(「儂のトビゲリを受けて立つか」浮浪者は苦々しげに呟く。そして像の上で立ち上がり、敵を見下ろしてアイサツに応じた。「ドーモはじめまして、ブッシュレンジャー=サン。ニンジャスレイヤーです」非常灯の光がその顔を照らした。鼻から下をぼろ布に覆い……両目の瞳は、センコのように細まって輝いていた。)
「ニンジャスレイヤーだと?」ブッシュレンジャーは眉根を寄せた。視界の隅でクローンヤクザがチャカをリロードしている。「……同じ名前のニンジャが10年前にもいたと聞いた」「それは儂だ」「バカな。奴はロードに敗れて爆発四散したと」
ニンジャスレイヤーは少し黙ったが、やがて答える。「しかし儂はこうして生きている。そして今ここにいることも知らなんだ。オヌシらの情報網もまったくアテにならんものよな」
「ええい!ヤッチマエー!」ブッシュレンジャーはクローンヤクザがリロードを終えたのを見るなり攻撃命令!そして自らは連続バク転で間合いを取る!
「「スッゾオラーッ!!」」BLAMBLAMBLAMBLAM!ヤクザ2人のチャカ銃撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはビントロくん像の頭の上から回転ジャンプし、天井のカジキ・ポップを蹴ってトライアングル・リープし回避!
「クソッ、こんなイクサは俺の任務の範囲外だ!」ブッシュレンジャーはIRC端末をタイプし、緊急救援要請コマンド発信を試みる。「タ」「ス」「ケ」……「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが空中からスリケンを投擲!
刃はドライブ軌道で飛び、KBAM!ブルズアイ!ブッシュレンジャーの端末を破壊!「バカナー!?」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはそれを尻目にロブスター・ポップを蹴って再度トライアングル・リープし、クローンヤクザたちの近くに着地!
「イヤーッ!」「グワーッ!」チョップで1人目の首を折る!即死!「ザッケンナコラーッ!」2人目がかろうじて反応しチャカで反撃してくる!BLAM!「イヤーッ!」ブリッジ回避!さらにその勢いで逆立ちになり、ブレイクダンスじみた回し蹴りで反撃!「グワーッ!」2人目も首を折られて即死!
「おのれ!イヤーッ!」ブッシュレンジャーがフックロープを投げつける!ニンジャスレイヤーは眉根を寄せた。この姿勢では回避が間に合わぬ。「イヤーッ!」逆立ち蹴りでフックを蹴り払いにいく。ブッシュレンジャーの目がぎらりと輝く!
「かかったりーッ!」やにわフックロープが黄色に発光したかと思うと、蹴り払いを受け付けずニンジャスレイヤーの脚に吸着!さらに蛇のごとく両脚に巻きつき、キオツケの姿勢で拘束する!
「グワーッ!これは……コソク・ジツ!」「ハハハ!よく知っているな、知っていてもかわせないものか!」ブッシュレンジャーは凶悪に笑い、ロープを手に絡めてしっかりと握る。ロープのエンハンス光が強まる。「釣り上げられたマグロめいてのたうつ準備はいいか、ニンジャスレイヤー=サン?いくぞ!」邪悪ニンジャの両腕に力がこもる!
「イヤーッ!」ブッシュレンジャーが縛られたニンジャスレイヤーをハンマー投げめいて振り回す!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはテーブル席に激突!『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが衝撃で誤作動し、カプセルを排出!中身はタマゴ・スシを模したオモチャ!『タマゴ〜!』
「イヤーッ!」ブッシュレンジャーが縛られたニンジャスレイヤーをハンマー投げめいて振り回す!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはテーブル席に激突!『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが衝撃で誤作動し、カプセルを排出!中身はイクラ・スシを模したオモチャ!『イクラ〜!』
「イヤーッ!」ブッシュレンジャーが縛られたニンジャスレイヤーをハンマー投げめいて振り回す!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはテーブル席に激突!『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが衝撃で誤作動し、カプセルを排出!中身はサーモン・スシを模したオモチャ!『サーモン〜!』
おお、このニンジャスレイヤーを名乗る薄汚いニンジャはこのまま殺されてしまうのか?いや、見よ!「グッワ……」ブッシュレンジャーが最初のトビゲリで受けたダメージに悶え、一瞬の隙を生じる。ニンジャスレイヤーはそれを見逃しはしない!
「Wasshoi!」両手に一瞬、黒い炎が灯る!そしてそれを、SLAM!テーブルに叩きつける!「何!?イヤーッ!」ブッシュレンジャーが再び振り回そうとする。しかしスシ店のテーブルは床に固定されているところ、ニンジャスレイヤーの指先はその天板に深く食い込み、踏ん張っている!振り回し不可!
「好き勝手やってくれたな、ブッシュレンジャー=サン」ニンジャスレイヤーがジゴクめいた声色で言う。「次はオヌシがのたうつ番だ」「何だと……!」
ブッシュレンジャーは慌てて自分の手からロープを解こうとするが、ニンジャスレイヤーはそれに先んじて鞍馬体操選手のごとく両脚を振るった。当然それに繋がったブッシュレンジャーは宙を舞う!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがブッシュレンジャーをハンマー投げめいて振り回す!「グワーッ!」ブッシュレンジャーはテーブル席に激突!『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが衝撃で誤作動し、カプセルを排出!中身はアジ・スシを模したオモチャ!『アジ〜!』
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがブッシュレンジャーをハンマー投げめいて振り回す!「グワーッ!」ブッシュレンジャーはテーブル席に激突!『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが衝撃で誤作動し、カプセルを排出!中身はイワシ・スシを模したオモチャ!『イワシ〜!』
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがブッシュレンジャーをハンマー投げめいて振り回す!「グワーッ!」ブッシュレンジャーはテーブル席に激突!『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが衝撃で誤作動し、カプセルを排出!中身はカツオ・スシを模したオモチャ!『カツオ〜!』
「イヤーッ!」「グワーッ!」『エビ〜!』
「イヤーッ!」「グワーッ!」『ハマチ〜!』
「イヤーッ!」「グワーッ!」『タイ〜!』
「イヤーッ!」「グワーッ!」『ネギトロ〜!』
「イヤーッ!」「グワーッ!」『ウニ〜!』
「イヤーッ!」「グワーッ!」『マグロ〜!』
バツン!ついにフックロープが負荷に耐えかねて断裂する。黄色のエンハンス光はとうに消えていた。「グッワ」ブッシュレンジャーが放り出され、床に転がった。「ハアーッ、ハアーッ……」ニンジャスレイヤーは肩で息をしつつ、指をテーブルから引き抜き、両脚のロープを解いた。
テーブルを降りて、ブッシュレンジャーに近づく。「ヤメロ。ヤメテ」ブッシュレンジャーがうめくように言う。すでに瀕死だ。「命だけは助けてくれ。何でも言う」
ニンジャスレイヤーはその胸ぐらを掴んで引きずり上げた。「ならば……ならば言え」センコめいた両の瞳で顔を覗き込む。ブッシュレンジャーは心底恐怖した。「儂の力をどこへやった。儂のカラテをどこへやった」
「どこへやった……?どういうことだ、貴様は十分強……グワーッ!」首を締め付ける!「強いものか!貴様のようなサンシタは最初のアンブッシュで殺せたはずなのだ。これでは元の5分の1がいいところだ!」その声色には焦りの色があった。
「グワーッ!やめてくれ、知らない!あんたのことはマルノウチ抗争の直後に出現した凶暴な野良ニンジャだとしか聞いてないんだ!」ブッシュレンジャーは必死に訴える。「グランドマスターも1人殺したが、ロードに倒されたと……それがどうして、10年後の今になって……」
ニンジャスレイヤーは不意に冷静さを取り戻した。そして愉快そうに目を細め、言う。「何も知らぬか。ならば生かしておく理由もないな」
ブッシュレンジャーは血の気が引いた。「マ……マッタ!知っている!」「知っているのか知らないのかどっちなのだ」「知っていそうな奴を知っている!俺のような雑用係ではない、比較的クリティカルな任務に就く……ニンジャスレイヤー=サンについて知っていそうなニンジャを!」
そしてブッシュレンジャーは自分の命惜しさに、複数の味方ニンジャの名前とおおよその居場所を白状した。ザイバツ内において自ら雑用係と称するような低い立場に置かれていたことも影響していようか。
「時間をもらえればもっと思い出せるかもしれないし、他の形であんたに協力することもできる」邪悪ニンジャは吊り上げられたまま並べ立てる。もはや精神的ドゲザ状態だ。「だから頼む、命だけは……」
「なるほど、生かしておく理由はできたな」ニンジャスレイヤーの口調は余裕を取り戻し、喜色さえあった。サディスティックな喜色だ。「……しかし、それ以上に殺したい理由がある」「エッ」ブッシュレンジャーの表情が恐怖に歪む。
「ナンデ?俺、あんたに会うのも今日が初めてで……」「オヌシがニンジャだからだ」「エッ……」「儂は全てのニンジャが憎い。全てのニンジャを、最大限苦しめたうえで殺したいのだ」「ニンジャってだけで……?そんな……り、理不尽な」
「グググ……そうとも。儂はお前たちを殺すインガオホーであり、理不尽よ」「アイエエエーッ!狂っている!狂人!」ブッシュレンジャーはついに悲鳴を上げた。ニンジャスレイヤーは手を離した。そして相手が再び床に倒れ込むその一瞬に、「サツバツ!」「アバーッ!」ジゴクめいた回し蹴りを繰り出して、首をはねた。
ブッシュレンジャーの生首は恐怖の表情に凍りついたまま店内を飛び、テーブル席に激突。「サヨナラ!」断末魔とともに、爆発四散した。
『ヨイコのオマケ!』席に設けられたオマケ・ガチャが生首激突の衝撃で誤作動し、カプセルを排出。中身はトロ・スシを模した金色のオモチャだ。『トロ〜!大当たり!』
ニンジャスレイヤーはブッシュレンジャーの死体を漁った。ブレーサーとレガース。装備する。マキモノ。懐に入れる。保存用スシ・パック。懐に入れる。サイフ。一度放り捨ててから、思い直して懐に入れる。
(……ナラク=サン……)その時、ニンジャスレイヤーのニューロンの中で、ある者がみじろぎして声を発した。ニンジャスレイヤーは肝を潰した。かの者は10年前、全ての始まりの時に一度話しただけで、そのままニューロンの奥底に完全に幽閉できていたというのに……カラテだけでなく、こちらの拘束力も弱まったか。(ここは、どこですか……)
「ヌウーッ!無論ネオサイタマぞ。オヌシが眠ってから少し時間は経ったが、状況は何も変わっておらん!」(ナラク=サン……私、なんだかずっとひどい夢を見ていたみたいで……)「よい!起きずともよい!」ニンジャスレイヤーは強いてセルフコントロールし、起き出してきた者を精神的フートンの中に押し戻した。
「儂に全て任せておけばよい。ニンジャは殺してやる。家族はお前の全てだったであろう?それを殺したニンジャが憎いであろう?」(ニンジャ……ニンジャ、嫌い)フートンの中からどす黒いものが滲み出る。
ニンジャスレイヤーはにやりと笑う。彼にとってこの憎悪は甘露だ。(なんで母さんを。なんでお爺ちゃんを。なんでブンジを)「さあ、また寝るのだ……今度はいい夢が見れるかも知れぬぞ。家族の楽しい記憶だ」(……)精神世界は静かになった。
「グググ……そうとも、全てわしに任せておくがよい」ニンジャスレイヤーは新鮮な憎悪の力を全身にみなぎらせ、ほくそ笑んだ。「ザイバツ・シャドーギルド……胡乱な集団。この程度で儂を抑え込めると思ったら大間違いぞ」
ブッシュレンジャーの持ち物の中から、最後に、予備のメンポが出てくる。のっぺりした金属製のメンポだ。
「必ずカラテを取り戻し、10年前の借りを1万倍にして返してくれる」ニンジャスレイヤーは指先にカラテを集中し、その表面に二文字のカンジを刻む……「忍」「殺」!見るものを威圧する恐ろしげな古代字体!
「ニンジャ殺すべし」ニンジャスレイヤーはそれを速やかに装着し、キアイを入れる。「全ニンジャ、抹殺すべし!1人残らず!」そして決断的な殺意とともに、酸性雨の中へ駆け出していった。
精神フートンの中で、小さな声の呟き。(家族が全て……何か、他にも、あったような……私の……)その思考は儚く途絶えて、意識は再び無限の悪夢の中へ沈んでいった。
……同時刻、ごく近くの路地から毛むくじゃらの獣が飛び出して、ネオサイタマの街を駆け出した。バイオカンガルーだ。バイオ生物のずば抜けた脚力がパルクール・ヒキャクをも抜き去る。
長きコールドスリープから醒めた彼は故郷を目指した。バイオ生物製造プラントではなく、遺伝子に焼き付いた記憶の中の、エアーズロックを望む荒野。オーストラリアだ。
言語をも解さぬ獣が鎖国状態の日本から国外へ。狂気じみた困難な挑戦である。……それは、同じ施設から共に解き放たれたニンジャスレイヤーがこれから進む道のメタファーのようでもあった。
バイオカンガルーはひたすらに駆ける。いまだヒヒジマの死を知らない奴隷エンジニアの1人がそれを見つけ、追いかけたが、すぐに引き離されて見えなくなった。
【バトル・オブ・スシレストラン】終