【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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鰍の話です。


【小話】鰍

鰍は最上に呼び出され、最上の執務室に来ていた。

 

(私何かやっちゃったかなぁ。前に雅客さん達は呼び出されて怒られたって言ってたし…うぅっ…怖いよぉ。)

 

「し…失礼しまーす。」

 

案内してきた服部が襖を開けたので、そろそろと室内に入る。

 

「呼び出してすまんな。」

 

「いえ。それはいいんですけど、私何かやっちゃいましたか?」

 

「…?いや、頼み事があるだけだ。」

 

最上は自分が呼び出す事がどう取られるか自覚がなかった。なにせ甲鉄城では、一応敬語は使われていたが元々駅にいた頃のように遠巻きにされたりはしていなかったからだ。

甲鉄城では菖蒲が民人達との距離をあまり設けなかったため、菖蒲に付随する武士達も同様であった。鰍にあっては、その距離感が当然になる前から来栖の手を叩いたりしているので、余計に怖がられるなどと想像してないのである。然もありなん。

 

「頼みごとですか?」

 

「ああ。鰍殿は七夕の時に、寺子屋の先生になりたいと言っていたと聞いてな。人に教えるのは苦ではないと捉えていいか?」

 

「別に嫌じゃないですけど。あっ!子供に教えるのがってだけで、あんまり年上の方とかは困ります。」

 

「それは大丈夫だ。鰍殿より年下の流民に、読み書き計算や、ある程度できるようになったら蒸気鍛治の基本を教えてほしい。大人は単純作業から筋がいいのを引き抜いて見習いにさせるから、そこは鰍殿の担当ではない。」

 

「それならいいですけど、場所とかどうするんですか?」

 

「操車場脇の更地に建設した建物を使う。」

 

「ああ。あれそういうやつだったんですね。」

 

その更地とは奪還作戦時に、前衛の最上が抜けた穴を埋めるため、擲弾が投下され破壊された跡地の事である。

 

「週に4回、午前中のみだが可能だろうか?」

 

「それだけでいいんですか?」

 

「ああ。阿幸地殿経由でもう1人都合をつけてあるのと、武士からも1人だす。阿幸地殿経由の1人は商売の基本を、武士は刀や銃の取り扱いを教える。基本は鰍殿にお願いするが、他の2人も曜日別で教えさせる。希望者のみ他に行けば良い。蒸気鍛治が第一優先ではあるが、向き不向きもあるだろうしな。鰍殿以外の2人は大人の指導も並行させるが、鰍殿は子供だけ相手にしてくれれば良い。」

 

顕金駅は製鉄や駿城整備を担当している駅なので、蒸気鍛治育成は重要課題である。流民の子供には親のない者も多く、読み書きもまともにできない者がいる。親のいない子供は天祐和尚に面倒をみさせ、簡単な礼儀作法などを教えさせているので、そのまま鰍のところで勉強もさせてしまえということである。

蒸気鍛治になれば良し。商売の基本を学び商家で雇われるも良し。武士に戦い方を教わってカバネを殺せるようになっても良し。と完全に職業訓練所の様相である。

 

「意外です。」

 

「何がだ?」

 

「あまり流民の子供には興味がないかと思ってました。すぐに働けないし…。」

 

「ふむ。なるほど。まあ確かに利益にならないことは嫌いだ。だが子供なら話は別だ。学ばせなければ大した仕事はさせられんが、学ばせれば大成する者も出るかもしれん。大人と違って新しいことを覚える容量も沢山あることだしな。貧乏人がいつまでも貧乏なのは学が無いからだ。それなりの仕事につくには学がいる。放っておけば貧乏人になる者も、学ばせれば利益を生む。」

 

「なるほど。わかりました。」

 

「細かいことは、後日天祐和尚のところで勘太郎殿が説明する。その時また呼び出すのでよろしく頼む。」

 

「はい。じゃあ失礼します。」

 

鰍は自分が思い描いていた寺子屋の様相とは違うが、子供達に勉強を教えられるのが嬉しかった。自分のやりたいことができる上、駅の為になるからと最上達からのお膳立てまであるのだ。

服部の先導で帰り道を歩きながら鰍は笑顔を浮かべた。

 

整備場に戻ると何人かの蒸気鍛治が駆け寄ってきた。

 

「鰍!大丈夫だったか⁉︎」

 

「えっ?何が?」

 

「最上様に呼び出されたって聞いたから…。」

 

「あははっ。私もなんかやっちゃったかなって、思ってたんだけど違ったの。良い話だったよ。ふふっ。そうよね。最上さんに呼び出されたらやっぱり怒られるって思うわよね。実はね…」

 

鰍は嬉々として依頼の内容を蒸気鍛治達に話し始めた。




寺子屋というか…っていうね。別に孤児以外も通えます。ただ孤児がメインターゲットってだけです。
流民が使えない?なら使えるようにするまでよ!

小説の感じからすると、駅内の仕事は元々の民人で埋まってるから、その駅にあった技能を持ち合わせてないとあまり雇って貰えないようだし、生駒ほどの若さと執念がなければ中々職にもつけないようでしたのでこうなりました。生駒も執念プラス運が良かったから蒸気鍛治になれてるので流民の就職率の悪さよ。
顕金駅は再興中なので、まだまだ色んな職に空きがあるから余程でなければ就職できます。流民が来ると六頭領は大忙しで振り分け作業があります。住居から就職先まで選定して報告する。みたいな感じですかね。
鰍はみんなのお姉さんな感じ、そのうち保育園の先生とかみたいに子供の初恋掻っ攫って行きそうですね。
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