【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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厚揚げ食べて思いついた話


【小話】豆腐

雅客の屋敷に集まることは減ったが、未だ風呂の日は武士達が雅客の屋敷に集まっていた。そんな中、差添城の巡回から戻った樵人がぽつりと呟いた。

 

「久手駅で豆腐食ってた。」

 

「はぁ?」

 

だからなんだと、雅客が怪訝な顔を樵人に向ける。

 

「豆腐がなんだって?」

 

「久手駅で豆腐が流行ってるんだ。」

 

「流行る?結構高級品だろ?」

 

駅制度が始まる前から、豆腐は中々高級品の位置付けであった。駅制度になってからなど、そうお目に掛かれるものではなくなっていた。

 

「そっか久手駅なら不思議じゃないな。」

 

服部が1人納得した顔で、うんうんと頷いている。

 

「えっ?なんで?」

 

「だって久手駅は塩を作ってるじゃないか。腐るほどにがりがあるってことだよ。しかも小田駅から大豆もめちゃめちゃ入ってくるだろ?うちもそうだけど、久手駅って規模が小さいから人も少ない方だろ。豆腐作る余裕があるんだよ。」

 

久手駅は、小田駅を共同管理する駅の中で一番規模が小さい。受け取る農作物は小田駅における生産量の1割となっている。共同管理の駅の中で、一番民人の多い宍道駅と比べて、需要に対する供給の割合が高いのだ。最近は中々に安全になってきたことで、顕金駅の護衛がなくとも自分達だけで漁にも出ている。

 

そのため、久手駅始まって以来の飽食の状況となっていた。現代における飽食とはレベルが違うが、食うに困らず腹いっぱい食える者が大多数となっているのだ。そんな状況であるので、豆腐を作ってみたり、蒲鉾を作ってみたりと食を楽しみ始めたのである。貧しい者も豆腐作りで出たおからや、蒲鉾作りで出た魚のアラを格安で譲って貰い、流民の食事事情も中々のものである。

 

「豆腐かぁ。良いなぁ。」

 

「にがりを差添城が定期的に運搬すればできるんじゃない?」

 

「豆腐なんか作れねぇよ。」

 

「違う違う。阿幸地殿に相談したら良いじゃないか。商品展開の話なら悪い話じゃないだろ。」

 

「は…服部。最上様みたいなこと言うようになったなぁ。」

 

「喜んで良いのかな?」

 

「褒めてる褒めてる!」

 

服部は微妙な顔をしたが、褒めているのは間違いない。

 

 

 

数日後

 

「という訳でお呼びしました。阿幸地殿です。拍手。」

 

「だからなんだこの集まり。」

 

ぱらぱらと拍手がなる中、阿幸地はじとりと雅客を睨む。

 

「まあまあ。今回は金になる話です。…たぶん。」

 

「ほう?まあ良い。聞かせてもらおうか。」

 

雅客は最後にたぶんとつけたが、阿幸地としては気にはならなかった。金になると言いながら、最上ではなく阿幸地に話を持って来たのだ。最上に話を持っていって、相手にされなかったなら、阿幸地にも回ってこないだろうし、最初から阿幸地に話を持ってきたということは、商人が主体の話なのだ。

 

雅客達に商才があるとは思わないが、雅客達はそれが欲しいと思っているのだ。少なくとも需要はあると言うことだ。さらにいえば雅客達は庶民的なので、民人にも需要が望める可能性が高い。

 

雅客や樵人から話を一通り聞いて、阿幸地は驚いた。本当に金になる話だったからだ。

 

久手駅は塩を大量に作っているため、大量のにがりもできる。いくら豆腐作りが流行っても消費量など微々たるもので、わざわざにがりを買って行く駅もない。となれば大量のにがりは邪魔なだけなのだ。それを、定期運行しているだけの差添城が運ぶだけ。それだけで中々に高級品の豆腐ができるのだ。顕金駅もまだまだ民人の数は多くない。小田の豆類も中々の量だし、久手駅ほど手軽には提供できないが、充分商品としては魅力的である。

 

顕金駅は、道元達が管理しきれぬという理由から、民人の数は少なめを維持しており、純粋な市場としては狭いといえる。しかしながら、甲鉄城の行商について行くだけで市場は無限大である。蓬莱城も、商人組合の者がついて行くので中々悪くない商談もできる。だが差添城は盲点であった。定期運行で近場のみを回るため、商人がそれについて行くのは非効率なのだ。特に変わり映えしない市場と思っていたら、まさかの豆腐が流行っていた。

 

雅客達は、ただ豆腐を食いたいだけであるが、人の行き来が少ない駅制度下において、そういった情報は価値がある。

 

「次回の運行に商人組合から人を出そう。そこでにがりの定期提供の契約をしてこよう。」

 

「本当か⁉︎豆腐食える?」

 

「久手程は安くならんぞ。まあお前らの禄なら問題なく食えるだろうよ。」

 

わいわい喜ぶ武士達を尻目に、阿幸地は、差添城の面子の仕事に市場調査をねじ込めないか、道元に相談しようとほくそ笑んだ。

 

後日、差添城の仕事に市場調査が追加されたのは言うまでもない。

 




樵人「仕事が増えた!」

調べたら江戸時代の豆腐って高い!江戸時代って長いから時代によるかもだけど1丁825円ですって。めっちゃ高いじゃん。

駅制度を考えるとミネラルめっちゃ不足しそうだから、にがりは少量摂取した方がいい気はするけどミネラルの概念ないからな。


長い話に終わりが見えて来ました。とりあえずゴールはした。見直ししないとダメですが、勢いだけで書いたシーンが1割。帳尻合わせが9割。どういうことなの?びっくりするくらい長くなって震えてる作者です。あと帳尻合わせを書いてる内に急カーブ決めて、え?そっち行っちゃう?みたいな方向に行ってしまった。震える。

まあプロットとかなしで勢いだけで書いてるから悪いんですけども。
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