恋する復讐者◆暗黒の7日間   作:ボブ・ニンジャ

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リユニオン#4/4

 

(ハーデンベルギアの黒目が戻ってきた。「それは、ジゴクで教えてやる」ニンジャスレイヤーの肌が粟立つ。「イヤーッ!」ハーデンベルギアを投げ捨てる!できるだけ遠くへ!次の瞬間、「ギギギガガガガガーーッ!!」KRA-TOOOOOM!!ハーデンベルギアが絶叫とともに大爆発!自爆である!)

 

(爆風が路面を吹き払い、周囲の店のショーウィンドウを砕いた。「「グワーッ!!」」ニンジャスレイヤーとワイヤープラーは方々へ吹き飛ばされ……そして……)

 

「ネー、キミ何してんの?」スズリガは顔を上げた。話しかけてきたのは、2人組の女子高校生だった。揃って制服をゲイシャ風に改造しており、化粧が濃い。

 

「エット……その」スズリガは緊張した。中学生の彼にとっては高校生も年上である。「待ち合わせで」

 

「待ち合わせ?クリスマスに?ヤンバーイ!」高校生たちはけらけら笑う。カバンのキーホルダーがジャラジャラ鳴った。「絶対デートじゃん!デートでしょ?」

 

「……」スズリガは少し逡巡した後、答えた。「そうです」「ヤンバーイ!カワイイのにガールフレンドいるんだー!」高校生の返事に、少年は俯いて顔を赤らめた。

 

「オトコマエ見せなよ!ガンバッテ!」……そう言い残して、彼女たちは去った。スズリガは広場の大時計を見上げる。午後8時。待ち合わせの時間を3時間も過ぎている。

 

IRC端末を見る。待ち合わせ時間の後、ミフデにメッセージを送ったが、いまだ反応がない。普段は1分と経たずに長文の返事が飛んでくるのに。

 

彼女の身に何かあったのか?それよりも現実的な答えがある。(俺は客観的に見て、真剣なアプローチに対して先送りを繰り返す情けない男だ)ミフデが今更ながらそれに気づき、関わりを絶ったのではないか。

 

しかし彼女はあの日、自分の誘いを二つ返事で承諾してくれた。それに、あらためて考えてみれば彼女の自分への好意はかなり前から露骨であり、情けないところを見せても変わることがなかった。今更変わるものか?

 

デート。そのはずだ。スゴイタカイビルの方から、微かに爆発のような低い響きが聞こえる。周囲の人々がヤクザの抗争だ何だと、何か物騒な話をしている。IRCに返事がない……。

 

……ワイヤープラーは目を覚ました。青白い街灯の下、頭上は雪の舞い散る夜空。IRC端末を取り出し、時刻を確認する。午後11時50分。

 

(よく凍えなかったものだ)ベンチからあたりを見回すと、無人の公園である。繁華街から遠く離れたカチグミ住宅街だ。あたりには奥ゆかしい低層建築が立ち並び、その向こうに中心街の摩天楼とそこにたかるように飛ぶツェッペリンの群れが小さく見える。

 

ワイヤープラーはすでにニンジャ装束の上に普段着を着込み、一般人らしい外見を取り戻している。負傷にはバイオ包帯を巻く等の適切な処置が施されている。闇医者に行ったからだ。

 

(では、なぜスシ屋に行かなかった?)ニンジャは自問する。手元には安っぽいパック・スシの空容器と、空のコブチャ缶だけがある。(もっと暖かい場所で良質なスシを食べ、傷を癒す。それがベストな選択だったはずだ。俺はなぜこんなところに……)

 

俺がスシ屋に行けばどうなる?ニンジャスレイヤーが現れるだろう。(そうだ、俺は奴に追われているんだった)奴が俺を攻撃する。俺はハーデンベルギアに襲われた時のごとく、死に物狂いで抵抗する。巻き添えで、周囲のイタマエや客が死ぬ。

 

(バカな)ワイヤープラーは自嘲した。(俺が無辜の市民様を庇ったとでもいうのか。すでに罪深いニンジャのこの俺が……このクリスマスの夜に)……このクリスマスの夜に。なんだか合点がいく気がした。10年前の記憶。

 

「ドーモ、ワイヤープラー=サン」背後から声。振り返る。暗闇の中、スポットライトめいた街灯の下で、浮浪者じみたニンジャがアイサツする。「ニンジャスレイヤーです。ずいぶん遠くまで逃げたものよな」

 

ワイヤープラーは細く息を吐き、立ち上がる。瞬時に普段着を脱ぎ捨てて銀のニンジャ装束姿となり、メンポを装着。センチメンタルな青年が、非情なニンジャとなる。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ワイヤープラーです」

 

「ジョルリ・ニンジャクランの腰抜けめ。この寂れた砂場がオヌシのオブツダンとなる」ニンジャスレイヤーが脅迫する。ワイヤープラーは訝しんだ。「一体何なんだ、その執念は。どうしてそこまでして俺を殺そうとする?」

 

「オヌシがニンジャだからだ」「……何だと?」「儂はニンジャを殺すニンジャ、ニンジャスレイヤーだ。オヌシらニンジャは全員理不尽に、惨たらしく殺してやる。オヌシらがモータルにするようにな」ニンジャスレイヤーの目に狂おしい憎悪が燃え上がる。「ニンジャ、殺すべし!」

 

ワイヤープラーはその迫力にたじろいだが、なんとか戦意を保った。直前までスシを食べつつ休憩して体力を回復していたことがそれに寄与した。「……狂人め。お前のような小汚いチビに殺されるなど絶対ゴメンだ」

 

そうとも、ここで殺されるわけにはいかない。チェミ婆の件がまだ片付いていないのだ。あの憎たらしくもタフなババアが、なりふり構わずSOSを発したのは何故だ?ババアはどこへ行った?ハーデンベルギアが言っていた「暗号化されたデータ」とは何だ?何も解決していない。

 

2人のニンジャは雪の舞う中、カラテを構えて向かい合う。住宅街はひっそりと静まり返って、はるか遠くの繁華街の賑わいが微かに聞こえるほどだ。冷たい風がブランコ・アスレチックを揺らし、球体アスレチックを緩慢に回転させた。

 

(ハーデンベルギアを仕留めたワザマエから見て、こいつも格上)ワイヤープラーは敵の力量を分析する。その思考は繁華街で追い詰められていた時よりいくらか明晰だ。(しかし俺はあの戦闘の後、医療処置を受け、寒い中ではあるがスシを食べて休憩した。ゆえに体力が多少回復している。一方、奴はずっと俺を探し回っていたはずで……)

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが右手でスリケンを投げつける!雪を切り裂いて飛来する殺意!「イヤーッ!」ワイヤープラーは右手でクナイを投げ相殺!しかし敵はすでに懐に踏み込んできている!

 

「イヤーッ!」左フックで迎撃!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはその拳に右手を添えて逸らし、「イヤーッ!」流れるように右肘打ちを繰り出す!「ヌウーッ!」ワイヤープラーはかろうじて右手でガード!

 

「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが前蹴りで追撃!「イヤーッ!」ワイヤープラーが前蹴りで反撃!SMASH!蹴りと蹴りが激突し、両者は飛び離れて公園の両端に着地した。ゴジュッポ・ヒャッポ!

 

「ヌウウーッ……」ニンジャスレイヤーが不満げに唸る。ワイヤープラーはカラテを構え直しつつ、相手の左腕を見た。ボロ装束が焼け焦げ、腕が……思ったより華奢なそれが、ひどい熱傷を受けているのが見える。ハーデンベルギアの自爆のダメージであろう。

 

(俺も火傷は負ったが、あれはそれよりずっと重そうだ。爆心と近かったから当然か)そして、その左腕は側から見ても強張り、構えに隙を生じている。ニンジャスレイヤーは先ほどの切り結びにおいても、一度もその腕を使わなかった。

 

(おそらくあの腕はまともに動かんのだろう。となれば警戒すべきは右手と脚のみ)ワイヤープラーは結論し、ベルトにあるスイッチを操作した。彼の装束がモザイクめいて不規則に発光した後、その姿がぼやけて……闇の中に溶けた。光学ステルスニンジャ装束。

 

ニンジャスレイヤーは眉をひそめた。「コワッパが、小細工を」彼はすでにワイヤープラーが持つニンジャソウルの正体を見抜いている。(ジョルリ・ニンジャクランは、高精度のステルスを長時間維持するワザなど持たぬ。となれば逃走はすまい)

 

カラテを構えたまま、公園を見渡す。昼間は親子連れで賑わうであろうこの空間も、今は水を打ったように静まり返って、雪だけがしんしんと降っている。敵はスリ・アシでゆっくりと移動しているのか、足音一つ漏らさぬ……いや、左斜め後方で足下の砂が微かに鳴った!

 

振り返る!「イヤーッ!」シャウトとともにこちらの顔面めがけクナイが飛んでくる!「イヤーッ!」とっさに摘んで逸らす!激しい動きでステルスが乱れ、モザイクの塊と化した人影が猛然と突っ込んでくる!

 

「イヤーッ!」右ボディブローが襲い来る!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはかろうじて右掌で敵の手首を打って逸らし、「イヤーッ!」流れるような右裏拳で反撃!「イヤーッ!」人影は左手で余裕を持ってガード!

 

2人のニンジャの手甲が衝突し、周囲の雪がぱっと散る。不意に人影のモザイクが消え、元のミラーめいた装束を纏うワイヤープラーに戻った。ステルス装束のバッテリーが切れたか。しかし奇襲により、ニンジャスレイヤーの体勢は確実に乱れている!

 

「イヤーッ!」ワイヤープラーは右チョップで追撃!「ヌウーッ!」敵は紙一重のスウェーで回避するが、体勢を立て直せない!「イヤーッ!」そこに左ローキックを刺す!「グワーッ!」ついに命中!ニンジャスレイヤーがよろめく!

 

(勝機!)ワイヤープラーは短く思考し、瞬時に両足を踏ん張って、小柄な敵めがけ右拳を振り下ろす!この胡乱なニンジャの頭を砕く!右腕でガードすれば右腕を!CRASH!破砕音!

 

……ニンジャスレイヤーの頭は砕けなかった。右腕も砕けなかった。かのニンジャは左腕を掲げ……負傷によりガード姿勢も取れないそれをあえて無防備に砕かせ、盾としたのである。

 

「貴様」ワイヤープラーはうめいた。ニンジャスレイヤーが体勢を回復する。奴の温存された右腕が……タングステン砲弾のように硬く握りしめられた拳が、低く飛んでくる。ガードを。間に合わぬ!

 

「イイイヤアアアーーッ!!」ニンジャスレイヤーの渾身の右スマッシュがワイヤープラーの鳩尾にめり込み、「グッ……」振り抜く!「ワーーーーッ!!」吹き飛ばす!

 

CRAAASH!!ワイヤープラーはめり込んだ。そして回転した。彼の体は球体アスレチックに磔にされ、メリーゴーラウンドめいて滑稽に周回軌道を描いた。ゴウン、ゴウン……。

 

「グワーッ……!」ニンジャスレイヤーは左腕を押さえて蹲り、ダメージに悶える。しかしやがて立ち上がり、ワイヤープラーを睨み据えた。「オヌシ程度の手負いの弱敵にこれほど手間取るとは、忌々しきは今の儂のカラテの不完全さ……しかし、もはや勝負あったぞ!」

 

ゴウン、ゴウン……。ワイヤープラーは数秒の気絶から醒めた。「ゴボッ」吐血。さっきの一撃のダメージが大きい。体力はどれだけ残っている?さっき食べ、ニンジャ消化力で吸収したスシのカロリーは……かろうじて、あと1〜2回体を動かす分はあるか。

 

しかしそれが何になろう。目の前の敵は片腕とはいえ、今のワイヤープラーの倍以上余力があるのは間違いない。こちらはもうステルスも使えない。こんな公園ではジツで操るドロイドもない。耳を澄ませても、車のエンジン音も聞こえない……。

 

「ふざけたメンポをつけておるな」ニンジャスレイヤーが見咎める。シウンテイパー対策のガスマスク・メンポを。「アバッ……お互い様だろ……」「ぬかしおる。どれ、ジョルリの恥晒しの顔を見てやろう」

 

ニンジャスレイヤーはツカツカとワイヤープラーに近づき、ひったくるようにしてメンポを剥がしとった。スズリガ・タグルの顔が露わになる。

 

(面白いものではないだろう)ワイヤープラーは敵がすぐにでも自分の首を刎ねることを覚悟する。チェミ婆の件と、ミフデ=サンの件と、その他いくつかの心残りがニューロンに去来した。ソーマト・リコール。

 

……。……敵が動かない。ワイヤープラーは訝しんだ。ニンジャスレイヤーは奪ったメンポを掴んだまま立ち尽くしていた。「バカな。貴様は」その口から言葉が漏れる。両目のセンコめいた瞳が一瞬だけ広がって、人間らしい黒さを取り戻した。「あなたは」

 

考えるより先に、ワイヤープラーの体が動く!「イヤーッ!」前蹴り!ガードされない!敵の胸板を捉える!「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは吹き飛ばされ、ブランコ・スイング前の鉄柵に激突!

 

(浅い!あれでは殺せない!)ワイヤープラーは磔のまま、猛烈な勢いで思考する。ニンジャアドレナリンが全身を駆け巡る。(残る体力はカラテ一撃分。どうすれば殺せる?奴が体勢を立て直す前に致命の一撃を叩き込む方法は!わからない!誰が知っている?誰に聞けばいい!?)

 

ニューロンが極限まで加速し、その果てに……10年前のショドー部室が見えた。自分の机。ミフデ=サンの机。その隣、ずっと無人だったはずの机に座っている、顔のない緑色の人型。自分はその正体を知っている!(俺の、ニンジャソウル!)ワイヤープラーの両手が蛍光グリーンに輝く!ジョルリ・ジツ!

 

「ヌウーッ!ウカツ!」ニンジャスレイヤーが元のセンコめいた瞳に戻り、鉄柵の前でジュー・ジツを構える。その顔が驚愕に歪んだ。

 

ゴアアアアーッ!目の前の球状アスレチックがミラーボールのごとく蛍光グリーンに輝き、高速回転して……一周して戻ってくるワイヤープラーは、すでに体をアスレチックから引き剥がし、そこに掴まったまま、身を縮めて何らかの予備動作に入っている!

 

「コワッパが!ナメるな!」ニンジャスレイヤーはジゴクめいた声で叫ぶ。完全な格下と侮っていた相手に少しでも予想を上回られた驚き、焦り。「儂はニンジャスレイヤーだ!オヌシごときの、そんな思いつきのカラテなど!」

 

「ゲホーッ!なら受けてみろ、ニンジャスレイヤー=サン!俺の最後の思いつきを!」ワイヤープラーは血を吐きながら叫び返す。思考にノイズが混じる。ニンジャスレイヤーの一瞬広がった瞳、その目。懐かしい誰かに似ている気がする。誰だ?(言ってる場合か!構うな!奴を殺す!)

 

「イイイイイヤアアアアーーーッ!!」ワイヤープラーはアスレチックを蹴って飛んだ!惑星探査機のスイングバイじみた遠心力の加速!だが負傷の痛みで姿勢が乱れる!(逆らうな!美しく着地したところで2度目はないのだ!そのベクトルさえも破壊力に変えろ!)

 

銀のニンジャは敵をめがけて飛びながら空中で前転し、伸ばした右足の踵を、敵の頭部へ斜めに振り下ろす。おお、その動きは……即興以外の何物でもなかったが……ドラゴン・ニンジャクランの奥義、ドラゴン・ヒノクルマ・ケリに酷似していたのだ!

 

ニンジャスレイヤーのニューロンにその事実が閃光のように浮かび上がる。(ドラゴンのワザだと!?バカな!奴のソウルは!)膨大なカラテの知識が仇となって、どんな財宝よりも貴重な回避猶予の一瞬を無駄な思考で浪費する。ワイヤープラーの踵が、隕石じみた速度で降ってくる!

 

CRAAAAASH!!ワイヤープラーの踵と、ニンジャスレイヤーがとっさに掲げた右腕が衝突!半径10mの雪がすべて弾け飛ぶその一瞬、踵が腕を押しやり……ニンジャスレイヤーの腕が赤黒い炎を噴いて、踵を押し返し……

 

ニンジャスレイヤーは……その意識を支配するナラク・ニンジャは、迫り合いの中で不可避的にワイヤープラーの顔を視界に収めた。……すると、彼のニューロンの中で同居者がまたしても勢いづき、ショドー・パフォーマンス用じみた巨大なフデを振るって!

 

(何、私のセンパイを!殺そうとしてるんですか!)そう叫んで、ナラク・ニンジャの論理肉体を横から思い切り殴りつけたのだ!

 

「グワーッ!」ニンジャスレイヤーが苦悶し、その右腕の炎が消える!踵が今度こそガードを弾き飛ばし、「ミフデ!この愚か者……グワーーーーッ!!」顔面にめり込む!「忍」「殺」メンポがひび割れる!

 

(ミフデだと!?)ワイヤープラーは敵が叫んだ名前に驚愕した。さっき抑え込んだ思考ノイズが息を吹き返し、殺意を鈍らせて、足の振り抜きが甘くなる。これが最後の一撃だというのに。

 

敵の顔面を砕けないまま破壊エネルギーが拡散して、吹き飛ばす。「グワーッ……!」ニンジャスレイヤーは背中で鉄柵を突き破り、ブランコの下の地面でバウンドして飛んでいく。殺せていない。これが最後の一撃だというのに!

 

「グワーッ!」ワイヤープラーはブザマに地面に転落した。彼の体力は、もはやウケミすら取れないほど消耗しきった……しかし今の彼には、そのことよりも重大な関心事があった。

 

「ミフデ=サン……」どうにか顔を起こし、声を絞り出す。ニンジャスレイヤーは奥の植え込みに仰向けで倒れ込み、そのまま動かない。ひび割れたメンポからブスブスと煙が上がっている。「ミフデ=サンなのか。お前は」

 

「……スミマセン」少女の声。誰の声だ?……おお、見よ!ニンジャスレイヤーが緩慢に身を起こし、砕けたメンポを取って捨てた後の、その素顔は!ワイヤープラーが……スズリガ・タグルが知る、10年前のあの少女!ミフデ・シュノンその人だ!

 

「あの時の待ち合わせ、行けなくて」ミフデはそう言って、たちまち顔を悲痛に歪め、目に涙を溜めた。「それに私、こんな……こんなひどいこと。グスッ」

 

「バカ」スズリガは倒れ伏したまま、言う。何を話せばいいかわからない。いつかと同じだ。でも、とにかく。「泣くなって……俺も辛いからやめてくれって、言っただろ……」

 

雪はいつのまにか止んでいる。どこからか、0時を告げるシュラインの鐘の音が聞こえる。クリスマスの次の日が始まった。10年前に止まった時計が、再び動き始めたのだ。

 

【リユニオン】終

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