ブルーアーカイブZEXAL:集いし三勇士   作:ハルトォォォォォォォ!

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銀河の目覚め

 

 

 

「……きた。」

 

薄暗く静かな病室で、少女は呟いた。

 

最悪の未来を変える鍵となるのは三つの希望。

 

少女の脳内に流れる予測図は、外れることはない。

 

それが故に、少女は安堵を覚えた。

 

避けようのないはずだった最悪の連続。

 

いつの日だったか。そんな最悪の景色が塗り変わった瞬間は。

 

少女に見えたのは不思議なカードを使って戦う三人の勇士。

 

仲間の為に。家族の為に。世界の為に。

 

それぞれがそれぞれの想いを胸に、戦っていたのだ。

 

そしてその想いがひとつに重なったとき、未来は変わる。

 

「今日はここまでかな……」

 

分厚い本を閉じるようにその世界から意識を離れると少女は脱力し、目を瞑った。

 

竜皇神話に語られし伝説。

未来を操る光の化身を我が力にするは人類最強の男…名は"天城カイト"

今二つ目の希望が、この地に降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_________________

 

 

 

「ここは…どこだ…?」

 

青年は重い瞼を開けると、そこは見知らぬガーデンのような場所だった。

 

最強のドラゴン使いを決める戦い…"銀河決戦"が終結したあの後、世界を変える鍵となるカード"ヌメロンドラゴン"をミザエルに、"未来の希望"を遊馬に、この男は託した。

 

だが、"天城カイト"はそこで力尽き銀河の果てで命を落とす。

 

しかし、再びその魂は復活した。

 

まさかここがヌメロンコードの力で創られた世界なのだろうか。

 

カイトは目を覚ますと白い椅子から立ち上がり辺りを見渡していたが、そこはどこにもハートランドシティの面影はなく視界に入る全てが見知らぬ風景。

 

「……兎に角、ここに居ても埒が明かないな。おい、オービタル7!……いないか。」

 

気付かぬ内に癖になっていたか。

"オービタル7"カイトはその名を口にするが返答は帰って来ない。

いつもならその呼びかけを無視することなど有り得ないのだが。

つまり、少なくともここにはいないのだろう。

 

自身の置かれた状況を理解するために、カイトはこの場所からの出口を探す。

 

「あら、せっかくお茶をいれたんですし…少しゆっくりされていってはいかがでしょうか?」

 

出口を探そうとガーデンのテーブルに綺麗に並べられたティーカップと茶菓子から背を向け歩くと、後ろから呼び止める声が聞こえる。

 

振り返ったカイトの視界にうつったのは頭に輪っかを浮かべ、大きな翼を生やした、まるで天使のコスプレをしているかのような女の姿だった。

 

「誰だ貴様は……?コスプレイヤーか?」

 

「こ、この羽はコスプレではありませんよ…!……ごほん、私はティーパーティーの"桐藤ナギサ"と申します。キヴォトスへようこそ。"天城カイト"さん。」

 

「何故俺の名を…?それにキヴォトスとはなんだ?やはり、ここはハートランドシティではないのか……」

 

「事情を話すと長くなるので…一先ず、もう一度席に座ってお話しませんか?」

 

「……ああ、そうさせてもらおう」

 

この状況に対する訳を知っていると言うその女に、カイトは警戒心を持ちながらも見知らぬこの世界の情報を得るという目的のため、再び元いた白い椅子に腰を下ろす。

 

置かれた茶菓子に手をつけるのを躊躇っていたカイトだが、「毒など入っていませんよ」とナギサが言うと一瞬の間表情を伺い、手に取る。

 

「…美味いな」

 

「ふふ、お口に合ったのならよかったです」

 

「それで…話を聞かせてもらおうか?ナギサ」

 

「はい……まず、カイトさんが今いるこの世界は元いた世界とは違う…所謂"異世界"です」

 

「それはわかっている。俺が聞きたいのはこの世界についてのことと、何故俺がここに居るのかだ。…キヴォトスと言ったか?」

 

普通の人間ならば自分が異世界にいると言われれば驚くか、理解出来ないものだろう。

 

しかしカイトは感覚でここが自分の住む世界ではない事を理解していた。

 

この理解力と冷静さに、少女の心は驚かされる。

只者では無いと、その立ち振る舞いから感じさせられた。

 

「失礼しました…はい、ここは学園都市"キヴォトス"…」

 

回りくどい説明を嫌うカイトは、簡潔に詳細を求める。

そしてナギサは学園都市キヴォトスについて、語り始めた。

 

"キヴォトス"…それは数千の学園がそれぞれに運営する自治区と、全体の行政を担う連邦生徒会が管理する地域「D.U.」とで構成される連邦都市であり、日常と銃撃戦と神秘が混在する"超巨大学園都市"。

 

この学園都市に存在する"生徒"達は銃撃や砲撃の直撃にも耐える頑丈な体質を備えており、結果的に生徒個々人から大小の組織に至るまで、堂々と破壊や掠奪に着手する者は後を絶たない、殺伐とした社会となっているという。

 

「そして何故このキヴォトスにカイトさんが存在しているのか…ということですが…」

 

キヴォトスについての説明を終えるとナギサはそのまま、カイトの持つ二つ目の疑問に対する回答を話し続ける。

 

それを聞いていたカイトは口を挟むことはなく、黙って聞いていた。

 

「申し訳ございません…どういった原理でカイトさんがここに来たのかまでは私には分かりません」

 

「"までは"ということは、心当たりはあるのか?」

 

どうやら、カイトがここに居る原因はナギサには無いようだ。

 

だがその原因に関する心当たりがあることをナギサの何か引っかかる表情と言葉から読み取ったカイトは口を開いた。

 

「……"未来予知"。私と同じトリニティ学園のティーパーティーに属する生徒…"百合園セイア"の持つ能力によって、カイトさんがキヴォトスに来ることは予め予知されていたのです」

 

「予知能力?そんな話、信じられないな」

 

「"不思議なカードを使って戦う3人の勇士"……心当たりはないですか?」

 

ナギサが語るには、"未来予知"。

 

同じ生徒会に属する"百合園セイア"という名の生徒の持つ力によって、カイトの運命は予知されていたという。

 

そんな確証もない幻想的な話にカイトは呆れた様子でいたが、その後発せられた一言を聞いた瞬間、顔色を変える。

 

 

「……どうやら、その予知能力というのはあながちデタラメではないようだな」

 

 

(3人の勇士……遊馬と凌牙も、この世界に来ているということか……)

 

 

「それで、その"百合園セイア"とやらはここには居ないのか?同じ学園なのだろう。」

 

「セイアさんは病弱な体質でして…普段はこことは違う病室に居るので、今すぐお呼びするのは厳しいかと…」

 

「そうか……ならいい」

 

ナギサは複雑そうな表情で、百合園セイアという人物についてのことを語る。

それを聞いたカイトは不意に顔も知らない人物と"弟"の存在を重ねてしまうと、深追いするのを辞めた。

 

「代弁者が私でよろしければ、セイアさんの予知の続きを。……そしてその3人の勇士がこのキヴォトスを救う鍵となると……そう、セイアさんは言っていました」

 

「キヴォトスを救う…?……悪いが俺は一刻も早く元の世界に帰る方法を探すつもりだ。この世界に無駄に関わる気はないぞ」

 

「それが当然ですよね……ただ、セイアさんの未来予知は今まで一度たりとも外れたことがないそうですよ」

 

カイトにはあくまで、知らない誰かや世界のために戦う気はなかった。

 

最優先するべきなのは元の自分の住む世界へと帰り、何よりも大事な家族の無事を確認すること。

 

予知された未来と言うのも、どうやらこれだけのようだ。

それならカイトが欲する情報はもうここには無いだろう。

それを悟るとすぐさま席を立ち上がった。

 

ナギサは背を向けるカイトに対して、少しばかりの悪戯笑いを含みゆっくりと落ち着いて紅茶を嗜みながら言葉を続けた。

 

「フン、どうだろうな。予知はそれだけか?なら俺は行かせてもらうが…」

 

「はい。後、これは予知とは関係があるかは分かりませんが…カイトさん達三人の勇士は"カード"を使って戦うんでしたよね?」

 

「ああ、それがどうかしたのか?」

 

カイト達が使うカード。

それはおそらく"デュエルモンスターズ"の事だろう。

 

ナギサの反応からしても、このキヴォトスという異世界にはデュエルが存在しないのでは無いかと、カイトは予想する。

 

その為、デュエルについては深くは話さずカイトは聞き手に徹することにしていた。

 

「最近、キヴォトスの各地で密かに噂されている"呪いのカード"というものがありまして…。どうやらそのカードを手にした者は精神を操られ、正気を保てなくなるとか…もしかしたらこれも心当たりがあるのではないですか?」

 

「……!!」

 

図星だった。

ナギサの話を聞いたカイトはすぐさま"ナンバーズ"の存在を思い浮かべる。

 

ナンバーズとは所持する者の心の闇を増幅させ、文字通り精神を操られる呪いのカード。

 

然し、散らばった100枚のナンバーズは全て集め、その力を使ってヌメロンコードを完成させ世界を変えたはず。

 

カイトは想定外の状況に、危うく声が出かけるほどに驚く。

 

「その様子だと、やはり何か関係があるようですね?」

 

「…まぁな。その話が事実か確かめる為にも、そろそろ行かせてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません。最後にひとつだけ、提案があるのですがよろしいでしょうか…?」

 

「なんだ?」

 

「元の世界に帰るまでの間、このトリニティ学園の"先生"として活動して頂けないでしょうか?勿論、私もカイトさんが元の世界に帰れる方法を探すのを協力しますし、衣食住も保証いたします。如何ですか?」

 

「……考えておこう。情報は助かった。茶菓子も美味かったぞ」

 

ガーデンの出口に手をかけるカイトに、ナギサは最後の提案をする。

 

決して悪くはない。寧ろ、急に異世界に飛ばされ家も金も持たない一文無しの状況だったカイトにとって衣食住が保証されるのは、情報収集にかかる労力を考えても有難いものだった。

 

断る理由はないが、カイトは未だナギサを完全に信用するには至っていない。

キヴォトスがどういった世界なのか自分の目で確かめる。

 

その上で、ナギサの提案を受けるか否かを判断する。

それがカイトの考えだった。

 

「そうですか…分かりました。では気が変わったらまたいつでもいらしてください。美味しい紅茶をいれてお待ちしておりますので」

 

ナギサから見ても天城カイトという男がそう簡単に協力的になるとは考えていない。

 

断られるものだろうと思っていたが、意外にも保留にはとどまった。

 

今はそれだけでも及第点だろう。

 

足早に去るカイトを、ナギサはただ見送った。

 




ここまで読んでいただきありがとうございます!
カイトは主にトリニティ生徒との絡みが多くなる予定です。
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