後退していく甲鉄城を黒煙が追う。
甲鉄城は本線から避難線へと進路を変える。避難線に進入してすぐ黒煙は前足を甲鉄城に振り下ろした。振り下ろされた前足は甲鉄城の先頭車両を掠め、先頭車両は大きく揺れた。
前足を振り下ろした影響で黒煙は一時的に足を止めたため、甲鉄城は避難線に設置された車庫まで後退した。
車庫に入ってすぐ吉備土達は車外へ出て行き、吉備土が車庫の門を閉めるべくレバーに取り付いた。レバーを下ろしてすぐこちらへ向かってくる黒煙に対して武士達は噴流弾を撃ち込む。
黒煙は大きすぎて噴流弾でも全く効果は見られない。
足止めにもならず黒煙はそのまま車庫に突進してくる。
黒煙が車庫に到達する直前、車庫の門が降りきり、門に黒煙は激しく衝突した。衝突の勢いは凄まじかったが、門は壊れる事なく黒煙を阻んだ。
「なんとか間に合ったな。」
吉備土達は冷や汗を拭いながら門から離れる。
「これからどうしましょうか…」
艦橋内で菖蒲が声を漏らす。
「黒煙はカバネが集まってできているようですから、門に当たって砕けていたとして門の周囲はカバネだらけでしょう。暫くは様子を見る他ないかと。」
「そうですね。生駒達のことは心配ですが今は外に出るわけにも行きませんから待機としましょう。」
菖蒲が全体に待機指示を出そうとしたところで、艦橋に阿幸地達が入ってきて今後の方針を尋ねた。
艦橋に入ってきた時にちらりと最上を確認していたが菖蒲達と話し始める。
別方向へ後退する案や、ある程度まで上がっている竪坑櫓を損傷覚悟で強行突破する案などが上がる。
「いや…でも…生駒と無名ちゃんを置いてっちゃうんですか⁉︎」
逞生が慌てて問いかける。
修蔵や阿幸地が自業自得として辛辣に返す。
(今回ばかりは全面的とまでは言わないが同意だ阿幸地殿…。)
吉備土は阿幸地達の言い分を乱暴であると批難し、菖蒲は黒煙の脅威について口に出す。
最上は阿幸地達に同意したい心情ではあったが、菖蒲達の様子から批難を口に出すのを避けた。
菖蒲も作戦開始前からの最上の様子から、意見を求めれば2人を見捨てる案を献策しかねないと考えていた。
最上は一歩下がった位置をとっていたため、地図を見つめる巣刈に気がついた。
(なにか思案中のようだな。あれもクレーン操作のために外に出ていたから、我々が気がつかなかった何かが見えていたのか?)
「最上。何かないのか?」
来栖は最上に意見を聞く。来栖も阿幸地達と似たような考えであり、最上も間違いなくこちら側だと思ったからこそ話を振った。
菖蒲は来栖の催促を聞いて、焦りを浮かべた顔を最上に向ける。来栖は口にこそ出していないがどちらかといえば阿幸地側の意見だろう。阿幸地、最上、来栖が意見を固めた場合、ひっくり返すのは難しい。
「そうだな。…巣刈と言ったか?先程から地図を見つめているがなにかあったのか?」
「えっ?」
巣刈はまさか上侍から意見を問われるとは思っていなかったため、きょとんとした顔を最上に向ける。
「クレーン操作の為に外に出ていただろう。我々より情報量は多いはずだ。何か見たのなら進言してほしい。」
来栖にとっても菖蒲にとっても予想外の展開だった。
阿幸地は巣刈に話を振ったのが最上であった為口を挟むことはしなかった。最上に口を挟めば1に対して10返されるとしか思えなかった。先程は黙っていたようだが、ここで生駒達の責任でも追及しようものなら先日の件で自分達にも飛び火しかねない。
「巣刈さん。なにかあるのですか?」
菖蒲は巣刈に希望を託す。
「この位置に四八式鎮守砲が落ちていました。拾ってみないことには使えるか分かりませんが、これが使えれば黒煙に対抗することが出来るかも知れません。」
地図を示しながら巣刈が説明する。
引き上げた鎮守砲が使えなければ振り出しに戻る案のため、巣刈はこの空気では採用はないだろうなと思いながら説明した。
「四八式か…。ありだな。」
「使えるかわからんのだろう!そんなことより後退すべきではないのか?」
まさかの最上が同意したことで阿幸地が声を上げる。
「まあ使えなければ振り出しなのは確かだ。しかしもし使えるならば掘り出し物なのは間違いない。それに後退してどうする?八代駅の民人が増えた今、八代駅を通過する道しか残されていない。八代駅の民人を全員降ろせば、回り道をしても次の駅まで保つかもしれないが次の駅が無事なら…というのが前提だ。言っておくが損傷覚悟の強行突破は反対だ。突破できてもかなりの損傷になるだろうし、突破できなければ竪坑櫓の下で立ち往生だ。」
「使えなければどうする⁉︎」
「使えなかった時に考えるとしよう。後退か強行突破かしか出てなかっただろう。第三の選択肢だ。個人的には強行突破は入れたくない。四八式が使えず他に案が出なかった場合、私が責任持って八代駅の民人を全員下車させてもいい。」
「最上!」
菖蒲は八代駅の民人を下車させるつもりなど毛頭ない。
「振り出しに戻った後、なんの策も出なければの話ですよ。さて菖蒲様まずは四八式の話です。ダメで元々です。拾ってみませんか?四八式を拾った際にカバネが集まり始めなければ、カバネリ2人を回収してもいいでしょう。今も生きているなら、ですがね。」
「わかりました。採用しましょう。巣刈。詳しい話を聞かせてください。速やかに作業出来るよう話を詰めておきたいのです。」
「はい。逞生。鈴木さんを呼んできてくれ。」
「わかった!」
逞生は顔を明るくして艦橋を出て行った。
吉備土が険しい顔で最上に近づいた。
「最上様。八代駅の民人の件本気で言っているのですか?」
「冗談で言うと思うか?四八式が使えず、なんの策も出なければ後退して回り道で先の駅を目指すしかなくなる。何日かかる?全員で飢えて殺し合う方がお好みか?八代駅の民人を受け入れる前から食糧事情で諍いが起きている。この先飢える可能性が高いと話が漏れれば八代駅の民人は私刑に遭いかねない。食糧消費を抑えるなら早いに越したことはない。」
「よくそんなことが言えるな。」
「誰かしら言わねばならんだろう。食料は祈ったところで増えんのだから。」
「それは…「吉備土。今は四八式とやらだ。使えればその話は不要だ。」
まだ抵抗しようとしていた吉備土を来栖が止める。
鈴木が合流して菖蒲と蒸気鍛治で四八式鎮守砲の回収計画の話が進む。話に混ざれない武士達は所在なさ気にしていた。
「武士はこちらへ。」
最上が地図を広げて武士に声をかける。先程の発言から全員が少し険しい顔で集まった。
「こちらはカバネリ捜索の話だ。服部。最後に2人を見た位置はどこだ。」
先程回収してもいいとは言っていたが、最上からカバネリ捜索の話が出るとは誰も思っていなかった為、武士達は目を見開く。
「服部。」
「はい!この辺りです。ですがいたるところが爆発して崩れた為どこに逃げたかはわかりません。」
服部は急いで最後の目撃地点を指差す。
「…近くに坑道があるな。捜索は服部が見た近辺及び坑道までに絞る。それで見つからなければ諦めろ。」
非情な判断ではあるが捜索隊を出す以上、最上も譲歩しているのは吉備土達にも伝わった。
「捜索隊には来栖を。人員は来栖に任せる。クレーンは一度竪坑櫓を下ろし、四八式を拾ったら坑道側へ回す。クレーンには私がつく。中継地に1人置きたい。それ以外で…3人だな。全部で4人選んでくれ。」
「おい。最上。大丈夫なのか。」
「きつめに固定したからまあ大丈夫だろう。クレーン側も捜索隊も作戦失敗から撤退の判断をする人間が必要だ。捜索隊の方は来栖が、全体の判断は私がする。見つからなくても撤退指示には必ず従え。それができないなら捜索隊は組まない。」
「わかった。吉備土、樵人、歩荷、中継地に倉之助だ。」
「クレーンのところに1人貸してくれ。あとカバネの観測に2人出す。それ以外は甲鉄城の警備だ。」
「じゃあクレーンは俺が。」
雅客が手を上げる。
「来栖。こちらは打ち合わせが終わりました。クレーンの操作は逞生さんが行います。そちらはどうですか?」
「捜索隊は己、吉備土、樵人、歩荷、中継地に倉之助。クレーンには最上と雅客が着きます。カバネの警戒に服部と仁助を出します。」
「最上。大丈夫なのですか?」
「えぇ。問題ありません。」
「では参りましょう。」
手信号の合図を決めた後、避難線の車庫から甲鉄城が出発する。
まずクレーンへ向かう足場に横付けで停車しクレーン担当3人と捜索隊5人とカバネの集結を観測する担当2人を下ろす。
それぞれが担当位置に向かう。
「あの!捜索隊の話を出して下さってありがとうございます!」
逞生が走りながら最上に声をかける。
最上は逞生をちらりと見て
「吉備土達も随分肩入れしてたからな。出さねば納得しない人間の方が多いだろうから出しただけだ。」
「それでもです!」
「それにしても最上様。憎まれ役をかうにしてももう少しやりようはあったのでは?」
雅客から車庫でのやりとりに触れられる。
「事実なんだ仕方ないだろう。やらねばいずれ来栖か菖蒲様が判断を下すことになる。菖蒲様はもちろん来栖も出来るだけああいうのはやらせたくない。あの二人には可能な限り潔白でいてもらいたいのでね。」
「万が一の時は俺も手伝いますよ。1人じゃ流石に無理でしょう。」
最上は雅客からの応えに随分と驚いた顔をしていた。雅客はこの年下の侍が偽悪的な態度を時々とることに気がついてた。
普段来栖にとって変わり指示を出すことはしないし、なにもなければ自分達をじっと観察していることが多かった。配給を運んできた鰍に礼を言ったり、下侍の倉之助を助ける等の善性も見せていた。
基本的にこの年下の侍は善人であると判断している。ただし頭が良いからかああいうことに気がついてしまうのだろう。他に言う者がいればたぶん口に出すことはなかったと思っている。
そして15の子供に誰もやりたがらないことをやらせざるを得ない現状を悔しく思っている。
元服していようが15なんて子供である。
「吉備土はお人好しなんです。悪く思わんで下さい。」
「わかっている。特に気にしていない。それと手伝いはいらんよ。」
最上は笑っていた。
クレーンへとたどり着いた為、逞生がクレーンの操縦所へと入り込み、速やかに竪坑櫓を下に下ろした。
クレーンを鎮守砲の辺りに回した時には甲鉄城は既に停車し、巣刈と数名の武士は作業用の梯子を降り始めていた。
甲鉄城の上に乗る鈴木から手信号がくる。
手信号を見て逞生がクレーンを操作していく。
下では鎮守砲へロープをかける作業が行われているだろう。引き上げを待つ間、ちらりと倉之助を窺う。倉之助から到着の手信号を確認した。
「捜索隊もついたようだな。」
視線を戻せば鈴木から手信号がきた。
「引き上げ開始だ。雅客。カバネの集結状況を確認してくれ。」
「どちらも合図ありません。」
「わかった。合図があれば速報してくれ。」
鎮守砲が、クレーンの位置からも見えるようになった。ここからは逞生の目視と鈴木の手信号で作業をすることになる。
周囲を警戒しながら作業を待つ。
鎮守砲を下ろし切った。ここからは甲鉄城に残った蒸気鍛治の仕事になる。先頭車両に付いているクレーンを動かして微調整をしているようだ。
こちらのクレーンは旋回して捜索位置辺りにつけておく。逞生の位置からは倉之助は確認できない為、手信号を見て最上が指示を出す。
瓦礫をどかしているのか何度かクレーンを上げ下ろししている。
鈴木から回収完了の合図がくる。これで甲鉄城は動かせるようになった。
「甲鉄城作業終了です。」
雅客は鈴木からの合図を2人に伝える。ここからはカバネの集結の合図がきた時点でクレーンから撤退しなければならない。
「まだか?まだ見つからないのか?」
逞生は焦れた顔でクレーンを操作する。倉之助から発見の合図が上がる。
「発見したみたいだな。…引き続きクレーンは使うようだ。言っておくが救出途中だろうが合図があったら撤収だからな。」
「わ…わかってます!」
最上の厳しい物言いに逞生は怯むが、そもそも生駒達の立場がかなり悪いのも理解していた。
4回ほどクレーンを動かした時、救出成功の合図が上がる。
しかし捜索継続の合図もまた上がった。
「継続?もしかして発見していたのは1人なのか?」
「カバネ集結の合図です!」
カバネが集結し始めたらしい。ここでクレーンからは撤退である。倉之助に手信号で撤収指示を出す。
「おい。撤収だ。」
「わかりました。」
逞生はやりきれない顔をしているが指示に従った。倉之助は捜索隊に更に指示を下ろし、撤収を開始した。
捜索隊には来栖がいる以上限界以上には粘らないだろう。
捜索隊以外の全員を収容した後、甲鉄城は坑道が見える位置まで移動することになった。
「黒煙。集合を終えました!」
「警笛を。時間切れだ。」
服部から良くない知らせが上がる。
警笛は緊急事態の合図であり、たとえ目の前に救助対象がいたとして必ず戻るよう捜索隊全員に指示していた。
けたたましく警笛が鳴る。
まだ蒸気鍛治は四八式鎮守砲に取り付いて作業をしている。作業が継続しているということは全くのガラクタではなかったということだろう。
黒煙は移動している甲鉄城ではなく坑道方向へ移動を開始した。
坑道出入り口にはカバネリ2人を含めて全員が揃っていた。
捜索隊達が甲鉄城へ乗り込んだころ、黒煙は坑道出入り口に頭を突っ込んだ。入り込もうとしているのかひたすら坑道内に進もうとしている。
一度降ろした竪坑櫓を再度上げなければならない為生駒は甲鉄城から降りてクレーンの操作へ向かった。作業をするなら黒煙が坑道に集中している今しかない。
その間に無名は菖蒲達に黒煙のことを説明していた。
融合群体と呼称されていること。
1匹心臓になっているカバネがいること。
大砲で身体をばらして心臓のカバネを叩くこと。
心臓を叩くのは無名が担当すること。
の4点であった。
仕事で返すと言って会議をしていた場から離れていく。
すれ違いでクレーンの操作を終えた生駒が戻ってきた。
「来ました!さっきよりでかい!」
服部の声が響き渡る。融合群体は坑道内部のカバネの死体を取り込んだようで一回り大きくなっていた。
生駒を回収するために停車していた甲鉄城が発車する。
融合群体はすぐに線路上に上がり後ろを追跡してくる。
四八式鎮守砲が接続を終えた。砲台が旋回し、追跡してくる融合群体へと砲門を向けた。
引きつけてから撃たねばならないところだか、逞生は少々早めに砲撃してしまった。逞生はあくまで蒸気鍛治であるので一発で決めろというのは酷である。
武士達は車上で待機していた。先の砲撃でバラけたカバネが甲鉄城の上に降ってきた。一度足を止めた融合群体はまた線路上を走り出す。それに合わせて車上のカバネも前進してくる。
鎮守砲を守るべく吉備土達は蒸気筒で対抗する。最上も吉備土達と蒸気筒でカバネを撃つ。
「前に出る!」
来栖と生駒が吉備土達の脇を抜け前へと躍り出た。
来栖と生駒はカバネを次々に倒していく。一体たりとも抜けては来ない。生駒はカバネリになって身体能力が飛躍的に向上したらしいのでわかるが問題は来栖である。
「なんだあれ。やっぱり来栖はおかしいな。胸骨も金属被膜も無視か。刀も凄いんだろうが、あれは来栖がおかしいだろ。」
最上は胡乱げな視線で来栖を見ている。横で聞いていた倉之助は、そういえばワザトリの時もそんなことを言っていたなと思い出す。来栖の剣術に関してだけ、普段は怖い位の舌戦を繰り広げる最上は年相応の反応をする。
融合群体が甲鉄城に飛び乗り最後尾車両が切り離され線路下に落ちていく。
甲鉄城の速度が上がり始める。
融合群体が前足を振り上げたところで、四八式鎮守砲が再び火を噴いた。
融合群体の胴体に当たり、胸から上にあたる部分が大きくばらける。
すかさず無名が飛びかかり融合群体の心臓であったカバネを殺す。
融合群体は心臓のカバネを殺されたことで爆発する様に分解した。
甲鉄城は高速を維持したまま、まもなく曲がり道に差し掛かる。車上に出ていた者たちは急いで車内に戻る。
全員の収容を完了したところで曲がり道に入った。進入速度が速すぎたため、車体の右側が浮き始める。
「皆さん!進行方向右に寄って下さい!このままでは脱輪します!」
菖蒲の声が伝声管から全車両に響く。甲鉄城に乗っている者全てが右側の壁を押すように寄る。
曲がり道で浮いていた右側が線路に戻り切った。そのまま速度を落とすことなく八代駅を離れていく。
最上と来栖以外の武士達が自分達が使っている車両に集まっていた。
「今気がついたんだが…最上様よくあんな作戦やる気になったな。」
「何がだ?」
歩荷の発言に吉備土が少し難しい顔で返す。
「蒸気クレーンで四八式?を拾っただろ?本当なら竪坑櫓をそのまま上げて通過できたじゃないか。強行突破はない。とか言ってたけど竪坑櫓が上がるなら別に四八式もカバネリも放置して抜けられただろ?」
「あっ…」
歩荷の説明に吉備土は驚いた。確かにその通りだ。ましてそんなことに最上が気がつかない訳がない。
「四八式が掘り出し物なのは確かだけど、なんだかんだ救助の時間を確保するために拾う策に乗ったのかな。阿幸地殿とかに気がつかれないように八代駅の話までしたのかもしれない。あの話が出てからみんなの意識は作戦が失敗すれば、八代駅の民人はみんな死ぬって方に行ったのは確かだ。クレーンから竪坑櫓を降ろした時も誰もなんでそのまま上げないんだって思わなかっただろ?俺も一緒にクレーンにいたのに微塵も思いつかなかった。」
「うわぁ…最上様策士ぃ…。」
「怖い。15歳が怖い。」
「来栖様の剣術を見てるときと、寝てる時は年相応な感じしてますけどね。」
「来栖の剣術?」
「来栖って本当に人間かな?とか、やっぱり来栖がおかしい。とか半目で見ながら言ってますよ。」
「なんだそれ。そんなこと言ってるのか!」
何人かがゲラゲラ笑う。
「おい。最上。あの時竪坑櫓を素直にあげれば問題なく通過できたんじゃないか。」
「そうだな。今気が付いたのか?」
「なら何故あんなやり方をした。」
「四八式は今後を考えればあるに越したことはないし。カバネリも回収できれば戦力になる。あの状況で助けられておいて、またあんな真似はしないだろう。四八式が使えず、カバネリも回収出来なかったら素直に竪坑櫓を上げて通過する方針にするつもりだった。」
「なら八代駅の民人の話はいらなかったではないか!」
「阿幸地殿を黙らせるのに丁度良かったじゃないか。今頃阿幸地殿辺りも気がついてるかもしれないが損害は最後尾車両だけだし、利益はあった。わざわざ文句を言いには来ないだろ。来たら来たで構わないが。」
艦橋で来栖と最上が話しているのを聞いて、菖蒲は小さく笑った。
吉備土とホモ君は致命的に相性が悪いです。
たぶん吉備土は突っかかったりしないだろうけど本作では突っかかります。