俺は今老婆、黒髪ロングの美少女高校生おっとり巨乳の皐月、皐月の妹で双子の片割れであるきつめでショートカットがボーイッシュな美少女の優、中学生くらいの身長のミディアムボブでぺったんこ美少女三女の菊花の三人娘と、見たことのないスーツをビシッと着込んだ爆乳美女に囲まれている。
ハーレムだ!!
という訳では無い、何せ馬ですしまだ幼駒ですし……
「トモも発達してますし、この子は走りそうですね。何より大人しいのに賢い、こちらの言葉が分かってるみたいに反応してくれる、これは良いですよ」
爆乳スーツが満足そうにそういう。
「ではこの子の馴致が終わったらあなたの厩舎にお預けするという事でいいかしら? 普段にはうちの外厩を使いますけど、よろしいかしら竹林先生?」
老婆、ここヤマネホースパークのオーナーを務める皐月たちの祖母山根安子さんがそういう。
「それは、承知してます。正直な話美浦よりも設備の整ったヤマネの外厩の方がこの子にとっても良い影響を与えるでしょうし……」
ちょっとへこみつつも毅然として竹林調教師はそういう。
「そんながっかりしないで、仕上げはあなたの厩舎にお任せするから、そこで腕を振るってちょうだい」
鈴を転がすような声でオーナーが笑いながら言う。
「はい、お任せください」
ニッコリ笑って竹林調教師が返事する。
「という事はおばあ様?」
皐月が確認するように尋ねる。
「この子はうちのクラブからレースに出します。皐月には申し訳ないけど一年うちの仕事と受験勉強頑張ってね」
安子オーナーが優し気にそういう。
「シロ! 良かったね!! うちに残せてもらえるよ」
優が喜んで俺の頭を撫でる。
この子は友達と遊ぶより馬の世話をする時間の方が長そうなんだよなぁ、ちゃんと友達いるのかな?
「良かったねぇシロ……あのおばあ様あたしの受験は大丈夫なんですか?」
三女の菊花が心配そうにそう訊く。
この子は三姉妹の中で一番勉強熱心だ。
「あんたの方は問題ないよ、好きな高校選びな。あくまで皐月と菊花が私学に行くならって保険の意味でその子をシュケルに産んでもらっただけだからね。皐月が珍しくお願いするし、その代わりに自分の進学を一年遅らせるというなら問題はないよ」
人好きのする笑みを浮かべてオーナーが言う。
「おばあ様、ありがとうございます」
皐月が深々と頭を下げて祖母に礼を言う。
「あたしこそあんたに礼を言わなくちゃね。情が移るといけないからこの子を見なかったけど、あんたがこの子は走りそうっていうから竹林先生に見て貰ったんだ。危うく名馬を目先の金欲しさに売ってしまう所だったよ。ありがとう皐月、この子が勝ったら、口取り式はあんたがこの子の隣に立ちな」
神妙な顔をしておばあさまがそういう。
皐月は俺のために大学進学を一年遅らせてくれたのか……
皐月のためにも頑張って走らなきゃな!
「それでこの子には山根さんの冠名の『ヤマネン』名義で行くんですか?」
竹林調教師がそう問う。
「そこに拘りはないよ。敢えて言うならこの子は父親があの名馬だからね。スズカの名前は付けたいね」
御婆様が思案気にそういう。
「ではヤマネンスズカですか?」
竹林調教師が問いかける。
「それは語呂が悪いね」
渋面を作って御婆様が返す。
「スズカの名前を借りてこの子らしさを込めた名前がいいんじゃないかしら?」
皐月がいうと。
「そうね」
優が頷き。
「あたしもそう思う」
菊花も同意する。
「スズカフルスピードは?」
優がそう発案する。
「悪くはないけどちょっと違う感じだねぇ」
御婆様がやんわり否定する。
「スズカホワイトは……みたまんまよね」
菊花がそう言って落ち込む。
「シロだからホワイトってのもね」
御婆様も同意する。
「スズカマキシマムってどうかしら? この子の後にはもうサイレンススズカの産駒は出てこない訳だし、今までで最大の才能を持ったスズカ産駒って意味でどうかしら?」
皐月が嬉しそうにそういう。
「スズカマキシマム……最大の能力を持ったスズカ産駒……いいね……」
御婆様が厳かにそう呟く。
「スズカマキシマムですか、良い名前ですね」
竹林調教師も笑顔でそう応じる。
「期待のこもった良い名前だよ皐月。あんたもこの子に負けないように一年頑張りな」
御婆様がそう言って発破をかける。
スズカマキシマムか……
良い名前をもらった。
サイレンススズカ産駒っていうのが分かり易い上に、期待が込められてる所が嬉しい。
ようし俺はこのホースパークの代表的な生産馬として歴史に名を刻めるくらいには頑張るぞ!
「よろしくね、スズカマキシマム」
そういって俺の鼻面を撫でる竹林調教師の手のひらを、俺は舌で舐めることで返事として応じたのであった。