とある場所…
鳥の鳴き声と共に私は目覚める。
ここは遥か昔「水の惑星」と喚ばれていた。
そこには緑の木々が生い茂り、風が吹き雨も降り時には天変地異並みの災害も起こっていた。
勿論、一種が言っていた「四季」もあったと私のおじいさんから聞いたこともある。
しかし、私が今居る場所は「おじいさんから聞いた」大地ではない。
至る場所がひび割れ、深い亀裂が走り、かつてそこにあったであろう物の残骸…
「一種」と喚ばれていた「人間」も
「多種」と喚ばれていた「動物」も
「彩歌」と喚ばれていた「植物」も
ここには存在しない。
私が目覚めたときに聞いた「鳥の鳴き声」も、実際の鳴き声ではない。
「亀裂を通る者」が足下を通る時に聴こえてくる音だ。
空を見上げるとその色は確かに「青空」と同じだが、
一面が真っ青であり、昼も夜も関係なく「青空」なのだ。
そう。
私が居る場所、ここは「かつての地球」と呼ばれ
水や自然、鳴き声や文明が存在したが、
今は観る影もない「天と地の惑星」と呼ばる荒れ果てた「球体」である。
(バン…バン…ババン…)
「もっと打たないと喰われちまうぞ!」
(バン…バン…バン…)
「どうしてこんな所にこいつが居るんだよ!」
「そんなこと知るかよ!」
「何としてでも殺さないとこっちが死んじまう…」
(クエエエエエエエエエエエエエ…!!!)
「ヤバい!」
「奴の突進だ!」
「逃げろ!!!」
(クエエエエエエエエエエエエエ………)
「もっと速く走らないと、奴に…」
「う…うわ~~…」
「ジョン!…ジョン!……しっかりしろ!」
「おれの脚がぁ…おれの右足がぁ……」
「よし!待ってろ…今手当てしてやるからな!」
(クエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!)
「ちっ!どうしても逃さないつもりか?」
「上等じゃねぇか!」
「かかってきやがれ!バケモノめ!!!」
(バンバンバン………)
「なんの音だろう?」
「聞いたことない音だけど、気になるから近くまで行ってみるか…」
(クエエエエエエエエエエエエエ……!!!)
「こっちだ!」
「こっちに来やがれ!」
(バンバンバン……)
「あれは…!」
「どうしょう…助けなきゃ」
(クエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!)
「しつこい奴だ!」
「これでも喰らいやがれ!!」
(……ドオオオオ~~ン…)
(クエエエエエエエエエエエエエ………)
「…やったか……!」
(クエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!)
「まさか…効かないのか…?」
(はぁ…はぁ…はぁ…)
「私が身代わりになるから、あなた達は早く逃げて!」
「あんたは!!」
「良いから早く…!」
「わかった。」
「…ありがとう…」
(クエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!)
「さぁ…こっちよ!」
「かかってらっしゃい!」
(クエエエエエエエエエエエエエ…!!!!!)
「かつての地球」
そこにはいろんな人種、動物、植物が繁栄し、多種多様に満ち溢れ、人種は文明を築き、動物は途切れることのない繁栄を築き、植物は色とりどりの華を咲かせ四季折々の風景を築き、まさに「楽園の惑星」と喚ばれていた。
「天と地の球体」
それは「楽園の惑星」と喚ばれていた面影はなく、緑豊かだった大地は深く裂け、木々は黒く燃え付き、草一本も生えることはできない。
また、空の「青空」は、海面反射の「青空」ではなく、ケイ酸塩が上空を超高速で舞うことで「ガラス反射」により「青空」に見えるのだ。
まさに「天と地の球体」と呼ぶにふさわしく、大地の裂け目に落ちれば一瞬で燃え尽き、空高く飛べば無数の「ガラス」により身体は細切れにされてしまう。
「ジョン」
彼は「ASF」の乗組員の一人。
子煩悩で優しく正義感もあり、誰よりも勇敢な男だ。
今回の任務を終えると「長期休暇だから子供達を連れてバカンスに行く」と…。
しかし……
彼の最期は右足を怪物に切断され、臓物を生きたまま喰われ、絶命した。