黒龍を討ち損ねたリンク(厄災)が、ダンまち世界に出現したようです。 作:さぬきのみやつこ
「あーあー、マイクテス、マイクテス」
季節は夏!
「あー、オケや!」
誰が企画したかも分からない!
「じゃあ、みんな待ちきれんようやし、始めよか?」
開催した回数は今回を入れて僅か4回!
「えー、それではー、第・・・何回やっけ?・・・4か!第4回」
怪物祭に次ぐ、年に一度の人気企画!
「“オラリオ女装コンテスト”!開催やー!!」
神々は愚か、その道を進み始めた冒険者から市民まで巻き込んだ
「「「「「うぉーーーーーー!!」」」」」
「「「「「きゃーーーーーー!!」」」」」
馬鹿騒ぎの始まりである。
➖ザックリルール説明➖
・事前エントリーで5名の参加者を募集、選出(Lv.2以上の冒険者のみ)
・参加者は各自で準備した衣装で登場する。
・神々の中から投票で、4神の審査委員を選出(毎年不正だらけ)
・各神の持ち点10点とし、40点満点で評価する。
・優勝賞金500万ヴァリス(額が額なのでみんな真面目にやる。)
運営:SAGONOデザイン会社
「はーい、ルール説明も終わったことやし、審査委員の紹介に移るでー!」
カッ!という音と共に、ステージの左サイドの雛壇がライトアップされる。
「『食べてきた人数は覚えてません!男の娘もイケる口です!』美と愛の探究者!フレイヤ!」
「よろしくね。」
「同じく、美と愛の探究者!イシュタル!」
「駄々被りではないか!もう少し捻ってくれ!」
「『可愛い衣装なら俺に任せろ!スク水からメイド服まで、なんでもござれ!』ヘルメス!」
「あはは、よろしくねー!」
「『男と女の違いはついているか、ついていないか!胸など飾りに過ぎんのです!偉い人には、それが分からんのです!』男か女かわからない!虚乳の伝道師!ローキーー‼︎・・・なんや!この紹介文!」
運営が用意してくれたカンペ通り読んでくれた。
「ということで、司会兼審査委員のロキや!以上4神で審査させてもらうでー、よろしくなーー!」
審査委員の紹介が終わると、パチパチと拍手が鳴り始める。
「「「虚乳!虚乳!虚乳!虚乳!」」」
「お前ら、顔覚えたからな。」
失礼なコールがなったが、すぐに黙らされた。
「よし!じゃあ早速行ってみよか?エントリーNo.1!衣装コンセプトは、『チャイナ娘』やて!自己紹介は出てきてもらってからしよか!」
呼び出しに応じて出てきた冒険者の姿を見て、会場は静まり返った。
あまりに美しかったからではない。
チャイナドレスから除く太ももは、艶やかというにはあまりにも雄々しく。今にも張り裂けそうな胸元は、“おっぱい”というより“雄っぱい”というのが相応しいだろう。
「ぶはははー!ひぃーーーー!初っ端からおもろいのが出てきたなー!」
司会であることも忘れて、笑い転げるロキを誰が責められよう?誰も責められない。それほどのインパクトがあったのだ。
「あー、あかん仕事せな、自己紹介から頼むでー」
「オッタル・・・オタ子です。」
無表情でポーズを決めるオッタル・・・ノリノリならそれはそれでキモいが、なぜエントリーしたのだろう?
「えーと、参加理由は?」
「ファミリア内の罰ゲームです。」
フレイヤのわがままのあと、ファミリア内で押し付け合いになったのだろう。
結果、全く敬われていない団長に白羽の矢が経ったらしい・・・不憫である。
「今の気持ちを一言!」
「ころしてください」
もう一度言おう、不憫である。
「えー、じゃあ審査に移るでー」
フレイヤ「可愛いわよ、オッタル」10点
イシュタル「せめてすね毛は、剃ってこい」3点
ヘルメス「肉体美は、評価するよ」5点
ロキ「インパクトあったし、おもろかった!」8点
合計得点:26点
オッタルは、審査が終わるとすぐに目立たないように、ステージから去った。心なしか、フレイヤから満点をもらった瞬間だけは、嬉しそうにしていた気がした。
「ハイ、次行くでー!エントリーNo.2!衣装コンセプトは『フィアナ騎士団』・・・あかん、誰が出てくるか、すぐにわかってしもうた。第三回の優勝者やな」
2人目が呼ばれると同時に、客席にいた小人族たちが立ち上がり、その場で足を打ち鳴らす。
「「「「フィアナ!フィアナ!フィアナ!フィアナ!」」」」
足踏みと共に鳴り止まぬフィアナコール。
前に出てきたのは純白のドレスのような鎧に身を包み、肩まで伸びた髪を三つ編みにし、仮面をつけた1人の小人族、誰であろう。
「おお!じゃあ、みんなわかってると思うけど、名前お願いしまーす‼︎」
「フィンだよ。」
フィンである。
(何しとるん自分?)
(今年は出るつもりなかったんだ・・・遠征の赤字さえなければ)
(あ、うん・・・ガンバ!)
つい、先日の遠征の出費を稼ごうと必死なフィンは、前回優勝しただけあって、かなりレベルの高い女装とパフォーマンスを見せた。小人族というのもあって、小柄な体型を活かした演出だった。
「さあ、審査移るでー」
フレイヤ「前回とに似ていてつまらないわ」5点
イシュタル「もっと冒険をしても良かった気がする」4点
ヘルメス「女装としては、悪くないんだけどねー」6点
ロキ「衣装ケチったの失敗したなぁ」7点
合計得点:22点
フィンは、審査が終わると「オッタルに負けた。オッタルに負けた。・・・」とボソボソと呟きながら、ステージの端に移動した。
フィンが隣に来たときオッタルは、少しほくそ笑んだが、後で抗争にならないといいんだが・・・神々の審査は、割と辛口である。
「気を取り直して3人目は、初参加やな。衣装コンセプトはー『十二単』・・・ってなに?」
出てきたのは、極東の着物をこれでもかと着込んで歩いてくる偉丈夫な男。トップバッターのオッタルと同じ感じだが、違いがあるとすれば肌が隠れているか聞かれていないかだろう。
「自己紹介頼むでー!」
「タケミカヅチ・ファミリアの桜花です。着ているのは、極東の昔の貴族が着ていた着物の着方で、12枚羽織っています。」
「はーそれで十二単かー。自分、偉丈夫っぽいし体格隠すにはうってつけやな!」
「ただ、動きにくいので・・・パフォーマンスができません。」
「あー、気にせん、気にせん!メインはあくまで女装やから!」
少しでもポイントを稼ぎたかった桜花は悔しそうだが、ロキは衣装が破れては駄目だ。と彼を制す。
「じゃあ、早めに審査に写ろうかー?」
フレイヤ「初々しい感じがいいわ」7点
イシュタル「体格に適した服選びは評価」7点
ヘルメス「ゴメン、好みじゃない」4点
ロキ「オモロイし、初参加やからおまけして」10点
合計得点:28点
ひとまずトップ、客席の一部で歓声が上がったが、ファミリアのメンバーが応援にでも来ていたのだろう。桜花はそれに応えるように、軽く手を振ってステージの端に移動した。
「4人目ー!え?こいつなん⁉︎こういうの大トリとかやないん?」
カンペを見たロキは、ステージの裏にいるスタッフに確認を取るが、ゴーサインが出る。
「あー、わかった!4人目‼︎第1回と2回の優勝者!3回は諸事情で欠場してたあいつや!」
このセリフと共に、会場は一気にざわめき立つ。
誰がくるのかを察して、涙を流すものも現れる始末だ。
「女神すら認めた可愛さ!衣装コンセプトは『氷の女王』出てこいや!」
カッ!とステージの照明が照らされ、全員がステージに注目する。・・・が誰も出てこない。
「あれ?・・・おーい、おらんのかー?お、出てきた。」
ロキに呼ばれて出てきたのは、1人の裏方スタッフ何やらフリップらしき物を持っている。
「もしかして、また欠場か?」
前回の欠場を思い出し、観客の1人がそう発した瞬間、夏の真っ昼間だというのにヒヤリとした感触が観客達を包み込む。
「冷た!・・・これ、雪?」
季節外れの雪だ。
この雪はどこから来ているのか?
「“上”や!みんなー!会場の上空を注目してくれやー!」
((((((((((((((上⁉︎)))))))))))))))
皆が会場の上空に注目すると、吹雪を纏いながら落下してくる物体があった・・・よく見たら人である。
彼・・・彼女?は、冷気を出していたであろう装備を収めると、着地の体制をとる。
ストン・・・と、かなりの高さから落ちて来たとは思えないほど、静かに着地を決めた人物は、ステージで待っていたロキからマイクを奪うと、ポーズを決めて声を出す。
「みんなー!暑い中ごくろーさまー!!(全力裏声)」
さながら、アイドルのようなテンションで観客に呼びかける人物。
着ているのは、背中が大胆に開いた青いスレンダーラインのドレス、そしてティアラ、装備を外したというのに周りには、冷気が纏わりついていた。
※『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』のリンクルをイメージしております。装備は吹雪の服
「暑いからー、“リンクル”がーーーー!雪!持って来たよーー!!(全力裏声)」
シィン、と会場が静まり返ったのも束の間
「「「「「うおぉーーーーー!!!!」」」」」
「「「「「きゃーーーーーー!!!!」」」」」
会場が一気に沸いた。
「リンクルちゃーん!結婚してくれぇーーー!!」
「お姉様ーー!こっち向いてーーーー!!」
「リンクルしか、勝たん!!」
皆、思い思いの声援を掛けていく。
「「「「「リンクル!リンクル!リンクル!リンクル!」」」」」
会場の空気を一気に持って行ったリンクル。
リンクルコールは、審査が始まるまで鳴り響いた。
マイクを盗られたロキは、(°▽°)ポカンである。
フレイヤ「さすがだわ、うちに来ない?」10点
イシュタル「うちに来い、稼がせてやる」10点
ヘルメス「本当に男か、毎回疑わしくなるよ」10点
ロキ「・・・なんで胸あんねん。」10点
満点評価
「えー、アホみたいに盛り上がりましたが、いよいよ大トリやでー・・・あれの後は、絶対に出辛いやろなー」
あれ、こと満点を受け取ったリンクルは、全力でドヤ顔を決めている。
ドヤさ!(`・∀・´)
「・・・最後の子は・・・滑り込み参加かいな?・・・なになに『衣装の準備がギリギリになるので最後にしてもらいました』か・・・よく見たら、どチビのとこやん⁉︎」
「神様!本当に出ないとダメですか!?」
「大丈夫だ、ベルくん!今の君はどこからどう見ても女の子だぜ!」
「そうです!ギリギリとは言え、出場資格も果たしています。ベルさまなら500万ヴァリスも夢じゃないです!リリ達も裏から応援してますから!」
「なーんか、裏でごちゃごちゃしとるけど、バーンと覚悟決めて出てこーい。」
「は、はい!ベル・クラネル、行きます。」
静寂が会場を包んだ。
頭髪から衣装まで、全身を純白のドレスで着飾った彼を見て、リンクルを含めた全ての参加者は彼の優勝を認めた。それほどまでに様になっていたのだ。
衣装コンセプト『ウエディング・ベル』
第4回 SAGONO主催
オラリオ女装コンテスト
優勝者 ベル・クラネル
優勝式は、まるで新婚を祝うように和やかに行われた。
➖プチ設定集➖
・SAGONOデザイン会社
どこかの冒険者が趣味で始めたらしい会社。社訓は『赤ちゃんからモンスターまでオシャレを楽しめるデザインを!』の方針でオラリオでは斬新なデザインや服を幾つも開発、販売をしている。
本当に誰が社長か誰も知らない。
知らないったら知らない(╹◡╹)
・リンクル
オラリオで活躍する冒険者なのだが、未だに誰が女装しているか当てられていない。神々の質問も嘘をつけないので無言の圧力でスルーする徹底ぶり。本当に誰がリンクルか、誰も知らない。
知らないったら知らない( ・∇・)
今回は、オリジナルで書いてみた話です。
4600文字、スマホで打つの、だるかった
読んでくれてありがとうございました。