【完結】カバネリ RTA 【金剛郭からの生存者】   作:神埼

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ネーム有のオリキャラが増えます。


【小話】人材発掘

「吉備土。次回の運行には道元様が同行するからそのつもりでな。」

 

吉備土が呆気に取られているうちに、最上は去って行った。

 

「えっ…。」

 

吉備土は聞き間違いか何かではないかと、服部を捕まえて確認することにした。

 

「間違いじゃないよ。道元様が同行することになってる。」

 

「なんで道元様⁉︎最上様ではなく⁉︎」

 

「人を顕金駅に迎えるために、一度お会いするらしいよ。」

 

「最上様でも良いじゃないか⁉︎道元様とどうしてたらいいんだ⁉︎」

 

「道元様が同行してた時って菖蒲様か最上様がお相手してたものなぁ。でも道元様がそもそも書状とかで都合つけたらしいし、やっぱり最上様じゃ若すぎるから道元様の方が良いんだって。仕方がないよ。」

 

「うぐっ。」

 

「吉備土は最上様のこと得意じゃないだろ。そんなに変わらないじゃないか。」

 

「普段は別にそこまでじゃない。俺たちの事を見下したりはしないし。ただ偶に非人道的なこと言ったりした時は反論してしまうが。最近は配置でも距離とられてる気がするし…。」

 

「あぁ…。わかる。最上様って吉備土のこと面倒がってるよな。」

 

「苦手とかではなく面倒…。」

 

「まあ道元様達が決めたことだから、なに言っても仕方ないし、諦めて行ってきなよ。」

 

後日、道元を乗せて甲鉄城は旅立って行った。

 

今回道元が会いに行ったのは、文官候補ではなく料理番候補である。

今までは甲鉄城で炊き出しをしてくれていた鯖達が頑張ってくれていた。しかしいつまでもそのままとはいかない。他の駅で、もてなされることがあるが逆もまた然りなのだ。今はまだもてなす機会はないし、あっても多少の手落ちも暫くは許されるだろうが早めに都合をつけなくてはならない。

 

まだ復興中であり、先行きが不透明な駅など地位が確保されている者は来たがらない。復興中でも来たいという者がいるとすれば今いる場所では、成り上がるのが難しい者である。

駅の重要な役職のポストが増えることはあまり無い。というのもカバネを防ぐ為の壁に囲まれており、領土が増えることがない為である。既に確立している政治体系など早々変わることはない。領土が増えでもすれば勿論管理するものが必要になるのだが、今の日の本ではそれも望めない。

普通の駅では、重要な役職は世襲であったり、後継者を育成している場合が殆どである。後継者に食い込めていないということは、実力に問題があるか、地位が足りないか、要職についた後継が既にいる家の次男等か、女性の場合である。

 

しかし、裏を返せば地位が足りないだとか、次男だとか、女性だとかの理由で重要な職につけない実力のある者は、いくらか存在しているし、復興中の駅で貢献すれば、復興後にそれなりの地位が約束される為、希望者はいるのである。

完全に復興し安定してからだと、今いる駅の領主より、家格の高い四方川家に取り入ろうと希望する者も出てくるだろう。そういった者は、現在復興の為に働いている元々の地位が低い者を蔑ろにしかねない為、早めに重要な役職のポストを埋めておきたいのが実情なのだ。

 

最終的には下侍であった者達全員を要職につけたいのだが、今それをしてしまうと実務が回らない為、最低限度は外から引き入れ安定してきたら、順次引き上げる予定となっている。順次引き上げると言っても、肩書きは既に付けられている者が多い。実務が伴っておらずとも、肩書きを与えて置かないと後からが面倒なのである。

 

約一年で、物資の提供を都合することの対価に契約していた流民の受け入れが完了する予定となっている。流民の受け入れがひと段落すれば、各所で余裕ができ始める為、一部の武士に対する教育が行われる予定である。

 

そういった事情であるので、料理番も早めに決めておきたいのだ。何せ主君の口に入る物を作るのだから、それなりの実力者を入れたい。

 

道元は幕府の老中であったことから、顔も広いため人材発掘が上手かった。菖蒲や最上では、手段を思いついても実現出来ない事である。

 

そんなこんなで、吉備土は胃の痛くなるような旅路を終え、道元と料理番予定の者を連れ帰ったのだ。

菖蒲や最上と違い、道元は武士達に対してそれなりに礼儀等に厳しい。勿論カバネの襲撃中などに空気も読まずに注意する事などないが、幕府の老中という雲の上の人であった道元はそこにいるだけで緊張するため、甲鉄城を取り仕切る武士達は胃がキリキリとする思いであった。侑那などは菖蒲や最上にするように道元さんと呼んでいたが、聞いていた武士達は血の気が引いた。

失礼ではあるのだが、道元も甲鉄城に乗っていた時期があるので、こういうものだと理解しており特に気にしていない。

 

迎え入れた料理番予定の者は、大きな商家の三男で名を鯏(うぐい)という。地位も無ければ家を継ぐ必要もないとのことで喜んで着いてきた。穏やかな気質で、城の厨を預かっていた鯖達とも上手くやれそうである。鯖達は男前が来たと喜んでおり、鯏は照れながら挨拶を交わしていた。

 

(おいあの料理番。来て早々に女子に人気だぞ。)

(顔が良い。仕方がないだろう。)

(半年以上甲鉄城で共に暮らした我々には何もないのにな。顔か…。)

(やめろ。悲しくなるだろ!)

 

鯏が厨に入るようになってから、食事が美味しくなったと、城の者達に評判である。鯖達の料理が下手だったわけではないが、鯏の料理は更に美味しかったのだ。限られた食材を文句も言わずに上手くまわしてくれている。

商家の出の為、各駅の食糧の生産事情にも程々に詳しく、相場も大体把握しており、帳簿の管理もできることから、道元ら3人は大喜びであった。

 

時折確認は必要であるものの、食糧費の管理は鯏に任せることができる。正直城の中での食糧費の帳簿などは、余計な仕事であったのだ。

仕事の一部を任せられるばかりか、駅全体の食糧を仕入れる場面においても、良い相談相手ができたのだ。

 

ご飯も美味しければ、仕事も減ったので道元らの機嫌は良くなった。

 




料理番必要だな。と思い至りましたのでこうなりました。
既存キャラでは無理があったのでオリキャラが追加になってしまいました。
いやもう本編はとっくに終わってるので、続けるならオリキャラ入れるしかないんですがね。まあ、料理番って大切だけどたぶん出番はそうないので許してください。
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