「……つまり、近づかず目も合わせずと言うことだな。」
「えぇ。それしか生きる方法はないわ。」
「……………」
(ザッ…ザッ…ザッ……)
「ところで、いつまで歩くのだ?」
「そうね…後1キロも歩けば私の乗り物が置いてある集落に着くわ。」
「そこからはこの荒野をひたすら西に向かおうと思うの。」
「集落?」
「そこには人が?」
「いえ。」
「正確には「集落だった場所」ね。」
「集落「だった」………」
「じゃ今は…???」
「魔物の「住み処」よ。」
「……!!!」
「また変なのが???」
「いいえ。安心して。」
「その「住み処」に居るのは「ネズミ」だけよ。」
「ふぅ…ネズミか…」
「少しは休めるといいが……」
「……………」
(ザッ…ザッ…ザッ……)
「やっと着いたわ。」
「……確かに誰も居ない……」
「ネズミ以外は……」
「…着いて早速だけど私は乗り物を取ってくるね。」
「あぁ…」
「………」
「……ジョン…」
「本当にすまない。」
「SOSがここから発信されていたから来たばかりに……」
「まさかあんな惨い最後になるだなんて……」
「…………」
(ブォン…ブォン…)
「長い間置いてたけど、無事掛かって良かったぁ。」
「今度こそあそこに辿り着いてみせるわ。」
「そして、「あの人」に……」
「…しかし、よくみると死体ばかりで本当に人間は居ないみたいだな……」
(ガサガサ…)
(ギギ…ギ……)
「ん?なんの音だ?」
「そこに何か居る……の………か…………!!!」
(ギギギ~)
(ギ~ギギ~~)
「!!!」
「何だこいつら!!」
「ただの「ネズミ」じゃない!!」
「めちゃくちゃでかいし、何て数だ……」
「それに、何に群がっ……て………!!」
(ギギッギ~)
(ギ~ギ~ギ…!)
「ヤバい…」
「見つかった……」
(ギギギ~~)
(ギ~~ギ~~ギ~~!!!)
「そっちがその気なら……」
(バンバンバン…)
(バンバンバンバンバンバンバン…)
(ギ~ギ~ギ~)
(ギェ…ギギ…)
(ギ…ギェギ…)
「この音は…」
「…!!!」
「まさか……!」
「ウィルス!!!」
(ハァ…ハァ…ハァ……)
「やっと片付いたか……」
(ハァ…ハァ…)
「!!!」
「ウィルス!!」
「大丈夫?」
「あぁ…」
「なんとかな…」
「…この数は…おかしい…」
「…えっ?」
「いつもより数が多すぎる…」
「それにこの食べ方…」
「まるで一番美味しくて柔かいとこを知ってるような…」
「いつもと一緒じゃないのか?」
「えぇ…」
「これを見て…」
「!!」
「どれも女の胴体だけ…」
「それに、全裸で食べられてる割には血痕が一切出てない…」
「えぇ…」
「きっと全ての死体はさっきのネズミが食べたのよ。」
「だけど、他の部位は別の場所で切断してるわ」
「おまけに血抜きも完璧…」
「単なるネズミがこんな高等なことは出来ないわ。」
「あぁ…」
「と言うことは、犯人は鋭利な刃物で一刀両断し、血抜きもし解体にも慣れてる…」
「えぇ…」
「そゆこと。」
「……………」
(ブォンブォン……)
「こんなところは長居しない方がいいわ。」
「さぁ。乗って…行くわよ。」
「球体ネズミ」
一般的なネズミはせいぜい15センチ位だろうが、このネズミは全長60センチになる。
体毛は全身ピンク色で、尻尾が異常に太く短いのが特徴。
普段は主に土を食べ、死肉を食べることも集団で群れることもない。
「この球体」では唯一の食物底辺動物であり、狩りの方法も知らない生物。
「変異ネズミ」
上記ネズミよりも身体は小さく、全身30センチ。
体毛は全身が赤く、尻尾が無い代わりに四肢の爪が長く鋭く、歯も鋭利になっている。
このネズミは上記のネズミが何らかの影響で変異したらしく、その食性と統率性を遥かに凌駕している。
もちろん、生きた人間にも襲いかかる。
その時の捕食は作者も簡単には書けないほどの地獄絵図である。
「集落」
まだここが「楽園の惑星」の時に存在した「緑地型集合地」と呼ばれていた場所。
そこにはたくさんの人々や動物が住み、水が溢れ緑豊かな場所だった。
「球体」と呼ばれるようになってからは、至る所に腐肉が転がり、人間や動物、植物までもが枯れ果て、「血食型捕食地」と呼ばれるようになった。