【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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道元様の部下が勘太郎になりました。
名前がないと不便だったので。


【小話】食糧問題

予定より10日早く奪還作戦が終わった為、当初の予定よりは余裕はあるものの食糧は不足する想定となっている。

駅内で野生化し始めた家禽や家畜を捕まえ、放置された畑で勝手に育った野菜等を収穫することで、当面はなんとかなるが流民が増えればそうはいかない。4000人以上が住んでいた駅ではあるが、住民数の割に顕金駅の耕作面積は広くはなかった。

春に駅を奪還できた為、畑に種まきや植え付けができたため、顕金駅の自給と、他駅からの買い付けでなんとかなる予定ではあった。

しかし、民人から冷夏の可能性を示唆されたのだ。冷夏となれば収穫量も減り、他からの買い付けも難しくなる。

 

「食糧問題は喫緊の課題だ。山の幸の収穫と狩りに行く。野生化した家禽や家畜を見つけたら殺すなよ。捕獲しろ。」

 

カバネリ2人と武士達と狩方衆でまさかの山菜採りと狩りである。もちろん手は多いに越したことはないので有志の民人もいる。

 

「元上侍の家からも多少備蓄を押収したし、放置されていたとはいえ、畑はかなり広い。我々は500人くらいだろう。そんなに切羽詰まっているのか?」

 

来栖から疑問が飛ぶ。

 

「切羽詰まってからでは遅い。これからは流民も増える。少しでも食糧に余裕を持たなくてはまずい。今年が冷夏だったりしたらどうするんだ。収穫量ががた落ちするぞ。作物の病気とかならまだしも、冷夏では周辺の駅とて凶作の可能性がある。本音を言えば私は食糧確保に出かけるほど暇じゃない。それなのにここにいる。わかるか?それだけ問題だということだ。食糧問題を舐めるな。」

 

「わ…わかった。」

 

「川魚も捕獲する。城と私の屋敷の池で飼う。」

 

「城の池で⁉︎」

 

「鯉など全滅していたのでな。清掃はした。」

 

「そういう問題か⁉︎」

 

「菖蒲様と道元様の許可は出ている。」

 

疲れ切っている最上の目が据わっていてとても怖いため、来栖はもう黙って従うことにした。それどころかカバネリ2人もそうだが、瓜生ですら声を発さない。

標的にはなりたくないのだ。

政は来栖達にはわからない。最上がここにいるということは、道元も賛成しているということだろう。そうでなければ、道元が政のできる最上が駅の外に出ることに反対していることだろうし、何より城の池の許可まで取っているというのだからもう従うだけである。

 

甲鉄城で出かけて、山菜採りや川魚の捕獲は民人を主力に、一部の武士が手伝い、周囲をその他全員で護衛する。カバネの襲撃もあったがカバネリ2人と来栖と瓜生までいるので割と過剰なくらいの戦力である。

夕暮れ前に撤収したが、随分沢山確保することができた。なにせ山など10年近く、まともに人が立ち入ることなどなかったので当然である。

 

家禽や家畜は畜舎などに入れられ、川魚は城の池、山菜や狩りで得た鳥や猪などは供給される食糧の一部となった。

 

最上がよれよれになっているが、家禽や家畜が思いの外捕獲できたので満足そうであった。川魚の一部が最上の屋敷の池にも投入されたが、まさかの庭の大半が畑になっていた。食糧問題への本気度がうかがえる。使用人もまさか武士の家の使用人となったのに、畑仕事をやることになるとは思わなかっただろう。

最初に畑を作るのは別に人を入れたらしいが、管理は使用人の仕事である。

 

なんだかんだ甲鉄城に乗っていたころはなんとかなっていたし、なんとかしていたであろう最上もここまでピリついてはいなかったのだが、どういうことだろうかと武士達は疑問に思った。

代表して雅客が質問することにした。

 

「甲鉄城でもギリギリだったんだとは思いますが、そこまで問題なんですか?いまいち実感が湧かないんですが。」

 

「甲鉄城では喧嘩をすれば無名殿が鎮圧し、蒸気筒を持った武士が見回り、阿幸地殿達が諌めていた。それができたのは閉鎖空間であるがゆえ、皆が我慢しているのだから、我慢しなければという同調圧力があったからだ。閉鎖空間から解放され、苦楽を共にした者達以外の余所者も来るのだ。食糧に不足の兆しがみえれば、盛大に揉める。食糧のためなら人は人を殺すぞ。」

 

「なるほど。」

 

「流民の段階的な受け入れにしたのはそういう事情もある。供給速度が追いつかなければ大変なことになる。もちろんカバネの討伐や武器を売ることで、他の駅からも食糧は得る予定ではあるが、冷夏や天候不順などで収穫量が落ちれば大体の駅は食糧が不足し備蓄を放出する。そうなれば余所に売れる訳がない。民人が揉め始めたらもう止まらん。」

 

「そんなことに…。」

 

「まあそういうことなので、定期的にやるからな。これ。」

 

「えっ!」

 

「今回ので勝手はわかっただろ。次回からは私は参加しない。これ以上やることが増えたら本当に死ぬぞ。誰か交代してくれるなら喜んで行くが。」

 

「次回不参加ですね!合点承知!」

 

「この野郎…。」

 

元気よく次回の不参加に承知の意を示した雅客に、恨めしそうな目をしながら最上が厩舎へ向かう。

 

「何処か行くんです?」

 

「最近は城に住んでる。移動時間が無駄だ。道元様の選んだ者も要職に増えたが、流民も増えたし、各職業が動き出したから我々の仕事が減らない。逃げられては堪らないので、増やした奴らはそれなりの時間で帰しているが、私と道元様と勘太郎殿は城に住んでる。恐らく約3ヶ月程度で各職業からの陳情等が、多少落ち着く筈だ。それまで我々はまともに帰宅できん。」

 

「えぇ…。」

 

「だから余計な仕事は増やしてくれるなよ。怒るとかそういう問題じゃない。死人が出るぞ。我々3人から。」

 

「き…気をつけます!」

 

 

などと備えていたが、冷夏にはならず天候にも恵まれ豊作の年となった。




天候なんか読めるわけないだろ!byホモ君

食糧の余剰は多いに越したことはないので、プラスマイナスでいえばプラス。


そもそも甲鉄城が旅をしながら、食糧を維持できたのは結構やべぇことだと思います。
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