百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる 作:レンガチェッカー
妹が死んだ
一週間ほど前の話だが。
年は14、もともと病弱だった。
両親がもういないためとてもかわいいたった一人の血の繋がった家族。
とても辛かったし今日も悲しい。
自分がもっと薬学なり医学なりあるいは神への信仰がより深い領域であればこの結末を回避できた可能性はあったかもしれない。
だが凡人のクセして全部に縋った果ての結果が絶望だ。
妹はまだ話せるうちに言っていた。
『__お兄様はきっとすごい人になれます。だからもし私がいなくなっても私じゃない誰かのためになれる人になってください』
本当は泣きたいほど苦しかっただろうに。
気丈に振る舞い悟らせない姿が心苦しかった。
でももういなくなってしまった。
かつて錬金術で名を挙げ名家と謳われたアスフォディル家は若造と下級の悪魔、イルヴィナが一人。
名家はすでに崩壊してると言っても過言ではない。
何なら崩壊してる。
もっとも錬金術がなんだか魔法の域まで来ていることが腑に落ちないが。
憂鬱な気分にさらに追い打ちをかける悩みがある。
この世界は百合要素あり凌辱型エロゲの世界だった。
そんなふうに知覚したのは妹が死んでから。
百合要素は正直どうでもいい。
間に挟まらなければどうということはないからだ。
問題は凌辱要素。
いつものオークやら腐敗した貴族やら触手などなど。
鬼畜展開上等、モブと男(竿役以外)に人権なんてねぇ、死だ。
生き残るなら愚民として相手がどんな種族でも強いものに媚びへつらうのが最適解。
現在在住しているエルアラド聖王国、ここもかなりやばい。
まだ安全?だけどいつ外からまたは内から凌辱が襲いかかってくるかわからない状態だからだ。
本来のアスフォディルの青年なら野心と技量で凌辱ゲーの世界を渡り歩く。
だがガワだけの自分ではすごい錬金術は無いし楽園の騎士(エデンズリッター)なるつよつよお姉さんは召喚できない。
本物の青年、シグルド・アスフォディルに勝っているのはちょっと美味しい飯とまぁまぁの運動能力くらいだろうか?
いつ国家が傾くか分からずどこへ行っても死と自分じゃない誰かの凌辱が待機して逃げ場がないのだが?
どうすれば生きられる?妹の願いを実現できる?
「_ご主人さまーご飯の準備ができましたよ!」
屋敷の厨房から声が響く。
「今行く」
部屋を出ていき声の方へ向かう。
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居間へ行くとすでに食器や料理が並べられていた。
そしてピンク髪で角やコウモリのような羽が生えている少女、イルヴィナがいる。
「さぁさぁ座っちゃってください。今日の今日のとてイルヴィナちゃん腕によりをかけました!」
とても元気だ。
妹がいなくなってまだ日は浅い。
彼女も妹に対して親愛に接していたのに。
きっと自分に気を遣っているのだろう。
心優しい風変わりな悪魔だからか。
「ありがとう」
いただきますと呟き食事につく。
今日は魚のムニエルとスープ、添え物のサラダ、ミートソースのスパゲッティ。
どれも美味。
とても美味しい。
「今日も美味しいよ。流石イルヴィナだ」
「ふふ、それほどでも……ありますねありがとうございます」
「あぁ」
性格は優しくがんばり屋。
種族は淫魔とのことだが比較的に理性を持ちこの世界では変わり者。
シモの話にならなければすごくいい子。
出会いは大掃除の時に出てきた謎の羊皮紙に偶然指を怪我し、出血状態で触れてしまい突然出てきたのが始まり。
その日以来住み込みで生活している感じだ。
……まだ妹が生きていたあの日から。
いけない、イルヴィナだって耐えてるのに落ち込んでは。
ただでさえ未来があるかわからないというのに。
だから、だからこそ
「なぁイルヴィナ」
「はい、イルヴィナちゃんですよ?」
「これからどうするかと考えたんだ」
まずは望まれたことを果たそう。
妹、クレセアの願ったこと。
「誰かのためになれる人、すごい人になろうと思う」
「……あっ……ご主人さまならきっとなれます。ですが……」
自分が妹の話をしたのだろうとまた気を遣っているのだろうか?
「ですがずっと側にいてもいいですか?」
「飽きるまでいればいい。時間に限界はあるが」
「……はいっ!」
彼女は種族の関係上私より長い時を生きないといけない。
いつか別れは来る。
今日決断した。
金はともかくコネと地位が乏しいが願われた姿にどうやってなるか。
本物のシグルドは怪しげな組織に所属していたが自分はしてない。
良く言えば健全に生きてる、悪く言えば情報弱者。
まずは自分でできる中でこの国を存続できるような行動をしなくては。
人に仇をなす化け物狩りとよくわからない中世政治の腐敗の削減、と割りとやること詰んでるけど。
やるしかない。
現状維持をしたらフラグだけで役満五光ロイヤルストレートフラッシュだから。
凌辱ゲーである以上凌辱されるやつが必ずいるのだ、とても重要な立ち位置を兼業して。
故に凌辱イコール国家の危機となる。
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ファンタジー系凌辱モノにはお約束がある。
兵士は味方の立ち位置だと容赦なく死ぬ、あるいは敵に圧倒されるなどで裏切る。
大衆の面前であられもない姿で晒される、やたら民度の低い民衆など
この世界でも当然ある。
化け物退治をするには兵士だと不適切。
怖気づいたらアウト、泣き言は死亡フラグ。
主人公補正は……無いだろうか?
こんなこともあろうかとなんて言える奴なら助かる可能性が高い。
やってくるケダモノ共は総じて一般人より強力。
人間から化け物になる場合も存在するので気をつけないといけない。
ケダモノを狩る……
どうしたものか。
一人でも基本的に戦い、そして狩る。
ケダモノ狩り、獣狩り……
狩人?
……獣狩りの狩人!
これだ。
気づきは突然だ……宇宙は空にある、それほどの気づきだ!
世界観も掠ってるくらいはあるしビジュアルが君ブラッドボーン出身かね?となる人もいる。
もうじき獣は来る。
初めから逃げ場なんてないのだ。
準備を済ませ狩りを全うしなくては。
妹が願ったようにすごい人になるのは奴らを屠ったそのあとだ。