転生したらニチアサ擬きが混ざった世界だった 作:ロマン
しばらくバイクを走らせていくと、怪人達が人を襲っているのが見えてくる。
俺はバイクのスピードを上げながら、怪人達に突っ込む。
バイクに当たった戦闘員らしき怪物は周りを巻き込み、後方に吹き飛んでいく様子を見ながらバイクから降りる。
「何だ?お前」
声の方を振り返ると、さっき道路でクモ怪人と名乗っていた怪人が立っていた。
「骸骨の体にバッタのあたまぁ?お前、俺達と同類か?」
クモ怪人は俺のことをつま先から頭のてっぺんまでよく観察し、そう結論付ける。
「……違う。俺の名は仮面ライダー」
まあ俺は怪人みたいなものだけど。
「仮面ライダー?」
俺の言葉に首を傾げるクモ怪人。やはりこの世界に仮面ライダーという概念は無いらしい。
「そうだ。この名はもう聞くことはないだろう。記憶に焼き付けておけ」
クモ怪人は俺の言葉を鼻で笑う。
「ハッ!これからやられる奴のことなんていちいち覚えてられるか!」
クモ怪人はその場から俺に向かって糸を吐く。
俺の左手に着いた糸をクモ怪人は自分の元に引き寄せようとし、俺も左手で糸を掴み俺の元に引き寄せようとする。
力が拮抗し、じれったくなった俺は右手で糸を掴み引き寄せた。
両手の力によってクモ怪人が押し負け、こちらに引き寄せられる。
まっすぐこちらに引き寄せられたクモ怪人のがら空きの胴に、パンチを叩きこむ。
「グォ!」
俺のパンチにより吹き飛んだクモ怪人は地面に倒れ伏す。
地面に倒れ伏したクモ怪人に俺は近づき、襟首をつかんで無理矢理起こした後、拳で顔面を連続で殴りつける。
連続で殴りつけたことによって、クモ怪人は立っていることもままならない状態になった。
倒すなら今か。
俺は高く跳躍し、クモ怪人に向かって飛び蹴りの構えを作る。
そのままクモ怪人めがけて、空中を進んでいく。
クモ怪人が気づいたときには俺の足がクモ怪人の頭に到達していた。
そのままクモ怪人の頭に蹴りを入れる。
俺の蹴りに当たったクモ怪人が、命中した頭から泥の様に崩れていくのを見ながら、俺はバク宙で地面に着地する。
泥の様にクモ怪人が崩れると中から男性が出てくる。
力尽きて倒れそうなところを抱えて地面に寝かせる。
「ふぅ……」
俺が一息ついていると後ろから何かが着地する音がし、その音のつられて後ろを振り返る。
振り返った先では、フリルが付いた全身真っ赤な服を纏った目つきの悪い少女がこちらを見ていた。
「これ、あんたがやったの?」
少女が周りを見渡し現状を理解し、俺に問う。
「ああ、そうだ」
俺が少女の問いに答えると、少女は鋭い目つきをさらに鋭くする。
「そう。なら死んで」
少女は高速で俺に向かって行き殴りかかる。
「うぉ⁉」
慌ててしゃがんで避け、その場で跳躍して少女から距離を取る。
少女は関係ないと言わんばかりに追いついて攻撃を続ける。
俺は追撃をかわしながら、少女に問う。
「何で攻撃するんだ!」
少女は俺の言葉で顔に怒りを滲ませ、攻撃の手が激しくなる。
「はぁ⁉人を襲っておいてその態度⁉だから怪人は――!」
語気を荒くさせ、叫ぶ少女。
こいつ、俺のこと怪人だと思っているのか?
少女が放った拳を手首をつかみ動かないようにする。
「話を聞け!怪人はあいつだ!」
俺が地面に寝ている男に指をさし、怪人でないことをアピールする。
「そんなわけないでしょ!」
少女は俺の言葉を信じずに掴んだ手を軸に体を持ち上げ、俺の後頭部を足で蹴る。
(ですよねー)
分かりきっていた結果。ていうか、今まで怪人が人間に戻らなかったのか?
俺は事情を説明しようと少女の背後に回り、羽交い締めにして説明する。
「信じてくれ!怪人は俺じゃない!俺が蹴りを入れたら人間に戻ったんだ!」
「そんな嘘で私をだませると思ってるの⁉離しなさい!」
「嫌だね!信じるまで離すか!」
少女の力が思ったより力が強く振り回されるが、こちらも負けじと背中にしがみつく。
そうして押し問答を続けていると、死角から何者かに吹き飛ばされた。
「おらぁ!」
俺のことを吹き飛ばしたのは、黒髪で赤いメッシュを入れた美形の男。
「大丈夫か精霊戦士。手を貸すぜ」
そう言って男はスマホのようなものを懐から取り出す。
そして、電源ボタンのような出っ張りを押してスマホを起動させた。
ガイダンス音声が鳴り、男は腕に付けていた腕輪にスマホをつける。
狼の遠吠えと共に男の体が変化した。
狼と軍服が混ざったような姿になり、俺の前に立ちファインディングポーズをとる。
「どいて、レイダーが首突っ込んでこないで」
少女はレイダーを押しのけ、俺の前に立つ。
「いやお前ボロボロじゃねーか。一緒に戦った方が絶対いいって」
「うるさい!あんたも怪人と同じよ!怪人は残らず私が殺す!誰の手を借りずに!」
「炎の精霊よ!わたしに力を!」
少女の周りに炎が巻き起こる。
炎が渦を巻き、トカゲの形を作り出す。
「いいのか?これじょうつかいつづけたらおまえは……」
「いいから!」
「……しょうちした」
トカゲがそう言うと炎が少女に纏われ、鎧の形を作っていく。
「アアアアアアアア!」
苦しそうな叫びをあげる少女。
「おい、何やってるんだ!」
炎から少女を引き剥がそうとレイダーが少女に駆け寄る。
その瞬間、レイダーの目の前に灰色のオーロラカーテンが現れる。
「うぉ!何だこれ?」
レイダーが困惑している間にオーロラカーテンは少女に近づき、少女を弾き飛ばす。
「うっ!」
少女は弾き飛ばされるのと同時に体に纏っていた炎が消える。そして、オーロラカーテンは俺の方に近づく。
「え?ちょっ!」
迫るオーロラカーテンから逃げようとするが、オーロラカーテンが猛スピードで迫ってきたため何もできずに飲み込まれる。
思わず腕で顔を覆い隠す。
しばらくして腕を解くと俺は白い船の甲板の上に立っていた。
どこだ?ここ。
困惑していると後ろからカシャと、カメラのシャッターを切った音がする。
後ろを振り返ると、黒色のジャケットにマゼンタのシャツを着た男が立っていた。
それはテレビの中でしか見たことが無かった男。
「俺はここに呼び出したのはあなたですか?」
「そうだ。とりあえず変身を解け」
男に言われた通りに、左側の箱を取り変身解除する。
「ついてこい」
男は俺が変身解除したことを確認すると、船の中へと入っていく。
俺も一緒についていき船の中に入る。
「そこに座れ」
指をさされた方を見ると白いソファが置いてある。
俺はそこに腰かけ、男は椅子に座る。
「俺の名前は知っているな?」
男はそう言って切り出す。
「門矢士」
「正解だ。なぜお前が最初から記憶を持っていたか不思議だったが、こうして対面したら……」
門矢士は不敵な笑みを浮かべる。
「なるほど、大体分かった。転生者ってやつか」
「転生者について何か知っているのか?」
「いや?何も知らない。ただ、そういう設定の本を見たことがあるってだけだ」
答えに着いた理屈はよくわからないが、説明する手間が省けたな。
「さあ、次はお前の番だ。知りたいことがあるんだろ?」
「じゃあ、これから」
ドライバーと箱を取り出す。
「それについて話すには、この世界の歴史を知らなければいけない」
門矢士はオーロラカーテンを出現させ、俺をくぐらせる。
眩しい光に目を瞑る。
光が収まり、目を開けると俺は街にいた。
「ここは?」
「3年前のこの世界だ」
俺の疑問は脳内に門矢士の声が聞こえたことで解消される。
まっすぐ道を進んでいくと、平成や令和の敵達に仮面ライダー達が囲まれていた。
「俺達はある日突然この世界に呼び出された。何者かの手によってな」
門矢士が語る。
目の前ではライダーたちが戦っている。
「俺達は元の世界に戻ろうとしたが、何者かの干渉を受けてこの世界から出れないようになっていた」
ライダーたちが敵にやられていく。
「敵の目的は俺たちの存在を消すこと。本当かどうかはわからないがな」
「だがいくら敵が強かったとしても、ゴリ押しで勝てそうな奴なんかいっぱいいるだろ」
「敵はそれも超える力を持っていた。ただそれだけだ」
オーロラカーテンが通過する。
「なあ、敵の目的はあんたらの存在を消すことだったんだろ?じゃあ、何であんたらは存在しているんだ?」
仮面ライダーそのものを消すなら、その変身者も消さなければ後々復活されることに気が付かなかったのだろうか?
「ギーツの創世の力、ジオウの時を司る力、鎧武の神の力。それを合わせて俺達が存在する世界に書き換えただけだ。まあ、代償として俺以外はライダーとしても記憶を失ったけどな」
「ふーん。ていうか、さっきからベルトのこと聞けてないんだけど?」
「そう焦るな。そうだな……まずはベルトの話からだ。作り変えられた世界。
誰も仮面ライダーのことを覚えていない。そんな中怪人が現れた。そしてそれと同時に、精霊戦士というのも現れた。
怪人の力と精霊戦士の力を見た俺は確信した。あれは俺達の敵が使っていた力と似ているってな。
目的はわからないが早急に手を打たなければ世界が大変なことになる。
じいさんに出会ったのはそんな矢先だ。
じいさんは優秀な科学者だ。そしてこの世界に違和感を持っているようだった。
だから記憶を蘇らせた。これを使ってな。」
そう言って取り出したのは一枚のカード。
ディケイドのライダーズクレストが中央に刻まれたSDカードみたいなもの。
「それは?」
「これはメモリアルカード。俺達がライダーとして戦った記憶が入ったカードだ。お前の持っているケースの中にも入っているだろ?」
俺は目の前にあったケースを取り、ケースを開ける。
その中には、さっき門矢士が見せてくれたカードと同じものが入っていた。
「まだ、完全には使えないみたいだな」
門矢士が何かを言おうとしたが、スマホの着信音により遮られる。
俺がスマホを見るとそこには、ワームホール発生と表示されていた。
「怪人が出たのか?」
「ああ」
「行かなくていいのか?」
「俺が行かなくてもなんとかしてくれる奴らがいるだろ」
「……そうか。ちょっと来い」
門矢士はオーロラカーテンを発生させ俺を放り込む。
よろけながらオーロラカーテンを抜けると、そこには周りの被害を考えずに怪人と戦う精霊戦士とレイダーの姿があった。
崩れ落ちる建物の壁。
親を探して泣き叫ぶ子供。
瓦礫に押しつぶされ、身動きが取れない人間。
「どうなっているんだ?」
特撮でもこんなにひどくないぞ。
「これが精霊戦士やレイダーの戦い方だ」
いつの間にか隣に来ていた門矢士が話す。
俺の様子を気にせずに続ける。
「お前はこれを見てもさっきと同じことが言えるか?」
「……ベルトくれ」
「なぜだ?戦わないんじゃなかったのか?」
「いいから早く」
「ほら」
ベルトとケースを渡される。
俺はベルトを腰に巻く。
“オリジンドライバー”
別に誰かのために戦うんじゃない。俺のためだ。
あんな悲しそうな顔を見たら今日が楽しめなくなる。
本心を隠すように心の中で自分のためだと言い聞かせる。
これ以上誰かの笑顔が奪われるのを見たくないんだ。
俺の本心を見破ったようにケースの中が光り、中から6枚のカードが出てくる。
「選べってことか?」
俺は無作為に二枚のカードを選ぶ。
カードを選ぶと、残ったカードはケースに戻っていった。
俺はケースを左側のくぼみに入れる。
『Link・オリジン』
ガイダンス音声が鳴り、カプセルが俺の後方に現れる。
それを確認しベルトの左側を外側に引っ張ると、ベルトの中央から風車のようなコアが露出する。
右側のスロットにさっき選んだカードを入れる。
『install・クウガ・ゼロワン』
両隣にカプセルが出現する。
カプセルの中にはクウガとゼロワンが入っている。
俺の正面に宙に浮いた中央に手の模様が描かれた液晶が出現する。
「変身」
そう言いながら手の模様に俺の手を重ねると液晶が分解され、カプセルと共に俺の体を囲む。
カプセルから液体共に液晶が俺の体を沿ってアーマーを形成される。
アーマーを形成し終わったころに、両隣のカプセルからチューブが伸びて俺のいるカプセルに繋がれる。
中から液体がかかり、クウガとゼロワンの情報が入ったアーマーが装着される。
変身が終わるとゼロワンの脚力を使い、空中で戦っていた怪人とレイダー達の間に割って入る。
「あんた誰よ⁉」
「俺達仲間か?」
よく見たら今日、絡んできた奴らだった。
こいつ等に構っている暇はない。
俺は怪人の体を掴み、足で空中を蹴って空中を飛ぶ。
人目のいない所に怪人を落とすと、怪人はうめき声をあげながら立ちあがる。
「何者だぁ⁉お前は!」
「俺は仮面ライダーオリジン、お前たちを倒す者だ!」
そう言って俺は怪人に向かって行った。