【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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【小話】経費削減

その日生駒が最上の下に持ち込んだ企画書は速やかに受理され、企画物はすぐに量産体制に入ることになった。

その企画物は噴流弾に代わる新しい銃弾であったが何がそんなに最上にうけたのか服部にはさっぱりわからなかった。

 

「噴流弾と比べたら威力落ちてませんか?」

 

「まあ金属被膜は貫通できないな。」

 

「駄目じゃないですか?よく開発しましたね生駒。」

 

「貫通はできないが、掃射筒での運用ならこちらで充分だ。掃射筒は心臓に当たれば儲けものくらいの使い方だし、大体はカバネの突撃を食いとめるために乱射しているにすぎない。掃射筒で薙ぎ払った後結局トドメを刺してることの方が多いだろ?」

 

「そうですけど、これでカバネの足が止まるんですか?」

 

貫通力で見れば明らかにダウングレードしている弾丸は、抵抗弾と名付けられ、その実態は現在でいうところのホローポイント弾である。ホローポイント弾とは弾丸の先端に空洞があるもので、着弾時に先端が潰れて広がることで損傷が大きくなるのだ。カバネの心臓の金属被膜は貫けないが、カバネの肉を削り行動不能にするという点においては充分に機能する。

 

現在命中精度の高い武士は従来の蒸気筒でカバネの心臓を狙い、民人上がりの武士等蒸気筒の命中精度が低い者に掃射筒を使わせている。集団で向かってくるカバネに掃射筒による掃射を行い、カバネの四肢等を粉砕し突撃を食い止めるのが掃射筒の役割であり、掃射筒で撃たれた銃弾の殆どは心臓には当たっていないのだ。勿論掃射筒で心臓を撃たれるカバネもいるが、使われている銃弾の母数に対して、心臓に当たった銃弾の数は極端に少ない。

 

元よりそうなることはわかった上で、民人に掃射筒を使わせていたのだからそれ自体は問題ではない。顕金駅の奪還をしたことで、どうしても武士の手が足りず民人にも戦ってもらう為に掃射筒は多く配備され、蓬莱城に資金が注ぎ込まれているのだ。

 

とはいえ、節約できるなら節約したいのが本音である。

 

 

 

暫く運用された後、カバネの足を止めるという目的としては上々との報告を受け、段階は踏んだもののすぐに噴流弾との割合が半々になった。これにより、かなりの経費削減に成功したため、最上は生駒に金一封を渡した。

 

生駒の金の使い道など兵器開発かカバネの研究が殆どであるし、両方とも基本的に経費で落ちる。生駒は書物の類も好きだが申請さえすれば城の書物庫への立ち入りを許されている。

 

鰍は金一封の噂を聞きつけてすぐに生駒をとっ捕まえ、次回の蓬莱城の行き先で装飾品を購入させるべく、生駒に装飾品の講義をした。

 

生駒は至極興味なさげに聞いていたが、もし妹さんが存命で交際している相手が贈り物の一つもしなかったらどう思うのかと怒られてはっとした。生駒に任せると武器の一つでも贈りそうだと思い、次回の蓬莱城の立ち寄り先の予定は細工物が有名な駅であるので、妹さんがもらって喜びそうな装飾品を基準に何点か選んで、その中から無名ちゃんが喜びそうな物を選ぶのよ!と言い聞かせた。

 

結果生駒が買ったのは、装飾品ではなかったが無名は大喜びしたのだ。ご機嫌で顕金駅に戻った無名は、鰍に贈り物を見せびらかした。鰍も何を贈ったのか大変気になっていたので、喜んで見せてもらった。

 

生駒が購入したのは、オルゴールであった。小間物屋を覗いて、うんうん唸りながら首を傾げていた生駒に店主が声をかけ、勧めたのがこのオルゴールである。

 

オルゴールが鳴らされて妹を想像した。間違いなく喜ぶだろう。無名を想像して喜ぶか?とちょっと首を傾げた。

 

しかも鰍には装飾品と言いつけられていた。だが生駒はオルゴールを再度見て、妹は間違いなく喜ぶし、何度も繰り返し聞くだろうと思った。無名はちょっとわからないが、無名ちゃんは強いけど女の子なんだからね。と言っていた鰍の言葉を思い出して購入を決めた。生駒の手持ちは金一封どころか、全て吹っ飛ぶことになった。

 

無名に渡したとき、大層怪訝な顔をされたが、オルゴールを鳴らすと目を輝かせて喜んでくれた。なにそれ。くっだらない。とか言われたら立ち直れないところであったので、喜んでくれてホッとした。

 

無名は鰍にオルゴールを見せびらかして、何度もぜんまいを巻いてオルゴールに聴き入っていた。妹基準の贈り物作戦大成功である。

 

オルゴールを気に入った無名は、至る所に持っていき、色んな人にオルゴールを聴かせた。オルゴール自体が珍しく、みんなが興味津々にどうしたのか聞くものだから、無名は生駒からの贈り物だと自慢して回り、顔を真っ赤にした生駒が止めるまで続き、駅中に生駒が無名にオルゴールを贈ったと広がってしまった。

 

無名は生駒に止められる前に城にも突撃しており、菖蒲に留まらず道元や最上にも聴かせて回っていた。菖蒲は興味津々で、道元は微笑ましく聴き、最上は生温い笑みで無名の話を聞いた。

 

自慢したかっただけではあろうが、道元や最上にまで見せびらかしてきたのを受けて、思ったより無名殿に我々は嫌われていないのだなと最上は思った。




ホモ君
経費削減!最高!

無名
見て見て!すごいでしょ!生駒がくれたの!
別にホモ君も道元様も嫌いじゃない。嫌いだったら絶対見せない。
ホモ君は無名にびびってるから、基本的に無名が嫌がる事(生駒の考えた武器で人殺し)はしないし、無名はホモ君が無名にびびっている認識はない。嫌なことは嫌って言ったら聞いてくれるし、したいこと(稲刈りとかお泊まりとか)はいえばさせてくれる人の認識。
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