Muv-Luv Tactical Surface Fighter Variation 作:オデ オマエ マルカジリ(CV:戦車級)
各章は【戦術機の紹介】を一話として【その戦術機の活躍(?)】を数話という構成になっております。
【Cheeteh】
一九七九年。
世界各国が戦術機を導入していく中で、前線から遠く離れた国家、南アフリカ共和国においても戦術機の調達が開始される。
イギリス連邦に属していた南アフリカであったが、一九六四年のアパルトヘイト政策に対する制裁によってイギリスが禁輸政策を取っていた。
その為、南アフリカは同国の援助を申し出たフランスからフランス製兵器を多数導入していた。
そのような経緯もあいまって、南アフリカ国防軍はフランス製第一世代戦術機『F-5F ミラージュⅢ』の導入を決定する。
また同時に戦術機の世界的需要を見越して国産戦術機の開発も小規模ではあるが進められた。
一九八一年、欧州からの疎開を目的とした『ダンケルク作戦』が発動されると、ミラージュⅢを生産していたダッスオー社もその影響で生産性が低下。同時にフランス軍が、一九七八年のパレオロゴス作戦で負った損害の補充と、国内戦力の拡大を急速に進める様になると、南アフリカ向けの戦術機の生産、納品が滞る様になっていた。
こうした情勢を鑑みて南アフリカ軍は国産戦術機の開発に本格的に取り組む様になる。
南アフリカは秘密裏に密接な関係を築き上げてきたイスラエルから技術的な支援を受けることに成功する。
同国のIEI社はミラージュⅢを元に開発した戦術機『F-5I クフィル』を一九七六年から生産しており、本機を原型に国産戦術機チーターの開発が国有企業エイトラス・エアクラフト社によって進められた。
チーターはミラージュⅢやクフィルといった『F-5 フリーダムファイター』の流れを汲む機体である。同系統の特徴である軽快な運動性能、優れた整備性を持ち、十分な近接格闘能力も付与されていた。
砂漠での使用を前提としていたクフィルでは必須であった防塵・放熱対策はオミットされ、主機も出力の高いアメリカ製の物ではなく、ミラージュⅢでも使用されるフランス製の物が採用された。これは既に導入されていたミラージュⅢとの互換性を持たせ、整備性を向上させる為であった。
一方でクフィル同様に赤外線センサーを搭載。通信・索敵性能はミラージュⅢを上回る性能を保持していた。
チーターは機動力と運動性能を重視した設計で、これはイスラエルからもたらされたBETAとの戦闘記録を元に進められた事前研究の結果、BETAの破壊的な攻撃能力の前に現行の技術では防御不能と判断した為である。
世界的にも一九七八年の『パレオロゴス作戦』の戦訓から、重装甲よりも機動力の強化へ方針転換された第二世代型戦術機の開発が進められていたこともこの設計を後押しした。
本機は小型のカナード翼を装備し、飛行能力の安定性を向上させている。しかし、前述した主機の性能もあって最高速度はミラージュⅢと大差の無いものに収まってしまった。
武装は世界共通規格の三六ミリチェーンガンと独自設計した一〇五ミリライフル砲を装備した国産のCR-21突撃砲。肩部のハードポイントにミサイルコンテナが各一基づつ装備可能。
近接戦用兵装として、ライセンス生産していたアメリカ製の
近接戦用固定装備として膝部装甲にアーマースパイクを備えていたが、使用時に膝関節部が摩耗・損傷する恐れがあった為、緊急時以外の使用は推奨されていなかった。
こうして一九八六年に南アフリカ待望の第一世代戦術機『チーター』の配備が開始される。通常型のE型と複座練習機型のD型の二機種の生産が進められた。
第一世代型戦術機である本機であるが、その性能は準第二世代────一・五世代型とでも言える性能であり、南アフリカ国防軍主力戦術機としてミラージュⅢから順次更新されていった。
南アフリカは世界の戦術機市場にチーターの売り込みを開始するが、市場には『ミラージュ2000』や『MiG-23 チボラシュカ』、『F-16 ファイティング・ファルコン』などの第二世代型戦術機が強力なライバルとして存在していた。
強力なライバルの存在もあってチーターの販売は思う様に伸びず、南米のエクアドルとチリが購入したのみであった。
その後も開発は続けられ、一九九〇年には新型の『チーターC』が納入される。
本機はダンケルク作戦以降アフリカへ多く疎開した欧州諸国の各企業や難民の技術者などの協力や技術提供を受けて開発された。
主機を換装したことによる機動力の向上と新型のアビオニクスの導入、各種センサーの強化が施され、稼働時間も向上した。
名実ともに第二世代型戦術機として生まれ変わったチーターは既存の機体をC型に改修。エクアドルやチリの機体も同様に改修された。
南アフリカにおける主力戦術機として地位を確固たるものにしていたチーターであるが、第三世代戦術機を導入する次期主力戦術機計画がスウェーデン、サーグ社製の『JAS-39 グリペン』に決まると新規生産は打ち切られ、二〇〇〇年から順次JAS-39へと更新されている。
○元ネタ解説
【チーター】
周辺諸国のMiG-21やMiG-23、Su-22に対抗して南アフリカが開発した多用途戦闘機。
秘密裏に密接な関係があったイスラエルのクフィルが原型になった。