道元が1人の女性を伴ってきて菖蒲達に紹介した。
仁助や樵人あたりと同じくらいの年頃の、落ち着いた雰囲気の女性である。
「こちら医者の楓殿だ。腕は良いが女性故になかなか苦労していてな。甲鉄城ならば女性か否かは評価基準にはなるまい。」
「楓と申します。よろしくお願いいたします。」
「まあ。女性のお医者様は珍しいですね。どうぞよろしくお願いします。」
「菖蒲様が女性ですので、医者が女性なのは助かります。よろしくお願いいたします。」
(最上様大歓喜じゃん。)
(私はお役御免かな?)
(仁助。それは無理だ。どうせ前線じゃ最上様とお前だ。)
(よく医者なんか捕まえたな。道元様。)
(女性はなかなか身を立てるの難しいからなぁ。上手くいけば四方川家の御殿医だな。)
(うちじゃ女が出しゃばるな。とはならんからな。)
(確かに。菖蒲様がいるし、何より最上様が絶対死守するぞ。)
(楓殿に失礼をしたら菖蒲様に怒られるどころか、もれなく道元様と最上様も出てくるのか…失礼のないようにしなくては。)
「楓殿。引き継ぎをしてもよろしいですか?」
「あら。こちらの方は医者ですか?」
「いえ。最上は武士です。ですがうちでは一番医学に明るいので、お医者様の代わりをしていました。」
「そうでしたか。よろしくお願いします。」
「聞き齧りの知識で対応しておりましたので本職の方は大歓迎ですよ。ではこちらへ。仁助も着いてこい。」
「えっ?私もですか?」
最上が楓と少し戸惑い気味の仁助を伴って甲鉄城へと入って行く。最上の機嫌は大変良さそうだ。
「医者と医者代行2人の会話とか絶対ついていけないだろ…可哀想に…。」
「仁助。お前のことは忘れないぞ。」
「南無三。」
樵人達は甲鉄城に合掌した。
半刻程して最上だけが武士達のところに戻ってきた。
「あれ?仁助はどうしたんです?」
「置いてきた。楓殿にご教示いただいてる。」
「あんたはいいんですか?」
「楓殿が仁助と年頃が近いから、仲良くなってもらってあわよくばと思ってな。」
「「えっ⁉︎」」
「いや2人次第だがな?本人には言うなよ。女性は下心に聡いからな。」
「えっ⁉︎」
「本気ですか⁉︎」
「なんで仁助⁉︎俺たちだっていいじゃないですか。」
「共通の話題がないだろう。それに別に積極的に交際を推奨してるわけでもない。引き継ぎ中に、もしかして丁度いいかな?って思っただけで。」
「最上様もそんなこと思うんですね。」
「四方川の臣下と医者が結婚したら、臣下に医者の家系ができるじゃないか。」
「丁度いいってそういうこと⁉︎」
「医者の家系…。話が先過ぎる。」
「まあ上手くいかなきゃ早々に離すさ。とりあえず初歩的なことの教示を頼んだだけだし。段階的にする予定だから、駄目そうな時は教示を終了すれば良いだけだからな。」
「どんな顔したらいいかわからない。」
「普通にしてろ。」
「だって仁助が…。」
「お前らは色恋好きの女子か。くっつきもせんうちからそわそわするな。」
「しかし意外です。強制的にくっつけたりはしないんですね。」
「やっと確保した医者を誰が逃すか。楓殿には可能な限り気を遣う。楓殿が他の武士がいいなら仁助はどうあれそっちを斡旋する。」
「斡旋…。」
「仁助ぇ…。」
「仁助は物静かなほうだから、合うとは思うんだが楓殿の好みは知らんしな。」
「万が一楓殿が来栖に惚れたらどうします?」
「道元様と菖蒲様に仲人をしてもらう。」
「菖蒲様⁉︎鬼かあんたは!」
「菖蒲様が来栖と添い遂げたいならその限りではないが、そうではないなら知ったことではないな。」
「鬼畜だ。鬼畜がいる。」
「最上様が良いって言ったらどうしますか?」
「ひと回りくらい違うがまぁそれはそれで構わない。」
「いいんだ⁉︎」
「政略的に有効なら断る理由がないな。」
「夢も希望もねぇ…。」
「結婚に夢を見てるのか?政略結婚が普通では?」
「そうだよ。この人上侍だったよ。」
「逃げられたら困るから楓殿には気を遣ってるつもりだがな。…もしかして仁助には既に相手がいたりするか?流石に既にいるならやめておくが。」
「いませんけど。」
「なら暫く様子見だな。」
「ちょっとだけ優しさが垣間見えたな。」
この後仁助は武士達から無言でどつかれた。
楓さんは今後メインに食い込む予定はありません。
機会があればちょっとは使うかもですが…。
道元様セレクション。
女性ゆえに評価を得られないとか、次男とかで要職につけるか怪しい人を勧誘してます。(駅内の限られた要職はそこまでぽんぽん空かないと思うし、上手くやれば大出世可能な顕金駅は、出身地より可能性があると思って書いてます。老中出してる家柄なので、四方川家はかなり家格は高いと思ってます。)