ゲマトリア(偽)(かぼちゃ)の青過ぎる空 作:それがダメなら走っていこう
でも大体偽マフティーがペラ回しているだけ、ごめんね。
「妙なことになってしまった」
仕方なくゲマトリアに加入した私マフティー・エリンは
今現在元アビドス高等学校本館で
黒服に言いつけられた仕事をやっている。
キヴォトスを襲う数多の滅びに巻き込まれたくないし
先生の敵として粛清されたくもないのだが……
「つまらん仕事を押し付けられたもんだな」
すなわち、牢屋番である。
牢屋番ということは囚人も当然いる。
複数、左右非対称の自動銃器赤外線レーザーポインターに照準され
囚われの少女は――後ろ手を手錠で繋がれた上でハーネスにより
細い柱に拘束されている。
ホルスの眼を模したヘイロー。
ピンクの髪、アホ毛、オッドアイの小柄な少女の図に見覚えがある。
小鳥遊ホシノ。
このイベントスチル見た事ある。
彼女は女の子座りで項垂れている。
「完全に囚われのお姫様というやつだな、囚われの星の王子さん、か。」
ジョークは大失敗。
「…………」
ガン無視である。
ホシおじの反応というか対応は塩を通り越して氷点下。
どう考えたってこの状況で好感度は上がらない。
上がるわけもない。
どう見ても悪の組織の一員です。
本当にありがとうございました。
「このような状況は私としては好ましくなかったのだがね……」
ホシおじからヘイトを買うだけの仕事とかやる気でねえわあ……
「ああ……私はマフティー・エリン、ゲマトリアの新人下っ端さ。
小鳥遊ホシノ嬢、うら若き乙女にはもっとましな待遇をすべきだとは思うが
すまないがこの拘束は黒服の指示でね、まったく生き辛いものだよ」
「……うへぇ~……マフティーって人は暇なんだね」
ようやく反応が返ってきたと思ったら
心底うんざりしたような声音で
原作ハサウェイがキレそうなセリフここで出てきた。
当然の皮肉ではあるけれど。
「その通り、しがない牢屋番は暇な道化なんだ……
まったく、どう踊ればいいか教えて欲しいくらいだよ……
うら若き乙女と気の利いた会話など出来ようはずもない……」
「……ダメもとで聞いてみるけどさぁ~、……私はこれからどうなるの?」
「このまま助けが来なければ、の話だが
黒服の神秘と恐怖を共存させる実験に使われてヘイローが壊れる」
「うへぇ……何それ……」
「私の憶測だが黒服の実験はまず失敗すると考えている。
表面の神秘や裏面の恐怖を同時に観測しようと
崇高というカードやコインを無理やり曲げても
罅割れと曲がり方の形が変わるだけ。
だが奴は検算しないと気が済まんのだ。
黒服のやろうとしているのは神秘の浪費だよ、やる気など出ようはずもない
私個人の考えだが利用したいだけで殺したいわけではないのだ」
「そんなことの為に……ごめん、みんな……
こんなつもりじゃなかったけどな……」
ホシおじがズンムリと曇ってしまった……
いや当たり前だがどうすればいいんだ……
ゲマトリアムーブとしては百点かもしれんが……
いかん、このままだと殴りこんできた先生とアビドス高校の連中に粛清される!
何かないか……
「悪党が冥土の土産にべらべら喋っているのは
ひょっとすると生存フラグかもしれんぞ……
先生……崇高の器、もし私の予測と予言を超えるものであれば……」
「先生……」
ホシおじの眼に微かに光が戻る。
ホントに信じてるからな先生!
俺も先生がきっとなんとかしてくれると信じてる!
「……これでも私は仲間のために身を捧げる
ホシノ嬢の覚悟を高く評価していてね」
俺なんかライブ感で適当なペラ回ししかできないぞ!
でもここでアビドス対策委員会編が終わってもビナーいるよな……
あれにアビドス高校が潰されても問題しかねえ。
「ホシノ嬢が決して解けない謎に包まれながら
死の黄昏に踏み込んでいくのを
見るに忍びなく思うのだよ」
「何さ、何が言いたいの?」
「例えば……ユメ先輩がなぜ 砂漠に【居た】のかなどに興味はないか?
一つの推測があるので答え合わせを……」
「マフティー、お前ぇ!!お前だったのか!!
お前がユメ先輩を……!!」
ひえっ。
反応が劇的過ぎるっていうかバチグソにブチ切れていらっしゃる!
ガッシャンガッシャン拘束されてる手錠とか柱とか
ヘし曲がりかねない勢いでホシおじが暴れとる!
これ下手人と勘違いされとる!
「勘違いしないで欲しいのだが私の仕業ではない……信じられないだろうがね……
話の続きと行こう。ユメ先輩はアビドス砂祭りを復活させようとしていた……」
「…………」
クッソ睨まれている……欠片も信用されていない……
「数十年前にアビドス自治区の砂漠にて初めて目撃されたビナー。
数十年前までは、アビドス砂祭りは普通に執り行われていた……
ユメ先輩はデカグラマトンのビナーに砂漠化の原因があるのでは、と考えた……」
「ああ、デカグラマトンのビナーというのはだな……
無名の司祭――所謂古代人が作った
巨大な蛇の形をした古代兵器だ」
「カイザーコーポレーションのビナー調査依頼もあったかもしれないな。
その報酬を借金返済のあてにしようとしたのかもしれん」
「セトは砂漠の神であり、砂嵐を引き起こしているとされる
ホルスの親であるオシリスはセトによって殺される。
アポピスという蛇はその邪悪さのためにセトと同一視された。
デカグラマトン・ビナーも巨大な蛇だな、此処に私は神話的符号を見る」
「よく喋るのは道化の悪癖だな。
砂祭りを復活させたいユメ先輩は砂漠化の原因を突き止め
独りでトーメント(拷問)のビナーに挑んでしまった。
これが、私マフティーが考える、ユメ先輩の道程だ。
巨大な蛇の兵器が地上をのたくれば地盤は破壊され
地上の植物相が根付いてもめちゃくちゃになる……」
「…………信じられない」
ホシおじはこっちを相変わらず睨んでいる。
遠くで爆発音が聞こえ始めた……
やべえ、潮時だな……
スマホを弄って黒服にコールを掛ける。
「潮時だぞ黒服、シャーレが介入して来るのは流石に上手くないだろう?
ここらが手じまい時だ、もうホルスを見張ってなくていいよな!私も撤収するぞ。
やはり先生は予測を飛び越えてきただろう? じゃあ、そういうことで」
通話を落とす。
「アビドス旧校舎を探してみると良い、ビナーの資料が見つかるかもしれん
悪い大人の言動を鵜呑みにするものではない、真実は自分で掴め」
牢の鍵を開け、赤外線照準を止め、手錠の鍵だけは床に放る。
「うへえ~……マフティー、お前、何がしたいのさぁ……?」
げんなりした口調で訳の分からない、という反応を示すホシおじ。
「サン=テグジュペリの星の王子さまでは
王子はヘビに噛まれて砂漠に倒れた。
予定調和の結末はつまらないだろう?」
両手を天に掲げるポーズをする。
出来ることなら頑張ってビナーぶっ飛ばしてホシおじ……
「今回は私たちの負けだ。
王子様に殴られないうちに、ちんけな悪役は退散することにしよう」
やべえ、爆発音と銃声がどんどん近づいてきている……
とっとと裏口から逃げねば……!!
ゲマトリアムーブとか全然わからねえ!
多分これで良いんだよな!
ヨシってことにしよう!!
面白いかどうかなどわからない。