最初の一文以外読まずとも大丈夫です。
先日仁助と楓の婚儀の日程が決まり、婚儀の準備が進んでいた。
「最上様。重要なお話があります。服部、席を外してくれないか。」
夕刻に仁助がやってきて、真剣な顔で服部の退室を求めた。
「服部。人払いを。」
「はい。」
これは只事ではないと、最上は人払いを命じて服部を下がらせた。
「それで?重要な話とは?」
「…最上様は筆下ろしは済んでますか?」
仁助の口からとんでもない話題が出た。これが雅客なら顔面に拳を叩き込んでいたかもしれない。
「…済んでるが?」
服部を追い出してまでする話とは思えないが、仁助の表情は真剣である。そこで最上は思い出した。楓の誘いに乗って良いものかを自分に相談しに来た仁助のことを。
「っ⁉︎まてまて。お前。済んでないとは言わんよな⁉︎」
「流石にそれはないです。」
最上は仁助の回答を聞いて胸を撫で下ろした。そんなことの助言を求められては困るのだ。
「で?結局なんなんだ。」
「11年前、我々は下侍となりました。その際、私や樵人等は元服を済ませておりました。」
「あー。なんとなく想像ついた。聞きたくない。」
「ですが下侍となってから元服を迎えた者は別です。」
「聞きたくないんだが。」
「国賊よと蔑まれた下侍に相手が捕まえられると思いますか?」
「やめてくれ。もう帰りたい。」
「一部自力でなんとかした者もおりますが、多くの者が清いままです。」
「なんで言っちゃうんだ。聞きたくなかった。こんなことなら義原駅で武士達を解き放てば良かった。言えよ!あの時に!」
「どうすれば良いと思いますか?」
「私が聞きたい。というか服部に席を外させたってことは服部も清いのか…。」
「さぁどうでしょう。わからないので席を外させました。」
「うーん。もうぶっつけ本番でも良くないか?流石になんとなくわかるだろ。」
「下侍のままならそれでも良かったとは思いますが、今の身分でそれは大丈夫でしょうか。」
「…いやわからん。というかお前ら、なんでもかんでも私に聞けば済むと思ってないか?道元様に聞けよ。」
「道元様に武士の殆どが童貞なんですがどうしましょうと言えと?」
「私にも遠慮しろ。」
「それでは話が進みません。」
「…。倉之助くらいの歳ならまあいいだろうが、それ以上は今更無理だろ。もういっそ義原駅から出張願うか?本来なら各家でなんとかするものだが、多少なら補助しよう。」
「倉之助はあれで済ませております。済ませてない者はおそらく40以上おりますが?」
「破産するわ。諦めよう。倉之助かわいい顔してやるなぁ。」
「あの顔だからとも言えますが。」
「40以上もいるのかよ。無理だよ。諦めろ。済ませた奴らが口頭で一通り教えてやれよ。」
「手伝っては「断固拒否!そもそも恥ずかしくないのか!一番年下に性教育させようとするな!年長がなんとかしろ!」
「来栖は清いです。」
「あっそう。別に驚かん。」
「万が一菖蒲様と良い仲になったらどうしましょう。」
「なってから言え。」
「せめて来栖だけでも今のうちにどうにかなりませんか?」
「無茶言うな。私が手配するのはおかしいだろ。お前らの首領だろ。お前達でなんとかしろ。というかそこまで言うならなんで義原駅で連れていかなかったんだ。馬鹿。」
「あの時お弁当の当番から外すって言ったの最上様じゃないですか。」
「そりゃ外すに決まってるだろ。」
「菖蒲様に筒抜けはちょっと。」
「別に、こいつ遊女を抱いたので当番から外します。とか言わん。そんなこと態々菖蒲様に言うわけないだろう。当番表が決裁に上がるだけだ。」
「えっ⁉︎」
「馬鹿。考えたらわかるだろ。」
「…。」
「…。」
「この話は終いだ。私は関わらんからな。」
「…はい。」
後日年長者が武士達を集めて指導がひっそりと行われた。とはいえ口頭での指導であるため、有意義であったかは不明である。
国賊扱いってかなり厳しいよね。
一応下侍90くらいを想定してるので半数以上は済んでます。