「最上様、さっきの駅で反物を買ってたらしいぞ。」
「反物⁉︎確かに乾燥の為にかけられた反物は美しかったが…あれ…絶対高いぞ。」
「随分優美な桜の柄を買っていたらしい。」
「自分用じゃないな。女か?」
「…まさか…菖蒲様?」
「菖蒲様…だと…?」
武士達に動揺が走る。
そこへ最上が戻ってきたが、手に持つ反物は1本どころではない。
(もう贈物とかの範囲じゃないぞ。)
(何着作る気だ。)
(十二単でも作るのか?)
最上の後ろを追い無名と鰍が入ってくる。
「ねえねえ!反物買ってたんでしょ?誰かにあげるの?」
「無名ちゃん!駄目よ。」
「でもみんな噂してるじゃん。」
「別に構わない。あの駅の反物は有名なので、ある程度離れた駅に行ったら売却しようと思って何本か仕入れただけだ。領主に若い娘がいる駅とかがいい。需要があるところでは高く売れる。それか領主と謁見した時に交渉がいまいちだったら交渉材料にしてもいい。」
(商人か⁉︎)
「贈り物じゃないんですか?」
「違うな。贈り物をする相手とかはいないのでね。」
「菖蒲さんは?」
「主なので気軽に贈り物をする相手というわけではないな。それに歳が近いのに服飾品等を贈るというのは、色々誤解が生じるので…。」
「気軽?反物って気軽な贈り物の範囲?」
「いや反物が気軽なわけじゃないんだがな。」
無名達が立ち去った後
「それでなんで商人の真似事などなさってるんです?」
「甲鉄城の資金がどうなってると思ってる?今は技術を提供するかわりに食糧を得ているが、いつまで続けられる?次の駅でカバネへの対抗手段がないと言えるか?そのうち甲鉄城にも大きく金がかかるかもしれない。駿城の整備は金がいる。菖蒲様の私物と私の私物で足りれば良いが、足らない時はどうする?今我々には甲鉄城しかない。甲鉄城が修理出来なくなったら、何処かの駅の流民となるか野垂れ死にだ。」
「うっ。」
「駅にいた頃なら、そんなこと武士が気にすることではなかったが、今はそんなわけにはいかない。」
「民人に商人とかいるのでは?」
「生命線を商人に握らせるのか?商人の言いなりになるしかなくなるぞ?とはいえ全く触れさせないのは人的資源の無駄なので手伝わせてはいる。そのうちある程度資金を与えて運用させるさ。元手はこちらで出すのだ。勿論利益の何割か還元させる。」
「か…還元させる?」
「菖蒲様はお優しいから避難民が嵩む一方だ。分散して引き取ってもらってはいるが、財政はかなり不味いからな?甲鉄城の資金は運用できるほど余裕がないから、とりあえず私の資産だけで回してる。今のところ結構増えてるから、そのうち甲鉄城の資金に足して、甲鉄城の資金でも運用を考えなくては。」
「最上様って商人でしたか?」
「武士以外を名乗ったことはない。」
個人資産を増やすホモ君。わらしべ長者ではないけど、ちょっとした個人の資金(上侍様なのでそれなりの金額持ってました)からガンガン増やしていく。
お金はいくらあっても困らないし、良いものがあれば交渉にも使えるので、寄った駅で色々してる。
七夕すら菖蒲様の私物売り払うレベルなので、金稼ぎする奴が必要よね。
もちろん阿幸地達にも手伝わせるけど、阿幸地達は菖蒲様の臣下じゃないので菖蒲様陣営以上は儲けさせないよ。^ ^
金を握られるの怖いので。