【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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南海道 6

「要するに東雲さんは奥さん大好きってこと?」

 

「要約しすぎだが、まあそうだな。」

 

「カバネリは全部で5体。木村?は数に入れるべきなのか?」

 

「一応入れておこう。しかし325名捧げて4体か。カバネリの強さを考えると無しという程でもないのが嫌な数だな。」

 

「暴走させたら赤字だろ。」

 

「しかし莊衛がいながら何故暴走を?」

 

「血を飲むのに抵抗があるとか?」

 

「大西は比較的早くカバネリになっている。ならもっと早く暴走してそうなものだがな。まあ嫌になった場合もあるか。」

 

「で?やるのか?多度津駅。」

 

「最終的にはやるしかあるまい。木村殿の独断で売られた喧嘩自体は握りつぶせるが、莊衛のやつが研究を続けている。新しい血漿の研究が進んでいると言っていた。既存の血漿も既に出来ていても不思議じゃない。黒血漿だったか?使われたらたまったもんじゃないぞ。莊衛に研究を続けさせるのは危険だ。その上瀬戸大橋を壊されるのは困る。だがこちらが突いている時に、周りから砲撃なんかされたら堪らんし、周囲の駅の動向を調査せんとな。高松駅にもご協力いただこう。」

 

 

一行は八十場駅経由で高松駅に戻り領主に事を報告。高松駅に周囲の駅の動向の調査を依頼した。さらに高松駅が、多度津駅に潜ませていた間諜経由で、手に入れていた多度津駅の地図を入手。狩方衆に地図の複製をさせつつ、高松駅にいる多度津の武士から多田らの情報収集も実施した。

 

この段階で一度長距離対応の鳩を飛ばしつつ、下津井駅に行き文の中継を依頼。顕金駅まで行かずとも、美作の周匝(すさい)駅に届けて貰えれば、周匝駅には顕金駅とやり取りする為の鳩がいるのだ。

周匝駅は武器の製造を依頼している関係上、出雲の駅ではないが鳩での手紙のやり取りを早々に導入していた。

 

長距離対応の鳩を飛ばしても確実に届くわけではないので、連絡は確実にしておきたい。そしてあわよくば返信を受け取れるとなお良い。元々長期化する予定ではあったが、南海道をまとめ上げて多度津に対応するとなると最上の手に余るのだ。カバネリの数が想定を越えている為、顕金駅と高松駅のみでおさまる話ではない。

 

高松駅はできれば関わりたくないようであったが、多度津駅は八十場駅に次いで瀬戸大橋に近く、万が一にも瀬戸大橋を破壊されるわけにはいかないのだ。多度津駅の領主である東雲が、高松駅に世話になっていたことは、讃岐のみならず土佐や阿波、備前にも知られている為、多度津駅が瀬戸大橋に損害を出そうものなら高松駅の立場も危うい。なにせ山陽道に繋がる3本の橋の内の1本である。

駅建設に伴い、死に物狂いになって行われた工事により建設された橋である。通常の線路とは扱いが違うのだ。

 

その上、顕金駅をかませてしまった。顕金駅には道元もいる。顕金駅は高松駅の依頼で、多度津駅に行き謁見までしてきたのだ。

 

顕金駅に調査をさせ、事態を知りながら知らんぷりをして、万一瀬戸大橋が落ち再建が必要となれば、必ず高松駅も引っ張り込まれる。それどころか多額の費用も押し付けられかねない。

 

多度津駅が高松駅の傘下ではないとしても、土佐も阿波も備前も知らぬ存ぜぬを許すはずがないのだ。

 

甲鉄城にちょいと見てきてもらって、あわよくば対処させようなどと事態を軽く見た為に、高松駅は多度津駅に対応する筆頭になってしまった。

 

甲鉄城は、高松駅が周囲の駅の動向の把握に奔走する中、行商に精を出しつつも動向の把握に努めた。

 

暫くして下津井駅へと立ち寄ると、まさかの顕金駅から大量の荷が届いており、文の返信まで来ていた。

 

道元は勘太郎と協議して甲鉄城が出発した後、蓬莱城で周匝駅に荷を運ばせていた。周匝駅は、顕金駅とやり取りをする鳩がいる中で、一番南海道から近い為、蓬莱城派遣後の中継地にするつもりだったのだ。

 

更に長距離対応の鳩がしっかり顕金駅に辿り着いていたことから、下津井駅の駿城が文の中継に来ると知り、周匝駅に鳩を飛ばして文と荷の受け渡し依頼をしたのだ。

 

下津井駅も瀬戸大橋に落ちられるのは大変困る上、顕金駅に恩も売れる為、文の中継や荷の搬送を喜んで受けていた。下津井駅は金剛郭崩壊後、讃岐の駿城の動きが悪くなっていたのを受け、砂糖の流通にかんで利益を出しており、意外と能動的な駅なのだ。

 

そして顕金駅に初期から積極的に協力することで、多度津駅の件に直接関わるつもりがないのである。顕金駅が蓬莱城を派遣した後も、物資の搬送で忙しいで逃れるつもりであり、顕金駅側もその方針を受け入れている。

 

下津井駅の領主は、山本経由で最上のことを知っており、道元に対応するくらいのつもりで対応していたため、その立ち位置を勝ち取ったとも言える。下津井駅の領主は強かなのである。

 

一方顕金駅側は、最上からの報告で大騒ぎであった。

木村の立ち位置は微妙ではあるが、カバネリが5体である。最初の想定を越えており、海門と同じくカバネまで使役する最悪の事態だ。

 

東雲が妻を優先し、駅を離れるつもりがなく、現時点ではまだ時間があるというのが救いではあるのだが、その時間もいつまであるかはわからない。

 

なお、最上が1人で謁見したことについては、菖蒲が大変お怒りであるが、謁見しなければ、5人目のカバネリである好井の存在、東雲の真意は判明しなかった為、珍しくも来栖が怒れる菖蒲を宥める姿があった。

 

 

最上は多度津駅の地図に、自分が目視で確認できた情報を落とし込んでいた。謁見までの待ち時間がかなりあったので、望遠鏡や双眼鏡で周囲の確認をしていたのだ。その上謁見時に歩いたルートも、出来るだけ周囲を警戒がてら見回して確認していた。

 

とはいえこれについては役に立つかは不明である。高松駅を筆頭にどういう手を取るかによっては、あまり意味をなさないのだ。それこそ自走臼砲なるかみでも何両も揃えて砲撃したら、地図の意味はないのだ。

 

 

讃岐の高松駅、まんのう駅、三豊駅、阿波のつるぎ駅、土佐の大豊駅、伊予の三島駅が協力する事になり、高松駅にて一堂に会すこととなった。

仮称南海道四国連合である。

 

各駅が領主や家老を出してきている為、側から見て最上の浮き具合が凄い。最上自身も流石にこれは厳しいと思っている。海門の時もそうであったが、おや?お子様がいるぞ?という視線がバシバシと飛んでくる。若くても30代後半がいいところの集まりに1人混ざる17歳が目立たぬわけがなかった。

 

例えばここにいるのが菖蒲で、隣に道元でもいればなんの不思議もないのだが、最上が連れてきている狩方衆も20半ばである。

 

浮きまくっているが、高松駅の領主から顕金駅の家老と紹介されて、さらに場が騒ついた。それはそうである。家老なんて10代でやるものではないので。

 

まあかなり浮きはしたものの、顕金駅の話は南海道にも届いており、その上多度津に行って謁見までしてきたのだから、話は聞いてもらえている。

 

一日目は各駅の提供できる戦力の話となった。

土佐の大豊駅は"なるかみ"ほどではないが、自走臼砲を出せると言う。大豊駅の所有ではないそうだが、高知駅から借りてくると言うのだ。

高松駅と伊予の三島駅は、甲鉄城の鎮守砲より大口径の鎮守砲を搭載している。

阿波のつるぎ駅は甲鉄城と同程度の鎮守砲であるが、2門搭載しており、他の駅の鎮守砲は甲鉄城と同程度である。

勿論甲鉄城以外にカバネリと戦える白刃戦力は無い。

 

ここで問題になるのは、臼砲や鎮守砲をやたらめったら撃ち込んで、カバネリが死んだか確認できないことである。流石に瓦礫の下敷きになったカバネリ捜索などしたくない。

5体もいるカバネリが全員行方不明など、安心していられない。

 

甲鉄城が行商したことで、顕金駅及び周匝駅の作成した掃射筒等の兵器も搭載しているが、カバネリが5体もいれば駅内戦闘も恐ろしい。

 

会議は中々に紛糾した。

 

海門の時は、そもそもカバネリの存在を、北陸連合軍が把握していなかったし、景之も前線に出てきたりはしなかった。多度津で保線作業などしたら、カバネリが突っ込んできて突き崩される可能性が高い。顕金駅のカバネリ相当の戦力は3名であるので、守りきる事も確約できない。そして多度津はまだ駿城があるのだ。鎮守砲を1門搭載しているとのことである。

 

カバネリのみで駿城が動かせるか、鎮守砲を撃てるかは不明である。会議に参加している者の殆どは、動かせないと見ているが、動かせないと思っていたら、鎮守砲を撃たれましたでは笑えない。

 

一日目は戦力の提示以外は、およそ建設的とは言えない内容で終了した。

 

顕金駅はカバネリと来栖の話が広がっている為、周りから直ぐに擦りつけられそうになるのを、最上がかわすのに終始していた。

すっこんでろと言わんばかりの北陸連合軍も面倒であったが、とりあえずお前らが行ってこいよと、言わんばかりの南海道四国連合も中々に面倒である。なにせ直ぐに言質を取ろうとしてくるのだ。老獪な家老や、強かな領主が至極面倒である。

 

一日目はなんとかかわしきったが、最上は疲労困憊であった。元々まともに政など経験していないのだ。道元に仕込まれていなかったら、一日目にして顕金駅が突撃することが決定するところであった。

 

「仔犬ちゃんが死んでる。」

 

「瓜生様。今は駄目です。我々の命運は最上様が握っているんですよ。」

 

甲鉄城に戻ってから、最上は報告書を書いている途中で寝落ちていた。

 

二日目も擦りつけ合いとなり、集中砲火は顕金駅である。会議中はしれっとした顔こそ保っていたが、甲鉄城に戻った最上は突っ伏して動かなくなった。

 

「これ大丈夫か?」

 

「頑張って下さってますが、なにぶん集中的に狙われてます。」

 

参加している駅が多すぎるのだ。2駅程度なら、ぶん投げて帰ってやろうか?この野郎!と最上でも出来るのだが、ここまで多いと最上の自己判断で喧嘩を売るのは厳しいのである。そして会議前に最上が把握していたのは、高松、つるぎ、大豊の3駅のみであった。倍になっている。

三島は大豊経由で参加しており、高松でも把握していなかった。まんのうと三豊は高松が報告してこなかったのだ。

会議前から結託されているのである。

顕金駅は下津井と結託しているが、下津井は会議には参加していない。大豊と結託できていれば、ここまで集中砲火されることはなかったが、高松を含む3駅程度ならなんとかなるかと甘く見た結果である。

 

アウェイで戦うには、最上は威厳と実力不足であった。




ホモ君は負けてます。防戦一方。ただし、白刃戦が出来るのが顕金駅しかいないという部分は、他には真似できないので完全敗北まではいってません。まあ白刃戦できるから擦りつけられそうなんですけども。

色々荒が目立っても許して。ユルシテ…。
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