黒龍を討ち損ねたリンク(厄災)が、ダンまち世界に出現したようです。 作:さぬきのみやつこ
好き勝手書くの楽しいんだもの。
最近、異世界食堂を読みました。
あれ、面白いよね?
迷宮都市オラリオはダンジョンで栄えた都市である。
ダンジョンから取れる豊富な資源を求め、都市には商人や、職人達が押し寄せる。
そして、その資源の発見と採集を一手に担う職業こそ、この都市1番の花形・・・“冒険者”である。
1日の冒険の成果をギルドに吐き出し、荒くれ達が夜の都市に求めるのは酒、そして美味い肴だ。
ダンジョンから帰ったなら、まず飯を食わねば始まらぬ。
歓楽街に赴く者もいるが、腹が減ってはなんとやらだ。
その日の日銭を引っさげて、面白い武勇伝があれば手土産に、馴染みの酒場へと顔を出す。
その中のひとつ、“豊穣の女主人”といば、冒険者ならば知らぬものは少ないだろう。
元は高位の冒険者だったらしい女将が店主を務めるこの酒場は、少しお高めの値段設定であるにも関わらず、見た目麗しい店員達と美味しい料理を求め、連日繁盛している。
女将を含め、調理と給仕がそれなりの人数がいることから、休みなどが交代で取られ、1年を通して店が完全に閉まるは数回程度らしい。
まあ、休みが取れるとはいえ、従業員達からしたらブラック企業顔負けの職場であるのに違いはないだろうが・・・
今日は、その年に数回の完全定休日・・・なのだが、閉まっているはずの店には灯りがつき、店内には冒険者の客達が詰め寄せている。
この日ばかりは、彼らの目的は酒でも可愛い給仕でもない。
普段、酒場を盛り上げる女将と給仕達が完全に居なくなった店内で、その代わりと言わんばかりに冒険者達に料理を振る舞う。
このオラリオで、彼より早く調理できる者はいない・・・そもそも下拵えもせず、材料をそのまま鍋に突っ込むのも彼以外いないだろう。
誰であろう・・・?
ドーン !(╹◡╹)
はい!3番のケモノ肉丼!取りきて!
奴である。
今宵、豊穣の女主人に代わり、冒険者達の飢えを満たすのは、リンク
ゲリラ的に開店するこの店は、空き巣対策のついでに貸し出されている、彼の思いつきで始まったもの・・・“英傑食堂”の開店である。
➖1皿目〜フレイヤとケモノ肉丼
また、この日がやって来た。
年に数回の楽しみ・・・この日だけは、町娘としてではなく神の姿のまま、店に顔を出す。
いつもの酒場も楽しいのだけれど、今日は違った楽しみが、私を魅了して止まない。
普段なら、店主がふんぞりかえっているカウンターには、葉っぱのお面をつけた可愛いらしい小人族の女の子がいる。
彼女に、メニューの中から選んだものを3つまで紙に書き、お金と共に差し出すと、少し遅れて料理が出てくる。
そして、出て来た料理を自身で席まで運ぶ。
客自身に料理を運ばせるなど本来ならばあり得ないのだが、今日だけは、料理を美味しく頂くための特別なスパイスになる。
「ふふっ♪・・・3ヶ月ぶりね!」
まず初めに注文したのは、“ケモノ肉丼”
普段なら食べない野生味の強い肉をご飯の上に乗せただけの料理だけれど、使われた塩、添えられた薬味が見事に調和しあって食欲を駆り立てる。
一口食べれば、かき込みたくなる衝動に駆られるが、その気持ちをグッと抑え、少しずつ味わって食べていく・・・隣を見ると、ちゃっかり私より上の“極上肉丼”を注文したオッタルが、ご飯をかき込んでいるのが見えたけれど、彼は注文の段階で致命的なミスをしたことに気づいていない。
彼が注文した3杯目に手をつけ始めたところで、私も2杯目手をつける。
だが先程のものとは、少し違う・・・チーズが乗っているの。
先程との違いに気づいたオッタルは、とても驚いた顔をしているけれど、無理もないわ。
だってメニューに載っていないものね。
「フ、フレイヤ様・・・それは」
「ええ、美味しそうでしょう?前回頼んでみたら出来たから、今回もお願いしてみたの・・・“チーズケモノ肉丼”」
英傑食堂で注文できるのは、1人3品まで・・・つまり、彼にはもう注文のチャンスがないことを知りつつ、目の前で大きく一口を頬張る。
先程とは違い、荒々しい肉の旨みをまろやかに包み込むチーズ。
チーズだけでも美味しいことは想像できるが、オラリオのどこを探しても、このチーズと同じものはない・・・だから、今だけ楽しめる味ね。
「うん!美味しいわ 」
(勝利の美酒という奴かしら?・・・違うわね。
滅多に開かないお店で、全く同じものしか注文しなかったオッタルが悪いもの)
そんな、どうでもいいことを思いつつ、最後にデザートを食べて店を後にする。
そしてまた明日から、あの騒がしい酒場で町娘となり働くのだ。
次の開店予定を聞き逃さないために・・・・・・
➖2皿目〜カサンドラとハチミツアメ〜
この日、カサンドラ・イリオンは珍しく、夜の都市を1人で散策していた。
というのも、数日前に見たお告げの内容が気になったからである。
『満月の夜、門を閉ざした店・・・あと葉っぱ?のお面』
特段、危険もなさそうなお告げだったので、スルーしてもいいかもと考えていたのだが、やはりどうしてもお面が気になってしまった彼女は、夜に開いていて、かつ今日休業になっている店を探すことにした。・・・歓楽街の可能性も考えれたが、そっちにいく勇気はなかった。
「もしかして・・・ここかな?」
少し歩いて見つけたのは、灯りがついているのにcloseの木札が掛けられた酒場。
「し、失礼しまーす。」
普段なら同僚のダフネと一緒でなければ、酒場など1人で訪れることもないので、遠慮ガチに扉を開けて店内に入る。
(よかった、開いてる・・・あれ?でも)
従業員らしき人が見当たらないのだ。
よく見るとカウンターに1人だけいるのだが、それだけである。
入った手前、何も頼まずに帰るのは失礼だし、かといって勝手に席を取っていいかも分からずアタフタしていると、不意に後ろから声がかけられる。
『何してるんですか?カサンドラ様」
「ひゃうっ!!す、すすすすすみませんっ!・・・あれ?この声どこかで?」
驚いて、咄嗟に謝ってしまったが、聞き覚えのある声だと気づき首を傾げる。先程カウンターにいたはずの店員が近くに来ていたようだ。
どこかで聞いたことある気がする思い出せない。
1人で悩んでいると店員は1枚の紙をこちらに差し出す。
『お客さん、特別営業は初めてですね。こちらの紙に注文を書いて、カウンターに出してね。・・・今日は先着50名しか受け付けてないから、お客さん運がイイネ、あなたで最後だよ。』
おそらく知り合いだったのだろう。露骨に口調を変えてきている。
お面をつけて素性を隠してる辺り、詮索は野暮だろう。
ひとまずメニューを見て、注文しようとしたところでとある物に目が行く。
(どうしようかな・・・はちみつ?)
デザートの欄にある、ハチミツを使った料理だ。
ここオラリオにおいて、ハチミツは希少である。
最近、“デメテル・ファミリア”の養蜂が成功し、少しずつ供給量が増えてはいるが、まだまだ庶民には手が出ない高級品。
カサンドラ自身も、改宗するまえのファミリア(アポロン)で一度だけ口にしたきりだ。
「た、たまにはいいよね・・・たまには・・・」
誰もいないのに、1人で言い訳をして注文を書いていく・・・が、ここでカサンドラはあることに気づいてしまう。
“自分だけ、美味しい物を食べて帰って怒られないかな?”
もちろん、今の主神であるミアハを初め、団員のナァーザもダフネも、そんな小さい事は気にしないだろうが、カサンドラは気にしてしまう。
(何か・・・持ち帰れそうなものを・・・でも・・・はちみつ‼︎)
みんなで食べるか、はちみつか、みんなで食べるか、はちみつ・・・と思考が混乱してきたところである物が目に付く・・・
「で?買って帰ってきたのが“アメ”ってわけね・・・気にしなくてもよかったのに」
「だが、気持ちは嬉しいぞ。・・・ありがとう、カサンドラ」
「うん・・・大事に食べよう。・・・1万ヴァリス」
結局、店では飲食をせずに、“ハチミツアメ”を注文し、持ち帰ったカサンドラ。
その日から少しの間だけ、ミアハ・ファミリアは週に一度、小さなデザートを楽しむ日が出来た。
それは優しい甘さの奥に花の香りを感じられる、
「リヴェリア様!駄目です!“ハチミツアメ”どころか、店も閉めてます!」
「ぬかったか!・・・まさか、今日出店日だったとは・・・一生の不覚!」
エルフの王族も探し求める至高の逸品である。
まあ、彼女達はそんなこと知ったこっちゃないだろうが・・・食べた翌日、カサンドラはとても活き活きしていた。ヒーラーなのに、前衛に出るくらいに
オワリ!
➖プチ設定集(久しぶり!)
・英傑食堂
“異世O食堂”の影響を受けた作者が、ものは試しに書いてみたやつ。
人情もクソもなければ、オチも特になし!
ただ少し珍しい料理があるだけの臨時バイト(ミア母からは、許可貰ってる)
注文は3つまで(素材なくなるから)
値段は一律1万ヴァリス(ぼったくり)
・コログのお面をつけた小人族の少女
実は、数年前に広場で勧誘されたアルバイト。
今は違うが、以前のファミリアで身バレしたくないため、お面を借りて受付をしている。
急な呼び出しでも、給料がいいので続けてくれてる。
帰り際には、必ず“おにぎり”をせびる。
・リンク
厨房で素材投げてる。
最初は空き巣対策だったが、気まぐれで始めたら思ったより人が来るので、やめるにやめられなくなった。
このクオリティでよければ、ネタ切れするまで細々と描きます。
読んでくれてありがとうございました。