恋する復讐者◆暗黒の7日間   作:ボブ・ニンジャ

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第2章
デイドリーム・テンプル#1/3


 

ブオウー!ブオーウー!ホラ貝が高らかに吹き鳴らされた。黄昏に染まるススキ野原で二つの軍勢が対峙し、競うようにノボリを掲げる。一方の旗印は「ハトリ」、他方は「ワンソー」。

 

にわかに「ワンソー」側のアシガルたちが左右に分かれ、一騎の武者が進み出た。「ドーモ、薄汚い裏切り者の皆さん」そして馬上から大音声でアイサツする。手にはナギナタ、顔にはメンポ。ニンジャだ!「ハヤシ・ニンジャクラン頭領、モエギ・ニンジャです」

 

モエギ・ニンジャはエメラルドグリーンの瞳で敵陣を見渡した。ニンジャが1〜2割、残りは雑兵……それも生物ではない。木や石で作られた人間大のオートマトン人形がヤリやカタナを持ってアシガル役を務めているのだ。

 

「どこの軍がここを抑えにくるかと思えば、ジョルリ・ニンジャクラン!」モエギはせせら笑った。「カワイイなお人形遊びを蹴散らしたところでイサオシにはならんな。持ち場選びを間違えてしまったか!」

 

「「「ワッハッハッハ!」」」ワンソー陣営の雑兵とニンジャたちが笑う。ハトリ陣営のニンジャたちは揃って憮然としたが、1人だけ笑顔の者が進み出た。

 

「ドーモ、ドーモ!アイサツが遅れて申し訳ない」年若い、整った容貌の男性ニンジャだ。スモトリめいた大型オートマトン2体を従えている。「お初にお目にかかる。ジョルリ・ニンジャクランの長、キーチ・ニンジャです」

 

「トンデモ・ナイ。ドーモ」モエギは慇懃に謝罪対応チャントを発し、改めてオジギした。しかし頭を上げるとすぐ、凶暴な表情に戻る。「お前のような若造がアーチをやっているようでは、クランの滅びは近いようだな」

 

「若いことが罪とお考えか、ご老体!新時代を作るのは若者ぞ?」キーチはヘラヘラ笑った。そして両手をジツの力で威圧的に輝かせた。「来い、モエギ・ニンジャ=サン。お人形遊びの真髄をお見せしよう」

 

「ぬかしおる!カカレーッ!」「「「ワオオオーッ!!」」」モエギの号令一下、ワンソー軍が雄叫びを上げて進撃を開始!対してハトリ陣営では、「カーッ!」キーチが何やら念じるや、両脇の大型オートマトンの腹部がオブツダンめいて展開。内部が輝いたかと思うと、その光はたちまち強まる!

 

「ムウッ!?なにかまずい!」モエギがその視覚情報とニンジャ第六感で危機察知!「回避ーッ!」馬を回頭させつつ命じる。「「「イヤーッ!」」」配下のニンジャたちが側転で大型オートマトンの正面から逃れる。しかし非ニンジャのアシガルたちは間に合わない!

 

DOOOM!!「「「アバーッ!!」」」ナ、ナムサン!大型オートマトンの腹部から謎の極太銀色怪光線が発射され、直線上のワンソー軍アシガルは全員ネギトロになりソクシ!もう一体も発射!DOOOM!! 「「「アバーッ!!」」」再びワンソー軍アシガルが大量死!

 

「そら、敵陣が崩れたぞ!人形を斬り込ませい!」「「「ヨロコンデー!」」」キーチが配下ニンジャに命じると、たちまちアシガル人形たちがギクシャクした動きで武器を振り上げ、走り出す!

 

「「「アイエエエ!!」」」ワンソー軍の残存アシガルたちは先の光線攻撃の衝撃と敵軍の不気味さに混乱し悲鳴を上げる!「「「シェラッシェー!!」」」しかしニンジャたちは動じず敵へ向かう!

 

大将たるモエギ・ニンジャはすでに馬を走らせ、ハトリ軍に切り込んでいる!「イヤーッ!」「「「ピガーッ!」」」「イヤーッ!」「「「ピガーッ!」」」ナギナタを1度振るうたび、1ダースの人形がバラバラになって宙を舞う!「アバーッ!」背後で人形を操っていたハトリ軍ニンジャの1人がフィードバックで大量の鼻血を噴いてソクシ!

 

「イヤーッ!イヤーッ!」モエギがスリケンを2枚投げる。再び腹部に光を蓄えつつあった大型オートマトンたちに1枚ずつ突き刺さる……次の瞬間、CRAAASH!!「「ピガーッ!!」」オートマトンの内側から猛烈な勢いで極太の植物が成長し、そのボディを引き裂いた!ハヤシ・ニンジャクランの秘技、メバエ・スリケンだ!

 

「ふざけた大砲もこれまで!」騎馬ニンジャは乱戦の混乱の中でキーチ・ニンジャを再び見出し、馬を向かわせる!「チイーッ!さすがにやるな!」キーチは言い捨てて睨み返し、カラクリの両腕から草刈機じみた高速回転刃を展開!シュイイイイイン!「やはり御身は私がお相手しよう!ご老体!」

 

「「イヤーッ!」」ナギナタとカラクリ回転刃が交錯!「「グワーッ!」」そして2人同時に地面に叩きつけられる!ワンテンポ遅れて、モエギの馬のナマス切り惨殺死体と、キーチのカラクリ右腕が落下!虚しく地面を掻く回転刃!

 

2人のアーチ級ニンジャは同時にバク転を繰り出して立ち上がり、モエギはナギナタを、キーチは左腕の回転刃を振りかぶって再接近!「「イヤーッ!」」再交錯!「「グワーッ!」」2人揃って膝をつく。今度はモエギの右腕がナギナタを握ったまま切断されて吹き飛んでいき、キーチは左腕がズタズタに切り裂かれて爆発消失!

 

「ゴジュッポ・ヒャッポとでも、思っているか?」モエギが不敵に笑う。その脚から植物の根のようなものが何本も突き出して地面に突き刺さる。「否!」たちまち周囲のススキがカラカラに干からびて枯死したかと思うと……おお、何たることか……右腕の切断面がうごめき、一瞬のうちにして裸の右腕が生えてきた!

 

「それはこちらも同じこと!」キーチが笑い返すと同時に、配下のニンジャ2人が各々何かを抱えて走り寄ってきて、キーチの方へ投げた。ガシン!ガシン!投げられたものがジョルリニンジャの両肩に合体する。それは先ほどより一回り大きく無骨なパワー型カラクリ腕!

 

「フン!くだらん小細工がどこまで保つか見てやろう!」モエギ・ニンジャがカタナを抜いて斬りかかる!キーチ・ニンジャはカラクリ腕シリンダーパンチで迎え撃つ!「「イヤーッ!」」三度目の交錯!

 

……「もう十分だ」俺は辟易して言った。「さすがにちょっと長いぞ、リーンハート=サン」たちまち合戦の景色は静止し、白黒に色褪せた。俺はそれを映画かテレビを見るように、枠の外から眺めている。

 

(お気に召さなかったかしらぁ)頭上の闇から、白くて小さなものが舞い降りてきた。白い蛾だ。(ドーモこんばんは、ワイヤープラー=サン。リーンハートです)蛾は鈴を転がすような可憐な声で話す。俺のニューロンはそのように認識した。

 

「ドーモ、リーンハート=サン。ワイヤープラーです」俺はアイサツを返した。いい加減ちょっと面倒な相手だが、礼儀は大事だ。「いや、迫力があって素晴らしい映像だとは思うが……毎回同じようなイクサばかり見せてもらっても、少し困る」

 

(そう。でも、やっぱりイクサの方が格好良く見えるんじゃないかしら?)蛾は迷うようにふらふらと舞う。羽根が幻惑的に虹色にきらめいた。(暗い穴蔵で黙々と人形をいじっているところを見せても憧れないわよねぇ。まあ、それが正統ジョルリニンジャの人生の9割なんだけれど)

 

「というか、このキーチ・ニンジャ=サンって前の映像ではかなりご高齢じゃなかったか?」俺は白黒の景色の中、カラクリ腕を振りかぶるジョルリニンジャを見る。「今回はかなり若いように見える」

 

(だって、それも人形だもの。本体は近くの土の下)リーンハートが答える。(この戦いはモエギ・ニンジャ=サンがその人形を破壊して勝ち誇った瞬間、センセイ本体が地中から飛び出して一撃で心臓を……ウープス、ネタバレしてしまったわね。ごめんなさい)

 

「いや、それは気にしないが」(よかったわ。あと、ニュービー時代の私がちょっと映ってたんだけど気づいた?)「知るか!ウォンタ君を探せの絵本じゃあるまいし」

 

そもそも俺はリーンハートの本当の姿も知らないのだ。この精神世界だけでの知り合いだ。「……あんたが強大なリアルニンジャらしいのは信じよう。それが何度も声をかけてくれるのは光栄だとも思う……だが、やはりあんたの弟子になるのは遠慮させてもらう」

 

(そう。残念ね。残念だわ)蛾は俺の頭上をふらふら舞う。鱗粉が降ってくるような感覚があって少し煩わしい。(理由を聞いてもいいかしらぁ)

 

俺は少し答えに窮した。ニンジャの組織に入った経験自体はあった。ただ、この蛾の誘いに乗っていかにもなニンジャとしてニンジャの道を究めることには、その時にはなかった別種の抵抗がある。

 

やがて答える。「未練があるのかもしれない……ニンジャじゃない、普通の人間の世界に。具体的にはわからないが」(クフフ。それはおかしいわ)蛾は小さな体をふるふると震わせて笑った。(ニンジャにはニンジャの悩みがあるけれど、モータル(訳註:非ニンジャのこと)だった頃のそれなんてカラテでどうとでも精算できるでしょう?)

 

「本当だな」俺も笑った。「つまり俺は……そう、そんな無駄なことばっか考えていて、あまり大したニンジャじゃないんだ。遠慮なく捨てて行ってくれ」

 

……ワイヤープラーは目を覚ました。薄暗闇の中、いつもと変わらぬ自宅の天井。時計を見る。午前6時。

 

「イヤーッ!」カラテシャウトとともに、仰向け姿勢から背筋のバネで斜めに飛び上がる!そしてパジャマのまま空中で3回転して着地。

 

被っていた羽毛フートンは天井近くまはね上げられ……空中で裏返って……完璧な二つ折りで乾燥ハンガーにハングした。「ヨシ」指差し確認。

 

まず遮光カーテンを開け、顔を洗い、歯を磨いて、昨夜の夢のことを考えた。モエギ・ニンジャ、キーチ・ニンジャ、リーンハートが出てきた夢のことを。

 

そしてオカユ・リゾットを食べて、オフィスカジュアル風の無個性な普段着に着替えて、そこで初めてIRC端末を見た。ハッカーのチェミ婆からノーティスがあった。

 

【Avenger in love】

 

ネオサイタマ郊外、シンジン商業地区。中心街に比べるとやや背が低く薄汚れたビルが立ち並び、上空にはマグロツェッペリンが漫然と浮かぶ。

 

「ハアーッ、ハアーッ」サラリマンは荒い息とともによろよろと歩き、トリイ・ゲートをくぐった。彼の顔を見よ。目は血走り、その下にはドス黒いクマが広がっている。2週間もまともに寝ていないのだ。

 

「ハアーッ、ハアーッ……」よく整えられた庭園を抜けると、不眠サラリマンの眼前に現れたのは、輝かんばかりに美しいギリシャ風テンプルである。立ち並ぶ大理石の柱の列は荘厳にライトアップされ、華麗に装飾された入口扉の上には「サンナスビ・テンプル」と記したショドーが掲げられていた。

 

そのままブッダデーモン像群の間を通って大広間へ入ろうとすると、「「ドッソイ!」」左右からスモトリボンズがサスマタを突き出し行く手を阻んだ!「アイエーッ!?」サラリマンは精神ストレス限界を迎え無様に尻餅を突く!「「アポありますか!ドッソイオラー!」」スモトリボンズは胡乱な来客を威嚇!

 

「通してやりなさい」体育館めいて広大な広間の奥から声が飛んだ。「彼は私の弟子、トガジ=サンです」「「ヨロコンデー!」」たちまちスモトリボンズは引き下がった。「ア……アア」不眠サラリマンは名をトガジといった。四つん這いでうめきながら、声の主を仰ぎ見る。「センセイ……」

 

「ドーモ、お久しぶりです。トガジ=サン」それに答え蓮型玉座の上でオジギするのは……ナムサン!ニンジャだ。紫色の装束を纏い、バクめいたメンポを装着したニンジャである!「サンナスビ・テンプルの長、シウンテイパーです」

 

シウンテイパーの背後には巨大ブッダ像がアルカイックな笑みを浮かべてアグラしている。今の極限状況のトガジには目の前のニンジャとブッダの姿が重なって見えた。「センセイ……眠れないんです。夢を見るんです」どうにか玉座の下まで辿り着いて言う。「2週間前ここに体験出家してから、毎晩です」

 

ニンジャはメンポの奥で目を細めた。「ほう。どんな夢を見るのですか」「昔の夢です」トガジは苦しげに顔を歪める。「勉強をサボってセンタ試験に落ちた時や……妻に出て行かれた時の」

 

「それはあなた自身のカルマが可視化したのです。体験入信で確かな徳を積み、第三の目を開いたがゆえに」シウンテイパーは穏やかに言う。「ゲダツへの一歩。良いことです」

 

「そんなバカな!あなたにまでそんなことを仰られても困ります!自我科に行ってもダメだったのに!」トガジはもう泣きそうだった。「体験出家したのは軽い気持ちだったんです。ゲダツなどどうでもいい!この悪夢を止めてください!」

 

大広間左右の壁際には老若男女のボンズが大勢おり、各々労働バーを回す作業やザゼン修行を行なっていた。トガジがゲダツを貶めた瞬間、そのボンズたちが一斉に彼に冷たい視線を向けた。「アイエッ」怯むトガジ。

 

「ゲダツは誰にとっても他人事ではありませんよ。人はみな修行者です」シウンテイパーは穏やかに言う。「……しかし実際、初心の修行者は世俗的な感覚でカルマの可視化を辛く感じることもあるでしょう……それを一時的に止める方法は存在します」

 

「あるのですか!?悪夢を止める方法が!」喜色ばむトガジ。「止めてほしいですか」「ほしいです!」「では、このテンプルに100万円のオフセ・ドネートをお願いします」

 

「エッ、お金を取るんですか?」トガジはたじろいだ。ニンジャが言う。「持ち合わせがないならば銀行で下ろして来られるとよろしい。口座にもないならローン会社で借りて来られることですな」

 

「そんな……私はカチグミではありません」サラリマンは絶望に顔を歪めた。天国に通じるハシゴを登りかけたところで地獄へ叩き落とされたかのようである。「別れた妻に毎月養育費も払わなければ……100万円なんて大金、借金してもそのあと返しきれません」

 

「そうなったら自己破産して、我が寺に出家するとよろしい。ともにゲダツを目指す仲間は大勢います」シウンテイパーは広間内のボンズたちを示した。彼らはもはやトガジへの興味を失い、死んだマグロのような目で黙々と労働バーを回すか、マネキンのように静かにザゼンを組んでいる。

 

「さもなくば、今後も夢で自分のカルマに向き合われることです。本来、そうすることで長い時間をかけて自分のカルマを浄化していくのが正しいゲダツへの道なのですから」

 

……やがて不眠サラリマンはテンプルを出て、最寄りの借金センター「ピッタリ良心」へ向かった。高額の借金に対する危機感はあった。ただ、今の彼はそれを置いてもなお、安眠が欲しかったのだ。上空のマグロツェッペリンが哀れな男を見下ろしていた。

 

シウンテイパーはその背中を見送ると、瞑目して、静かに達成感を噛み締めた。「いやはや、商売がうまいですな」不遜な声。見ると、法服めいた黒い装束を纏ったニンジャがバックヤードから広間に出てきたところである。

 

「夢見をよくするジツ……いや、継続的に悪夢を見せるジツか。ドネートさせた後だけ一時的に発動を止めているわけだ」法服ニンジャがくつくつと笑う。シウンテイパーはバクメンポの奥で眉根を寄せた。「タンドラッガー=サン。私たちのテンプルで勝手にあちこち歩き回らないでいただきたい」

 

「これは失礼。そちらのビズの準備がなかなか終わらないようだから暇でね」法服ニンジャ、タンドラッガーは飄々と答える。彼の胸には交差する2本のカタナのエンブレムがあった。ネオサイタマを影で二分する二大ニンジャ組織のうちの一つ、「ソウカイヤ」のエンブレムである。

 

「支払い期日を勝手に前倒ししてきたのは貴方でしょう」シウンテイパーは無感情に言い返す。「それに、商売がどうとか仰っていたが……私の一挙一動は非営利目的。実際純粋宗教活動です」

 

背後の巨大ブッダ像が紫色のニンジャを見下ろす。ニンジャは省みない。「私が常人にない力を行使していることは認めましょう。しかしそれは悪夢を見せる攻撃などではなく、その人本人のカルマ認識を助けるささやかな手伝いにすぎません」

 

「ヘエーッ、あんた自身の中でもそういうことになってるわけか」タンドラッガーは市販のカップ・サケを取り出してあおった。シウンテイパーが見咎める。「境内でサケは」「これは般若湯だ」法服ニンジャは白々しく反論する。

 

やがて、ボンズの1人がバックヤードからジュラルミンケースを抱えて現れた。タンドラッガーが指示してそれを開けさせる……一体どういうことか?そこに収まっていたのは、およそ清廉なテンプルとは不釣り合いな、大量の札束と大トロ粉末であった。

 

「ヨシ。たしかに領収した」タンドラッガーはケースを受け取る。「これで来年もケツモチ契約は継続だ。引き続き、ボタン一つでソウカイニンジャが駆けつけるぜ」「よろしくお願いします」

 

おお、何たることか!今まさに、ごくカジュアルに行われたそのやりとりは、敵対者がシウンテイパーに危険を及ぼしたとき、邪悪ニンジャ組織「ソウカイヤ」のエージェントが急行してその敵対者を抹殺する……暗黒ケツモチ契約の更新行為だったのだ!

 

当然、テンプルの長がそのような後ろ暗く血生臭い契約を行うことは、ブディズムにおける倫理観に真っ向から反する。しかし周囲のボンズが咎めることはない。彼らはシウンテイパーの行動がすべてゲダツに繋がる正当で崇高なものだと考えるように自我を研修されているのだ!

 

タンドラッガーは短く別れを告げてテンプルを去った。シウンテイパーは蓮型玉座上でザゼンを始める。彼は自身を未来の仏教界を背負って立つ存在と考え……たとえ信者から巻き上げた金や信者に違法労働で稼がせた金を注ぎ込んででも……不測の事態から身の安全を守る必要があると考えていた。

 

いくらかの時間が経過する。シウンテイパーはザゼンを続けた。ブッダ像が見下ろす中、そのニンジャ聴力によって自我研修ボンズたちが労働バーを回す音と、テンプルの近くを通る自動車のエンジンの唸り、上空を舞うバイオスズメの羽音を聞いていた。

 

やがて、ずっと遠くに金属質な異音が生じた。それは重量感があり、反復的に繰り返される。何かの歩行音だ。「何か」は、ふらふらと不規則に動きながらも徐々にテンプルへ接近し……そして今!

 

「イヤーッ!」シウンテイパーは突如アグラ姿勢のままジャンプし、垂直に飛び上がった!直後、CRAAASH!!テンプルの入口扉が吹き飛び、大型ロボットが広間に乱入する!脚は逆関節、右手にサスマタ、左手にはガトリング砲!

 

『ドーモ、モーターヤブです!私はニンジャではないのであなたがたのアイサツは省略イヤーッ!』ロボットは早口の電子音声でまくし立て、BRATATATATATA!!ガトリング砲を発射した!

 

【続く】

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