【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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ちょっと長いのは来週上げられる…はず。


【小話】薬と毒

一之進の鍛錬の為、最上の屋敷を訪問していた歩荷は庭を開墾した畑を見て違和感を覚えた。

 

(あれ?これ何を植えてあるんだ?)

 

いまいち見てもなんだかわからない作物ばかりで、じゃがいもやら大根やらとは違うようだ。手入れはされているようだが、ぱっと見雑草が生い茂っているように見える。

 

「あっ。歩荷さん。ダメですよ。触ったら。」

 

雑草に見えるそれに触れようとしたところ、準備を終えた一之進から注意が飛ぶ。

 

「ああ。ごめんごめん。…で。これって何育ててるの?」

 

「薬草とか毒草らしいです。」

 

「え"っ⁉︎二之介もいるのになんてもん育ててるの最上様⁉︎」

 

「小田駅を確保したから、食べ物より薬関係にしたらしいです。元々敷地内に夾竹桃も植わってますし、危ないのは元々ですよ。薬草とかは楓様のところでも育てているので、楓様のところの使用人が手入れに来てくれてます。」

 

「薬草はわかるけど、毒草なんか育ててどうするの?」

 

「使い方によるそうなので、一概に毒草が悪いとは言えないそうです。」

 

「へぇ。(楓様はともかく最上様は毒として使いそうだけどな。)」

 

これ以上掘り下げても怖いだけなので、歩荷は掘り下げるのをやめた。懸命な判断である。

 

実際毒と言われる物も薬として使われるが、最上が使うとすれば正しく毒としてである。カバネリである無名に美馬が使わせた麻沸が効いたと聞きつけて、カバネに試すのも考慮しているが主目的は人間相手である。とはいえ現時点では、大量に毒を生産するつもりもないので殆どは楓の下に流れる事になる。

 

その夜雅客の屋敷に集まった武士達で情報共有が行われた。剣術指南の為、最上の屋敷には複数の武士が出入りするので。

 

「うちの庭も似たようなものですよ。」

 

楓と結婚した仁助からも申告がされた。

 

「仁助の屋敷もなの⁉︎」

 

「薬は作っておかないといざという時に困るので。」

 

「へぇ。」

 

最上、楓、仁助の屋敷では薬草やら毒草が栽培され、主に病院となった楓の屋敷で加工されている。

 

「何事も過ぎれば毒と言いますが、適量を使えば麻酔などになるので必要なんですよ。」

 

「なんだろう。楓様と仁助のところはそうなんだろうけど、最上様の屋敷にあるだけで毒って感じするんだけど。」

 

「…。まあ毒なのは確かですし、間違ってはないんじゃないですかね。」

 

仁助は目を逸らした。

 

 

最上が休暇の日、雅客が一之進の剣術指南に赴くと、最上がぼやっとしながら読書をしていた。

 

「何読んでるんです?」

 

「毒の作り方。」

 

「やっぱり毒じゃん!」

 

「なにが?」

 

「だ…誰を殺すご予定で?」

 

「いや。カバネに効くかなって。瓜生が言うには、無名殿に麻沸が効いたらしいしな。」

 

「カバネリとカバネでは違うのでは?」

 

「そも人体を動かすには筋肉が必要だ。肉が腐り落ちて骨だけで動くカバネはいない。心臓も言ってしまえば筋肉の塊だ。音に反応する。匂いに反応する。目もたぶん見えてるだろう。ワザトリのように学習もするということは脳も動いている。カバネとて人間と同じ機能がある。ということは毒も効く可能性はある。カバネリが人間とカバネの中間点だとして、麻沸が効くなら他も効くだろ。ならカバネに効かないとは思えない。心筋が止まれば死ぬかもしれないな。」

 

「なるほど。理解はできますが今まで誰も試さなかった理由はなんでしょうか。」

 

「食わせるのは無理となると、吸わせるか打ち込むしかないが、気体はこっちも危ないし、打ち込むのも容易じゃない。」

 

「いや。それ研究するの無理では?」

 

「だるまにして首も落とせば研究は出来るぞ。打ち込み放題だ。」

 

「怖い。」

 

「桶に血を入れといたら飲むと思うか?」

 

「えっ⁉︎どうでしょう…。」

 

「それで飲むなら毒も食わせられるんだがなぁ。飲まないんだろうな。飲むならそういう罠出来てそうだしな。…あれ?克城で血を抜いてたのはカバネの餌の為だよな?飲むのか?瓜生に聞いてみようかな。」

 

「あれだけみんなから抜いておいて飲まないってことは無さそうですね。」

 

「人間以外襲わないってことは、人間の血だけ特別なのか?なにで判別している?混ぜものしたらバレるかな?」

 

「今まで誰も試さなかっただけの可能性もありますね。」

 

「まあわざわざ餌をやろうだなんて考えないもんな。毒が効かなきゃただ餌だ。…なあ雅客。菖蒲様の倫理観の線引きは何処だと思う?」

 

「え?」

 

「カバネをだるまにして実験するのは許されるか?捕まえてひたすら毒を食らわせるのは許されるか?無名殿曰くカバネには怖がる心があるらしい。仲間が殺されると怒るとも言うしな。皮膚のアレは腐っているのではなく爛れの様なもので、理性が吹っ飛んでいるだけだとしてカバネは化け物か?気狂いの延長か?」

 

「…それは…。」

 

「すみません!雅客さん!遅くなりました!」

 

最上の視線に雅客がたじろいていると、一之進が庭に駆け込んできたことで最上が視線を逸らした。

 

「剣術指南よろしく。」

 

「は…はい。」

 

一之進に剣術指南をしながら雅客は考える。人間相手では殺す気でむかってくる者は殺すのが当然だが、だるまにして実験をする事は許される範囲ではない。実験で死ぬまで毒を食らわせ続ける事もだ。最上や道元は人間相手でも必要と認めればやるのだろうが、カバネ相手にやる事が菖蒲の倫理観に引っかかるか否か。カバネは化け物か人か。カバネはウイルスに感染することでなる。要は病気だ。現時点治療法はないが、病気と定義するならカバネは人である。

 

(気が付きたくなかったなぁ。)

 

一之進の鍛錬を監督しながら雅客は途方に暮れた。

 

剣術指南を終え一之進が下がった後、雅客は最上に声をかけた。

 

「さっきの件ですが、もしやるなら狩方衆とこっそりやるべきかと。」

 

「だよな。やっぱり。」

 

「それとカバネの考察は他には言わない方が良いかと。」

 

「そうだな。殺せないなんて言い出す奴が出ては困る。…お前は殺せないなんて言わんよな。」

 

「言いませんよ。殺す気で来てるんですから、人であれカバネであれ同じでしょう。」

 

「…ならいいよ。剣術指南お疲れ様。」

 

最上は本をぱたりと閉じて部屋に引き上げて行った。

 




掘り下げなかった歩荷と、掘り下げてしまった雅客。
ホモ君はカバネが人だと断言されて罵られたとしても、だから?殺さない理由にはならないだろ?って言うタイプ。顕金駅奪還時に知人友人殺してへこんでましたので、へこむのはへこむけど必要ならやる。光の甲鉄城の皆様はめっちゃ曇りそうだよね。治療法が見つかれば顕金駅は大量殺人集団だよ。まあ人を食った奴を治療しても正気かはわからないけども。カバネリの治療法を見つけたら必然的にカバネの治療法でもあると思うんですよね。だって大元は同じウイルス感染なんだから。救いを求めるならカバネは部分的に脳死してて、カバネリは脳が全部生きてるとかかな。それならカバネはウイルスをなんとかしても脳死の人間になるだけだし。
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