「暑い…」
「ここはいったいどうなっているんだ?」
「ここは吽猿(おんえん)の砂漠と呼ばれている場所よ」
「吽猿の砂漠?」
「吽猿とは?」
「ん~…」
「簡単に言うと牛に似た猿って所かしら?」
「はぁ?」
「猿は牛に似てないし、牛は猿に似てないけど?」
「どういう意味なんだ?」
「前に言ったでしょ?」
「同種対同種、異種対異種、同種対異種。」
「この砂漠も該当するのよ」
「???」
「つまり…」
「この砂漠でも種族による生き残りを掛けた戦いが?」
「えぇ。」
「漏れることなくね。」
「……」
「…んで?」
「生き残ったのがその吽猿とか言う奴か?」
「えぇ。」
「…その吽猿とこの砂漠の関係は?」
「周りを見渡してみて。」
「私達以外に何が見える?」
「…………」
「わかった?」
「それが答えよ。」
「つまり…」
「その吽猿とか言う奴がこの一帯を焼き付くしたと?」
「その通り。」
「植物も動物も吽猿に全て食べ尽くされたか、焼き付くされた。」
「………」
「だけど、吽猿は今でも補食対象を探しているわ。」
「…補食対象がこの砂漠のどこに?」
「………」
「ここよ。」
「…???」
「つまり???」
「私達がその補食対象なの。」
「………」
「まさか…」
「狙われていると?」
「…時、既に遅いけどね」
「!!!」
(………………!!!)
「来るわよ。」
「!!!」
「来るっていったいどこ……か…ら…!!!」
(……………ギィィィィィ!!)
「!!!」
「こいつ…」
「確実に補食しようと足元から…!!」
「どうやら狙いはあなたね。」
「!!!」
「こんな至近距離じゃ……」
(ギィィィィィ……)
「くそ……」
「足元は不安定だし、第一に砂の中の奴をどうやって狙えば…」
「走って!」
「…!!」
「奴は砂の中に響く震動を頼りに追ってくるの。」
「走りながら時間が稼げるものを砂に落として!」
「時間が稼げるもの…」
「…!!!」
「これなら…」
(ギィィィィィ……)
「よし。」
「…こっちだ。」
(……ギィィィィィ)
「その調子で俺を追ってこい!」
(ギィィィィィ)
(ザッザッザッザッ…)
(ギィィィィィ!!)
「…今だ!!」
(………ゴロッ)
(ギィィィィィイイイイイ…)
「……食った…」
「グレネードを…」
(………ボン!!!)
(ギィィィィィイイイイイイイイイイ!!!)
「後は私がやる!」
(ギィィィィィイイイイイイイイイイ)
「月刀叨旋!」
(…ギィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイ!!!)
(…………………)
「…やったのか?」
「…ふぅ。」
「これで吽猿も終わりね。」
「…本当に猿みたいな顔に牛みたいな身体…」
「それに、水掻きまで…」
「この水掻きは、水の中では使えないわ。」
「じゃあ何のために?」
「砂漠を泳ぐためよ。」
「…まさしく怪物だな。」
「そうね。」
「…だけど、彼等からすると私達の方が怪物かもね。」
「はは……」