恋する復讐者◆暗黒の7日間   作:ボブ・ニンジャ

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リ・ディシジョン・オブ・アヴェンジ#2/4

 

「安い、安い、実際安い」「アカチャン……オッキクネ」「ヒートリー、コマキタネー……」年の瀬を前にした電脳都市ネオサイタマ。相変わらずマグロツェッペリンは広告音声を降らせ、ネオン看板の群れは幻惑的に煌めくが、表通りの通行人は減っていた。営業サラリマンやOLが少ないのだ。

 

日本においてもニューイヤーを迎える前後は神聖な時間とされ、最低限以上のホスピタリティを持つ企業はすでに年末休暇に入っているのだ。今、街を行くのはそうしたカチグミの家族連れと、そうした恩恵に預かれぬマケグミ営業サラリマン、それに年末も何もあったものではないヤクザやヨタモノ、パンクス、カルト、ホムレスの類……。

 

「ハアーッ!ハアーッ!」そして今、1人の中年男性がビルの裏口から路地へ転がり出た。上気した顔に生ぬるい酸性雨が降り注ぐ。古い耐酸性雨ジャンパーのフードを被り、スポーツバッグを抱え込んで、走る。人通りのあるメインストリートを目指して。

 

「ザッケンナコラー!」「スッゾコラーッ!」背後からドスの効いたヤクザスラング!コワイ!「アイエッ!」男は路地に転がるバリキ・ドリンクの空瓶を踏んでしまい、転倒した。打ちつけた腰を庇いつつ、もはや走るだけでは逃れられぬと考え、近くにあったダストボックスの陰に潜り込む。バイオドブネズミが1匹、物音に驚いて走り去っていった。

 

「マテッコラーッ!」「ワドルナッケングラーッ!」「アイエエーッ!」「ナマッコラーッ!」ヤクザスラングに第三者の悲鳴が混じり始める。男は怪訝に思い、ダストボックスの陰から来た方向の様子を伺った。さっき自分が出てきた裏口から、「俺は自由だ」と書かれたTシャツを着たヨタモノが走り出た。

 

そして数人のレッサーヤクザがそれを追ってきて、ヨタモノを掴んで引きずり倒し、各々蹴り付け始めた。「手間取らせやがって!」「金返せオラーッ!」「アイエエエーッ!金ありません!」

 

「ハアーッ……」男は……マンダバは、それを気の毒に思いつつも、安堵のため息をついた。罵声を聞いて慌てて出てきてしまったが、自分が追われていたわけではなかったのだ。自分は安全だ。

 

「ウフッ、フフフ……」ダストボックスの陰に身を縮めつつ、マンダバは嗚咽するような笑いを漏らしていた。そしてスポーツバッグを開け、黒いイハイを取り出して、祈った。「マコメ=サン、俺に力を……」

 

「見ぃーつけた!」おどけた声が降ってきた。マンダバの背筋に冷たいものが走った。直後、声の主が頭上のビル屋上から飛び降りて、マンダバの眼前に前転して着地した。それは猿めいたメンポをつけたニンジャである!「ドーモ、マンダバ=サン。ハヌマーンです」その胸にはザイバツ紋!

 

「アイエエエ!?ニ、ニンジャ!?」マンダバは尻餅をつき、壁につっかえながら後ずさった。「ニンジャナンデ!?」「ナンデだぁ?わかってるはずだろ!」ハヌマーンはヘラヘラ笑いながらダガーナイフを抜き、尋ねる。「おたくの娘さん、どちらにお出かけなさったのかなァー?」

 

「い、言うもんか」「何だってェー?イヤーッ!」ハヌマーンがダガーナイフでマンダバの右足を突き刺す!「グワーッ!アーッ!」汚い路地をのたうち回って苦しむマンダバ!ハヌマーンはそれを見てニヤニヤ笑い、また尋ねる。「おたくの娘さん、どちらにお出かけなさったのかなァー?」

 

「い、言うもんか」「何だってェー?イヤーッ!」ハヌマーンがダガーナイフでマンダバの左足を突き刺す!「グワーッ!アーッ!」汚い路地をのたうち回って苦しむマンダバ!ハヌマーンはそれを見てニヤニヤ笑い、また尋ねる。「おたくの娘さん、どちらにお出かけなさったのかなァー?」

 

「い、言うもんか」「何だってェー?イヤーッ!」ハヌマーンがダガーナイフでマンダバの右手を突き刺す!「グワーッ!アーッ!」汚い路地をのたうち回って苦しむマンダバ!ハヌマーンはそれを見てニヤニヤ笑い、また尋ねる。「おたくの娘さん、どちらにお出かけなさったのかなァー?」

 

「い、言うもんか」「何だってェー?イ」「イヤーッ!」その時、表通りの方から飛んできた白い頭陀袋のような何かがハヌマーンに横から激突した!「グワーッ!?」ハヌマーンは路地をゴロゴロ転がり、CRAASH!!ポリバケツに激突!バケツが倒れて生ゴミが降りかかる!「アーッ!?何だーッ!?」

 

白い物体は激突の反動で宙を舞い、空中で3回転してから着地した。それは白い古代ローマ風の装束を纏った少女だった。ニンジャの少女だ。

 

「どうしてあなたたちは……ニンジャは……いつもそうやって……」低く言う。(ニンジャ増えた?ニンジャが喧嘩してる?)マンダバは状況の変化に混乱した。そして少女ニンジャの目を見て、そこに灯る激情の炎を恐れ、失禁した。「ア、アイエエエ……」

 

「イヤーッ!」ハヌマーンが生ゴミを払い除けて立ち上がる。そして少しよろめいた。さっきの激突は少女ニンジャが彼の脇腹にトビゲリを叩き込んだものであった。「何だテメエ!1人でブツブツ……つーか、痛ェ!何してくれてんだ!?俺がどこのモンだかわかってんのか!?」ハヌマーンは空き手の親指で胸のザイバツ紋を示す。

 

「わかってるからやったんですよ……ザイバツのクズめ。やっぱあなたたちはダメです。殺します」白装束のニンジャは言い捨て、アイサツした。「ドーモ、はじめまして。ニンジャスレイヤーです」

 

「ニンジャスレイヤーだと!?」ハヌマーンはメンポの裏で目を剥いた。「バカな……バカなこと言うんじゃねェよ!ニンジャスレイヤー=サンは10年前に死んだだろうが!俺たちのロードにやられて!」「早くアイサツしてくださいよ」ニンジャスレイヤーは不機嫌そうに急かした。

 

「チィーッ……ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ハヌマーンです」ハヌマーンは渋々アイサツを返す。「イヤーッ!」アイサツ終了直後、ニンジャスレイヤーが電撃のような速さでスリケンを投げつけた!「ウオーッ!?」ハヌマーンはかろうじてダガーナイフで弾く!

 

「マジで何なんだテメェ!マンダバ=サンの追加ヨージンボか!?無駄だぞ、今更!」そしてナイフを振りかざしつつ、ジリジリと後ずさる。「そいつの娘がハタゴ24ホテルにいるのはとっくにわかってんだ。そっちにもニンジャが向かってる!それも2人な!」

 

「アイエエエ!そんな!」ニンジャスレイヤーの背後でマンダバが絶望した。ハヌマーンは勢いづいた。「ヘハハハハ!そうだよ、とっくにわかってんだよ!テメェを拷問してたのはただの俺の」「イヤーッ!」「グワーッ!?」素早く踏み込んだニンジャスレイヤーのポン・パンチがハヌマーンの鳩尾に直撃!マンダバに注意を逸らした瞬間がウカツ!

 

CRAAASH!!ハヌマーンは吹き飛ばされ、背中からビルの外壁に激突!「グッワ、オゴッ!」メンポの裏から吐瀉物が漏れた。膝をつきそうになったが、何とか堪え、ダガーナイフを暗闇の懐中電灯めいて振りかざす。「ヤ……ヤメロ!テメェ!俺はザイバツのニンジャだぞ!?こんなことしてタダで済むと!」

 

「私のことより自分の心配をした方がいいですよ」ニンジャスレイヤーはツカツカと歩み寄る。小柄な少女だが、その体には並々ならぬカラテが満ちている……いかにハヌマーンがサンシタでも、そろそろその事実が分かってきた。「そのホテルってどこにあるんですか。娘さんはホテルのどこに?」ニンジャスレイヤーが低い声で問う。

 

「う……うるせェ!死ねーッ!」ハヌマーンはライフリターン・ブンシン・ジツを発動すべく左手で自分の髪を「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがスリケン投擲!「グワーッ!」ハヌマーンの左手首が吹き飛ぶ!ニンジャスレイヤーが踏み込む!

 

「畜生!イヤーッ!」ハヌマーンは右手ダガーナイフで迎撃!ヤバレカバレ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは左裏拳で敵の右手内側を打ってナイフを逸らし、ワン・インチ距離へ!こうなるとハヌマーンからすれば小柄な敵が自分の股間に潜り込んでいるような状態であり対処が困難!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーの右ボディブロー!「イヤーッ!」「グワーッ!」左ローブロー!「イヤーッ!」「グワーッ!」右アッパー!ハヌマーンは空中へ打ち上げられ、近くにあった開け放しのダストボックスの中へドスンとナイスシュート!ポイント倍点!

 

ニンジャスレイヤーは処刑人のごとくダストボックスへ近づく。「もう一度聞きます。そのハタゴ24ホテルとは……」「オカキ駅前にあるホテルです!ビジネスホテル!」マンダバが勇気を振るって口を挟んだ。ニンジャスレイヤーはそちらを見た。マンダバは怯みながらも言葉を続けた。

 

「娘は……モチコはその1304号室に避難させたんです。定期預金を解約してアイキドーのヨージンボを雇って……それが、ニンジャなんて……」マンダバの目から涙が溢れた。妻のマコメが死んでから10年。父娘2人で頑張って生きてきたのに、どうして突然ヤクザやニンジャに襲われねばならないのか。

 

「お願いします……娘をどうか、助けてやってください!」マンダバは傷ついた体でドゲザした。このニンジャスレイヤーと名乗るニンジャも素性は知れなかったが、これまで表社会を生きてきた彼にニンジャに勝てるようなヨージンボのアテはなく、もはや他に頼る先はなかったのだ。

 

ニンジャスレイヤーは何秒か黙って考えていたが、やがてマンダバの下に屈み込んだ。「頭を上げてください。あなたは私よりずっと歳上です」「でも、あなたはニンジャで、私はニンジャじゃない……私は無力だ」マンダバはNRSによる精神的動揺もあって、そのまま泣き始めてしまった。「私は無力だ……たった1人の家族も守れない。クヤシイ」

 

ニンジャスレイヤーは悩ましげに唸り、立ち上がった。「……やるだけ、やってみます。娘さんに怪我をさせずにお帰しできるかは分かりませんが」「お願いします。お願いします」マンダバは額を地面に擦り付けた。「カネを払います。何年かかっても払います」

 

「オイ!急にどこ行きやがんだ!?」ハンザワがチャカを持って駆けつけた。ニンジャスレイヤーと彼は買い出しがてらチェミのいる拠点へ移動する最中だったのだ。「……誰だこのオッサン!?」ドゲザするマンダバを見下ろして驚く。

 

「アバッ」ダストボックス内から呻き声が聞こえた。「ニンジャスレイヤー=サン……交渉を……」「ダッテメコラーッ!?」ハンザワが反射的にそちらへチャカを発砲!BLAMBLAM!「サヨナラ!」ハヌマーンは被弾して爆発四散!

 

「何だ今の?ニンジャか?」ハンザワは困惑した。「ニンジャスレイヤー=サン、ここで何を」「ハンザワ=サン、すみませんがこの人の手当をお願いします」ニンジャスレイヤーはマンダバを指してそう言って、「イヤーッ!」高く跳躍!

 

「ちょっと待てテメー!このオッサン誰だよ!説明……ザッケンナコラーッ!」ニンジャスレイヤーはハンザワの罵声を背後に、ビルの外壁やそこに突き出すネオン看板を飛び石めいて次々に蹴って、オカキ駅方面へ!

 

【Avenger in love】

 

「ンアーッ!」モチコは乱暴にベッドへ投げ倒された。一つに結った髪とハイスクール制服のスカートがシーツの上で乱れる。「ハーッ!いいぞ!」男は熱っぽい視線でそれを見下ろした。

 

「フォーマルな制服が、ホテルのこの……デジタル時計のあるヘッドボードの近く、白いシーツの上に投げ出された途端、イリーガルになるギャップ!とってもセクシーだ!」そしてレトロなフィルムカメラを構え、狂おしく何度もシャッターを切る。

 

見ようによっては、ポルノの撮影現場とも思えよう。しかしモチコはポルノ女優ではなく、現役ハイスクール生である。そしてこの男はプロのカメラマンではなく、ニンジャなのだ!纏うのはベージュ色のニンジャ装束、顔には巻貝めいたメンポ!彼の名はエスカルゴ!

 

プアーン……ガタンガタン。遠くから電車の汽笛と走行音が聞こえる。ここはオカキ駅前にあるビジネスホテル「ハタゴ24」13階、1304号室である。窓から外を見下ろせば駅前の商業ビルやガード下に並ぶ飲み屋の列を臨めようが、今のモチコにそんな行動の自由はない。

 

「ではモチコ=サン、そろそろ次のカットを撮影していこうか」エスカルゴはベッド脇のレフ板を調整した後、懐のバイオ巾着を探った。取り出したのは……ナムサン!ペットボトル大の巨大なバイオカタツムリである!粘液を垂らしつつ緩慢にうごめくそれを……おお、どうしようというのか!?モチコに近づけるというのか!?

 

「アイエエエーッ!ヤメテ!」モチコは恐怖に身を捩り、ベッドの上から逃れようとする!「シェラッシェー!」エスカルゴは空いた手で彼女を掴み、たやすく引きずり戻す!ニンジャ腕力!「勝手に動くな!構図が崩れるだろうが!」

 

モチコは恐慌しつつホテル個室内を見回した。床には背広姿のヨージンボが血を流してうつ伏せに倒れており、そのまま動かない。この男は父が手配してくれたアイキドーの達人だったはずだが、ニンジャ達にあっけなく倒されてしまった……ニンジャ達、である。ニンジャはエスカルゴだけではないのだ。

 

そのニンジャは部屋の反対側、狭いユニット・タタミスペースでザゼンしている。剣闘士めいたニンジャヘルムを被り、赤いニンジャ装束を纏い、剣と丸盾を背負っている。瞑目しつつ眉根を寄せており、ベッド周辺での騒ぎをあまりよく思っていないように見えた。

 

「タスケテ!助けてください!」モチコは彼もヨージンボを殺した悪人とは知りつつ、カタツムリへの恐怖に負けて助けを乞う。「……」第2のニンジャ……サンファイヤーは片目を開け、エスカルゴを見やった。「ケガはさせるなよ。そういう任務だ」「ハーッ!勿論!」エスカルゴは答え、バイオカタツムリを愛撫する。このカタツムリの名前はマキタロだ。

 

「だいたい切り傷やアザなんてつけたら、写真の価値も落ちます。分かってます!」「ならいい」サンファイヤーはザゼンに戻った。モチコを助ける気など微塵もなし!「ホラ行くぞ!足からだ!」エスカルゴがマキタロをモチコのソックスを履いた右足に下ろす。ひんやりした粘液がモチコの肌を濡らす!バイオカタツムリはソックスを食べ始める!

 

「アイエエエーッ!嫌ーッ!」モチコは足を振り回して払い除けようとする!「アーッ!ヤメロ!」SLAP!エスカルゴがモチコの頬を張る!「ンアーッ!」「オイ!」サンファイヤーが後ろから咎める。「このくらいは問題ありません!ヨージンボもいたことなので!戦闘の余波ということで!」エスカルゴはぞんざいに弁解しつつモチコにのしかかる。

 

「オイ!分かってるのか?今のお前はお前1人の体じゃないんだよ!俺とマキタロ=サンと3人で、1つの芸術品を作り上げる最中なんだ。それを分かれよ!」「動かれたくないならワッパでもかけろ」サンファイヤーが口を挟む。

 

「それじゃダメなんだ!女子高生がホテルにいて、カタツムリ……この上ワッパなんて、非日常が多すぎて奥ゆかしくない!」エスカルゴは振り返ってまくし立てる。サンファイヤーはうんざりした。「ならもう……とにかく早く済ませろ」「ヨロコンデー!」

 

エスカルゴはモチコに向き直り、ポーズを指定して、そのまま動かないよう指示した。モチコはもはやそれに諾々と従った。ビンタされるのは嫌だったし、何より、彼女の人生に突然乱入してきたニンジャという半神存在の暴威に精神が疲れ果て、屈服していた。

 

(母さんが死んでから10年。父娘2人で頑張って生きてきたのに、どうして突然ニンジャに襲われなきゃならないの?)バイオカタツムリが彼女のソックスを食べ終え、足を這う。粘液のヌメリに加えて、チクチクした痛みを感じた。カタツムリが体毛を食べているのだ。

 

そしてそのままモチコの足を遡って……おお、ナムサン……スカートの中へ入っていくというのか!?「アーッ!マキタロ=サン!いきなりそっちへ行ってしまうのか!?スカートを残して!?」エスカルゴは大興奮でシャッターを切りまくる!

 

「ウーッ……!」モチコはこみあげる生理的不快感を堪える。涙がボロボロと流れた。この虐待行為は外傷を与えるものではないとはいえ、あまりにも酷く人間の尊厳を踏みにじるものだ!あと1分も続けばいまだ幼さを残す彼女の自我は完全に破壊されてしまうだろう!

 

BEEP。呼び鈴が鳴った。「チイーッ……」サンファイヤーは舌打ちしてザゼンを中断し、内線電話を取った。「モシモシ」『ルームサービスです。スシをお届けに』「スシだと?」サンファイヤーは受話器のマイクを塞ぎ、エスカルゴを見た。

 

「貴様が頼んだのか?」「アーッ!マキタロ=サン、いけない!純真な女子高生のそんな……セクシーな!アーッ!」エスカルゴはベット上の痴態に夢中だ!モチコが不快感を堪えて身を捩る姿さえ興奮対象!

 

サンファイヤーは再び舌打ちして、タタミ・スペースを立った。部屋を横切り、入口扉へ。念の為チェーンをかけて、扉を開く。「ハイ」「イヤーッ!」SMAAASH!!「グワーッ!?」チェーンが弾け飛ぶ!

 

その瞬間、入口扉は勢いよく室内側へ射出された。サンファイヤーごと吹き飛び、部屋を横切って、CRAAASH!!突き当たりのガラス窓に激突!破壊!「セクシー……アアッ!?」エスカルゴが1テンポ遅れて異常に気づき、入口の方を見やる。

 

破壊された入口から割れた窓へと風が吹き抜けていく。ツカツカと入室したのは、古代ローマ風装束を纏った少女ニンジャである。ベッド上で虐げられたモチコを一瞥し、アイサツする。「ドーモ、はじめまして。ザイバツニンジャのお二方……ニンジャスレイヤーです」

 

殺意が湧き上がり、ニューロンの奥の邪悪なニンジャソウルと共鳴して、冷酷な言葉が口をついて出た。「ニンジャ殺すべし」

 

「ニンジャスレイヤーだと!?バカな!貴様は10年前に死んだはず……」エスカルゴが後ずさった。「アアーッ!」モチコが最後の精神力を振り絞り、スカートの裏からバイオカタツムリを引き剥がして投げ捨てた。エスカルゴはそれを見て叫ぶ。「アーッ!貴様!あれほどヤメロと!」

 

「イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーの踏み込みざまのサイドキックがエスカルゴの鳩尾を捉え、吹き飛ばす!エスカルゴは吹き飛んだ入口扉に背中から叩きつけられる!「グワーッ!貴様……シツレイな!俺のアイサツがまだ……」

 

「余所見してるからアイサツは返さない主義なのかと思いました」ニンジャスレイヤーは言い捨てた。「イヤーッ!」サンファイヤーが入口扉とエスカルゴを押し退けて立ち上がる!「アイエッ!?」床を転がるエスカルゴ!

 

「フンッ!」サンファイヤーは立ち上がると、ゴキッ!右手で自分の鼻を捻った。入口扉の激突で折れていたそれが元の位置に戻り、鼻血がボタボタと流れた。「ドーモはじめまして、ニンジャスレイヤー=サン。俺はザイバツ・アデプトのサンファイヤーという者」親指でエスカルゴを示す。「こっちはエスカルゴ=サンだ」

 

ニンジャスレイヤーはジュー・ジツを構えた。室内にクローンヤクザ等はおらず、敵は2人。優先的に警戒すべきは明らかにサンファイヤー。「ハヌマーン=サンはさっきサンズ・リバーを渡りました」努めて冷酷に言う。「あなたたちにも後を追ってもらいます」

 

【続く】

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