黒龍を討ち損ねたリンク(厄災)が、ダンまち世界に出現したようです。 作:さぬきのみやつこ
書こうと思ってたのに・・・
「ラウルって、剣を使うのが、とても上手ね!」
「そうっす?ステイタスが封印状態なんで、むしろ鈍く感じるくらいなんすけどね・・・」
「なによー、謙遜しちゃって!・・・町が見えてきたわ!」
「やっとっすね。」
本来なら橋を越えて町に行くはずだったラウルと妖精のシエラは、もはや誰も使っていないであろう旧道をつかい、町に到着した。
橋が使えなかった理由は、局所的な地震による崩落。
この時ばかりはツイテないと思いながらも、自身の魔法の出番だと〈ウルトラハンド〉を使用・・・としたのだが、手をかざせども呪文を叫ぼうとも、魔法が発動しない。
「マ、マインドを使いすぎたっすかね?」
ならば飛び越えるまで!と気を取り直してジャンプで飛び越えようとしたところ、海にドボン!たかだか3メートルほどの距離にすら届かなかった。
強い潮の流れで、元いた浜辺に戻されたラウルは、とある可能性が頭をよぎった。
「ステイタスが機能してない?」
結果、シエラの提案により旧道を使い、町に到着したのだった。
ステイタスの封印は、ラウルにとっても予想外の出来事で、考えられる要因としては・・・
・ロキが天界に送還された。
・幽霊船に、なんらかの形でアンチステイタスを付与された。
・単純に、距離が離れすぎた。
というのがあった。
1つ目なら、どこか適当な神を見つけて、恩恵を改宗可能な状態で上書きしてもらえばいい。ロキが送還されるほどの事態が起こってるというのも考えたくないが、勘違いならそれはそれで少し嫌味を聞くだけで済む。そのためにも改宗可能な状態でリンクについてきたのだ。・・・リンクは、どうか知らないけど・・・そうなると、3つ目も大きな問題にはならない。
ラウルにとって1番最悪なのは、2つ目だった。
リンクと再会するための、唯一の手掛かりは幽霊船だ。
多少の未知を含むものの、恩恵が正常に機能していればリンクとの合流は時間の問題だっただろう。だが、呪いによりステイタスが封印状態にあるならば、他の神に頼んだところでステイタスの復活は怪しい。
ともなれば、一度オラリオに帰還してアミッドの力を借りなければならない。
手掛かりである幽霊船に、リンクを探しに行かなければいけないが、幽霊船には未知のモンスターがいる可能性がある。
未知のモンスターと対峙するためには、早急なステイタスの復活をしなければならない。
一度、オラリオに帰還しようにも、海に出れば、神出鬼没の幽霊船に襲われる可能性がある。
リンクを取れば幽霊船が、帰還を取っても幽霊船が・・・とどう足掻いても幽霊船が邪魔になる。
この時のラウルの心境はと言うと
(想像の5倍くらい、めんどくさいことになったっす!)
・・・・・・この話描いてる作者も正直、同情してる。
封印されたステイタスのズレを、洞窟内のモンスターを相手に修正できたのは、ラウルにとって不幸中の幸いであっただろう。
町に着いたラウルは早速、シエラの案内でラインバックがいるであろう港へと向かった。
港に着くと、そこには個人が所有するには立派な作りの船と、それを自慢気に眺める茶髪の男がいた。
「すみませんっす、ラインバックさんですか?」
「いい船だろう?」
ラウルの質問に、的外れの答えをしながら振り向いた男は、立派な顎髭とは対象的に眉尻が下がっており、ここに来るまで、シエラに聞いてイメージしていた印象とは違う気がする。
「あのー、ラインバックさんで間違いないっすか?」
「この勇敢なフォルム・・・」
確認のため、改めて質問したラウルを無視し、コンコンと目の前の船の素晴らしさを解く男
「・・・まあ・・・俺の船じゃないんだけど・・・」
「時間を返して欲しいっす。」
ラインバックでは、なかった。
〜1時間後〜
「ここが、“海王の神殿”すっか・・・」
「そ、大精霊の海王様が祀られてる神殿ね!・・・今じゃ、島民も碌に近づかないらしいんだけど、昔はお祭りとかも、ここでやってたんだって!」
「立派な神殿っすもんね〜」
町で情報を集め、神殿へと辿り着いたラウルは、思いの外、大きな神殿に圧倒されつつ、中へと足を踏み入れる。
「あれ?思ったより普通っすね?」
町で聞き込みをした時に、命が吸われるだのどうの聞いていたラウルは、かなり身構えて神殿に足を踏み入れたのだが、中が思っていたより普通に感じ、疑問が出る。
「ここは、まだ大丈夫ね。大体ここまで足を踏み入れた人達が奥に行って・・・こうなる。」
「うひっ・・・気づかなかったっす。」
シエラが飛び回る下には、幾つかの屍が散乱しており、白骨化したものばかりだった。
どれだけの年月、神殿が放置されてきたのやら・・・島民ですら近づかない理由を、改めて認識させられた。
「大昔に建てられた神殿らしいしね。泥棒対策なのか、中の造りは迷宮そのもの・・・お散歩気分で宝探しにでもきたら「おーい!誰かいるのかーー?いるなら、助けてくれーー!」・・・・・・ああ、なるわ。」
「今の声は?」
「間違いないわ、ラインバックよ・・・おじいちゃんに、あれほど入るなって言われてたのに・・・」
「とりあえず、助けに行くっすよ!」
「・・・無理のない範囲でね。」
〜更に1時間後〜
「はあっ、はあっ、はあーーー・・・しんどいっす!」
「ちょっと大丈夫?」
「なんだ?若ぇのが、情けねぇーな!」
ラウルがラインバックを助けに、神殿の迷宮部に入ってからおおよそ1時間後、足を挫いて罠から抜け出せないとほざくラインバックをなんとか救出することに成功していた。
「ちょっと!悪態つく前に言うことあるんじゃない!」
「あ〜、ありがとうな、助かったぜ!」
「きぃーー!ムカツクやつね!」
「それより、坊主!頼んだものは?」
「これで、合ってるかわかんないっすけど・・・」
救出するだけなら20分くらいで終わっていたのだが、なんてことはない。
助かったことで欲を出したラインバックが、船を出す代わりに宝探しの代行をラウルに依頼していたのだ。
魔物こそ出てこなかったが、歩くだけでかなりの体力を消耗する神殿の中だ。
もう一度入れと言われ、ラウルも渋ったが船のことを引き合いに出され、渋々引き受けた。
「おう!いい腕してんな・・・って、宝箱ごと取ってきたのか!?」
「装飾がキレイだったんで、売れるんじゃないかと思って・・・」
「中身だけなら、もっと早く帰って来れたのにね」
※中身だけなら、5分で帰れてました。
「野暮なこと言うんじゃねぇよ、チビ妖精。これだけ立派なら、箱だけで10万はあるんじゃねぇか?」
「言い値で売れたら、山分けっすね!」
「ラウルっつたか?話が分かるじゃねぇか!」
「「ぐへへへへへ・・・」」
「やだやだ、これだから男は・・・」
その後、町の道具屋で5000ルピーで売れた。
中身の海図を見て、2人で落ち込んだ。
「・・・ルピー?ヴァリスじゃないんっすか?」
「「ヴァリス?」」
ひとまず、ラインバックが仲間になった!
読んでくださって、ありがとうございました。