ゲマトリア(偽)(かぼちゃ)の青過ぎる空 作:それがダメなら走っていこう
永久に終わらない補習授業の終わり。
約束された脳破壊のナギサ様。
【Location:トリニティ別棟・補習授業部部室】
手が足りない、全然全く手が足りない。
マエストロはひとまずアリウス自治区に向かってもらって、ベアおばがアリウスに出した無茶苦茶な命令を片っ端から虚しくしてもらわないと……
「あ、あはは……こんにちは、マフティー……
こっちはめちゃくちゃ大変だったんですよ!
もうちょっと早く来てくれてもいいじゃないですか!」
「そういうこったペロ!」
ゴルヒフミとデカペロロが迎えに来てくれた
「すまないなヒフミ……あと1つ言っていいか!?
ここに来るまでブービートラップだらけだったんだが!?
アズサの仕業だろ絶対!!!」
神経が苛立つわ!!
マフティーはすぐ割れるカボチャなんだぞ!
こんなんヒフミの案内が無ければうっかり再走あるぞ!
で、補習授業部の奴らと顔合わせなわけだ。
「補習授業部のお嬢様方各位に申し上げる。
わたしは、マフティー・エリンだ……」
堂々と部室を水着でうろつくオープンスケベの痴女浦和ハナコ!
ガスマスクにスカルマン人形を持つ戦争ボケ少女白洲アズサ!
参考書に重ねてエッチな本を見て顔を赤らめている耳年増のムッツリスケベのおバカが下江コハル!
そして部長はテストぶっちしてでもペロロライブに行くペロキチのゴルヒフミとデカペロロ、以上!
「これが素敵な補習授業部の馬鹿共だミク!」
「うわぁ……濃い……トリニティって陰湿じゃないとこんなのばっかりなんですかぁ……」
ミクパイセンはげんなりした。
「神経が苛立って仕方ないわ!突っ込まないぞもう!!」
「ふふっ、陰茎が苛立つ?どこに何を突っ込むおつもりなんですか?」
「エッチなのはダメ、死刑!!」
艶然と微笑むハナコ。
目を猫のようにして叫ぶコハル。
「ハイハイワロスワロス色ボケども!反省を促してやる!!」
とりあえずハリセンでハナコとコハルをひっぱたく。
「あらっ!」
「きゃあ!」
「あはは……私、これでも頑張って補習授業部の体裁を整えようと……
ナギサ様を宥めながらハナコちゃんとコハルちゃんを止めて……
頑張ってたんですよマフティー……」
「そういうこったペロ……」
「うん、ヒフミは物凄く頑張ってた……静止が追い付かない」
疲れ切ったゴルヒフミ、あきれるアズサ。
「あらあらうふふ……アズサちゃん●●が追い付かないなんてそんな……」
「も、もう!エッチなのはダメって言ってるでしょ!?」
「淫語を上げるな!! いい加減にしろ言葉狩りはもう結構だ!」
「マフティーが真面目な話しようとしてるんですから……!」
ようやく、少し喧騒が落ち着く。
三人寄れば姦しいというがこれは極めつけだ……
「コホン、真面目な話をしてもいいか?
端からこの補習授業部は茶番なのだよ!
ナギサ嬢がトリニティの裏切り者を纏めて処分するためのな!」
「うふふ……どういうことでしょう?」
ハナコは隠語と淫語を止め目を細めた。
「言葉通りの意味だ、ヒフミから大体のあらましは聞いている!
ハナコ嬢がトリカス除けに痴女を演ずるうち、役になり切った苛烈な才媛だということもな!
因みにナギサが指定する次の試験会場はゲヘナの学区内だ!!」
「あら、あら、あら、まあ、まあまあ……
――いくら何でもあんまりではないでしょうか。
ヒフミちゃんと私たちの頑張りも知らないで……
笑えない、いえ……イケない悪戯ですねナギサさん……」
ハナコの瞳が影に覆われた。
全てが茶番だと悟ったのだろう。
……あっちは置いといてオリチャーだオリチャー!
「で、次アズサ!アリウス生徒会長ベアトリーチェは児童虐待で罷免される予定だ!というか今日付けで罷免!
セイアの暗殺命令をベアトに言われたかもしれんが中止だ中止!」
「え……?」
ポカンとするアズサ。
「聞こえなかったのか!?アリウスに下された軍事命令は白紙撤回される!
ベアトが独断で温めていた、エデン条約の時を狙ったテロ行為を止めに来た!
権限、命令系統!?私マフティー・エリンはやろうと思えばアリウス自治区を丸ごと買い上げてアリウスの理事にだってなれる、出来んとは先生にも言わせない!」
「りょ、了解した。理解に苦しむが……
上層部のゴタゴタで任務と目標が白紙撤回……ということでいいの?
じゃあアリウスは……」
「アリウス自治区は再編成される予定だ。
ベアトの出した滅茶苦茶な命令と教育を全部差し止めて……
人道支援で物資も送らねば……アリウススクワッドを止めて……
ベアおばの植え付けた憎悪と洗脳軍事教育は虚しくなった!
代わりにマフティーの清廉さと高潔さを叩き込んでやる!」
こちとら熟練の走者やぞ!
ドンだけキヴォトスの深すぎる仕組みに努力を無にされたと思ってる!
「そう……清廉さと高潔さ……虚しいよりはマシ……かな?
ベアトリーチェよりマシな上官であることを期待する」
とりあえずアズサの対処はこれでいいのか?
もうオリチャー走りすぎていて訳わかんなくなってきたぞ……?
「え、え?どういうこと?
私バカだから流れについていけないんだけど……
このおじさんヒフミちゃんのパパ活相手とかじゃないの?
……そ、そういうのはダメ!」
「ヒフミぃ!!コハルにどんな説明したんだ!
ミク、アズサ!とりあえずこの頭コハル真っピンクをプールに漬け込んで冷水で頭を冷やさせて反省を促せ!
話の腰が折れて神経が苛立つんじゃ!」
「あら、腰が」
「言わせねえよハナコ!ミク!ハナコも連行!反省!」
「もー!いい加減にしてくださいよマフティーが真面目に話してるんですからね!この痴女と耳年増は……!」
「了解した、あらほらさっさ~……」
「あ~れ~♪」
「ちょっとやめなさいよひゃあ!」
ドボーンと音がしてミクとアズサの手により頭に透明が詰まっているハナコとコハルはプールに沈められた。
少しは煩悩に反省を促せられればいいが……!
「コハルも煩悩を除けば正実らしく熱い正義の心が眠ってるんだがなあ……」
「あはは……マフティー……毎日こんな感じだったんですよ?
勉強がはかどるわけないでしょう!!」
ゴルヒフミは試験用紙を自棄になって部屋に撒いた。
参考書や紙が宙を舞った。
「そういうこったペロ!!」
「お前ら……すまんな……ほんとすまん……大変だったんだな……!」
神経にどっと疲れが押し寄せる。
透き通る水着イベント……そんなもん見てる暇ないわ……
あるわけねえだろ……
「あらあら……水も滴るいい女、と言ったところですね。
ところでマフティー、私ナギサさんにちょっとしたイタズラをしたいのですが」
復活はえーな水着痴女……
ただ顔だけしか笑ってないんだよねハナコ。
目も笑みの形だけど影が掛かってる。
「ああ、不安定になってるナギサ嬢も対処しないといけないからな……
セーフハウスに居ると思うが……」
「あら……うふふでは行きましょうか、補習授業部みんなで……」
もー、どうすんだよこのエデン条約……
進行もなんもかんも滅茶苦茶だぞ……!!
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【Location:トリニティ・ナギサ様のセーフハウス】
予想通り不安に駆られたナギサ様はセーフハウスに引きこもっているらしい。
ヒフミに聞いた、間違いない。
時系列も狂ってるよぉ!
起こるはずのイベントがスキップされ、起こらないはずのイベントばっかり起きる!
冷静に怒り狂ったハナコを筆頭にセーフハウスを急襲。
「悪い事を……したかもしれない……
後悔はっ……していない……
全てはっ……大義のため……」
震える手でティーカップを持つナギサ様。
ハナコがキレて例のセリフを動揺するナギサ様に伝えようとしたところで……
5のマークを付けた紙袋を被ったゴルヒフミが勝手にナギサ様の部屋に入った。
なんかマフティーは流れに身を任せるしかないんだが?
ゴルヒフミは紙袋を脱ぎ捨てた。
そして叫んだ。
「どうして推理小説で……
犯人に赤ペンで丸付けちゃったんですかナギサ様!!」
「私は青臭くて稚拙な青春文学で良かったのに!!」
「実在と実存の文脈が好きだったのに!!
暴かなくてもいい秘密を暴いて!!
政治のあれこれに疲れていたはずのナギサ様が自分の心の安心のために謀略を弄んで!!悪役令嬢になって!!」
「このまま静かにヒフミにテクストが溶けて行っても構わなかったのに!!」
「……とっても楽しかったのにっ!!面白かったのにっ!!
ナギサ様に感じた友情には嘘も外連味もなかったのに!
トリニティの政治に疲れたナギサ様が可哀そうだったのも本当だったのに!」
「あはは……どうして『お友達ごっこ』にしちゃったんですか!!」
「ナギサ様!!どうしてっ!答えてっ!!」
「こんなの……台無しです!!
登場人物を曇らせれば感動的って駄作……!
安っぽいお涙頂戴の三流悲劇……物語以下の茶番、クソ脚本……」
「そういうこったペロ……」
どこかデカペロロ様の声も物悲しい。
ゴルヒフミは泣き崩れた、デカペロロ様を抱えて。
「お友達ごっこ……お友達ごっこ……私が……自分で?」
ナギサ様が白磁のティーカップを取り落とした。
床に落ちて真っ赤な紅茶と一緒に飛び散った。
「いや、いや……嘘、違う、違うのヒフミさん……
私は、ただ、トリニティを……エデン条約を……」
真っ青になったナギサ様。
「それなら補習授業部のテストをゲヘナでやらせようとするな。
先生の手を煩わせ、学園間紛争の火種を撒いていると何故気付かん。
淑女ならもう少し上手くできなかったのか?」
見かねてミクと共に入室した。
「マフティー!!こうなったのは何もかも貴方の手引きで仕業でしたのっ!?」
「知らんよ、知らん!逆だ!私は事態を収拾しに来たのだ!
大義を忘れたベアトリーチェを粛清に来ただけだ!ゲマトリアとしてな!」
「なっ……セイアさんの昏倒は……」
「ラプラスの匣がこのタイミングで流出するのは想定外だ!
順を追って説明してやる、図らずも根も葉もないうわさで不良の王冠になったラプラスの匣、確かめずにはいられなかったセイア。
不良との取り合いで無秩序な乱闘に巻き込まれただけだろう!私は命令していない!
持ち出せるはずもない匣を持ち出したのはレイサの仕業だろうな!
シャーレのカフェが吹っ飛んだだけで幸運だったとさえ言える!」
ホントにレイサが絡むと何起るかわかんねーんだよ!
アプリ版準拠でパッチ当たってないならレイサカフェバグでキヴォトスが終わるところだったわ!
「……そ、そんな……ベアトリーチェとは誰、粛清……?」
「大人なのに年も考えずアリウスの生徒会長をやっていたバカだ!
全ては奴の独断専行……!
アリウスの領地を得たことに気をよくして生徒たちに歪んだ洗脳教育を施して兵隊とし、エデン条約の時、集まったゲヘナトリニティ首脳を巡航ミサイルで纏めて吹き飛ばし、先生を亡き者にしようとテロを企んでいた!
挙句の果てには聖園ミカを傀儡にしようとして逆に取り込まれ暴走を始める始末だ救えん!
全ての謀略が失敗した奴がヤケクソで色彩を呼び寄せる前に阻止せねばならん」
ベアおばぁ!ほんま……ほんま……!でもベアおばボッシュート封印って色彩の時報で最終編の合図だよなぁ!どうやったらいいんだよ!
なんとでもなるのかこれぇ!!
「自己成就的予言という奴だな。
疑心暗鬼から裏切り者っぽい者を箱に入れたらそうでないものまでまとめて裏切ってしまったのだ。
トリニティの悪役令嬢のように謀略を弄んだツケを自分で払うことになったに過ぎん」
これでナギサ様も少しは反省して――
「かはっ……こひゅ……」
ナギサは自分の無垢(イノセンス)が失われたのを深く感じ、底なしの絶望に飲み込まれていくのを感じながら卒倒した。
「に、任務の遂行完了……?まだ撃ってないのに桐藤ナギサが倒れた……」
コテン、と首を傾げるアズサ。
「大変です息をしていません!」
ミクパイセンがわたわたしている。
うっそだろもしかしてガバった!?こんなところで再走?
「あら!?ちょ、ちょっとくらいはショックを受けてもらおうかと……」
バツの悪そうなハナコ。
「心臓マッサージぃいいいいい!!誰でもいい早くしろー!
間に合わなくなっても知らんぞぉぉ!?」
補習授業部の皆が慌てて心臓マッサージをするとナギサ様は息を吹き返した……
ただし顔色はガラスの仮面のように真っ白で白目を剥いている気がする……
ふうっ……危ない所だった……こんなんで再走とか嫌だわ……
緊張が切れてしまった。
思わず『身構える』のを止め、一瞬だけ神経を休め……
あれ……死地に居るのに。
神経に苛立ちも何も感じない。
おかしい、おかしいよな、おかしい。
ふと空……いや天井を仰ぐ。
デカすぎるプレッシャーで神経がマヒって……
上空から無邪気な邪気が来る!
「ミクゥゥゥゥ!!弾種、アメミットで直上!!今すぐ撃て!!
全員伏せろぉおおお!!」
素早く手近なテーブルの下に転がり込んだ。
「えっ、あっ、はい! 行きまーす!!」
直後、ナギサ様のセーフハウスは屋根ごと吹っ飛んだ。
降ってきた彗星と破壊音波がぶつかり合って。
なんということをしてくれたのでしょうか。
ナギサ様のセーフハウスの見晴らしがよくなっちゃったぞお……
うわぁ……劇的ビフォーアフターだぁ……
何やってんだミカァァァァァァ!!
「あはっ☆ 補習授業部とナギちゃんを見てたら……
先生が来ると思ってたんだけどなぁ……何で先生は居ないのかぁ……
うん、だから、祈るね?」
上空から降っておりて来るのはミカテラーです。
どう見ても正気ではありません、本当にありがとうございましたぁ!
「ミクっ!! 補習授業部――!!ナギサを連れて逃げろ!!
力ではどうにもならん!! 最悪殺されるぞ!! 私が話をしてみる!!」
「そんな!!」
ミクパイセンは悲鳴のように抗議する。
「いいからいけっ!!何とでもなるはずだ!!」
「信じてますからね、やって見せてくださいマフティー!!」
ミクと補習授業部は素直に撤退してくれたようだ……
なんとでもなるのかなあ、此処からっつーかずっと地獄なんだけどぉ!
なんとかなれー!!
「どうして先生はゲヘナになんか行ってこんなパチモンが来るんだろ……
あはっ☆……おかしいじゃんね……」
胸倉を掴まれてあっという間に宙づりにされた。
こっから回せるペラがあるんですか……?
やって見せるしかない!!
「うぐっ……もうこんなことはやめるんだミカ……
先生ならば……明るく真面目で優しいお姫様を待ってるんじゃないのか……?
例えば……セイアの回復を祈って折り鶴を折るような……」
一瞬だけ、金色の瞳が揺れた。
だけど、羽に着いた赤い瞳が泣き止んだ。
ベアおば、ベアおばぁあああああああああああああああああああああ!!
「うん、そうだね、うん、だから、祈るね?
先生かなあ、来てくれるかなぁって期待させておいて裏切ったんだからさ。
うふふ。イレギュラーのあなたも覚悟しておいてね。
アリウススクワッドと一緒に並べてあげるから。
簡単には――楽にはしてあげないじゃんね」
ミカ*テラーがちょっと指に力をこめた。
それだけで私の意識は暗転した……
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【Location:トリニティの何処か】
うぐぐ……体の自由が利かない……
首の骨は幸い折れていないようだ……だが……
十字架に磔にされているんだが!!!
首だけであたりを見渡すと……
なんと、アズサ以外のアリウススクワッドの面々が十字架に磔にされている!!
なんかどっかで見たようなスチルだなぁ!!!
トリカスが青い顔して大量の薪を準備始めているんだが……?
ミクパイセンー!!プレ先!プラナ!!
マエストロにゲマトリアの皆ー!!先生ー!!
補習授業部!!この際ホドとかでもいい!!
誰か、誰かマフティーを助けてくれー!!