【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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100話目!とうとうやってしまった。



【小話】婚約

「鬱陶しいことこの上ない。」

 

道元は余所の駅からの婿入りアピールの手紙に、断りの手紙を認めながら決断した。

 

「最上君。もう菖蒲殿と来栖君を結婚させてしまおうと思うのだがどうだね。」

 

「よろしいかと。堅将様と来栖の父は仲が宜しかったようですから縁も充分ですし、ここまで菖蒲様を守り通した忠臣ですので立場も問題ありません。」

 

「ふむ。自分がとは言わないのかね。」

 

「今後他駅との友誼を結ぶ上で、婚姻を必要とする場合来栖より私の方が適任です。どんな相手になるかわかりませんから、来栖には嫁入りした女子を疑ったり、人質のような嫁と平然と暮らすのは無理でしょう。…それに菖蒲様の隣に立つには私では威厳が足りませんので…。」

 

「であれば菖蒲殿に打診してみよう。」

 

道元と最上の中で菖蒲と来栖の結婚が決まった。

翌日、朝議の後道元は菖蒲の下を訪ねた。

 

「菖蒲殿。今恋慕う者はおりますか?」

 

「こっここ恋慕う⁉︎」

 

道元からの思いもよらぬ質問に菖蒲は赤面した。

 

「そうです。」

 

「おりませんが…。」

 

「そろそろご結婚を検討して頂かなければなりません。世継ぎの都合もございますが、何より菖蒲殿は結婚適齢期を迎えておりますので、他駅からの打診が多く来ております。再興のため忙しいことを理由に断るのも難しくなってまいりました。出来れば他駅から婿を迎えたくはありません。」

 

「結婚…婿…。」

 

「よって菖蒲殿には来栖君と結婚していただきたい。」

 

「来栖と⁉︎」

 

「来栖君では御不満ですか?最上君という手もありますが些か若年ですので。恋慕う相手がいるなら、相手にもよりますが検討できるかと。」

 

「こ…恋慕う相手はおりませんし。来栖が不満なわけでは…。」

 

「では来栖君でよろしいですな。」

 

「ちょっ!ちょっとだけ待って下さい!来栖をそんなふうに見たことがなかったので…心の準備が…。」

 

「そうですか。では5日で御心をお決め下さい。」

 

「5日⁉︎」

 

「それでは失礼致します。」

 

道元は言いたいことをいって退室していった。菖蒲の後ろに控えている静はそっとため息をついた。

 

(勘太郎様の時にお伝えしたのに考えてなかったようですね。)

 

「し…静。どうしましょう。」

 

「どうもこうもありません。ご結婚なさればよろしいではありませんか。」

 

「だって…。」

 

「だってではありませんよ。だから言ったではありませんか。他人事ではないと。」

 

 

 

一方朝議の後、最上は来栖を訪ねていた。朝議の後は武士達が集まっていることが多く、本日も来栖の執務室には数名の武士が集まっていた。

 

「来栖。ちょっといいか?」

 

「珍しいな。朝議で用件を済ませるお前がここに来るのは。」

 

「まだ決定してないからな。お前を菖蒲様の結婚相手に推挙してあるからそのつもりで。菖蒲様次第だから決まったら追って連絡する。それだけだ。失礼。」

 

「「……。」」

 

最上はスタスタと執務室から去って行った。

 

「はぁ⁉︎えっ⁉︎はぁあっ⁉︎」

 

最上が去った後、来栖の口から出たのがこれである。同席していた武士達も寝耳に水で驚愕していた。

来栖にはお伺いではなく伝達であった。

 

 

5日後菖蒲が代替案を提示出来なかったため、菖蒲と来栖の婚約がなされた。以降菖蒲と来栖は赤面したり、目を合わせて話せなかったりが続くこととなる。

 

 

 

雅客の家で、本人不在の婚約祝賀会が開かれていた。

 

「いやぁ。来栖が報われる日が来た!」

 

「もうお膳立てどころじゃないが。」

 

「確かに。まあ武士の結婚らしいと言えばらしいか?」

 

「まだ婚儀は先だろ。その間道元様にみっちり教育されるそうだな。」

 

「教育係が最上様じゃないあたり本気を感じる。」

 

「教育が終わるまで結婚はお預けらしいが、これで菖蒲様狙いの奴等を追っ払うのが楽になるって道元様は喜んでたな。」

 

「そういえば年の差で言えば最上様と八代の菫様ってちょうど良いのでは?」

 

「嫌だが?」

 

「うわっ!来てたんですか⁉︎」

 

服部にこそっと最上も連れてこられ、途中から参加していたことに武士達は気がつかなかった。最上は心底嫌そうな顔をしている。

 

「まだ肩書きだけとはいえ、将来は領主ですよ?」

 

「石炭が主産業だろう。駅の範囲内でいつまでも採掘できると思うな。蒸気機関で馬鹿みたいに石炭を食ってるんだ。それに既に属領なんだから婚姻を結ぶ必要を感じないな。菫殿に兄でもいれば、お前らの内の誰かに菫殿を嫁がせるくらいはあったかもな。」

 

「いや流石に我々には若すぎます!」

 

「婚姻は政治的手段だ。別に問題あるまい。まあいずれにしろ菖蒲様の件が片付いたのはよかった。いい加減断るのも難しくなってきてたからな。」

 

「最上様もその内結婚するんですよね。」

 

「そりゃそうだ。精々駅の役に立つ結婚をするさ。」

 

「夢がねぇ。」

 

「お前らもうかうかしてると、気がついたら婚儀ってこともあるからな。好きあった相手と結婚したいなら、頑張ることだな。」

 

「…いっそ何もしなければ結婚できると?」

 

「その場合10歳だろうが、醜女だろうが、人質としての婚姻だろうが文句は言わせんからな。」

 

「さっ!頑張るぞ!」

 

「「おう!」」

 

武士達は一致団結した。




婚約しました。結婚はまだ先です。

菖蒲様って絶対来栖のことそういう目で見てないですよね。小説でも窮地を抱き寄せられて助けられても、まさかの"お母様"だったのはくっそ笑った。お父様ですらねぇ。
とはいえピュアそうだから意識したら二人して赤面してそうで可愛いよね。
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