ゲマトリア(偽)(かぼちゃ)の青過ぎる空 作:それがダメなら走っていこう
遂に原作から外れだす奴らが増えます。噴き出したゲヘナの「ツケ」
誰かさんたちの所為です、あーあ。
キャラ崩壊注意、合わない人は他の上質な
ブルアカ二次を摂取した方がお互いよいかもです……
手癖で書いてるから原作キャラが歪んじゃうんだよね……
BGM:MEGALOVANIA (アンダーテール)
【Location:ゲマトリアアジト】
少しだけ時間は遡る。数週間前――
「黒ユウカとかゴルヒフミとかいたからマエストロにも端末っているのか?」
マフティーは興味本位で尋ねた。
「居ることにはいます。
……この美しくない体ではどうしても出来ない美の追求…………
いささかの……いえ、強い興味がありまして……
少しだけ、感覚を共有してもらうための養女、といったところでしょうか……
丁度、ケガを負った者が二人いたので……」
マエストロはためらいがちに答えた。
「しかし知識や力を貸し与えただけでほとんど自由にさせています。意志を縛ればクリエイティブはできません。
自由と混沌がインスピレーションになるかと思いましたが……
学校選びを間違えましたね……」
「まさか……美食とかじゃなく、美味しい食事を作る側か?」
「はい、ただ……敬意を払ってくれない。
画商とディーラーにいささか困り果てているようで……
なんとかしてあげたいのですがなんとかなりませんかマフティー……」
そっかー……可哀そうが限界突破して端末化しちゃったかあ……
「無いことは無いが……これは生徒を生徒とも思わぬ外道の策だ……」
試走、捨て周回前提でオリチャーもオリチャー、もしハマってしまうと……
最終編やエデンで詰むからやりたくないし教えたくない……のが本音だけど……
【Location:ゲヘナ給食部厨房】
「もう……沢山よ……」
まな板の上にカランと音を立てて包丁とおたまが放られた。
傷ついた彼女の誇りと心を象徴するかのように。
「私、ゲヘナも給食部もやめる、もうイヤ、もう無理、もう限界……」
その赤い目は死んだ目を通り越して虚ろな絶望、ハイライトが無いどころか曇り切った白目。
「フウカ先輩……!!」
牛牧ジュリは緑の目に涙をいっぱい貯め、両手で嗚咽を堪えている。
ゲヘナ学園給食部2年生愛清フウカ。
自分勝手な問題児だらけのゲヘナ学園において、至って普通で常識的。
赤い瞳はだいたい눈_눈。
額からは2本の角が生えている。
給食部らしくエプロンと三角巾を着用し……
ただ少し、違うのは黒髪ツインテールを纏める目立たない髪留めが、目の文様が刻まれたウッドキューブである……
「敬意は払われないのに料理とお客さんに敬意を払うことに疲れちゃった……」
愛清フウカはすすり泣いた。
だいたいいつも白目涙目だけれども、今回ばかりはガチ泣きである。
「……フウカ先輩……」
ゲヘナ学園給食部1年生牛牧ジュリは沈痛な面持ちだ。
緑の目にピンク髪のロングヘアを三角巾で纏め、立派な胸部装甲とタイツ。エプロンを装備している。
ただ、ちょっとだけ違うのはストラップに小さな木のデッサン人形がついている事……
明るく天然で裏表のない性格だが破滅的なメシマズである。
本人は料理が上手くなりたいという意思はあるのだが……
今までの思い出が走馬灯のように二人の脳裏をよぎる。
「ジュリ……料理に恐怖(テラー)を注ぎ込むアレンジは止めてって何度言ったら……!」
「イズミ先輩は美味しいって……」
「テラー入り料理を平らげれるのはあの子だけよ!」
「たくさん描かないとデッサンは上達しない……だけどさぁ!
目玉焼き4000枚を二時間で作るのは無理!複製(ミメシス)を使っても……」
「ジュリ……!あんたは下書き……じゃなく下ごしらえ!」
「はい、マエ……げふん厨房のマエストロ、フウカ先輩!」
「ジュリも厨房のマエストロでしょうが!」
「ああもうヤダ入る学校まちがえたああああ!!
私のアトリエに湧く最低なイナゴ画商共――!!
文句と酷評ばっかつける上に買いたたくアートディーラーたちが群れをなしてくるよぉおおお!!!」
「私はゲヘナの敵でもないけど味方でもない!
邪魔はしないっていってるでしょ!」
給食が不味いと文句を垂れるゲヘナ生徒。
お構いなしに来襲する美食研究会。
「いつもの事だから感覚がマヒしている自分がいる……
人は環境に適応する生き物というけど、こんな適応したくない!」
「うう……そういえば私も……いつもいつでも……
美食研究会に気絶させられてばかりの気がします……
まともに食べてくれるのはイズミ先輩ばかりで……」
ジュリのハイライトも曇った。
「思い通りにいかないのが人生というものですわ!」
そんなことをのたまう美食研究会の部長の図が浮かんだ。
選択の自由を主張するのは得てして……
いつもあなたの選択の自由を制限したがる人たちだ。
フウカの目は影に覆われ、小さく、ギリッ、と奥歯を噛みしめた。
ジュリは能面の様な無表情だ。
ジゴクめいた思い出を打ち切り、フウカは一冊の本をカバンから取り出した。
菜根譚……随筆集……料理の心得の書かれた一節を読み上げた。
「菜根譚に曰く……
醲肥辛甘(じょうひひんかん)は真味にあらず
真味は只だこれ淡なり。
真味、ただ……これ……淡なれば」
「どういう意味なんでしょうか……フウカ先輩……」
「濃い酒や濃厚な食べ物、脂の乗った肉や魚は本当の味ではありません。
真味……本当の味は、本物の味は……
毎日食べる愛情の籠った飽きのこないご飯や……
粗末な食べ物のような淡白な食べ物の中にある……」
フウカは菜根譚をまな板の上に放った。
「私はそう信じてた、そう信じていたかった、それを信じて頑張っていれば……いつかは……
絵筆が粗末、絵の具が悪い……道具の所為にはしたくなかった……
それをしてしまえば本当に美味しいものを作る才能がないって認めることになるから……
粗悪な食材でも、レシピの模写の果てに……本物が出来るって……!
本当に美しい味を”理解”してくれると思ってた、でも違った!」
「侘び寂びって知ってる、ジュリ……?
侘び寂びは、慎ましく、質素なものの中に
奥深さや豊かさなど「趣」を感じる心、美意識……
それが伝わらなかった……何一つも!! ゲヘナの奴らは文句ばかり!」
複製(ミメシス)と恐怖(テラー)を受け継いだ厨房の双子にてマエストロ。
「うう……フウカ先輩……
なんで私は料理をするたびに、失敗ばかりするのでしょう……
ずっと、ずっとそう思っていました……」
ジュリは能面の様な無表情だ。
「だけど、遂に体質を『わかって』しまいました、何がダメなのか。
分かってはいけない事、分かりたくなくてずっと目を背けていたこと……
このストラップを付けて、恐怖の知識を得て初めて理解しました」
ジュリは木人形のストラップを握りしめると
カレー鍋にお玉を突っ込んだ、一瞬で紫に変色して蠢き始めた。
「動植物を切り刻んだり煮込んだりした死体に……
私の神秘から漏れた恐怖(テラー)が注ぎ込まれれば……
どうなるかなんて……分かり切ってますよね……ううっ、ふふっ!ふぐっ……!」
ジュリはすすり泣いた。
【Location:ゲマトリアアジト】
美食は飯屋やレストランへ入るたびに再走案件を齎したので……
神経が苛立ってなんかないさ、本当さ。
ちょっと株がストップ安になってロスカット寸前ナンデ。
先生の結婚式の引き出物のバームクーヘンでも喰ってろってなんて思ってないさ。
ガチで反省を促そうなんて思ってないさ、本当さ。
正直エデンとか最終編で重要な役割果たすから持ってるだけで美食株ロスカット寸前。
デカグラマトン自販機のコーヒーに伝説の古代人が愛したコーヒーって銘打ってペラ回すだけだから。
運が良ければ自販機爆破してギャグ落ちに出来るだろう……?
ちょっとツケを払ってもらいたいだけさ。
お代はコイン一個、コンティニュー出来ない?
なんとでもなるはずだ、やって見せろよ美食。
美食はちょっとオイタが過ぎる。
美食屋なんだから「GOD」に挑まなきゃウソだろ。カエルならぬ神気取りの自販機に。
コーヒーが不味いって言って自販機爆破してデカグラマトン本体をギャグ落ちにしてくれたら最高だな。
どちらに転んでもマフティーに損はない。
「ああ、もしも、もし仮にマエストロの養女……
フウカとジュリがもし――もし我慢ならなかったら……」
「いや、平穏が欲しいなーとか思ったら伝説のコーヒー自販機の噂を美食に聞かせてあげると良い……
もしも――言ってみるだけ無駄ではないのなら
――時間は稼げるかもしれん」
「なるほど……伝説のコーヒーの噂……」
マフティーからの心づくしの贈り物……
アバドンに贈るサガルマータ。
イナゴってさぁ、チョモランマは超えられないらしいんだよね。
寒すぎて。
何の関係もないけどさ。
美食研究会、自販機のコーヒーに包まれてあれ……
カラダニキヲツケテネ!
……美食ならなんとでもなるはずだ!
信じないということもできるし、捜索が空振りならフウカとジュリはその間平和だ。
キヴォトスに来てからだいたい期限切れの弁当か――
コンビニ弁当しか食ってなかったしな……
マフティーは心の中でプレナパデス先生とプラナに謝った。
『すまんな、プレナパテス先生にプラナ、俺は反省を促す事しか出来ん』
『これだから約束なんぞしたくなかったんだ』
『だから、促すだけ促し、最後は生徒に委ねたいと思います』
プラナは顔を覆った。
プレナパテス先生は頭を抱えた。
【Location:ゲヘナ給食部厨房】
フウカは完全に死んだ目でメモを書いていた。
「……どうせ、どうせ貴女達は身勝手なことしか言わないでしょう……?
やれ、料理人の誇りはどうしただの、フウカさんの料理にかける情熱はその程度の物でしたの見損ないましたわ!だの……」
「今からでも見えるわ、そんなに言うならあんたたちが作りなさいよなんていったら、キョトンとした顔でなぜわたくしたちがそんなことを?とか、いいそう……
私だって……食べてくれるお客さんに敬意を払いたかった……
貴方達の美食にかける信念とか情熱とかもわからなくもなかった、でももう無理。
友情で妥協するのも限界、やって見せろよ美食、なんとでもなるはずよ」
「………………………」
ジュリは何も言わない、無表情だ。
「クリエイターのやる気を削ぐのは、いつだって批評家(ディレッタント)ですよね……」
ポツリとジュリはこぼす。
フウカは包丁でまな板にメモを突き刺した。
≪スランプに陥りました、実家に帰らせていただきます≫
≪貴女達はきっと何が悪いのかも露ほども分からないと思います≫
≪ただ、美食への障害と思い込んで首に縄を掛けてでも連れ戻すだけでしょう≫
≪私たちはただ、もう紛い物を作ることに耐えられなくなりました≫
≪私たちの不味い給食の代わりにもっと美味しいものの噂を聞きました≫
≪古代人がこよなく愛した伝説のコーヒー自販機の噂を書いておきます≫
≪美味しくない給食と私たちより、そっちを探してください フウカ・ジュリ≫
「……これからどうします、フウカ先輩」
「知らない……ああ、でも……謝りもせずに首に縄掛けられて厨房に立たされるのはヤダなぁ……」
「……実家のアトリエに、アレがありましたよね」
「アレか……ちょうど、二つあるし、傷心旅行のお供には悪くないと思う……」
【Location:ゲマトリアアジト】
そして時は現在に戻る。
ミクを連れて慌てて帰ってきたマエストロが大騒ぎしている。
「た、大変ですマフティー!アトリエに仕舞っていた……
ヒエロニムスとグレゴリオが無くなっています!!
多分フウカとジュリの仕業ですが連絡を断たれました!!」
ギシギシとデッサン人形の体を軋ませながら
マエストロが慌てていた。
「うっそだろ当てにしてたんだぞ!?
ミカテラー相手にドンドン戦力が下がっていくんだが!?」
マフティーは絶叫し胃痛に軋む神経、踊る胃を抑えた。
面白いかどうかなどさっぱり保証は無い。
フウカ、ジュリ、登校拒否。