばならない」
「えっ……全然ピンと来ませんね……」
「息を吸うようにやっていることが他の人には出来なかったりする
コユキのイメージは想像するしかないが……
回答が横に置かれているテスト、パスもIPも丸出し。
ハッキングや計算など回答丸写しの楽勝な作業でしかないだろう?
多分だが」
「にはは、そんな感じですよ、どうしてみんな
こんな簡単なことが分かんないのかな……」
コユキはちょっと寂しそうにした。
「脳の作りや視点が違う。
他の人は答案もパスも隠されてて見えないんだ」
「にはは……そういう物なんですか?」
「そういうものだ」
「セキュリティ意識ガバガバじゃん、私が正してあげなきゃ!
とか思ってたりするだろ?計算は得意で楽勝でも好きじゃない。
それなのにあっという間に演算能力を買われてミレニアムの中枢セミナーまで上り詰め……
息をするように出来ることで褒められ、馬鹿にされているようにしか感じられず、やる気はだんだんと失せていく。
何もかもがちょろすぎて……」
「にはは……マフティーって心とか未来とか見えてます?」
「見えるものしか見えんよ。
少なくとも私にはデカグラマトンのパスを割るなどは出来ん
誇っていいと思うぞ、何かを作る、目に見える成果や結果は出せずとも……何かを成せるのだ、反省して……
正しく才能を使えれば利益と価値を生む……そう考えるべきだ」
「そう考えたほうが……そう考えてもいいんですかね?」
「その方が建設的だ……
ま、今やるべきことは……ミレニアムに帰れるようユウカには執り成してやる
スマートに連れ帰るよう約束したしな……
ユウカやノア、C&Cに謝るのは自分でやるんだぞ?」
「うああああああ――!!なんで――!!やだ――!!」
「やらかしたからだ、でもそうだな……
リオ会長に反省を促したいし…そうだ」
そうだ、オリチャーを走ろう。
「パヴァーヌの宴もたけなわ、コユキ、謝りやすい状況を作ってやろう
ただげんこつや反省部屋を受けるだけというのもつまらん
罪を軽くするための手土産がいるとは思わないか?
それに……コユキに全部の濡れ衣を着せたリオ会長に、一緒に反省を促すの、楽しそうじゃないか?」
「リオ会長に反省を促す……に・は・は・は!!
ちょっと面白いかもしれませんね!!それ!!!」
コユキの瞳がギラリと光った。
「ミレニアムの過剰債券発行について、株主としてリオ会長に談判がある」
「タイミングを計ってエリドゥのお城に行こうか
時計仕掛けのカボチャの馬車で恐縮だがね」
「またマフティーが反省を促しに行くんですかぁ……
もうちょっとゴロゴロダラダラしててもいいじゃないですかぁ……」
ミクパイセンがダラダラした暮らしへの渇望を口にした。
面白いかどうかは保証は無いしキャラ崩壊や原作崩壊注意だ。