【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

24 / 153
謝罪回。
先に言っておきますが、読んでもスッキリしません。


エピローグ

甲鉄城内で無名は生駒に縋り付いて声をかける。

最上は無名に強烈な一撃を食らったそうなので、脳震盪と疲労で目が覚めていないが、倉之助と雅客が様子を見ている。

対して生駒は、目が覚めた時正気であるかの保証がないため、心配した菖蒲や一応警戒のため来栖が控え見守られている。

無名が名前を呼びながら揺さぶり続けると

 

「いてぇ…動かすな…」

 

生駒から声が漏れ、無名がそのまま抱きついた。

 

 

「こっちはだいぶ華が欠ける付き添いで申し訳ないな。」

 

「そこは気にしないと思いますけど。」

 

「しかしやっぱり顔色が悪いな。まだ血を抜かれて5日だから当たり前だが。」

 

「ゔっぅん。」

 

頭が痛いのかずっと眉間に皺を寄せて唸っている。

 

「無名が銃床でこめかみに一撃か。痛そうだな。」

 

「雅客。こちらはどうだ。」

 

「まだだな。そもそも最上様は大量に血を抜かれたらしいから、本来ならまだ安静にしてるべきだぞ。」

 

「まだ目ぇ覚めない?…えっとごめん。ちょっと強くやりすぎたかも…。」

 

「いや無名の一撃だけの問題じゃないだろうから気にしなくていいだろう。連れ帰ってきてくれてありがとう。」

 

「そう?…じゃあ生駒のとこ戻るよ。どういたしまして!あっあとよくわかんないけど、生駒も最上さんに謝りたいって言ってたよ。」

 

「わかった。起きたら伝えておくよ。俺たちが謝るのが先なんだが。」

 

「どいつもこいつも謝罪謝罪となんなんだ?」

 

「あぁ…。ここで話すことじゃないし、吉備土にでも聞いてくれ。」

 

「ふむ。わかった。」

 

 

夕方にやっと最上の目が覚め、謝罪待ちの人達が集まったが、

 

「謝罪?特に必要ないが。」

 

などと宣った。

 

「むしろ。鰍殿には失礼した。貴方は武士ではない。貴方にいうべきではないことを言ったな。と思っている。少々気が立っていたもので。」

 

「それでも言い過ぎました。私も興奮してたのでごめんなさい。」

 

「生駒は別に間違った事は言ってないしな。作戦如何はさておいて、私は基本的に出来るだけ損害の少ない方法を考えている。戦わない方が損害が少ないと思えばそちらを選ぶ。必要なら戦わない理由だっていくらだって探す。見方によれば臆病者だろう。改めるつもりもないので、そちらも気にせずとも良い。」

 

「いやでも最上さんの言った通りでした。美馬に読まれてた。臆病と慎重は違うと思うし…すみませんでした。」

 

「武士も別に…。私が全く信用されてなかったことの証明であっただけだ。前提がわかれば、今後はそのように対処を考えれば良いだけだ。これといって怒っていないので謝罪は不要だ。」

 

「いや。そんなつもりでは…とにかく申し訳無かった。」

 

鰍と生駒は良いとして、武士達への認識は問題だった。最上は信頼どころか信用されてないと言う認識である。また菖蒲と来栖が不在の場面が発生した場合、取り仕切ろうとすらしないだろう。信用していないものの指示に従うものなどいないのだから。

 

鰍や生駒は言いたいことは言えたので、スッキリした顔で出ていった。

吉備土達は最上が本当に怒っていない様子だったため、不完全燃焼ですごすごと退散した。

 

「ところで来栖はなにかあるのか?」

 

「すまない。預かっただけのつもりだったが消費してしまった。」

 

来栖の懐から空になった布袋が出てきた。女装させられた際、流石に金平糖を全部持ち歩くのは無理であったため、取り分けたときの余りだ。

 

「なるほど来栖が持ってたのか。むしろよくそれだけで大丈夫だったな。消費したことは全く問題ない。」

 

「あとで金は払う。」

 

「いらんよ。駿城で3日の道のりを、駿城なしで踏破する意味不明な旅路の役に立っただけで充分だ。ふふっ。」

 

「何がおかしい。」

 

「いや本当に意味不明すぎて、駿城で3日の距離だぞ?駅外を生身で過ごすだけでも凄いのに、追いつくか?普通。ふふふっ来栖の認識を上方修正しておくよ。」

 

最上はとても楽しそうである。

 

「あとこれも預かっていた。返しておく。」

 

「はい。確かに。」

 

来栖から漆塗りの箱が手渡された。

 

「しかし意外だったな。最上のことだから生駒にもっと言うかと思っていた。」

 

「私をなんだと思っている?謝罪内容に対してはさっき言った通りだし、作戦については充分授業料は支払っただろう。わざわざ追い討ちをかける利がないな。再起不能にした方がいいなら話は別だが。」

 

「再起不能にされては困る。…吉備土達は信用出来なくなったか?」

 

「信用はしてるさ。信頼はしないが。信用してないのはあちらだろ?まあ完全に美馬に読み負けてたんだ。信用されなくて当たり前だな。来栖が率いる分には信頼に値するから特に困らない。よく考えたら八代駅の時だって、甲鉄城の守りを薄くしてまで、捜索隊に来栖を据えたのは、来栖は撤収の指示に確実に従うと思ったからだ。言い換えれば、吉備土達は土壇場で情をとる可能性があると認識していたからだ。今回その前提を考慮しておかなかった私が間違っていただけだ。次回がないことを願うが、もしあればきちんと考慮するさ。」

 

「そうか。」

 

(だが、吉備土達は理解してくれると思ったから口を挟んだんだろう。止まってくれると思ったんだろう。最初から無駄だと思えば、お前は口を挟まない。そう信じていたのに裏切られたから怒っていたのではないのか?)

 

来栖は納得してはいないが、表情を変えず出て行った。

出てすぐのところに雅客が控えていた。

 

「雅客。どうした?」

 

「やっぱり怒ってなかったか?」

 

「信用はしているが信頼はしない。美馬に読み負けた以上信用されなかったのは当然。と言っていた。特に怒ってはいなかった。」

 

「そうか…。はぁ…怒ってないかぁ。」

 

「なんだお前怒られたかったのか。」

 

「なんかその言い方は嫌だが…そうだな。俺はたぶん来栖の次くらいには最上様と喋ること多かったからさ。」

 

「そういえば八代駅でもクレーンについて行ったな。」

 

「そう。そんとき八代駅の民人下車させるって言ってたろ?あの時俺は手伝うって言ったんだ。」

 

「は?お前…。」

 

「だって15の奴に1人でやらせることじゃないだろう。それに最上様が提示した条件下なら顕金駅の民人を守るのに必要なことだった。でも絶対菖蒲様は許可しない。なら本当に食糧をめぐって殺し合うのか?殺し合いになって、飢えて死に絶えるくらいなら最上様と俺でやろうと思った。罵られても殺されても良い。それでみんなが生き延びるなら。誰だってやりたくない。でも言い出した。なら乗ってやろうって思った。手伝うって言った時凄い驚いてた。その時にはネタばらしはしてくれなかったけど手伝いはいらないってのは言ってくれたよ。その時笑ってた。…だからさ。自惚れかもしれないけど、いざそういうことが必要になって1人じゃ無理なら俺に声かけてくれるかなって思ってたよ。」

 

「雅客。お前…。」

 

「でもさ。克城攻略の作戦の会議のとき最上様が反対して、生駒と吉備土から反論されてたとき俺は何も言わなかった。最上様の危惧していた点は理解できた。だけど場の空気に流された。立ち去る前、最上様はその場にいた武士全員見回したよ。無意識に味方を探してたのかもしれない。あの時せめて俺が最上様についていたらまだ違ったかな…。会議が終わった後に、一応声をかけに行ったんだ。そしたら、もし作戦が成功したら地べたに這いつくばって謝罪してやるって言ってた。言わせちまった。あの時はまだ怒ってくれてたんだ。あの時でもきっと間に合った。作戦が失敗した後だって激昂したんだ。まだ怒ってた。その後時間を置いたせいで最上様は諦めた。怒るだけ無駄だって思わせた。俺が一番信頼を取り戻せる機会を持ってた。なのになにもしなかった。いつも誰もやりたくないことやってくれてたのわかってたのに。八代駅の時からわかってたのに。来栖も居なくて、菖蒲様も引き離されてみんな焦ってた。最上様だってたぶんそうだ。むしろ頭が良い分俺たちが気がつかないことまで気がついて焦ってたはずなのに…俺は状況に流された。怒ってほしかったよ。俺は。なんで味方してくれなかったって。自分の味方なんていないから、次はそれを前提に対処するなんて諦めて欲しくなかったよ。」

 

「…。」

 

「来栖と最上様のどちらかしか選べないならお前をとるよ。だけどあの時はいなかった。なのに俺たちは来栖ならとか、来栖に申し訳が立たないとかお前を理由にした。最上様を選ばない理由を正当化した。正直あの場にお前がいたら、最上様の話ちゃんと全部聞いて決めた筈だ。生駒が煽って、吉備土は議論に応じなかった。怒る事すら諦めさせたのは俺たちなんだよ。頭が良い年下からよってたかって怒る理由を取り上げたんだ。俺たちが最上様より、来栖をとるのなんて最上様が一番わかってるだろう。」

 

「…そこまでわかってるなら取り戻せ。一度失ったからって二度と得られない訳じゃないだろう。」

 

「…そうかな。」

 

「次があればせめて全部聞いてやれば良い。わからなければこっちがわかるまで説明させれば良い。それで納得できなければいってやれば良い。あれは時々こちらを謀るが今まで菖蒲様にとって不利益を出したことはない。少なくとも己は、八代駅の民人を下ろす話に協力するつもりはなかった。だがお前は意味を理解した上で協力しても良いと思ったんだろう。だったら今度は状況に流されるな。己を理由にするな。断るなら自分の意見で断ってやれ。」

 

「お前のそういうとこ凄いと思うよ。だからお前は信頼されてるんだろうな。」

 

 

甲鉄城は金剛郭を無事に脱出できたことで喜びに包まれながらも、生まれてしまった確執や、避難民が増えたことの不安を抱えながら進んでいく。




ごめんね!良いよ!
とはならないよね。
たぶん謝らなきゃならないのがホモ君側だけならそうなるんだけど、ホモ君は光属性じゃないので。
そもそも上侍はホモ君しかいないんだなぁ。他の上侍達とは親友!みたいなのはないけど、少なくとも関わりがあった人達なのでそこそこ仲良いのがいました。
でも甲鉄城には誰一人居ないんです。周りはなんだかんだ仲良し!までいかなくても職業繋がりとかで仲間がいます。そんな中役割を果たしつつ、ホモ君なりに歩み寄ってましたが克城で梯子外された形なので、歩み寄ってもどうせ誰の仲間にもなれないと認識しました。
来栖はなんやかんや話は聞くし、菖蒲様の利益という点で分かり合えるので割と仲間換算ですが、菖蒲様の気持ち優先と菖蒲様の利益優先で微妙に方向性が違います。
菖蒲様は主人なのでちょっと扱いが違います。
雅客は結構良いとこいってましたが、だからこそ外された梯子を戻す気が現時点でホモ君にありません。だってまた外すんでしょ?この後雅客がガンガン攻めればそこそこ仲良くはなります。心の底から信頼するかは別ですが。
ホモ君が光属性だったら大団円だったんですが、すみません作者が光属性じゃないので、こうなっちゃいました。

アニメでも映画でも、さらっと道元様がログアウトしてどうなったかわかりませんが、道元様が途中で降りずに甲鉄城に残っているなら、ホモ君が一番仲良くなるのは道元様です。
たぶんさらっと来栖抜かして行きます。
金剛郭で老中してたくらいですし、元々関わりもあります。そして何よりあのパニックの中、優先順位を決めて動くのが早い。本来お前が、落ち着け!とかやるんだよ!ってところで見切りつけて菖蒲様を確保するのが爆速なので信頼が厚い。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。