あとふうま視点が辛いので三人称視点に変更します。
ノリオを倒した後も、ふうまたちの使命は終わらない。今日もまたアサギ校長に呼び出され、任務を任されていた。
「最近、ヨミハラに調査に行った子からの連絡が途絶えているの。何が起こっているか調べてきて頂戴」
「そのためにこんな人数呼んだんですか?」
「確かに、いくらヨミハラとはいえ調査というには数が多い気がします。それに」
先頭に立っていたふうまと秋山凛子が後ろを振り返りメンバーを見やる。
「あー!テメッ俺の羊羹食ってんじゃねえ!」
「何よ!数あるんだから一個くらい食べてもいいじゃないてかあんたのじゃないでしょ!!」
「ちょっと暴れないでよ!今緊張の一瞬なんだから!」
「ところてんジェンガ……プルプルのところてんを引き抜くのに、ここまで熱くなれるなんてな……」
「お前熱くなりすぎて溶けてるじゃねえか!」
「ふん!!」
「「「「「ギャ―ーー!!!」」」」」
独占していた羊羹をゆきかぜに掠め盗られた頭領パッチ、二人に制止を訴えながら天の助のところてんジェンガを見守る蛇子と、熱くなった天の助の身体が溶け始めている事に驚きを隠せない鹿之助。そしてその五人が囲むテーブルをどこからか持ってきた『轟槌【虎丸】』で粉砕するボーボボがいた。
「……こいつら引率するんですか?」
「ふうまから話は聞きましたが……彼らが予想外の行動をとるのは目に見えています。調査ならば少数精鋭でいいのでは?」
「ええ、しかし今までヨミハラで連絡が途絶えた事はあれど、ヨミハラの情報自体がここ数日入ってこないのは異常と考えたの。何があっても対処できるように人数は余裕を持たせて作戦を行います」
「「「「「おー!」」」」」
「不安だ……」
「いったい……何を体験してきたんだ……?」
ヨミハラに繋がる地下通路。複雑に入り組んだ迷路のような通路は、かつて捨てられた坑道を最低限利用できるように修復したかのよう。そこには地上を追われた浮浪者や、実験に利用され捨てられた被検体、それ以外にもさまざまな危険生物が彷徨っている。
そのような場所には似付かわしくない、すれ違えばすべての男はおろか、多くの女も振り向くような美女が二人。一人は悠然とした表情や、流れるような桜色の長髪。異性を誘惑するようなボディラインとそれを引き立たせる衣装。彼女の名は『イングリッド』。魔界騎士にして彼女の敬愛する魔界最強の吸血鬼『エドウィン・ブラック』を長とする企業【ノマド】の幹部である。
その彼女の後ろを歩き、可愛らしい顔に緊張の表情を浮かべる少女は『リーナ』。イングリッドの部下であり、彼女もまた魔界騎士の一人である。
「しかしイングリッド様。イングリッド様が直々に出向く必要はあったのでしょうか?」
「ノマドにとってもヨミハラは重要な稼ぎ場所だ。それに魔界からのゲートも使えないとなれば、これは異常事態と言って差し支えない。幹部が出るべきだが、フュルストや朧は動こうともしない。私が出るしかないのだ」
「……イングリッド様が割を喰らっているようで悔しいです」
「お前がそう思ってくれているなら十分だ。これからも、私と共に頼む」
「はい!」
彼女らの関係は上司と部下のそれだが、共に死線を潜り抜けた絆は、一般のそれとは格が違った。
「っ……何か来ている」
「まさか……敵勢力のどれか!」
「現状でノマドに抗うとすれば……対魔忍か!」
しかし、彼女らの思惑は大きく外れ、現れたのは実験によって強化と知性をかなぐり捨てられたオークや、武器を持った数人の浮浪者であった。
「貴様等、そこをどいてもらおうか」
「嫌だね。このオークをようやく手なずけてメスを捕まえんだ。そこに来た自分たちの不幸を恨みな」
「……下衆が」
イングリッドが自身の武器に手をかける。リーナも剣を抜き構えた。互いにぶつかる瞬間
「「「ギャアアアアアアアアアアア!!!」」」
「「……は?」」
どこからともなく飛んできた太陽のような形をしたフリスビー(頭領パッチ)が浮浪者とオークをいとも簡単に弾き飛ばしたのだ。フリスビー(頭領パッチ)は主の下に変えるように飛んできた方向へ戻る。二人が視線をやると、そこには情報で知っていた対魔忍、ふうま小太郎と黄色いアフロの長身の男、ボーボボと青いプルプルしたナマモノと複数人の対魔忍がいた。長身の男が戻ってきたフリスビー(頭領パッチ)を持つことなく蹴り飛ばし、坑道の天井に激突していた。
「貴様、対魔忍だな」
「え、なんでこいつ対魔忍って認識されてるの?俺がおかしいの?」
「そいつもそうだが違う。ふうま小太郎、部下から報告に上がっていた要注意人物と認識している」
「えー!ふうまちゃんそんなに有名になっちゃったの!?」
「お前「指揮官は有名になるのは狙われやすくなるからお前等が目立て」って言ってたのに駄目じゃねえか!」
「お、俺だってそんな有名になるなんて思わなかったんだよ!」
対魔忍と魔族、敵対しているにはあまりに気の抜けたやり取りだが、イングリッドは構わず続ける。
「対魔忍がこのような場所にいるとは、ヨミハラの異変でも調べに来たか?」
「やはり、ヨミハラで何かあったのか?」
「貴様等の謀ではないのか?ここにいるのも、我々のような調査に来た者を捕らえるのが目的なのだろう」
「だとしても流石に相手は選ぶだろ。ましてや魔界騎士なんて相手してられるか」
軽口をたたいて心を落ち着かせるふうま。しかしここで助け船が出る。
「こいつはヨミハラの異常を調べに来た。俺が保証する」
「ボーボボ」
「ほう、して貴様は?」
「俺か
俺の名はボーボボ。
ボボボーボ・ボーボボ!
ボボボーボ・ボーボボ!!
ボボボーボ・ボーボボなのかぁ?」
「いや……それは知らんが……」
「すいません……こういうヤツなんです……」
これからの苦労と、彼女らにかかる理不尽を考えると、小太郎は敬語になって謝るしかできなかった。この集団の思考は小太郎には理解できないのだ。
「ま、まあ目的は同じようだし、ここは停戦協定といかないか?そちらも稼ぎ場所とはいえホームではない。淫魔の奴等に不覚を取りたくはないだろう?」
「いらん心配だ。我々は淫魔程度に不覚を取ると思うか?」
「思う」
「貴様!!」
小太郎は知っている。調子に乗って突撃したアサギやさくら、紫の末路を。凌辱され、尊厳を奪われ、もしも彼女たちがそのまま闇に堕ちていたらと考えると身震いする。それはそれとして悪堕ちは抜ける。
「だから背中を任せて欲しい。後ろで構えているじゃなくて、後ろからくる脅威に対抗するという意味で」
「……」
イングリッドが少し考える。異変はいつもの事だが、今回のケースはその中でも異様と判断したイングリッドは、小太郎の提案を受け入れた。
「足手まといなら即刻見捨てる。後ろから刺そうものなら即座に切り殺す。夢忘れるな」
「分かってるさ。こちらから提案したんだ。そんなヘマはしない」
二人が協力を結ぶと、リーナの足元に頭領パッチが歩いていき
「む、どうした?」
「……キィ!」
リーナにビンタをかました。
「何やってんだー!?」
「貴様!リーナが何をしたというんだ!」
「アタシには感じるわ……こいつはヒロインの臭いがプンプンするわー!!」
「な⁈」
頭領パッチが叫びながらリーナの胸倉を掴んでグワングワンと掴んで揺らす。リーナはそれに首を前後させるが、ヒロインというワードの方がインパクトが強いらしく、顔を赤らめて目をぐるぐるさせている。
「
「何の話だ!?そもそもそんな相手はいないぞ!!」
「あいつ何やってんの?」
「パチ美は世界一のヒロインを目指すヒロイン候補の一人だ。そしてヒロインは4年に一度、『ヒロインピック』で
「そうなのか!?」
「ふうまちゃん知らないの?次のヒロインピックは日本でやるから今度は気合い入れていかなきゃ!」
「参加してんの!?」
自分の臣下からのカミングアウトに目を見開き、逆に蛇子はその果実をむんっと張り主張する。ゆきかぜはその動作に若干の殺意を乗せた視線を送っていたが、誰に気づかれる事も無かった。
「……行くぞ」
「分かった」
イングリッドの合図で、小太郎とボーボボは歩き出した。
「着いたぞ。ここだ」
小一時間経ち、ヨミハラに着いた小太郎たちが目にしたものは
煌びやかに光る電飾
雑多に行き交う人や魔族
勢い良く流れるジェットコースター
可愛らしいフォントで書かれた『ようこそ』の文字
そう
「「「遊園地になってるーーーー!!!」」」
小太郎、イングリッド、リーナは声を揃えて叫んだ。
「あははー!遊園地だよ達郎!」
「ゆきかぜちゃん、あまりはしゃいでると転んじゃうよ?」
小太郎たちの後ろでは、いつの間に白のワンピースに着替えたゆきかぜと、それに付き添う達郎がいた。達郎はこの任務にいなかったはずなのになんでいるのだろうかと疑問に思う小太郎だったが、ボーボボに毒されている彼女らを思い、考えるのをやめた。
「だってぇー私も達郎もここ最近任務で出ずっぱりだったしー。そんな中で遊園地デート出来て私……私……
思わず獣人化!!!」
「僕も!!!」
喜びのエネルギーが彼女らを獣に変え、唸り声を上げながら爪と牙を互いに立てる。その血に流れる獣が、愛し合う二人を傷つけ合わせたのだ。
そんな
「ここは『ファンタジック遊園地』。かつてこの国の人が地下へ逃れた時、人々の希望となるものを立てんと立ち上げたのがここだ」
「いや嘘つけ」
「ここでスプーンでも植えられていたんじゃろうなぁ。割り箸とスプーンは遊園地がよく育つと有名なんじゃ」
「無機物が物生やすわけねえだろ!」
「村長!それは村外に不出の機密。万が一にも余所に奪われれば……」
「フォッフォッフォ、すまんすまん」
白髭を生やした頭領パッチにボーボボが人差し指を口に当て制止を訴える。そんな彼らを出迎えるように、ファンタジック遊園地から一人の人物が出て来た。頭に可愛いとは言い切れない目を付けた被り物をしており、首から下はピンク色の繋ぎが中の人のボディラインでピッチリしている。端的に言って小太郎と鹿之助は股間を盛り上げずにいるので精一杯だった。達郎はまだ彼女と血の争いをしている。
「初めまして。ボクはこの遊園地のキャラクター、イモラ―だよ」
ネーミングセンスの酷さに小太郎は頭を抱えた。
おっぱいデケェ娘出してえなー