本日は休みであると聞いた最上の屋敷の前に生駒は来ていた。
(最上さんが"白露屍人考"を知ってるのか聞きたいけど、せっかくの休みに訪ねて良いだろうか。)
かつての顕金駅ならば、いち蒸気鍛治が上侍の屋敷を訪ねるなどもってのほかであったため、生駒は最上の屋敷の前まで来て躊躇っていた。
これが来栖などなら、気にせず訪ねるのだが相手は最上である。
甲鉄城が克城と繋がれていた時めちゃくちゃ失礼をしたのに、特にネチネチと言うことなく意見を聞こうとしてくれる良い人なのだ。最上からすれば、ちゃんと意見を聞いとかないと何するか分からんし、キレると暴走しかねないので聞いておきたいだけなのだが、生駒は知らぬことである。
「あれ?生駒。何してるんだ?」
「うわぁっ!」
最上の屋敷の前で考えこむ生駒に声をかけたのは、一之進の稽古の為に来た樵人であった。
「い…いや最上さんに聞きたいことがあって…。でも休みの日に訪ねて良いものかと。」
「仕事の話じゃないのか?」
「私事で…。」
「まあ試しに聞いてみるくらい良いんじゃないか?最上様はそのくらいで無礼討ちとかはしないぞ?」
「それはわかりますけど。」
「午前中は稽古してるか読書してるかだから大丈夫だと思うがな。」
「じゃ、じゃあ、お邪魔します!」
樵人の後に続いて、生駒は最上の屋敷の敷地に入って行った。
「最上様!生駒が来てますよ!」
「生駒?何かあったか?」
最上は着流し姿で、本を片手に顔を出した。
「あっ!お邪魔します!あの聞いてみたいことがあって!」
生駒は庭に突っ立ったまま、最上は部屋から顔を覗かせたまま、話が進みそうになったため、生駒を縁側に座らせることにした。
「生駒。こっちにきて座りなさい。」
最上は縁側に座り隣を軽く叩く。生駒が慌てて座ると、様子を見ていた穴子が茶を入れに下がって行った。
「それで?」
「お休みの日にすみません。…あの白露屍人考って知ってますか?」
「ああ。読んだことはないが、東欧の碩学アレクセイ・リヒテル博士の書物の和訳だろう。白露西亜における屍人の考察って意味だったかな?」
「内容はどれだけ知ってますか⁉︎」
「…あー。カバネは呪いなどではなく、ウイルスによるものってくらいしか知らん。ウイルスってやつは細菌より小さくて、外国で開発された電子顕微鏡ってやつじゃないと見ることもできないってことしか分からん。」
「電子顕微鏡⁉︎なんですかそれ⁉︎」
「詳しくは知らない。普通の顕微鏡より凄いやつらしいがな。」
「それがあればカバネウイルスの研究が進むんですね!」
「どうだかな。目に見えたところでどうこうできるなら、もう外国でなんとかしてるんじゃないか?」
「アレクセイ博士が日ノ本に来てるって聞いてたんですが会ったことありますか⁉︎」
「ないよ。というか日ノ本に来る必要性が分からん。お前がアレクセイ博士の立場だったら、わざわざ技術の劣る国に来て研究するか?」
「いや…。しないですね。でも危険を周知する為とかなら!」
「アレクセイ博士である必要がないな。」
「…来てないんでしょうか。」
「来てるとしたら、その頃カバネの脅威にさらされてなかった日ノ本に避難が一番ありえるがね。」
「うーん。避難かぁ。」
生駒は腕を組んで首を捻っていると、穴子が戻ってきてお茶を最上と生駒に出して下がって行った。
(もしも本当にアレクセイ・リヒテルが、日ノ本に来ているとして避難が目的でなければ、それは日ノ本を実験場にしている可能性が高いんだが、言わない方がいいんだろうな。)
研究者が現場に赴く理由は、そこに研究対象があるからである。自国で研究できるなら、設備の整った自国が良いに決まっているのだ。設備の整った自国でなく、協力の得られそうな欧州のいずれかの国ではなく、技術が劣り、ツテもない日ノ本に来るとすれば避難か実験以外ないのである。
まあ、菖蒲のような清い心で日ノ本を救うために来たという可能性もゼロではないが、科学的発展などには倫理が邪魔であるので善人の可能性はないに等しい。カバネウイルスは人にしか感染しないのだから、どうあれ人体実験は必要なのだ。カバネウイルス研究の第一人者が善人かといわれると難しいところである。本を書けるほどに研究を繰り返しているわけなので。
もしただの善人であるならば、自国を見捨てて日ノ本に来るとは思えない。見捨てていないとなれば外国ではカバネを殺し尽くしているか封じ込めに成功している筈だ。それならばカバネの殺し方や封じ込め方が広がっていないのはおかしい筈なのである。
「以前逞生がアレクセイ博士は金剛郭で実験してるんじゃないかって言ってたんです。」
「もしいたなら死んでそうだな。」
「わぁ!やめて下さい!」
「少なくとも、長時間高台を移動していた私は脱出する駿城は見ていない。謁見の場に居た者達が美馬の言葉に散々踊らされていたのを見る限り、金剛郭にはいなかったんじゃないかと思うがね。」
「死んでないって思う方が良いので、いなかったと思うことにします。」
「良いんじゃないか?いるかも分からんアレクセイ博士を探すより、日ノ本を平定して外国にでも行く方が建設的だろうな。」
「外国に行く…。」
「外国なら白露屍人考以降の研究が進んでいるかもしれない。美馬が10年であれだけ研究してたんだ。外国が劣るとなぜ言える。」
「最上さん。外国の言葉分かりますか?」
「お前は私をなんだと思ってるんだ?わかるわけないだろう。…だが八代の奴に蘭学をかじってる奴がいただろう。あれに教われば良い。鰍塾で教えてるだろ?」
「…行ったことなかったです。今度行ってみます!」
「そうか。頑張れ。」
「よし!やる気出ました。ありがとうございます。」
「それはなによりだな。このくらいなら気にしなくて良い。」
「それじゃあお邪魔しました!」
生駒は出されていたお茶を飲み干して帰って行った。
(アレクセイ・リヒテル。もしいるのなら、何処にいるかな。うちの戦力は異常だ。うちみたいな戦力を保有してる駅は現状ないようだし、そんな状態で研究できるものかな?取り入るなら生駒が言ってたように、金剛郭が一番良いとは思うが、美馬の仕込みに気がつかずあれほど混乱したのを見ると、アレクセイ・リヒテルが居たとは思えないんだよなぁ。)
日本ですらかなりのオーバーテクノロジーなので、海外なら電子顕微鏡ももう出来てることにしました。
外国(とつくに)外国言うてますが、別に海外進出する話書くつもりはないです。(じゃあ出すな。)
ホモ君はRTA卒業してるので正解まで最短ルートを選べる訳じゃないので。
ぶっちゃけ作者が正解わからんので仕方ないね。
逞生の言ってたアレクセイ博士が日本に来てる説を見た時、何しに来たんだ?って思いました。日本発祥なら来るのも分かるんですが、東欧発祥で日本に来るって何って思いました。
白露屍人考の意味は、勝手に考えました。白露ってことは白露西亜でベラルーシかな?白露が発祥なのか。白露の研究者なのか。
莊衛みたいなとんでも研究が進んでたら海外滅びてそう。美馬は個人利用だったけど、国レベルで悪用したらバンバン国が滅びるのでは…。
ところで生駒って茶飲めるのか?
アプリのストーリーはちょっと追えてないのでガン無視してます。申し訳ねぇ。OP見る限りなんか普通に戦ってる人いっぱいいるけど、戦力インフレしてない?話に入れるとなると全部履修しなくちゃならないので許して。