恋する復讐者◆暗黒の7日間   作:ボブ・ニンジャ

53 / 58
オーボンナイト・ゴーストライダーズ#7

 

ザイバツ車両の群れが対向車線のゾックたちと交戦しながらハイウェイを進むうち、前方にトンネルが迫ってきた。ネオサイタマ市街地の只中に位置する傍迷惑な山「ハコネヤマ・マウンテン」を貫く、「ハコネヤマ・トンネル」である。一本の極太の坑道の中に上り・下りの両車線を設けた構造だ。

 

「オムラ・エンジニアリング」とショドーされたワゴン車が、ザイバツ車両群の中から右側へ逸れていった。ルーフ部分を中心にひどく損傷している。ワゴン車は車体をハイウェイ側壁に擦りながら進み、CRAAASH!!トンネル入口脇のコンクリ壁に正面から激突した!CABOOOM!!エンジンが破損して爆発!たちまちワゴン車は炎に包まれる!

 

「ウオーッ!」CLASH!フロントガラスが内側から蹴破られ、サイバネ男が這い出した。カバジマだ!カバジマは助手席の方へ走り、「ウオーッ!」CLASH!ドアを引き剥がして破壊し、燃える車内から乗員を引きずり出して救出!

 

「ンアーッ!」ドータニが路側帯に転がされ、妙な方向に曲がった右腕を押さえてのたうち回った。「アイエエエ!腕が!私の腕が!救急車ーッ!」「……」カバジマは彼女を放置し、額から流れる血を拭った後、ワゴン車を見た。トランクに積んでいた高価な試作機械もろとも、キャンプファイアーめいて轟々と燃え上がっている。

 

「ああ、こうなると……俺たちはまたクビか」カバジマは他人事のように呟いた。目線をトンネルの方へ移すと、ザイバツ車両群が通り過ぎて、続々と坑道へ突入していくところだった。中央分離帯の向こうではゾックたちも突入していく。2勢力は狭いトンネル空間に押し込められ、いよいよデスマッチの様相だ。

 

トンネル内での戦闘音が反響して聞こえてくる。銃声に混じって、「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」人の声……カラテシャウトだ。不意に、爆発でも起こったのか、トンネル内がパッと明るくなった。カラテを構えて向き合うニンジャ2人のシルエットが一瞬だけ、影絵めいてトンネルの壁に浮かんだ。

 

「ああ……やっぱ、ニンジャって実在するんだなァ」カバジマは呆けたように呟いた。「おい、カバジマ=サン!何ボサッと突っ立ってるんだよ!」ドータニが倒れたまま恨めしげに見上げてくる。「私の腕が折れたって言ってるだろ!早く救急車を呼べよ!」

 

「頼む立場のくせに偉そうだな、お姫様!」「ンアーッ!」カバジマは彼女の脇腹を蹴り付けた後、IRCトーカーを取り出した。しかし画面に「電波状況が悪く無効な通信だ」の表示を見つけ、顔をしかめる。(((オイオイ、ここネオサイタマのど真ん中だろ……?電波状況が良すぎて変な毒電波拾っちゃうのは茶飯事だろうが、悪いって何だよ)))

 

カバジマは知る由もないことだが、この通信不良はチェミのハッキング工作によるものであった。ゾックたちからソウカイヤへの無線通信を遮断するにあたって、近くにいた無関係のカバジマたちまで巻き添えを食った形である。

 

(((何だか知らんが、今日の俺たちはとことんアンラッキー・デーらしいな。アンラッキー・ニンジャ・デーだ……恨むぜ、ブッダ!)))カバジマは舌打ちとともにIRCトーカーをしまい、背中にドータニの催促の声を浴びつつ、遠くの非常用固定電話まで歩くのだった。

 

【Avenger in love】

 

……トンネル内、ザイバツヤクザとゾックの戦闘音がはてしなく反響する戦場で!

 

「カトン・ジツ!イイイヤアアアーーッ!!」ロードゴーストが右腕の黄金義手から青い炎を噴射する。さながら龍の息吹のごとし!「カトン・ジツ!イイイヤアアアーーッ!!」ノヴァフレイムは両手から紅蓮の炎を噴射した。さながら双頭龍の息吹か!二者の炎は空中で激突し、押し合う!

 

「グワーッ!」やがて押し負けたのは……ロードゴーストだ!ヤクザベンツのルーフ上から吹き飛ばされ、あわや路面落下か!?「イ、イヤーッ!」否!横を走っていた家紋タクシーの車体側面に左手のカタナを突き刺して堪えた!

 

「ザッケンナコラーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」家紋タクシー車内からチャカを向けてきたクローンヤクザをカラテで殺す!「イヤーッ!」ノヴァフレイムがカトン火炎弾を撃ってくる!「イヤーッ!」カタナを引き抜き、車体側面を蹴って跳躍回避!CABOOOM!!背後で火炎弾を受けた家紋タクシーが爆発炎上!間一髪!

 

「イヤーッ!」ノヴァフレイムが再びカトン攻撃!「イヤーッ!」回避!CABOOOM!!「イヤーッ!」さらなるカトン攻撃!「イヤーッ!」回避!CABOOOM!!ロードゴーストは高速走行するザイバツ車両のルーフを次々に飛び移り、ノヴァフレイムのカトン攻撃を回避する。さながら敵の軍船を飛び渡った古事記のブル・ヘイケだ!

 

『単純な火力ではあちらが上ね。おそらくスタミナも。ジツの撃ち合いをしていたら勝ち目はないわ』黄金義手!『間合いを詰めてカラテに持ち込みなさい。そちらの方がまだ勝ち目がある』「チッ、簡単に言いやがる!」ロードゴーストは吐き捨てるように言い、「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」青く燃えるカトン・スリケンを3連続で投げつける!

 

「ハハハ!イヤーッ!」ノヴァフレイムが右手をぞんざいに振るうと、炎が前方を薙ぎ払い、カトン・スリケンをまとめて焼き尽くした。「どうした、カスめ!俺を殺すにはヌルすぎるぞ!カトン・ジツってのは、こうやるのさ!」そしてババッと音を立てて両手で複雑なニンジャサインを組むと、「ヒサツ・ワザ!イヤーッ!」

 

ボウンッ!一際大量の炎がノヴァフレイムの周囲に噴出したかと思うと、急速に2つの人型に凝集した。人型の輪郭はノヴァフレイムに酷似している。カトン・ブンシンである!「行けッ!」本体の号令一下、ブンシンは滑るように飛行し、ロードゴーストに接近する!

 

「イヤーッ!」ロードゴーストはブンシンにスリケンを投げつけたが、ホログラムか何かのようにすり抜けてしまう。「クソが、まさしく炎の塊ってわけか……!」『とはいえ、見た目で脅かすだけのはずはないわよ。回避なさい!』「わかってる!イヤーッ!」

 

ロードゴーストはムーンサルト跳躍して、ブンシンの横をすり抜けようとした。しかしその瞬間!CABOOOM!!ブンシンのうちの1体、ロードゴーストとの距離が近い方が爆発!「グワーッ!?」大きく吹き飛ばされるロードゴースト!車両ルーフの端に掴まってどうにか転落を堪える!

 

「バカめ!カトンのセンパイとして特別に教えてやろうか?そのブンシンは近接信管の砲弾と同じだ。敵に接触しなくても、距離が近くなれば自動的に爆発するのさ!」ノヴァフレイムが笑い、「そして自動制御ゆえに俺は手が空く。ゆえに、イヤーッ!」ナムサン!新たなカトン火炎弾を投げつけた!

 

「ウオーッ!」ロードゴーストはまだルーフの端にぶら下がったままだ!なんとか逃れようと体を捻るが、結局至近距離に着弾!CABOOOM!!「グワーッ!」ナムサン!またも吹き飛ばされる!ついに転落か!?一瞬の気絶から覚めると……足元に、たしかな足場があった。

 

「エッ?」ロードゴーストは呆けた声を漏らし、周囲を見回した。気づくと、横の方を走行していた別のザイバツ車両のルーフ上に立っていた。もう1体のブンシンが方向転換してこちらに向かってくる。「アアン?」ノヴァフレイムもこちらに向き直る。「チッ、うまい具合に吹き飛ばされやがったな。路面に叩き落としてやるつもりだったのに」

 

ロードゴーストはようやくあの一瞬に何が起きたのかを理解した。自分はあの火炎弾の爆発で、うまくこの位置まで射出されたのだ。着弾直前に体を捻ったため、偶然にも、爆風を背中でうけて飛ぶ姿勢となったらしい。(((これだ)))ロードゴーストの脳裏に電流が走った。(((奴の意表を突いて間合いを詰めるには、これしかない!)))

 

「幸運は2度も続かねえぜ。そら、ブンシンが行くぞ!」ノヴァフレイムの言葉通り、炎でできたブンシンが空中を滑るように迫ってくる。彼自身も手に次の火炎弾をチャージしている。「ブンシンに爆破されて死ぬか、俺に爆破されて死ぬか、二つに一つよ!」

 

「おい、金ピカ」ロードゴーストは黄金義手に囁く。「次に跳んだら、俺の背中を守れ。さっき出した盾でも何でも使って」『え?何でよ?』「説明してる暇はねえ……!行くぞ!」ロードゴーストはルーフ上で短く助走を取り、「イヤーッ!」跳躍した!ノヴァフレイムの方へ?否。彼は、おお、ナムサン!ブンシンの方へと跳んだのだ!

 

「ハハーッ!バカが!頭おかしくなったのか!?」ノヴァフレイムがせせら笑う。対照的に無表情なカトン・ブンシンが、みるみるうちに近づく。『ああもう、知らないわよ!イヤーッ!』黄金義手がロードゴーストの背中に青炎の盾を編み上げた。ロードゴーストは空中で身を捻り、CABOOOM!!ブンシンの炸裂をその背中で受けて、自らを高速射出した!

 

「……な!?」驚愕に目を見開くノヴァフレイムの顔が、もうこんなに近い!ロードゴーストはすでに彼と同じ車両のルーフ上にいる!「イイイヤアアアーーーッ!!」黄金義手の右拳を振るう!ノヴァフレイムのメンポを砕きながら、振り抜く!「グ、ワーーーッ!!」ノヴァフレイムはキリモミ回転しながら空中へ吹き飛んだ!

 

「金ピカーッ!カタナに炎よこせーッ!」ロードゴーストはルーフ上に着地してそう叫び、左手のカタナを振りかぶる!背中にある青炎の盾がほどけて、カタナの刃に纏わりつく!「地獄に落ちろ、ノヴァフレイム!イヤーッ!」カタナを振るうと青炎が千切れ飛び、波となって射出された!青炎の波は空気を切り裂き、焼き焦がしながら敵をめがけ……

 

「まだだァ!」ノヴァフレイムが目を見開いた。背中から左右へ炎が噴出して凝集し……おお、それは翼だ!羽ばたき、空中でロードゴーストの方へ向き直る!「イヤーッ!」手の一振りで紅蓮のカトンが荒れ狂い、青炎の波を吹き散らす!

 

「つ、翼だと!?」『なんてこと……』ロードゴーストと黄金義手は驚愕を隠せない。バサッ!バサッ!ノヴァフレイムは炎の翼で羽ばたいて滞空し、それを見下ろす。「ハハハ……!何だよ、出来んじゃねえか……完全にアドリブだったけどよ。やればできんじゃねえか!」メンポを砕かれて顕となった眉目秀麗な青年の素顔は、会心の笑みに歪んでいる。「やっぱ俺は天才だァ!」

 

一方、対向車線!「なんだありゃあ!?」ゾックの1人マクサは、敵車両部隊がいくらか減ったことで余裕を得て周囲を見回したところ、中央分離帯越しに異常な光景を目撃していた。敵車両部隊の頭上に、炎の翼を持つ男が飛行しているのだ。翼の男は空中から次々に火炎弾を投げつける。リーダーのモンドが車両のルーフを飛び移りながらそれと戦っているが、明らかに劣勢だ。

 

「モンド=サン!今、お助けします!」マクサはとっさにレールガンをそちらへ向けた。「ヤメロ!」バイクを寄せてきてそれを制止したのは、元ドサンコKGBのゾック、アサシマだ。「あれはニンジャだ。そんな大雑把な武器で狙撃できる相手じゃない。むしろモンド=サンのイクサを邪魔してしまうリスクの方が大きい」「でも、何もせずにいるわけには!」「俺に任せろ」アサシマはシビアな目でニンジャたちの戦闘を睨みつつ、懐を探った。

 

「イヤーッ!」ノヴァフレイムが空中からカトン火炎弾を投げつける!「イ、イヤーッ!」ロードゴーストは別のザイバツ車両のルーフへ飛び移って回避!CABOOM!!さっきまで乗っていた車両が火炎弾を受けて爆散!「イヤーッ!」さらなる火炎弾!「ウオーッ!」飛び移って回避!CABOOM!!ザイバツ車両無惨!

 

「逃げ回るだけかよ、ロードゴースト=サン!さっきのカトン・ジャンプで飛びかかってくる度胸はもうねえのか、エエッ!?」ノヴァフレイムが見下ろし、挑発する。「まさかザイバツの車を減らせばゾックが有利になるとか思ってるんじゃねえだろうな?バカバカしい!このカトンの翼を得た今、俺1人残っていればゾックどもなど爆撃で簡単に焼き払えるぜ!イヤーッ!」カトン火炎弾!

 

ロードゴーストは周囲に飛び移れる車両がないのを見てとると、「イヤーッ!」「アバーッ!」ストンピングで足元のヤクザベンツのフロントガラスを破壊し、運転手ヤクザを殺しつつ、足を目一杯伸ばしてサイドブレーキを引いた。ヤクザベンツは急減速!CABOOM!!火炎弾はヤクザベンツの目前の路面に着弾した。「イヤーッ!」ロードゴーストは黄金義手の腕力でベンツのルーフを剥がし、オープンカーにして乗り込んだ。サイドブレーキ解除!再アクセル!火炎弾の炎を突き抜けて加速するヤクザベンツオープンカー!

 

「イヤーッ!」ロードゴーストはハンドルを右へ!CABOOM!!すぐ左側で火炎弾が爆発!「イヤーッ!」ハンドルを左へ!CABOOM!!すぐ右で火炎弾が爆発!視界の隅を「あと半分のトンネルだ」の標識が流れていく。『ロードゴースト=サン。トンネルを抜けたら奴はもっと高度を上げて自由に飛び回るようになるわ。そうなれば勝ち目はない』「うるせえな!わかってる!」『私の炎でさっきのカトン・ジャンプをできるようにスタンバイしておくわ。機会を見つけて勝負をかけなさい』

 

「俺に指図するんじゃねえ!だいたい、その機会がねえから困って……ヌウッ!?」ロードゴーストはサイドミラーを見て、唸った。2体のカトン・ブンシンが路面スレスレを浮遊して追ってくるのだ。ハンドルを切ってみるが、超自然のブンシンは慣性に縛られず滑らかに追跡してくる。振り切れない!

 

CABOOM!!「グワーッ!」1体目のブンシンがヤクザベンツオープンカーの後部に着弾!激しい振動!CABOOM!!「グワーッ!」2体目のブンシンが着弾!激しく振動!気づくと、前方のヤクザ車両に追いつきつつあった。ブンシンの爆発が図らずも瞬間的加速の役目を果たしたのだ。「イヤーッ!」ロードゴーストは後先考えず、運転席を蹴ってそちらへ飛んだ!

 

直後、ブンシン爆発で損傷したヤクザベンツオープンカーは急減速し、CABOOM!!カトン火炎弾の直撃を受けて爆発炎上!アブナイ!「ウオーッ!」ロードゴーストは前方ヤクザ車両のルーフ後端になんとかしがみついたが、這い上がることができず、またも宙吊り状態だ!

 

「オーテ・ツミだな、ロードゴースト=サン!」ノヴァフレイムはそれを見下ろし、確変に突入したパチンコパーラー・ギャンブラーめいて興奮しつつ、右手にカトン・ジャベリンを生成した。相手の体を貫いて内臓を焼く必殺の飛び道具である。「もうジャンプはさせねえ!そのブザマな格好のまま死……」BLAMN!

 

「!?イヤーッ!」ノヴァフレイムは空中で大きくのけぞった。そうせざるを得なかった。不意に銃弾が飛んできて、回避を強いられたからである。(((誰だ?邪魔を!)))反射的に、銃弾が飛来した方向に視線を向ける。中央分離帯の向こうで、ゾックの1人が両手でマカロフ拳銃を構えていた。アサシマである!クローンヤクザであっても不可能な精密狙撃だ!

 

CABOOM!!「イヤーッ!」直後、下の方から爆発音とカラテシャウト!「な……!」ノヴァフレイムが視線を戻すと、すぐ目の前の空中にロードゴーストがいた。アサシマの援護射撃が生んだ一瞬の隙をついて、青炎カトン・ジャンプで跳躍してきたのだ!「イイイヤアアアアーッ!!」ロードゴーストが左手のカタナで横薙ぎ斬撃を繰り出す!首を刎ねにいく!ノヴァフレイムはカトン・ジャベリンで右手が塞がっており、

 

「イヤーッ!」ピシッ!……ゴ、ゴウランガ!ノヴァフレイムは左手だけでカタナの刃を摘まんで、止めた!シラハドリ!「な……!?」『何ですって!?』ロードゴーストと黄金義手が驚愕!「イヤーッ!」ノヴァフレイムは続けざま、空中回し蹴りを繰り出した!エリアルカラテ!「グワーッ!」ロードゴーストは脇腹を蹴られて大きく吹き飛ぶ!

 

「残念だったなァ!根本的にてめえのカラテはすっとろいんだよ!天才の俺を殺せるとでも……」ノヴァフレイムは落下していく敵をカイシャクすべく、あらためてジャベリンを構える。「思って……」そして、目を見開いた。

 

おお、それはあまりにもできすぎた偶然だった。ハイウェイに親しむゾックであるロードゴーストにハイウェイの神が微笑んだとしか思えなかった。……時速100km超で通過していくトンネル内の景色の中、落下していくロードゴーストのすぐ近くに、絶妙なタイミングで「緊急脱出口こちら→」の看板が流れてきたのだ!

 

ロードゴーストは必死であり、その幸運のありがたみを実感する余裕もなかった。「イヤーッ!」ただ、競泳クイックターンめいて体を捻って看板を蹴り、再跳躍した!「終わりだーッ!イイイヤアアーッ!!」敵の心臓を狙って、カタナを突き出す!SPLASH!肉を貫く鈍い感触とともに、血飛沫が舞い……

 

「終わるかッ!ドサンシタの蛆虫が!」おお、なんたるしぶとさか!?ノヴァフレイムはこの奇襲をも左腕で防御していた!カタナに左腕を貫かれて血を溢れさせながらも、右手のジャベリンを、「俺の栄光、黄金の未来!てめえなんぞに邪魔はさせねえ!イヤーッ!」ロードゴーストの脇腹めがけ突き刺した!

 

BOOM!!カトン・ジャベリンはロードゴーストの腹の中で弾けて、炎を撒き散らした。「グワーーーッ!!」ロードゴーストは絶叫した。大きく開けたその口から白煙が噴出した。意識がホワイトアウトし……

 

……気づくと、ロードゴーストはバイクに乗って、ウェスト・シュトコーを走っていた。周囲には年若いゾックたち。自分の手を見ると、皺が少なかった。黄金騎士団のライダーたちが自分を追い越していく。目で追うと、ゾック集団の先頭に、懐かしい後ろ姿が見えた。「御道大弥」と白くショドーした特攻服(トップク)の背中……

 

「兄貴ーッ!」ロードゴーストは意識を取り戻した。いまだ自分はトンネル内の空中!眼前にはノヴァフレイム!「まだだ!まだなんだ!俺の黄金時代(オーゴン)は!俺の自由は!イヤーッ!」敵の左腕に突き刺さったカタナを引き寄せ、黄金義手の右拳で殴りつける!「グワーッ!?テメエ不死身か!?」ノヴァフレイム苦悶!

 

「俺はまだ、あんたに追いついてねえ!イヤーッ!」再度殴りつける!「イヤーッ!」ノヴァフレイムは右手でそれを弾いて防御!今や彼もまた目や鼻から血をドクドクと流し、必死の形相!「何をごちゃごちゃと!死に損ないはとっとと死ねーッ!イヤーッ!」右手チョップでロードゴーストの首を刎ねにいく!

 

バチン!一瞬早く、青い炎がロードゴーストの体表を覆い、チョップを受けて破裂。チョップは弾かれ、ノヴァフレイムは体勢を崩した。致命的なまでに。「……な……何故だ」ノヴァフレイムは呆然とした。さっきまですぐ目の前にあった黄金の未来が、急速に遠ざかっていく感覚。「俺にミスはなかった。天才の俺がベストを尽くしたのに、何故こんな結果になる」

 

「言っただろうが……テメエが俺を!」ロードゴーストは左手のカタナを押し下げ、敵を見下ろす姿勢になると、「ナメたからだッ!イイイイヤアアアアーーーッ!!」渾身の力で黄金義手の右拳を、振り下ろした!SMAAAASH!!!

 

「グワーーーッ!!」ノヴァフレイムは隕石めいて路面に激突し、丸いクレーターを作った。「グワアバ、グワッ、グワーアバーーーッ!!」そのまま慣性で地面を抉りながら後方へゴロゴロと転がった末、「サヨナラ!」爆発四散した!溢れる才覚と強大なニンジャソウルを併せ持つ若きエリートニンジャの、あまりにも不本意な最期であった。

 

その後、ロードゴーストはどうにかザイバツ車両の上に着地し、運転ヤクザを殺して運転席に入り込んだ。「ハハハハハ……!ハッハハハ!ノヴァフレイムのやつめ、ザマミ……ゲホッ!ゴボッ!」そして沸騰する血を吐いた。ノヴァフレイムのカトン・ジャベリンはたしかに、彼の内臓に重篤なダメージを与えていた。

 

ロードゴーストはどうにか車を運転しつつ、痛みを和らげる違法薬物シャカリキを求めて懐をまさぐった。吐血は止まらなかった。やがてゾックと黄金騎士団たちが残りのザイバツ車両を破壊し尽くして戦闘が終わる頃、トンネルは終わり、視界が開けた。とはいっても、左右はハイウェイ隔壁に遮られ、頭上は月も見えない暗澹たる曇り空だった。

 

【続く】




次回の更新は明後日9/23です。
残り2〜3話で本章は完結となります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。