「だから、俺が思うによォ」重サイバネの男・カバジマは、変わり映えしないハイウェイの景色を眺めつつ、手持ち無沙汰そうにハンドルを撫でる。「オナタカミが6年前に倒産したのは、ニンジャに滅ぼされたんじゃねえかって思うんだ。だからオナタカミの野郎はニンジャと戦ってたんだぜ、きっと。カイシャを滅ぼされた復讐だったんだ」
「しかしな、あの時オナタカミとニンジャはヨロシサンのスギナミ支社を同時に攻めてたわけじゃないか……ファーア」エンジニアのドータニが助手席で欠伸する。「とすると、奴らはむしろ結託してたんじゃないか?」「でもよォ、俺は確かに見たんだ。地下の秘密のフロアでオナタカミ野郎とニンジャが戦ってるのをよ」
カバジマとドータニは旧式のワゴン車に乗り、ウェスト・シュトコーを走行中だ。ワゴンの側面には「オムラ・エンジニアリング」とショドーされている。2人はかつてヨロシサン製薬スギナミ支社の警備員だったが、去年の末、侵入者に社内を荒らされた事件に際して解雇されてしまった。最近ようやくオムラの子会社に再就職できたところであった。
「なら内輪揉めでもしたのかもな。そもそも、オナタカミの残党がパワードスーツ着てオムラやヨロシサンにテロ仕掛けてるってのも噂に過ぎないし、それが私たちの見たアイツだっていう保証もないしなあ。ゴクゴク」ドータニは眠気覚ましにバリキ・ドリンクを3本空けた。カバジマはまだ納得しかねる様子だ。「でもよォ、その噂と無関係にたまたま似た格好のテロリストが湧いたっていうのも……ン?」
……BLATATATA……キャドゥーム……キャドゥーム……。車の走行音に混じって、微かに、折り重なった銃声が聞こえてきた。銃撃戦の音だ。「こんなところで撃ち合いしてるバカがいやがんのか?縄張りにしてるヤクザに〆られるのが怖くねえのか」「後ろからか?この音は」ドータニは身をよじって後方を見て、顔色を青くした。「おいカバジマ=サン、大変だ!撃ち合いなんてもんじゃない、後ろで戦争をやってるぞ!」
「何を大袈裟な……」カバジマがバックミラーを見ると、後方からヤクザベンツと家紋タクシーの大集団が追い上げてきていた。「……は?」それらの車両は揃って窓を開け、ヤクザが身を乗り出して対向車線の方へ銃撃している。対向車線を見れば、バイクに乗ったゾックの大軍勢が逆走しつつ、ごつい銃器で応戦していた。
BRATATATA!!BRATATATA!!ヤクザの銃撃でゾックが次々になぎ倒される!キャドゥーム!キャドゥーム!ゾックの反撃でヤクザ車両が次々に爆散!1秒に1人のペースで人が死んでいく!「ワッタファック!何だあのジゴクは!?」湾岸警備隊出身のカバジマもあまりの修羅場ぶりに驚愕!「紛争地帯かよ!?ここはネオサイタマのハイウェイのはずだろ!」
ヤクザ車両集団がどんどん追いついてくる。戦場が近づいてくる!「おい、もっとスピード出せよ!」ドータニが慌てる。「法定速度なんか守ってる場合か!?このままじゃ巻き込まれるぞ!」「いや、ドータニ=サン……それが」カバジマの足元からメキメキという音が鳴った。サイバネ男の脚力でめいっぱい踏み込まれ続けたアクセルペダルが立てる音だった。「さっきからずっと、スピード上げようとしてるんだが……どうもこのオンボロワゴン、これでトップスピードらしい」「おお……ファック」
ワゴン車はヤクザ車両の群れの中に呑み込まれた!BLAMBLAM!!BRATATATA!!「ザッケンナコラーッ!」「スッゾコラーッ!」たちまち、銃声とヤクザスラングが嵐のごとく吹き荒れる!「頭下げろーッ!」カバジマが叫び、サイドウィンドウから身を隠すかのように頭を低めた。ドータニがそれに倣った直後、CRAAASH!!流れ弾が運転席の窓を突き破って飛び込み、車内を横切って、助手席の窓を突き破って抜けていった。あやうく2人とも死ぬところだ!
「アイエエエ!おい、ブレーキだ!減速しろ!」ドータニがうずくまりながら叫ぶ。「このヤクザどもの群れの後ろへ抜けるんだ!」「ダ、ダメだ」カバジマがバックミラーを見上げてうめくように言う。「後ろにもヤクザの車がたくさんいる。急減速したら追突されちまう!」
CRAAAASH!!!頭上から猛烈な衝突音!「ウオーッ!?」「アイエエエ!」カバジマとドータニは揃って悲鳴を上げた。見上げると、車のルーフが巨大なハンマーで殴られたかのごとく凹んでいる。「上から何か……落ちてきやがったのか!?」さらに、続けざま衝突音が降ってくる!CRAAASH!!CRAAASH!!「ウオーッ!?」「アイエエエ!」ルーフ上で何かが戦っている!
【Avenger in love】
「ダーニャー!」ルーフ上にはザイバツの女豹ニンジャ・ジャングルチャンプがいた。「おのれ、クソアマが!」そしてロードゴーストもいる。ジャングルチャンプにマウントポジションを奪われている!「さあ、ジャングルチャンプ=サンの素晴らしい棍棒を喰らうにゃ!」ジャングルチャンプは機械棍棒の柄にあるスイッチを操作した。「パッポー!」打突部がパカッと開き、オモチャの鳩が飛び出した。
「間違ったにゃ!」別のスイッチを操作すると、ジャキンと音を立てて打突部から無数のスパイクが飛び出した。トゲ棍棒だ!「ヌウウーッ!」ロードゴーストは押しのけようとしたが、ジャングルチャンプは女性でありながら全身筋肉ダルマであり、鉛じみた重量感だ!逃れられない!『身を守りなさい!』右腕の黄金義手が叫び、青い炎を噴き出した。炎は凝縮して盾となる!
「イニャーッ!」ジャングルチャンプがトゲ棍棒を叩きつける!「ヌウーッ!」ロードゴーストは盾でガード!バチン!盾の表面の炎が弾けて、ジャングルチャンプに降りかかる。ニンジャスレイヤーとの戦いで見せたのと同じカウンター機能だ。しかし!「熱くにゃーい!」ジャングルチャンプは平然!
「イニャーッ!」ジャングルチャンプがトゲ棍棒を叩きつける!「ヌウーッ!」ロードゴーストは盾でガード!バチン!盾の表面の炎が弾けて、グルチャンプに降りかかる。「効かにゃーい!」ジャングルチャンプはやはり平然!「イニャーッ!」トゲ棍棒!「ヌウーッ!」盾ガード!バチン!「にゃんにゃんにゃー!」平然!
「こいつ、カトンが効かねえのか!?」ロードゴーストは驚愕!「コーッ!シュコーッ!正確には違うな」フロストストームが氷の翼で羽ばたき、ワゴン車の真横にホバリングした。「そのジャングルチャンプ=サンの皮膚は高温、低温、あらゆる温度変化を受け付けないのだ。ゆえに、イヤーッ!」フロストストームは両手をかざし、そこから超低温の冷気を噴射した!さながら超局所的なブリザードだ!
「グワーッ!」ロードゴーストは突然業務用冷凍庫の中に押し込まれたかのような衝撃に苦しんだ。肌がパキパキと音を立てて凍りつき、体温が急速に失われていく。命を吸い取られるような感覚!至近距離にいるジャングルチャンプも当然巻き込まれるが、「寒くにゃーい!」平然!「イニャーッ!」棍棒攻撃続行!「グワーッ!」ロードゴーストは衝撃を防ぎきれず苦しんだ。盾を形成している炎の密度が下がり、ほころんでいる。低温のせいだ!
「イヤーッ!……おやおや」ノヴァフレイムがジャンプしてきて、ワゴン車の隣を走るヤクザベンツのルーフ上に着地した。ワゴン車上での戦闘を見やる。「これは俺の出番はないかもしれないなあ」「イニャーッ!」「グワーッ!」「イニャーッ!」「グワーッ!」ジャングルチャンプの棍棒攻撃!「イヤーッ!」「グワーッ!」フロストストームの冷気噴射!「嘘!実はちょっと寒い!」ジャングチャンプはそう言いながらも平然!
おお、当然といえば当然のことだが、ウェスト・シュトコーはネオサイタマ西部における経済の大動脈であり、ゆえに西部を支配するザイバツにとっては貴重なインフラであり……それを荒らしたゾックたちへの対応が、サンシタニンジャを数人寄越すだけのはずはなかったのだ。3人とも全員強い!黄金義手でドーピングしただけのロードゴーストがその全員を相手にして敵うはずもない!
そうしたニンジャ同士の戦闘に比べれば、非ニンジャのゾックたちはクローンヤクザを相手によく戦っていた。しかし!「カトン・ジツ!イヤーッ!」ノヴァフレイムが中央分離帯越しにカトン火炎弾を撃ち込む!「グワーッ!?」「アバーッ!」ゾックが10人爆死!
「何だあの赤いヤツは!?あの恰好、まさか……」「ニ、ニンジャだ!アイエエエ!」他のゾックたちがその姿を見てNRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)を起こし始める。ロードゴーストやその兄がニンジャだったため、一般人よりはニンジャ存在への耐性がある彼らだったが、こうまでその存在を直視させられてはダメだ!「ザッケンナコラーッ!」BRATATATA!!そこへクローンヤクザが銃撃!「アバーッ!」「アイエエエアバーッ!」ゾックがさらに死ぬ!
ゾックたちはもはや最初の半分ほどしか残っていない!「ち、畜生!俺たちはまだーッ!」マクサが悲痛な叫びを上げる。もはや趨勢が決したかと思われた、その時!「イヤーッ!」合流車線の方から、高速回転する何かが空気を切り裂いて飛来した!「ヌウーッ!?」フロストストームは氷の翼でそれを弾き返した。見れば、それは漆黒のカマだった。(((カマ……ニンジャの武器!)))
「イヤーッ!」続けざま、同じ方向から新たなニンジャが砲弾のごとく飛び込んできた!「コーッ!シュコーッ!イヤーッ!」フロストストームがコリ・クナイをばらまいてインターラプトするが、『させねえぜ!イヤーッ!』何者かの声とともに、漆黒のカマが空中でひとりでに動いた。サイコキネシスで動かされているかのごとく、右に左に切り返し、クナイを弾き返す!
「イヤーッ!」「グワニャーッ!?」飛び込んできたニンジャはそのまま、ジャングルチャンプにトビゲリを叩き込む!「何にゃ!?誰……グワッ、ニャーーーッ!?」ジャングルチャンプはルーフ上から突き落とされ、路面に落下!ブザマにゴロゴロと転がりながら、みるみるうちに後方へ取り残されていく。後続のザイバツ車両が慌ててそれを避けた。「覚えてろにゃああああ……」声が遠ざかる。
「……」飛び込んできたニンジャはしめやかにワゴン車のルーフへ着地した。「ゲホッ、ゴホッ!あ、あんたは……」ロードゴーストが身を起こし、見上げる。そのニンジャはあらためて見ると意外なほど小柄であり、ライダースーツめいたニンジャ装束を纏い、フルフェイスヘルメットを被っている。
「……ドーモ、ザイバツの皆さん、そしてロードゴースト=サン」ニンジャがアイサツする。女性の細い声だった。「ソウカイ・シックスゲイツのナイトリーパーです」
「ド、ドーモ、ロードゴーストです……シックスゲイツだと……!?」ロードゴーストは驚愕した。シックスゲイツといえば、巨大組織ソウカイヤにおいてトップ6人のエリート戦士たちだ。スペルバインドの言葉が思い出される。((("ソウカイニンジャがもう1人、暴走開始後に手勢を率いて合流する予定です"とかなんとか……さては、このナイトリーパー=サンのことだったか!)))
「シュコーッ……ドーモ、ナイトリーパー=サン。フロストストームです」フロストストームが空中からアイサツを返す。「イヤーッ!ドーモ、ノヴァフレイムです」ノヴァフレイムが近くに戻ってきてアイサツの輪に加わる。
フロストストームがそれを睨んだ。「貴様、モータル(訳注:非ニンジャのこと)のゾックども相手にでも気を散らしていたのか?貴様が警戒を怠っていたせいでジャングルチャンプ=サンがアンブッシュを受けて脱落したぞ」「ハイ、スミマセン!」ノヴァフレイムは素直に謝った。見下す相手は選ぶのだ。
「"ミマカリ"!」ナイトリーパーが呼ぶと、先ほどの漆黒のカマが応えるように飛んできて、その手に収まる。ヒュンと一振り回転させると、カマは一瞬で巨大化して、漆黒の大鎌となった。
「けったいな武器を持ってやがるな。さっきはネンリキか何かみたいに動いていたようだったし」ノヴァフレイムが首を鳴らす。「コーッ!シュコーッ!それにしても、我々のテリトリー内でこれほどの騒動が起きるからにはソウカイヤが1枚噛んでいるだろうとは思っていたが……まさか、シックスゲイツまで出張ってくるとはな」フロストストームが腕組みする。「しかしこの戦況、1人だけで覆せるはずもなし!」
「1人じゃない」ナイトリーパーが親指で後ろを示した。先ほど通り過ぎた合流車線……そこから、バイクの一団が侵入してきていた。黄金だ。そのバイク集団はバイクも、フルフェイスヘルメットも、ライダースーツも、全てをゴールドで統一していた。ハイウェイ街灯の光を反射して眩く輝きながら、こちらへ追い上げてくる。
ロードゴーストは目を見開いた。「あれは……"黄金騎士団"!?」11年前、当時のリーダーとともにニンジャスレイヤーに殺害された精鋭部隊……!新たなバイク集団のゴールド装備は、それに酷似していたのだ!「見ろ!黄金騎士団だ!」対向車線のゾックもそれに気づき、叫んだ!「黄金騎士団がジゴクから蘇った!」「俺たちを助けに来てくれたんだ!」歓喜するゾックたち!
黄金騎士団はバイクで走りつつ、ザザッと音を立てて一斉にレールガンを構え、「「「ザッケンナコラーッ!」」」キャドゥーム!キャドゥーム!キャドゥーム!ヤクザスラングのユニゾンとともに、一斉射撃を放った!CABOOOM!!CABOOOM!!CABOOOM!!ザイバツ車両が吹っ飛び、オモチャのように宙を舞う!「黄金騎士団に続けーッ!」「アーポウ!」ゾックたちも勢いづいて攻勢を強める!
「ヌウウーッ!ふざけた増援を……!」フロストストームが眉根を寄せる。「ヘッ、結局モータルの群れかよ。俺のカトンならすぐ蹴散らせるぜ」ノヴァフレイムは余裕綽綽だ……然り。ジャングルチャンプは脱落したが、残る2人のザイバツニンジャはいずれも強力なジツ攻撃の使い手であり、彼らをフリーにしてしまえば黄金騎士団も残存ゾックもたちまちのうちに全滅するだろう。
「プッ!」ロードゴーストはワゴン車ルーフ上に立ち上がり、折れた歯を吐き捨てた。「どっちになら勝てる?」ナイトリーパーが尋ねる。「は?何がだ?」「フロストストーム=サンと、ノヴァフレイム=サン。私でもどちらか一方しか相手できない」小柄なナイトリーパーが、フルフェイスヘルメット越しにロードゴーストを見上げる。「あなたはどっちになら勝てそうかって、聞いてるの」
ロードゴーストは敵ニンジャ2人を見た。白いニンジャ装束のフロストストームは相変わらず氷の翼を打ち振り、空中にホバリングしている。そして鮮やかな赤装束のノヴァフレイム……「来いよ、ロードゴースト=サン」ノヴァフレイムが挑発的に手招きする。「ハエにもなれないまま、歳だけ重ねた蛆虫がよ。潰してやるぜ」
ロードゴーストのこめかみに青筋が浮いた。「……ノヴァフレイムの野郎だ」「……勝てる?冷静に考えてほしいんだけど」ナイトリーパーが聞き返す。「勝てるかどうかじゃねえ。俺は奴に勝たないといけねえ」ロードゴーストの……中年男、オミチ・モンドの目には、たった1匹でハイエナの群れに挑む若い雄ライオンめいた、無鉄砲で凶暴な輝きが宿っていた。「俺の
「……」ナイトリーパーはその異様な気迫に少したじろいだ。『そいつの言うとおりにしてやれや』漆黒の大鎌が表面を飴めいて歪ませ、一つ目と口を生やして、囁いた。ロードゴーストの義手と同じ、自我のある武器なのだ。『どっちにしろ厳しいイクサになるのは変わんねえだろ?なら戦うモチベーションが強い方に寄越してやれ』
「……わかった」ナイトリーパーは囁き返し、大鎌を構えた。「それじゃあロードゴースト=サン、ノヴァフレイム=サンをよろしく。私はフロストストーム=サンを引き受ける」「へへッ……ヨロコンデー!」ロードゴーストは応え、青く燃える右腕の黄金義手と左手のカタナを構える。
「コーッ!シュコーッ!好き勝手言っておるな」フロストストームは両手を空に掲げた。パキパキと音を立てて空気中の水分が氷結し、空中に無数のツララミサイルが出現した。「何一つ、貴様らの思い通りになどならんぞ。2人まとめて
「イイイヤアアアアーッ!」フロストストームが両手を振り下ろすと、ツララミサイルが一斉に発射された!鋭い先端がハイウェイ街灯に照らされてギラリと輝いた。さながら無数の槍が横殴りの嵐となって飛来するがごとく!「イヤーッ!」ロードゴーストは右腕を打ち振って青炎をまき散らし、飛来するツララを溶かして防ぐ。「イヤーッ!」ナイトリーパーは飛んでいた。槍の嵐に逆らって!
「イイイヤアアアアーッ!」ナイトリーパーは大鎌をめまぐるしく振るい、飛来するツララを砕く!砕く!砕き続ける!「コーッ!シュコーッ!蛮勇よ!」フロストストームがせせら笑った。然り!この規模の弾幕、大鎌のような取り回しの悪い武器で、しかも姿勢の安定しない空中で、捌き切れるはずがない。(((奴は必ず被弾する。そして痛みで怯む)))フロストストームは右手に必殺のコリ・ジャベリンを生成した。(((そこにこいつを刺す!)))
その思惑通り、ナイトリーパーの防御をすり抜けたツララが1本、2本、3本と、彼女の体に突き刺さった。……しかし!「イイイイイ……!」ナイトリーパーは全く怯まず、むしろ、更なる1撃を振りかぶった。フロストストームの首を刈り取る1撃を!「何!?」フロストストームは驚愕!過去に戦ったコロスニンジャ・クランのニンジャソウル憑依者のことが脳裏をよぎった。(((あいつはジツで痛覚を切除しているようだったが、もしやこいつも?あるいは別の……!)))
「させるか!」ノヴァフレイムがインターラプトを図って飛びかかろうとするが、「イヤーッ!」「ヌウーッ!?」ロードゴーストが青く燃えるカトン・スリケンを投げつけ、ブリッジ回避を強いる!「てめえの相手は俺だ!」
「……ヤアアアアーッ!」ナイトリーパーが大鎌を繰り出す!フロストストームはジャベリンで右手が塞がっており、「イヤーッ!」ピシッ!……ゴ、ゴウランガ!フロストストームは左手だけで大鎌の刃を摘まんで、止めた!シラハドリ!「な……!?」『何だとォ!?』ナイトリーパーと大鎌が驚愕!
「イヤーッ!」フロストストームは続けざま、空中回し蹴りを繰り出した!エリアルカラテ!「ンアーッ!」ナイトリーパーは脇腹を蹴られて大きく吹き飛ぶ!「ゲホゲホッ、ガハッ!ヒューッ!ヒューッ!」フロストストームが苦しげに咳き込み始めた。サイバネで呼吸機能を補っている彼にとって激しいカラテ動作は負担が大きいのだ。
(((し、しかし……!)))フロストストームは吹き飛ぶ敵を見やる。この軌道、路面に落ちるだけでは済まない。フェンスを超えてハイウェイの外まで飛んでいく勢いだ。(((我々は時速100km超で移動中。ハイウェイから落下すれば、二度と追いつけぬ!これで奴はこの戦場からリングアウト……)))
……そして、気づいた。ナイトリーパーの大鎌の柄が、ずいぶん短くなっていることに。(((何?)))柄はほどけて、鎖となって伸びており……フロストストームの脚に絡みついていた。「リングアウト、してあげる」騒音に満ちたハイウェイの戦場の中でも、ナイトリーパーの言葉は明瞭に聞き取れた。「ただし、あなたも一緒にね……!イヤーッ!」ナイトリーパーは鎖を思いきり引いた!
「き、貴様……!グワーーーッ!!」フロストストームはなすすべなく引き寄せられた!彼ほどのタツジンであっても、咳き込んでいる最中にこのような奇襲を受けては対応できなかった!「ノ、ノヴァフレイム=サン!ゾックを必ず皆殺しにしろ!貴様に任せたーッ!」そう叫んだきり、「「グワーッ!」」ナイトリーパーと2人揃って、ハイウェイの外へ落下していった。脱落!
「「イヤーッ!」」一方、ヤクザベンツのルーフ上では、ロードゴーストとノヴァフレイムがカラテをぶつけ合っていた。「なんでえ、フロストストーム=サンも情けねえなァ」ノヴァフレイムがせせら笑う。「まあ、あの人がブザマを晒した分、俺が手柄にできる分が増えたかもな。あんたを始末して、そのあとゾックを全員殺す。ちょろい仕事だぜ!イヤーッ!」
ノヴァフレイムはカラテパンチを放った。バチン!ロードゴーストの体表を循環していた青い炎が破裂して、それを弾き返した。「何……!?」「イヤーッ!」「グワーッ!」ロードゴーストの右拳カラテパンチがノヴァフレイムの横面を、捉えた!「テメエ……!ドサンシタ野郎が!」別の車両のルーフへ飛び退き、怒りに叫ぶノヴァフレイム!
「頭がよすぎるとイクサの最中に余計なことを考えて気が散っちまうみてえだな、ガキめ」ロードゴーストは野獣めいて粗暴なカラテを構える。「いいか、てめえは今から死ぬ。その理由はただ一つ……この俺をナメたからだ」
「ハハハ……アッハッハ!ヒーッヒッヒッヒ!」ノヴァフレイムは狂気じみて笑い、超常の光に燃える瞳で見返した。「笑わせんなよ、蛆虫が!俺にとっちゃ味方が消えたのも好都合なくらいなんだぜ。気を遣う必要がなくなったからなあ!」ゴウッ!彼は全身からカトンの炎を噴出した。ロードゴーストは十分離れているはずなのに、溶鉱炉を目の前にしているような高熱を感じた。今や敵は太陽の化身じみた姿!「最大火力で!ウェルダンにしてやるぜ!」
このオーボンの夜、ジゴクダイヤモンドのゾックたちとウェスト・シュトコーを巡って、ザイバツとソウカイヤの巨大な陰謀が激突している。しかし今ここにいるのは、互いを憎む2人の男だけだ。いまだ続くゾックとザイバツヤクザたちの銃撃戦を背景に、「「イヤーッ!」」殺意が交錯!
【続く】