最上は先日甲鉄城で出かけた際に、野生化した馬を捕獲した。顕金駅奪還当初も馬は何頭か回収されていたが、乗れるように躾け直すのに中々手間がかかる。
乗馬技術のあるものは武士の一部に限られており、特に現状では馬は不足していないため、一度城に献上した後最上に下げ渡された。
「馬のる?」
「小夜。この子はまだ危ないからダメだ。蹴られるかもしれないから離れてなさい。」
中々気性の荒い馬であったので、馬房の壁もよく蹴るし、乗れば最上がしょっちゅう手綱を引いて落ち着かせる必要があった。
離れたところからこちらを見ている小夜を見て、最上はふとそろそろ小夜を馬に乗せる時の服装を改めないと拙いのではないか、そもそも女子であるので、乗せるのをやめた方がいいのだろうかと思い至った。
「どう思う?」
「なんで私のところにきたんです?」
最上が意見を聞きに行ったのは侑那であった。
「いや。私がパッと思い描いた中で、唯一作務衣を着てた女性が侑那殿だったから。」
「乗馬させる気満々じゃないですか。まあいいと思いますけどね。」
「作務衣だと何か不便とかあるか?」
「いやむしろ楽ですよ。ただ作務衣に慣れちゃうと着物面倒になっちゃいますね。小夜をどうしたいか知りませんけど、作務衣とか着せたら穴子さんとかに怒られませんか?」
「しかし馬を跨ぐのに今のままの服装では拙いだろう。」
「割と今更だと思うんですが。まあ乗る時だけとかなら大丈夫ですかね。」
侑那の意見を参考に、穴子に小夜の作務衣を提案したところ微妙な顔はされたがすんなりと通り、穴子が作ってくれることになった。
穴子からすれば馬に乗ること自体反対したいところではあるが、小夜は最上の妹でもなければ、一之進達のように名のある家の子供ではないので、多少お転婆でも問題はないし、有事の時に出来ることが多いに越したことはないのだ。であれば作務衣でも与えておかねば、どうなることやらといったところである。
将来的に小夜が馬乗り袴を身につけて馬を乗り回すようになるのは余談である。
樵人は先日最上の欲しいものの話を聞いた内の1人であるので、馬を下げ渡されたと聞いて一之進の稽古ついでに馬房を覗きに行った。
「いや。雄か。菖蒲様惜しい。」
残念ながら雄であった。
「惜しい?何がです?」
「いや。こっちの話だ。さっ稽古始めるか。」
「はい。」
「そういえばあの馬名前はあるのか?」
「もう少し躾が済んだら私にくれるそうなので、私が名前をつけるように言われました。まだ決まってないんですけど。」
「そうか。一之進の馬になるのか。いい名前が考えつくと良いな。」
雄の馬の行き先は一之進らしい。あれだけ乗せているのに、小夜にいかなかったのは良いのか悪いのか。まあ年功序列としては間違ってないし、何より小夜は武士ではないので、武士の子である一之進が優先されるのは道理である。
数年後小夜には疾風の子供が与えられるのはまだ誰も知らない話である。
目指せ顕金駅のスピードスターw
昔の日本に横乗り文化ないよね。というか基本女性は馬乗らないしな。
小夜ちゃんをどうするつもりだお前と言われそうですが、頭を下げるよりありません。小夜ちゃんと二之介は幼過ぎて勝手に方向性を決めるしか…(言い訳)