百合エロゲー?の世界で偽狩人は生き延びる 作:レンガチェッカー
亡者はいい、切れどあまり血が出ないから。
返り血が殆どない。
力のリミッターが外れて彼らは生きてる人間より力は強いがしかし思考能力はなく武器は両腕と噛みつきだけで単純。
何なら頭を前方に出してくれるので鉈を当てやすい。
視野を広げれば騎士たちが一騎当千の活躍をして前線構築と大量の亡者の撃破ができている。
ある者は大斧の一振りで複数の亡者を吹き飛ばし、近くではするりと首を落とす剣を高速で扱う者がいた。
このこともあって散弾や他の道具を温存でき、来たる強力なゼノモンスと対峙する際有利になるだろう。
「ノーブル……イグニィィス!」
別方向からエデンズリッター二人が切り込む。
「力を示せ、ジャギュレイタァァァッ!」
空を飛ぶ彼女達は一方的に亡者を蹴散らす。
リッター・ルシフェルの炎が迸り、リッター・アシュタロスが剣を起点に放った暴風が一気に燃焼させれば灰へと変わる。
たった二人で他の聖騎士団らと変わらないペースで目標を撃破していく。
まさに人ならざる者たちの力だ。
待って先輩どこよ?
別にサボってる訳じゃないことはわかってる。
何かの作戦だろう、何か知らないけど。
もっとも皆で立ち向かえば亡者はどんどん数を減らす。
毎分100を優に超す亡者を倒すためあっという間に半分へ数を減らした。
そして、順風満帆とは言えない状況となる。
連なる空き倉庫が破壊され、本命が出てきたのだ。
体躯は大きく建物を弾きながら現れた。
「__シグルド殿っ!セシリィ様、アレを倒して参ります!」
「お願いします!」
アシュタロスが駆けつけてきた。
『……なんだ?うるせぇと思ったらのこのこ来やがったか』
一体だけ出てきたのは大きな化け物、ゼノオーガだった。
血色が浮き出たようにピンク色でアシュタロスの報告がどおり身体の各所にいくつもの眼がありオーガのときにはなかった尾がある怪物。
なんか下がったほう__っ!?
「ゔっ!?」
な、に……?息が、辛い。
背中痛え……
『……へぇ、雑魚にしちゃあくらいはあったな』
あぁ……ミスった、躱せなかった。
直撃は逃れたものの横腹も熱い。
オーガより、ずっと素早い。
「シグルドッ!?」
『無理だろな。横腹やったし骨なんかもイカれてるぜアレ』
「貴様っ!」
『うむ、エデンズリッターかお前。そうカッカすんなって。出会っちまったらキレずに敵を見るんだよぉ!』
ゼノオーガが飛び
跳ねて叩きつける。
「ちぃっ!」
アシュタロスは後方へ下がり、続いて来た巨腕の払いを飛翔し回避。
『ガハハッ!__そらっ!』
笑うゼノオーガが近くの資材を握り潰して砕く、そして木片やら石片になったものを馬鹿力で投げつけた。
「そんなものが!」
木片、石片を強風を起こして風切り払いゼノオーガへ近接戦を仕掛ける。
『はっ、持っている手札を早々に切るにゃもったいないんじゃねーか?』
アシュタロスの剣が風を纏うと知ったゼノオーガは頭を掻く。
「いや、そうでもない」
『ぬぅ?……っ、なるほどなぁ!?』
突如足に、足首あたりで痛みを覚えた。
犯人はわかる。
『意外と元気なもんだ。鎧もないのになぁ』
反撃の足払いが当たらず空振り。
血まみれの男が距離を取って血の付いた武器を構えていたのだ。
「すみませんっ、醜態を晒しました」
「まだやれるなら続行!」
シグルドの状態を見たアシュタロスは僅かに口角を上げる。
「はいっ」
追撃なくて助かったわ、危なかった。
左手とか胴体の骨とかダメージがデカかったけど携帯してた回復のポーションで治療完了。
まずは状況確認。
ゼノオーガとはアシュタロスと一緒に戦っている。
援護が来ない理由はまだ大量の亡者といつの間にか介入してきたゼノバットによって戦線に余裕がないから。
シルヴェールとリッター・ルシフェルはゼノバットを相手に戦ってる。
……やるしかないな。
そして今やることはアシュタロスの剣がゼノオーガへぶち当たるようにすること。
まずはお相手さんの耐久性チェック。
『?』
散弾、ファイアー!
『おっ?いてーな、おぉ?』
痛みはあるらしい。
しかし耐久性抜群だな、まるで効いてない。
何事もなかったとばかりにアシュタロスとの戦闘を継続してやがる。
これは散弾怯ませができないしヤバいね。
とりあえず突っ込むしかない。
ノコギリ状態の鉈でどうにかダメージを出す!
またできるかわからないけどね!
少しずつ近づき様子を見て動こう。
アシュタロスとの戦闘中に何度か自分を見てる。
自分に攻撃の来る番がもう近い。
__ここかっ!!そして次迷わず背後へ急加速で回って!!
『……ほう』
苦しいけど回避はできる、絶対勝てない相手じゃない。
騎士団長様がいればだけど。
「こっちだオーガ!」
自分への連撃が終わると同時に爆速の剣筋がゼノオーガへ放たれた。
が、浅く皮膚を裂くだけに終わる。
血が出るだけヨシッ。
『掠ったか?……んん』
互いに注意を引き付けて狩る!
目標はアシュタロスへ意識がいってる間に敵の足を貰う、それが最善か。
そのために全力を以てして彼女に合わせなくては。
人ならざる領域の戦い、一撃一撃が素人では認識できるか曖昧になる。
低い割合で飛んでくる攻撃をひたすら避けて牽制を交え、機会を伺う。
大振り、__ここだっ!!!
「隙ありぃ!」
「むっ!」
『!?』
叫ぶ。
聞こえるように。
こんだけ叫んだらやるだろアンタなら。
ほらっ!
カウンターに足を伸ばしちゃって、ねぇ!!
こっちは突っ込むフリしてギリギリまで下がってるんだよ!
ノコギリを全速で引く。
もう殴る感覚で。
化け物の膝がバランスを失い姿勢を崩した。
「はぁぁ!」
アシュタロスの追撃でゼノオーガの胸に鮮血が舞う。
肉を斬る剣は血に濡れず銀色が僅かに輝いた。
『グッ、__フハハハ、ハッ!』
笑ってるぞアイツ。
血が吹き出てるのに。
お前淫魔じゃねーだろ絶対、根拠ないけど。
『……あぁ、オレは運がいいようだ。お前
「ほう?それは喜んで良いのかわからんが褒め言葉として受け取っておこうか」
『フハハハッ!そうだゆくぞ!』
轟音、吹き飛ぶ石畳。
危な!?
姿は変わらないけど第二形態的な、某神父が使う斧のリーチを伸ばしてくる的なやつか?
明らかに動きが変わった。
さっきまではわりと破壊力寄りだったのが目に見えて技術のある戦い方に。
フェイントや回避行動が顕著な例だ。
とてもやりづらい。
見えてないフリなんかもするから判断が大変。
アシュタロスが作る隙になんとかノコギリ刃で傷を作るのが関の山。
閃光使う時間すら惜しいのだ。
アシュタロスが不利になれば散弾をゼノオーガの指へ向けて撃つくらいしかできないけど。
それとめちゃくちゃ瓦礫が痛い。
ゼノオーガが今の状況を効率よく利用するもんだから飛んでくる破片のせいで身体の各所がジンジンする。
なおも怒涛の闘いは続く。
突進、叩きつけ、回し蹴り、来る攻撃は全て凶悪。
剣の腕は国一番、世界クラスの実力者であるアシュタロスへ猛攻を仕掛けられる程には強い。
「なにっ?」
彼女は驚く。
剣を腕に付けてる枷で受け止めたのだ。
なんだ、鎖!?__しまっ
「んぐぁ!?」
一瞬だったこともありまだ痛みは鈍い、でも腕が折れた。
曲がっちゃいけない方向に曲がってる。
これ以上何が起こったか考えるな、怖気づくと……死ぬ!
『……ヒヒ』
だが状況はいい。
自分の腕が折れてなんでかゼノオーガの猛攻が収まり気味だ。
使うなら今!
「閃光!」
「!」
『なんだぁ?』
しっかり数えて……
「かぁっ!!」
言葉の終わりと同時に眩い光が辺りを照らす。
瞼の裏も眩しい程の光。
目が多いからなのかより効いている。
そしてゼノオーガは暴れるように拳や足を振るう。
何もできなかったオーガ、オークとは異なるようだ。
「下がれ、シグルド殿っ!」
襲いかかる拳、足を抜けて木の幹のように太い首にアシュタロスは剣を突き刺す。
首を裂き鮮血が噴き出した。
『おぉぉぉぉ……』
致命的な攻撃を受け、なおゼノオーガはまだ動く。
あれ、なんかヤバない?
腕の枷がバァン、て破裂したよ……え……やるしかないでしょ!?
第二形態、第三形態になるやつ!
なる前に倒さなきゃアカン!
「ノエイン様!」
「っ!?あぁ!」
慌てて突っ込み大鉈で殴りかかる。
とにかくアシュタロスと共にゼノオーガを叩きつけていく。
『ヴォォォォ!!!』
なにっ、衝撃波!?
距離が離れて!
あ、腕の回復……ポーションって骨折治るの?
……結果、微妙。
散弾銃を左手で持つのは無理そう。
もっとも相手さんには弾が効かないけど。
『……アァァァ』
ゼノオーガのやつ全身から鱗やら口は爬虫類系統に見えるまで伸びて牙がより立派なものへ変わる。
変化後はなんか無駄にすんごいかっこいい竜人に似た姿。
ピンクゴリラ筋肉から引き締まった灰色のボディになり、黄金のような瞳が自分とアシュタロスを見つめる。
醜悪な怪物が何か一つ上の次元へ登った感覚がした。
「どんな仕組みか知らないが、まずいなこれは」
アシュタロスも感じ取ったのだろう。
『__不思議な気分だ。モヤが晴れたみてぇな気分だな』
変化しても胸や首には傷跡がある。
瞬時再生機能はないのか?
『さぁ、やろうか』
もうやだ……おうち帰りたい。
どうでもいいテキスト
ポーション
エルアラドにある治癒の魔法を錬金術として解釈した理論の末に誕生した一品
透き通る緑で即効性の治療薬である
使用により中度の肉体再生と僅かな持久力回復の作用をもたらす
聖王国では教会と一部の錬金術師達が製造している
しかし教会は神の恩寵として取り扱い、この現状を喜んでいない